ジオストーム
映画『ジオストーム』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Geostorm 
製作国:アメリカ 
製作年:2017年 
日本公開日:2018年1月19日 
監督:ディーン・デブリン 

【個人的評価】
 星 3/10 ★★★

あらすじ

世界各国の最新テクノロジーを集結し、天候を完璧に制御することを可能にした気候コントロール衛星の運営開始から3年。突如として衛星が暴走を始め、世界中で異常気象を発生させる。各国の主要都市が大混乱に陥っていくなか、衛星の生みの親でもある科学者のジェイクは、衛星の暴走原因を突き止めるため宇宙ステーションへ向かうが…。

ネタバレなし感想

酷い天気だね

1月はバカ映画の月と散々言ってきましたが、ついに来ましたね、ラスボスが。

それが本作『ジオストーム』。もうタイトルの時点で強そうなボス感が漂ってますから。

この映画、言わなくてもわかると思いますがディザスターパニック映画です。このジャンルの大作といえば、『インデペンデンス・デイ』シリーズでおなじみの“ローランド・エメリッヒ”監督の独壇場だと思っていたのですが、本作の監督は“ディーン・デヴリン”という人。誰だろうと調べたら、『ユニバーサル・ソルジャー』や『GODZILLA(酷いほう)』、『インデペンデンス・デイ』シリーズで製作・脚本をつとめた人物で、“ローランド・エメリッヒ”と同類じゃないですか…。本作で監督デビューだそうですけど、そんな期待されていたのだろうか…。
『インデペンデンス・デイ リサージェンス』感想(ネタバレ)…また来ちゃった
製作は難航したようで、本国では2016年3月公開予定だったものが2017年1月に、その後さらに2017年10月に伸び続けて、公開に至りました。その間はテスト鑑賞の評価が良くなかったため、再撮影したりと、てんやわんや。でも、あまり期待作ではなかったせいか、誰も気に留めていなかった気がする…。

そんな製作過程もディザスターパニックだった感じもしないでもない本作。本編の内容は予想どおりのガバガバ設定でド派手な破壊映像をひたすら脳にぶちこまれます。頭が悪くなりそうです。

ちゃんと宣伝側もこの手のジャンルはバカにしてこそだとわかっていて、非常に楽しげなのがいいですね。「地終嵐湯(ジオストーム湯)」と称して銭湯とコラボするのは予想の斜め上でしたけど。ただ、アメリカの宣伝はもっとアホで、なんとニューヨークの街の一角を氷漬けにしたセットを作って大掛かりなドッキリをしかけていました(以下の動画を参照)。


人まで凍り付いている姿はあまりにも突拍子もないですが、ほんとにこんな感じの映像を真面目に流す映画ですからね…。

ジオストームに襲われたいという命知らずな人はぜひ鑑賞してみてください。身の安全は保障しません。






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

意外な才能の発見

気候コントロール衛星が暴走して世界中で異常気象が乱発…このアホな設定、『シャークネード』でも見ましたよ
『シャークネード4(フォース)』感想(ネタバレ)…いろいろ覚醒しすぎて意味がわからない
B級映画でおなじみの天候コントロール・ネタを製作費1億2000万ドルでやっちゃうその根性に言葉がありません。気候コントロール衛星暴走は“ローランド・エメリッヒ”の昔のアイディアらしいですけど…。

冒頭、謎の装置を投下してハリケーンを消滅させる映像からしてバカっぽいですが、これはまだ現実性という意味ではわかります。ただ以降の映像は擁護不可。アフガニスタンでは砂漠の街が人ごと凍りつき、香港では目玉焼きができるほど地面が熱されて火柱が噴き出し、東京では巨大な雹が振りそそぎ、リオデジャネイロではビーチが一瞬で氷祭り会場と化し、インドでは同時巨大トルネードが襲い、ロシアでは雪が急速に溶け、アラブでは大津波…。とりあえず思いついたシチュエーションを全部映像化しましたみたいな感じです。

なんで落雷で車とか爆発するのか。あれかな、雷の形をした荷電粒子砲なのかな。

というか、これは誰もがツッコむところですが、今作の気候コントロール衛星は“気候コントロール”の域を超えています。水や大気、あらゆる要素を操作できる。つまり、それって全知全能の神じゃないか。軍事兵器として“デス・スター”でさえも凌駕していますよ。

そんなツッコミはもう疲れたのでやめるとして、正直、今作のディザスターシーンの見せ方、あんまり面白くないなと思ったのでした。例えば、香港の場面はまだマシです。誰かが異変に気付くことから始まり(香港のネコはユニークな見せ方でしたね)、パニックが拡大するなか間一髪的なノリでメインキャラが逃げていく一連の流れが完成されています。しかし、それ以外はあまりにもシーンの雑な詰め合わせみたいになっていて映像の導線がないのが残念。“ディーン・デヴリン”監督、ちょっとどうなんですか。

悔しいけど、こう言わざるを得ない。“ローランド・エメリッヒ”は上手かったんだなぁ…。

ジオストーム

意識高い系ディザスター映画

ただ映像面よりも、本作で一番これはダメだと思ったのは、変なところで良い子ぶっているシナリオです。

「世界の国が一致団結して地球環境を尊重しましょう」というメッセージが非常に色濃く、それはもちろん賛同はしますけど、それをこの映画で扱うテーマにするのは適切といえるかなと。

しかも、それが露骨なんですよ。冒頭のオープニングシークエンスに始まり、各国の国旗を強調して宇宙ステーションをこれ見よがしに見せたり、いかにも多様性を尊重してますよ~的なキャスティングだったり…。

笑ってしまうのが、パルマ大統領を半ば強引に拉致して逃げるシーンで、主人公が乗り回す車が電気自動車という点。わざわざ車体に「電気自動車」と描いてます。それを悪玉キャラに爆破させるというこれ以上にない堂々たる展開。これをメタファーとは呼びたくないよ…。“ディーン・デヴリン”監督、ちょっとどうなんですか(2度目)。

この映画は環境保護意識をこじらせすぎです。正しい科学描写もできてないのに。

それだけならまだしも(いや、問題ですが)、本作は昨今のドナルド・トランプ大統領を意図したのか、ご丁寧に政治批判要素も入れてくるわけです。

どう考えても本作は環境保護とかポリコレを語れる器じゃないですよ。こんなディザスターパニック映画で環境問題を普及啓発しているから、アメリカでは地球温暖化の懐疑論が根強いのじゃないかと疑いたくなるくらいです。アル・ゴアも大変だなぁ。

本作の世界で責めを負うべきはどう考えても「気候コントロール衛星」という名のオーバーテクノロジーを作った科学者です。

皆さん、地道に温室効果ガスを減らしましょう。楽をしようとしちゃダメですよ。

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