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インド映画『RRR』感想(ネタバレ)…男と男の究極形態は肩車だ!

RRR

男と男の究極形態は肩車だ!…映画『RRR』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:RRR
製作国:インド(2022年)
日本公開日:2022年10月21日
監督:S・S・ラージャマウリ
人種差別描写

RRR

あーるあーるあーる
RRR

『RRR』あらすじ

1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うために仲間と街へ踏み込んだビームと、大義のため英国政府の警察として従順に働くラーマ。それぞれに熱い思いを胸に秘めた2人は敵対する立場にあったが、互いの素性を知らずに、運命に導かれるように出会い、無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、2人の前に大きな試練が立ちはだかり、友情か使命かの選択を迫られることになる。

『RRR』感想(ネタバレなし)

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R! R! R!

バーフバリ! バーフバリ! バーフバリ!

そんな空前の“バーフバリ旋風”が巻き起こった2017年~2018年。今や懐かしい思い出ですが、私は毎年1回は自分のブルーレイで『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』の2部作を振り返り鑑賞しているので、恒例の年行事として習慣づいています。

インド映画がミニシアター系の映画ファンの間でブームになるのはこれまでもあったのですけど、『バーフバリ』2部作はその上限突破を見せ、インド映画の底力みたいなのを見せつけたと思います。「インド映画って踊ってるやつでしょ?」という半笑いで小馬鹿にする人間なんてもはやどうでもいいのです。ずっとそう思っていればいい。この熱狂の渦は味わったものしかわからない…。

『バーフバリ』2部作は日本のみならず世界にもその凄まじさを刻みつけ、ありきたりな映画に飽きていたコアな観客に衝撃を与えました。インド映画はニッチな作品ではなく、じゅうぶんに世界でハリウッド大作と並んで戦っていけるツワモノであることを証明。これはおそらく独自の市場を構築していたインド映画業界の人にとっても意外だったことでしょう。

その『バーフバリ』2部作の監督である“S・S・ラージャマウリ”の名も知れ渡り、彼の新作も待ち遠しかったのですが、ついにその日がやってきました。

それが本作『RRR』です。

やっぱりあれだけムーブメントを起こした監督の新作ですから、本国と同じ2022年内に日本でも劇場公開してきましたね。早く観れるのは嬉しいかぎり。

インドでは歴代インド映画の興行収入ランキング(国内)の第3位を記録し、さすがの“S・S・ラージャマウリ”監督作の存在感。アメリカでもヒットし、各業界人に絶賛されていました。

で、今回の『RRR』はどういう映画なのかというと『バーフバリ』2部作と同様にビッグ・スケールの大作になっています。前はほぼ架空のファンタジー歴史モノという様相でしたが、『RRR』はイギリスの植民地支配下となっている1920年のインドが舞台。リアルな歴史を題材にするのかと思うでしょうけど、史実なんて知ったことじゃねぇ!と言わんばかりに豪快にアレンジしまくってやりたい放題なので、大丈夫です(いや、大丈夫ってなんだ)。

今作『RRR』もアツい展開のてんこ盛りです。アクションも仰天の荒業あり、動物もいっぱいでてきます。インド映画史上最高額予算規模で製作したというだけあります。

とくに今回は「男と男」の熱烈な一心同体の友情を超えた絆が迸っています。2022年の累計降水量トップを観測したブロマンス映画はこの『RRR』で決まりかな。

なにせ上映時間が3時間以上あるのですが、その全部にブロマンスが詰まっていますから。今回はヒロインとなる女性も登場するのですけど、そんなに関係性をじっくり描く展開はなく、ほとんど「男と男」の描写に振り切っているのが特徴で、「もうそこまで見せてくれるんですか!」とそのサービス精神に観客のこちらが敬服してしまいそうになる…。これぞ「男たちのリコリス・リコイル」…。

そんな今作の華である男2人を熱演するのは、『バードシャー テルグの皇帝』の“N・T・ラーマ・ラオ・Jr.”と、『マガディーラ 勇者転生』の“ラーム・チャラン”。他には『ガリーボーイ』の“アーリアー・バット”、『パニッシャー:ウォー・ゾーン』の“レイ・スティーブンソン”、ドラマ『The Head』の“オリヴィア・モリス”、『Golmaal Again』の“アジャイ・デーヴガン”など。

ちなみに珍妙なタイトルである『RRR』ですが、これは公開国ごとにそれっぽく頭文字で説明されており、英語だと「Rise(蜂起)」「Roar(咆哮)」「Revolt(反乱)」を当てはめていますが、実際は監督と主演俳優の名に「R」が入っていることに由来する仮タイトルだったらしいです。もうタイトルすらも勢い任せでいいところが“S・S・ラージャマウリ”監督作らしいですよ…。

2022年は『RRR』で大興奮しましょう。傲慢にふんぞり返る権力者など蹴散らすのです。

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『RRR』を観る前のQ&A

✔『RRR』の見どころ
★男の男の熱い絆が大ボリュームで迸る。
★勧善懲悪な物語に酔いしれる。
✔『RRR』の欠点
☆上映時間は3時間以上。

オススメ度のチェック

ひとり4.5:エンタメに大熱狂
友人4.5:少し長くても良いなら
恋人3.5:ロマンス要素は薄め
キッズ3.5:やや暴力描写あり
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『RRR』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『RRR』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):弾の値段の価値もない者たちの反逆

インドの森の奥深く。とある部落にて、白人の裕福そうな男女が佇んでいました。周囲には兵士がズラっと囲んで立っており、部族の女の子が白人のマダムの手に伝統的な装飾を描き、その女性は満足しているようです。そこに狩った鹿を運ばせている大物の風格の白人が到着し、礼ということで硬貨を投げさせます。

しかし、マダムは自分の手を彩った女の子を気に入り、その子、マリは車に乗せられてしまいました。ざわつく部族。母らしき女性が必死に追いかけ、「子どもを返してください」と車の前に立って泣きつきます。

すかさずその母親を撃とうとした将校を「弾の値段を知っているか。無駄に使うな」と叱る大物白人。そこで将校は木の枝で母親女性の頭を勢いよく殴りつけ、その場に放置します。

デリー郊外。「リーダーを釈放しろ」と群衆が大挙して押し寄せてしました。今にも柵が壊されそうです。そんな中、動じないひとりのインド人の警官、ラーマ(ラジュー)。投石した赤いターバンの男を逮捕しろと命令されて、そのラーマは柵を飛び越えて猛進します。群衆に「裏切り者め!」と言われても止まらず、群衆に囲まれて殴られてしまいますが、その状態から形勢を逆転。這いつくばりながら前に進んでいき、相手をなぎ倒しながらついに投石者に掴みかかります。そして連れてきました。その気迫に他の警官は茫然と立ち尽くします。ラーマは何事もなく、隊列に戻るのでした。

デリーの英国宿舎では昇進する警官の名が読み上げられます。しかし、ラーマはなおもその実力を認められず、その屈辱を背負って鍛錬に励むしかありません。

植民地の管理の中心である英国側では、スコット知事が部族から女の子を連れて来た件が問題になっていました。地元の有力者は命を懸けて集落を守る者がいることを示唆します。そこで知事を追うハンターの捜査が命じられますが、情報がないので誰もやりたがりません。そんな中、ラーマが自ら名乗り上げ、自信を見せます。成功すれば昇格させると約束され、ラーマはこれに賭けます。

一方、デリーの近くの森。ビームという男はオオカミに追われ、次にトラに追われます。罠までおびき寄せ、腕力で網をたぐりよせるも紐が切れてしまいます。なんとかトラを眠らせ、一命をとりとめました。

実はこのビームたちはマリを探しており、もう半年です。普段は服を整え、街に潜伏。なんとか知事の屋敷に侵入する機会を窺っていました。

捜査を開始したラーマは革命軍の集会に忍び込み、スコットを殺そうと言って見せます。すると接触してくる男がひとり。でも逃げられてしまいました。

橋まで追いかけたところ、列車のタンクが爆発炎上して落下。川にいた子どもが火に取り囲まれてしまいます。ちょうどそのとき、ビームも岸にいてその事故を目撃していました。

そして、ラーマは対岸にいたビームと目が合います。なんとなく助けたいという意志で共感するものがあると感じた2人が手で意思疎通。ロープで互いを繋ぎ、橋から飛び込みます。そして見事に助けることに成功。

これ以来、2人は仲良くなりました。兄弟同然の付き合いをしながら、日々を一緒に過ごします。ラーマは捜査対象の相手がビームであると気づいていません。ビームもラーマが英国側の警察隊に属しているとは疑ってもいませんでした。

しかし、その2人の穏やかな時間は長続きせず…。

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実在の人物でした

『RRR』はフィクションですが、土台は史実です。なんと主役であるラーマとビームの2人も実在した人物です。2人ともイギリスの植民地支配に対抗して戦った自由の戦士として有名。

ひとりは“アッルーリ・シータラーム・ラージュ”(Alluri Sitarama Raju)という革命家。史実では、1922年に500人の部隊を率いてあちこちの警察署を襲撃し、銃などの武器を略奪したとされています。ゲリラ作戦に長け、イギリス側は苦戦。結局、2年もかかってようやく捕まえることができ、ラージュは1924年に処刑されたとのことです。

もうひとりは“コマラム・ビーム”(Komaram Bheem)という革命の指導者で、インド最大の民族であるゴンド族に属していました。やはり彼もゲリラ戦を指揮し、1940年に殺されたと言われています。

また、本作の冒頭で警察署に群衆が押しかけていますが、そこでは“ラーラー・ラージパト・ラーイ”(Lala Lajpat Rai)の解放を求めています。この人物も実在する人で、政治家だったのですが、3年程度投獄されていました。後にインド独立運動を率いることになります。

『RRR』はこうした革命の歴史を映し出した物語だということを、とくにインド外にいる私たち日本人の観客は基本事項として押さえておかないといけません。単なるエンターテインメントではないわけです。

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出会っちゃったよ!

とは言え、この『RRR』は史実に正確では全くありません。というか、ほとんど違っています。

本作は「植民地支配による横暴は許さない!」というメラメラと燃える正義の怒りだけを受け継ぎ、外側はまるっとエンターテインメントなブロックバスターに改装してしまっています。

その根幹となるのがあの主人公の2人。史実ではラーマとビームは友達どころか出会うこともなかったらしいのですが、本作では「もしこの2人が唯一無二の深い友情を築いたら?」という「if」を映像化し、まさに妄想を実現させてしまったような同人誌的な夢展開になっているのです。ジャンルとしては「歴史SF」になりますが、なんかもうこのアレンジが成立してしまうのが凄いですね。

個人的にはこの2人が作中で最初に顔を合わせるシーンが好きです。子どものピンチの現場に偶然居合わせた2人が、かなり距離もあるはずなのになぜか互いの存在を認識し、「お~い」みたいな感じで身振り手振りで意思疎通する。あのあまりに拍子抜けなファースト・コンタクトはつまり「史実では出会わなかったのに、出会っちゃったよ!」という奇跡をあえてアホっぽく描いているのだと思いますが、同時に2人の中にある正義が共鳴した瞬間でもある。

そして救助の過程で2人が手をガシっと掴んだあのとき、まさしくあそこで「歴史は動いた!(私たちの全然知らない方向へ!)」ってことになるわけで…。

その後の友情を深めていくシーンは微笑ましく、それがピークに達するパーティのダンスシーンは最高です。あそこも捻りが効いていて、海外からの「インド映画って踊るんでしょ?」というときに冷笑も含む目線に対する「これはインドの誇りある文化だから!」という回答にもなっています。

ちゃんとジェニファー(ジェニー)に良いところを見せたいと張り切るビームに対して、ラーマが見せ場を作ってあげるのも良かったですね。

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よし、もう大英帝国も転覆させよう

もちろん“S・S・ラージャマウリ”監督らしく『RRR』もぶっとんだアクションの連続で、そこでも興奮させまくってくれます。この監督は登場人物の因縁という背景がアクションにしっかり絡んで表現されているので、余計にアクションに感情が持っていかれますね。

前半山場の屋敷での大バトル。ビームたちの野生動物を解き放つサーカスみたいな戦法にも度肝を抜かれますが、そこに警察服で正体を現して登場するラーマも強烈です。ここで「火と水」という構図がしきりに演出されるのですが、このやりすぎ感もむしろクセになってくる…。

そして後半はビームを逮捕して昇進したラーマの壮大な計画が回想と共に明らかになります。ババ(ヴェンカタ・ラム・ラジュー)から受け継ぐ「現地人の価値は弾丸1発の価値もない」という言葉を英国占領者に言われたことへの意趣返しというのが、本作は最初から最後まできっちり貫かれるのがさすが“S・S・ラージャマウリ”監督作。

当然、ラーマとビームの友情復活もアツい。あそこでの肩車ですよ。男と男の友情の最終形態は肩車なんですよ。別に女と女の最終形態も肩車でいいし、ノンバイナリーとノンバイナリーの最終形態も肩車でいいんですけど…。いや、人間というのは肩車をするために二足歩行になったのでは(何言ってるんだ、こいつ)。

さらに森でのラーマが部族としての姿に立ち返るというクライマックスの転身。これが彼の本当の姿です(制服で登場した前半山場と対になっている)。大自然が2人に味方する。火の勇者と水の戦士のタッグ。これは勝てないわ…。

こうやって振り返ると本作は本来のあるべき『ターザン』ですよね。白人至上主義で塗り替えられた部族ヒーローではなく、先住者の誇りと怒りが白人支配者に撃ち放たれる真の部族ヒーロー誕生譚。

このまま行くと、植民地支配解放というだけでなく、大英帝国を転覆させることができるのでは?と思うのですが、一応、本作はスコットを撃ち抜いて一旦幕を閉じます。ここまで来たら私はもうこの2人が大英帝国の本土に乗り込んでジョージ5世を打ち倒す話も見たいです。いいでしょう、それくらい歴史を変えても。

反乱軍のストーリーとして綺麗に描き切った『RRR』の手腕を観ていると、次の「スター・ウォーズ」映画の監督は“S・S・ラージャマウリ”でいいんじゃないかって思えてきますね…。

『RRR』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 92% Audience 94%
IMDb
8.0 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
8.0
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作品ポスター・画像 (C)2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED. アールアールアール

以上、『RRR』の感想でした。

RRR (2022) [Japanese Review] 『RRR』考察・評価レビュー