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『マイリトルポニー トモダチは魔法』『マイリトルポニー 新しい世界』感想(ネタバレ)…あなたもファンに!

マイリトルポニー トモダチは魔法 / 新しい世界

あなたも今からファンになれる!…アニメ『マイリトルポニー トモダチは魔法』『マイリトルポニー 新しい世界』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:My Little Pony: Friendship Is Magic
製作国:アメリカ・カナダ(2010年~2019年)
シーズン1~シーズン9
原案:ローレン・ファウスト
原題:My Little Pony: A New Generation
製作国:アメリカ・カナダ・アイルランド(2021年)
日本では劇場未公開:2021年にNetflixで配信
監督:ロバート・カレン、ジョセ・ウチャ
原題:My Little Pony: Make Your Mark
製作国:アメリカ・カナダ・アイルランド(2022年)
日本では劇場未公開:2022年にNetflixで配信
監督:ウィリアム・ラウ

マイリトルポニー トモダチは魔法 / 新しい世界

まいりとるぽにー
マイリトルポニー トモダチは魔法 / 新しい世界

『マイリトルポニー トモダチは魔法 / 新しい世界』あらすじ

エクエストリアの地では個性豊かなポニーたちが暮らしていた。アースポニー、ユニコーン、ペガサス…それぞれに特技があり、個性があり、互いを尊敬し、調和を保つ。それがポニーたちの繁栄の象徴でもあった。ときには喧嘩をすることもある。それでも最後には仲直りし、友情の学びに変える。もし時代が移り変わり、それぞれの想いがバラバラになったとしても、きっと新しい絆が生まれると信じて…。

『マイリトルポニー トモダチは魔法 / 新しい世界』感想(ネタバレなし)

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「マイリトルポニー」が愛される理由

日本の巷では『ウマ娘』なる作品が流行っているらしいですけど、私がその言葉で思い浮かべるのはやっぱり『ボージャック・ホースマン』ですかね…。

あとこの作品を忘れるわけにはいきません。それが『マイリトルポニー』です。知っているでしょうか。今回はこの『マイリトルポニー』の話をたっぷりします。

「マイリトルポニー」というのはそもそも何か。これはアメリカの大手玩具メーカー「ハズブロ」が展開している女児向けオモチャです。その名のとおり、馬の人形です。1981年に発売されたのですが、1982年からはアニメシリーズも始まり、今日に至るまでリニューアルを続けながらフランチャイズが続いているほどの大人気です。

しかし、この「マイリトルポニー」の人気を爆発させる転換点となったのが、2010年から始まった「第4世代」にあたる「マイリトルポニー」のシリーズ。アニメとしても『マイリトルポニー トモダチは魔法』としてスタートしました。キャラクターとしてはどう変わったのかというと、従来は割とリアルな馬の顔を意識したデザインだったのですが、この第4世代からポップで可愛いデフォルメに一新したのです。

それがどうしたの?と知らない人は思うでしょうが、この第4世代『マイリトルポニー トモダチは魔法』はある現象を起こしました。本来は女児向けに一応はターゲットされていたのですが、大人のファンが続出したんですね。しかも、大人の男性のファンまでいる。日本でも『プリキュア』など女児向けアニメで同様の現象が見られ、「大きなお友達」と呼ばれたりしますが、この「マイリトルポニー」の場合は予期せぬ大人の男性ファンを「brony(ブロニー)」と呼びます(「bro」と「pony」のかばん語)。

この「マイリトルポニー」による「brony」現象は大きな注目を集めました。保守的なメディアなどは「女児向け作品に夢中になるなんて“男らしくない”」と嘲笑のネタにしたりもしたのですが、この現象はファンダム研究の格好の材料となり、さらにジェンダーなど多角的な観点から分析が行われるなど、もはや子ども向けアニメの社会現象を語るなら「マイリトルポニー」は外せないくらいの存在感に。「マイリトルポニー」が人々にどんな影響を与えたのかについては『A Brony Tale』(2014年)というドキュメンタリーなどでも整理されていますし、論文もいくらでも見つかります。

今ではこの「brony」は大人の男性だけに限定する言葉ではなく、ジェンダーに限らない「マイリトルポニー」を愛する大人のファン全体を指す用語になっており、現在も続く巨大なファン・コミュニティの原動力です。

そしてこの「マイリトルポニー」はLGBTQコミュニティの中でも愛好者が多い作品でもあるんですね。別にLGBTQのキャラクターがメインで描かれているわけではありません。でも『マイリトルポニー トモダチは魔法』からとくに顕著なのですが、“女の子”規範に当てはまらない“女の子”キャラクター(馬だけど)が見られることも人気の理由だと思われます(ちなみに後のシーズンでは同性カップルの両親などが登場してます)。また、カラーリングなどとても記号化されたキャラクターデザインなので「このキャラはレズビアン」「あのキャラはトランスジェンダー」「そのキャラはアセクシュアル」といったように脳内妄想で“当てはめごっこ”して遊ぶのに好都合で、そういう余白がある受容力の高い作品も支持の一因なのかなと思います。もちろん物語のテーマ自体がマイノリティを包容する優しさがあるのも重要なポイントですけど。

「マイリトルポニー」が大人にさえも愛される理由が伝わったかな…。でも百聞は一見に如かず、鑑賞すればいいのですけどね。

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第5世代がついに登場

ただ、ここで問題がひとつ。第4世代『マイリトルポニー トモダチは魔法』は全部でシーズン9まであるのですが、初期のシーズンがテレビ東京系列で放映されたっきりで、全シーズンが日本語で提供されていないんですね。2021年9月時点ではシーズン1と2がNetflixで配信されており、それだけが日本国内でもっとも気軽に観られる作品となっています(なお、映画版や、派生作としてポニーが人間の少女化した『エクエストリア・ガールズ』シリーズもあるのですが、それはひとまず割愛)。

しかし、ここで新たな動きが。第4世代の次となる「第5世代」に作品が更新されたのです。新キャラクターでリニューアルして始まったのが映画『マイリトルポニー 新しい世界』

この第5世代『マイリトルポニー 新しい世界』は、もともとパラマウントが劇場公開する予定だったのですが、コロナ禍が原因で映画館公開を断念。Netflix配信となりました。

これが不幸中の幸いで、日本の人たちもこの第5世代「マイリトルポニー」に世界同時に触れられる機会がやってきたんですね。つまり、「マイリトルポニー」を知らない人も今からファンになれるベストタイミングだということ。第4世代の『マイリトルポニー トモダチは魔法』のシーズン1とシーズン2を観てもいいですし、第5世代の映画『マイリトルポニー 新しい世界』を観てもいいです。どちらからでも構いません。

仕事や人間関係に疲れた? 社会が嫌になった? 癒しが欲しい? だったら迷わず「マイリトルポニー」。これはもうメンタルヘルスのセラピーだといっても過言じゃない。

今日からあなたも「マイリトルポニー」のファンの仲間入りです。

日本語吹き替え あり『マイリトルポニー 新しい世界』
水野貴以(サニー)/ 武内駿輔(ヒッチ)/ 川井田夏海(イジー)/ おまたかな(ジップ)/ 壹岐紹未(ピップ)/ バトリ勝悟(スプラウト)/ ケンコー(アーガイル)/ かとうあずさ(フィリス)/ 杏寺円花(ヘイヴン)/ 藤井雄太(アルファビットル) ほか
参照:本編クレジット

オススメ度のチェック

ひとり 5.0:初めての人も気軽に
友人 5.0:ファンに誘い込もう
恋人 5.0:楽しく語り合える
キッズ 5.0:子どもも当然楽しい
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『マイリトルポニー トモダチは魔法 / 新しい世界』予告動画

↓『マイリトルポニー 新しい世界』の予告動画です。

↓ここからネタバレが含まれます↓

『マイリトルポニー トモダチは魔法 / 新しい世界』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

『マイリトルポニー トモダチは魔法』あらすじ

「エクエストリア」という国では、ポニーたちが暮らしていました。ポニーは大きく分けて3種類います。地上で生活を営むアースポニー、1本の角が生えていて魔法が使えるユニコーン、翼があって空を飛んで天候を管理しているペガサス。そしてこのエクエストリアの地を治めているのが、角と翼を持ち合わせるアリコーンのプリンセス・セレスティアでした。

プリンセス・セレスティアの弟子だったユニコーンのトワイライトスパークルは使命を受けて「ポニービル」へ向かいます。幼い頃からの相棒であるドラゴンの子どものスパイクと一緒です。

トワイライトスパークルはその平穏な町で友達を得ます。お祭り好きでいつも賑やかでハイテンションなアースポニーのピンキーパイ、スイートアップル農園のカウガールで軽快に仕事をこなすアースポニーのアップルジャック、オシャレにこだわるファッションデザイナーでややナルシストなユニコーンのラリティ、カッコいいことが大好きでいつも高速で飛び回っているペガサスのレインボーダッシュ、恥ずかしがり屋だけど動物とのコミュニケーションは得意なペガサスのフラッターシャイ

6体のポニーが揃うことでエレメント・オブ・ハーモニーの力を発揮することができ、世界を平和に保つことに貢献。その実績を認められ、トワイライトスパークルはプリンセス・セレスティアから友情についてさらに学ぶように進言を受けます。

こうして色々な出来事を経験し、永遠の友情の強さを確かめ合うのでした。

『マイリトルポニー 新しい世界』あらすじ

…そんなトワイライトスパークルたちの物語は嘘で、本当は憎み合い、戦い合っていた?

小さなサニー・スタースカウトは「そんなことない!」とスプラウト・クローバーリーフに反論。ヒッチ・トレイルブレイザーもサニーの昔話を信じていないようですが、サニーは父であるアーガイルが語る「ポニーの団結の歴史」を頑なに信じていました。父は言います。「いつか信じてくれるよ、大事なのは信念を信じることだ」…サニーも「いつかユニコーンやペガサスに会ってみせる」と夢を抱き、どこかいにいるであろうユニコーンとペガサスに向けて手紙を飛ばします。届くと信じて…。

サニーの暮らす「メアタイム・ベイ」はアースポニーの町。世間で知られる歴史によれば、ユニコーンとペガサスは悪い奴。それが常識でした。

年月が経過。サニーは成長し、写真のパパに話しかけて「いよいよ今日だよ、作戦があるんだ」と意気込みます。ローラースケートで向かったのはキャンターロジック祭の会場。保安官になったヒッチと副保安官のスプラウトに止められるもまんまと忍び込みます。

会場ではフィリス・クローバーリーフがステージにあがり、ポニーを悪いポニーから守るための新製品を発表。そこにサニーが乱入。「恐怖に支配されないで。ユニコーンとペガサスと仲良くするの。ずっと怯えて暮らすなんて嫌じゃないの? 本当は危険なんてない。全部ウソです。想像してみて、空を飛べる友達がいたらどう思う? 昔は友達だった、また友達になれる」と熱弁。けれどもブーイングを受けるだけ。

サニーは上手くいかず落ち込んでいると町のみんなが逃げていきます。そこにいたのはポニー。でも角がある。ユニコーンです。「こんにちは、私はイジー!」

驚きつつもサニーはそのユニコーンで「ブライドルウッド」から来たというイジー・ムーンボウを逃がすため、家の灯台に連れていきます。どうやらユニコーンでも魔法は使えないようです。そこでペガサスがいるという「ゼファー・ハイツ」へ行こうと提案。

そこはヘイヴン女王が統治する豪華な街で、プリンセス・ピッププリンセス・ジップが脇にいます。しかし、ここでもペガサスは本当は飛べないと知ります。

魔法が消えたのは3種族の友情が消えてしまったからなのか…。

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キャラクターの魅力は変わらず

『マイリトルポニー 新しい世界』によってめでたく第5世代に更新したわけですが、正直、あの伝説的な第4世代のインパクトはやはり凄まじく、それと比較されると大丈夫なのか内心は心配でした。でも杞憂でしたね。

大きな懸念事項であったのが『マイリトルポニー 新しい世界』がシリーズ初のフルCGになるということ。第4世代の『マイリトルポニー トモダチは魔法』は『パワーパフガールズ』も手がけた“ローレン・ファウスト”による平面絵だからこそできるカートゥーン的な遊びが満載で、そこが楽しい作品でした。『マイリトルポニー トモダチは魔法』はとにかく馬キャラでありながら生き生きと動き回ります。

対する『マイリトルポニー 新しい世界』はちゃんとその第4世代で培ったエッセンスを受け継いでいました。キャラクターデザインも程よいバランスに収まっていますし、どのポニーも魅力的。

とくにこの第5世代は明らかにイマドキの要素が増しており、今の子たちにウケやすいようになっていました。テクノロジーも進化しているので現代機器的なものも登場するし、ピップ・ペタルスは完全に動画配信インフルエンサーだし…。

ミュージカルもヒップホップなどジャンルが多彩になり、このあたりは純粋にパワーアップしていますね。

『マイリトルポニー トモダチは魔法』では私は「レインボーダッシュ」がイチオシなのですが、『マイリトルポニー 新しい世界』ではどんなキャラが個人的ヒットするだろうか…。

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第4世代をしっかり受け継ぐ第5世代

『マイリトルポニー 新しい世界』が何よりも優しいのは第4世代の歴史を受け継いでくれていることです。無かったことにはしない。それは冒頭で示されるとおり。つまり、サニーは実質的には第4世代「マイリトルポニー」を愛するファンと同類の立場ですからね。これはもう旧来のファンはシンクロしてしまいます。

お話としては、アースポニーとユニコーンとペガサス…三者が対立してしまった世界になっています。『マイリトルポニー トモダチは魔法』でもエクエストリアができる大昔にはそんな対立があったと語られていましたが、なぜまたもそんな状況になってしまったのか。

とりあえずこの『マイリトルポニー 新しい世界』は従来のアニメシリーズの第1話に相当するプロローグ。バラバラになったポニーたちがまたも調和し始めるようになるオープニングを描くものです。

主人公のサニーは連帯を呼びかけるも世間には全然聞いてもらえない…。このへんはとても現代的なキャラクター性になっていると思います。憎悪や不信感ばかりで「連帯」という概念にさえ冷めた目線を送る世界をどう動かせるのか。

物語自体は平凡ですが、まあ、これがいつもの「マイリトルポニー」ですから。むしろこのいつの時代も貫く純真さが大切。これからの新展開には期待したいところ。

今後もこの世界がずっと続いて、子どもも大人も楽しませてくれることを願っています。

—追記—

新世代の物語の続編となる『マイリトルポニー: キューティマークに夢のせて(My Little Pony: Make Your Mark)』が開始され、その最初のエピソードが2022年5月にNetflixで配信。続きのアニメシリーズ(全8話)は9月に配信となりました。また、マイリトルポニーの公式YouTubeチャンネルで『My Little Pony: Tell Your Tale』という短編アニメシリーズも開始。

『マイリトルポニー トモダチは魔法』『マイリトルポニー 新しい世界』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 100% Audience 92%
IMDb
7.4 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
8.0

作品ポスター・画像 (C)Hasbro マイ・リトル・ポニー

以上、『マイリトルポニー トモダチは魔法』『マイリトルポニー 新しい世界』の感想でした。

My Little Pony: Friendship Is Magic (2010) [Japanese Review] 『マイリトルポニー トモダチは魔法』考察・評価レビュー