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『メカニック ワールドミッション』感想(ネタバレ)…サメと戦うための準備運動

メカニック ワールドミッション

サメと戦うための準備運動…映画『メカニック ワールドミッション』の感想&考察です。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Mechanic: Resurrection
製作国:アメリカ(2016年)
日本公開日:2016年9月24日
監督:デニス・ガンゼル
メカニック ワールドミッション

めかにっく わーるどみっしょん
メカニック ワールドミッション

『メカニック ワールドミッション』物語 簡単紹介

殺し屋稼業から足を洗い、平穏に暮らしていたビショップ。しかし、そんな彼の前に、幼い頃に共に暗殺者として育て上げられ、ビショップを裏切っていった兄弟子クレインが現れる。因縁の相手との再会に、驚きを隠せない。殺戮に関してのスキルは一流で、抜け目なく狡猾である。そして、そんな彼がわざわざ人質までとって強引に依頼してきたのは世界を裏で操るフィクサーでもある武器商人の暗殺だった。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『メカニック ワールドミッション』の感想です。

『メカニック ワールドミッション』感想(ネタバレなし)

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頭の毛なんてなくても強くなれる

2015年はスパイ映画が目立っていたように思いますが、2016年は「殺し屋モノ」ジャンルの映画の続編が立て続けに公開されています。『ジェイソン・ボーン』、『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』…そして、本作『メカニック ワールドミッション』

ただ、なぜか他作品と比べて本作の扱いは小さい気がする…。

この手のジャンルでは主演俳優の力がものをいいます。本作の主演はジェイソン・ステイサム。確かにトム・クルーズなんかと比べたら、日本の一般層の知名度は低いです。でも、彼のようなスポーツマン・ファッションモデル・スキンヘッドの3点を兼ね備えたこんな魅力的な人は希少価値ですよ。髪が薄くなったら男はみんなジェイソン・ステイサムを目指せばいいんです(断言)。ブルース・ウィリス、ヴィン・ディーゼルに並ぶハゲ界の先導者、ジェイソン・ステイサムをこれからも応援してください。

本作の魅力は、『ジェイソン・ボーン』や『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』と比較して自由奔放だということ。

本作は続編ものです。前作の第1作『メカニック』(2011年)は1972年に製作された映画のリメイク。そのため、どうしてもオリジナルと比較されがちでした。リメイク第1作は「ジェイソン・ステイサム流に染めるぞ」と潔く開き直った感じで、また別の良さがあったので個人的には良かったと思っています。

一方の本作は、オリジナルとか気にする制約は一切ないので、かなり好き放題やっています。「ワールドミッション」という副題のとおり、ジェイソン・ステイサムが世界各地をめぐって暴れ回る、ただそれだけ。ジェイソン・ステイサム版『ミッション:インポッシブル』ともいうべきシーンもあるほどで、お遊びもたっぷり。一応、前作にあった「事故に見せかけて暗殺する」というポリシーはあるにはありますが、もはやおまけです。『メカニック』シリーズはジェイソン・ステイサムのためのアクション映画となったことを印象付ける一作です。

前作を知らない人でも普通に楽しますし、気軽に観られるアクション映画じゃないでしょうか。ジェイソン・ステイサムを知らなかった人は、これを機に知ってください。

↓ここからネタバレが含まれます↓

『メカニック ワールドミッション』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):あの男、復帰

ブラジル、リオ・デ・ジャネイロ。停泊している個人船でくつろぐ男。その佇まいはすでに凡人ではありませんが、日常を過ごしています。

そんな中、サントスと呼ばれた男の前に、ある女性が現れます。3人の男を消せというボスの命令を届けにきたらしいその謎の女。男はヤバいものを感じ、一瞬で女を撃退、迫ってくる他の男たちと格闘。顔をこんがり焼いたり、包丁でぶっ刺したり、丸焼きにしたり、バラエティ豊かに痛めつけます。

そのまま逃走し、ロープウェイの上に乗る男。普通には乗りません。それでも女はしつこく追ってきます。そして男が取った行動は、ダイブ。通りかかったパラグライダーの上にしがみつき、その場を離れて見せます。乗るのが好きです。

自分の船に帰るとお先に侵入者が。とりあえず爆破して退散。コンテナ置き場の秘密部屋で情報収集し、もはや不要となったので自分の今の身分証明書を燃やします。

男が次に向かったのはタイ南部のリペ島。のどかなリゾート地です。そこでビジョップと呼ばれた男はメイという女性に会います。束の間の休み時間。バンガローに宿泊です。

次の日、腕に痣がある金髪の女性が訪ねてきます。薬をもらって帰るだけでした。それが気になったメイは海上の船で暴力が行われていることを察知し、ビショップに助けを求めてきます。

やむなく救助に行くことにしたビショップ。女を襲っている男が銃を手にしたので奪って張り倒すと、男は打ちどころ悪く死亡しました。さりげなく殺してしまうクセがあります。助けた女をメイに預け、船を始末することに。

ジーナ・ソーンというその女は、なぜか自分の写真を持っており、銃を突きつけ、問いただそうとするが、抵抗してきます。降参して事情を話す女。脅されているらしく、送り込まれたのだとか。クレインという奴が裏にいるのか、とにかく対処が必要なのは確かです。

翌日、さらに話を聞きます。弱みを握られているので言いなりになるしかないと。しかも状況は緊迫していました。海上の沖合に怪しい船を発見。見張られているようです。とりあえずジーナと恋人のふりをします。ぎこちないダンスも披露です。

その夜。「俺も孤児だ。ギャングに売られて訓練された」とビショップは吐露。互いを打ち明け、体を交える2人。預けたいものがあると、父の形見の時計を渡すビショップ。それは信頼の証です。

しかし、安寧はありません。ボートが着岸。武装した敵がぞくぞく降りてきて、乱戦に。どさくさに紛れてジーナは連れ去られます。

こうなると抵抗するとジーナの命が危険です。おとなしく従ったビショップは敵のアジトに連行され、そこで出迎えたのは憎き相手。そしてあらためて3人を殺せと命令されます。

マレーシアの刑務所にいるらしいターゲット。そこは海上の島で、100mの崖の上にあり、周りはサメがウヨウヨ。侵入不可能で脱出の成功例もない難攻不落。

それでもやるしかありません。選択肢はありませんでした。

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チームなんて必要ねぇ!

「チーム」の大切さを謳った作品は数あれど、ここまで「チーム」という概念を全否定してくる映画は珍しいのではないでしょうか。『メカニック ワールドミッション』のジェイソン・ステイサム演じるビショップは、情報収集、アイテム開発、戦闘を全てひとりでやってのけます。まさにチームいらず。とくにアイテム開発として機械いじりから薬品調合までできるなんてなかなかないキャラです。筋肉バカではない、理系殺し屋としての面白みがあります。

そんな理系知識も駆使して、1対多数の窮地もなんなく切り抜けるさまは快感。とくに潜水艦基地での乱戦での自動機関銃トラップとか、救命ボードをくるくる回転させての銃撃戦とか、観ていて飽きません。

本作は主人公が最後までプロフェッショナルとして徹底しているのが良いです。『ジェイソン・ボーン』や『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』は家族絡みで狼狽えたりしてましたから。あと、ちゃんと元水泳飛び込み選手のジェイソン・ステイサムらしく、飛び込みシーンの見せ場を用意しているのがちゃっかりしているというか、お茶目な作品です。もっともお茶目の度合いでいえば『SPY スパイ』には敵わないですが、本作のジェイソン・ステイサムは愛嬌がありました。

ただ、ストーリー自体はお世辞にも良いとは言えない、かなりの大雑把。

3人の暗殺を強制されますが、事故に見せかけて密かに暗殺できたのはシドニーの1件だけだったような…。1人目の刑務所のやつはバッチリ目撃されてましたし、3人目はずいぶん強引な偽装暗殺でした。

事故らしく暗殺に成功したシドニーの2人目も、あんな露骨に危険そうな設計のプールだったら簡単そうに見えてしまうという。『ミッション:インポッシブル』っぽいガラス張り付きをしなくても、下から銃弾撃つだけで壊れそう…。成功確率0.001%の任務っていう感じではないです。

また、クレインのアジトである敵船への強襲という場面が2回もあるのはもうちょっとなんとかならなかったのか…。とくに1回目の敵船強襲は失敗してます。それでも何食わぬ顔でまた暗殺任務を再開しているビショップと、それを許している割と心の広いクレインがシュールです。

次回作があるなら、「事故に見せかけて暗殺する」という点だけは徹底してほしいなと期待したい。まあ、ジェイソン・ステイサムが楽しければいいんですけど。

ちなみに劇中でジェイソン・ステイサムは、サメがいるという海に囲まれた刑務所から泳いで脱出する際、サメ忌避剤を体に塗りたくってダイビングしてましたが、サメと戦うシーンはなかったですね。残念…。でも、ジェイソン・ステイサム、2018年製作のアドベンチャー映画『Meg(原題)』で巨大ザメ・メガロドンと対峙する予定なんです。本番はこれからということで、本作はいい準備運動になったんじゃないですか。

『メカニック ワールドミッション』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 32% Audience 40%
IMDb
5.7 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 5/10 ★★★★★

作品ポスター・画像 (C)ME2 Productions, Inc. 2016 メカニックワールド・ミッション

以上、『メカニック ワールドミッション』の感想でした。

Mechanic: Resurrection (2016) [Japanese Review] 『メカニック ワールドミッション』考察・評価レビュー