ワイルド・スピード スーパーコンボ
映画『ワイルド・スピード スーパーコンボ』の感想&考察です。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw
製作国:アメリカ(2019年)
日本公開日:2019年8月2日
監督:デヴィッド・リーチ

ワイルド・スピード スーパーコンボ

あらすじ

元DSS特別捜査官のルーク・ホブス。元MI6エージェントのデッカード・ショウ。この2人のもとに、行方をくらませたMI6のエージェント・ハッティを保護して欲しいという政府の協力要請が入る。ハッティは全人類の半分を滅ぼす新型ウイルス兵器をテロ組織から奪還したが、肉体改造を施されたブリクストンに襲われていた。いがみ合う2人はコンビを組めるのか。

ネタバレなし感想

外は暑い、映画はもっと熱い

クソ暑い毎日が続いていますが、こんな時でも真面目に働く日本人は頭がオカシイと言われてもしょうがないです。せめて涼しい室内で暑さを忘れてリフレッシュしてください。そうじゃないとオーバーヒートしますよ。

つまり、何が言いたいかと言うと、映画館で映画を鑑賞しましょう(いつもの結論)。

幸い、夏休みシーズンは大作がいっぱい公開されています。選び放題です。う~ん、思春期少年少女のジュブナイルもいいし、あのアニメの続編もいいし、話題の実写映画化作品もいい。でも、自分は筋肉が見たいんだよな~。そんなプロテインが主食のあなたの需要にもお答えする映画もバッチリご用意。

筋肉しかない映画、究極のオール・マッスル・ムービー、それが本作『ワイルド・スピード スーパーコンボ』です。

本作は世界中で右肩上がりの驚異の大ヒットを見せている絶好調の『ワイルドスピード』シリーズの最新作。このシリーズ、作品を重ねるごとにい1作目の初々しい落ち着きはどこへやら、どんどん派手さがスケールアップしているのですが、最新作ではそれに輪をかけて筋肉成分が増してしまいました

というのも邦題からは全然わかりませんが、実は本作は過去作にサイド・ポジションで登場した“ドウェイン・ジョンソン”演じるルーク・ホブスと、“ジェイソン・ステイサム”演じるデッカード・ショウを主役にしたスピンオフ。原題が「Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw」という、大変愉快な感じになっています。前作『ワイルド・スピード ICE BREAK』でも実に和気あいあいとしたパワープレイを個別に見せていた二人ですが、今作でこの二人を組ませたら、そりゃあ筋肉マシマシになるのは必然。「もう車、いらなくないですか?」というシリーズの根幹すらも揺らぐ、肉体言語の応酬。だからあのファミリーメンバーは登場しません。


大人の裏事情的な話をすると、『ワイルドスピード』シリーズを中心で牽引する、製作・主演の“ヴィン・ディーゼル”と今作の二人が不仲らしく、実際、次に作られる『ワイルドスピード』シリーズ9作目には今回の二人はもう登場しないとか(まあ、この二人はもう強すぎるので登場を打ち切るのは妥当だとは思ったりもしますが)。そういういざこざを知ってしまうと、あの映画内では仲良さそうなファミリーの生々しい現実を見せられて、ちょっとガッカリですけど、とりあえず今は忘れましょう。

邦題が「スーパーコンボ」ですからね(この邦題センスは褒められるべき)。スーパーマリオブラザーズのようなコンビネーションを頭をからっぽにしてお楽しみください。

『ワイルドスピード』シリーズはかなりの作品数を重ねていますけど、このシリーズに関しては過去作を見ておかないと困ることはないです。製作陣ですらそういう辻褄とかどうでもいいスタイルですから。

監督はこれまで『ジョン・ウィック』『アトミック・ブロンド』『デッドプール2』とアクション特化の作品を立て続けに手がけて勢いに乗っている、アクション畑の“デヴィッド・リーチ”。当然のように『ワイルド・スピード スーパーコンボ』のアクションはシリーズトップクラスになっています。


他のキャスト陣は、メインどころは少なめですが、やはり敵役で登場する“イドリス・エルバ”は必見。今回は強化人間として二人の前に立ちはだかります。もう強化人間にでもならないとこの二人の敵になれないあたりが、このシリーズのインフレ具合を物語っていますね…。また、『ミッション:インポッシブル フォールアウト』でも印象的な活躍を見せた“ヴァネッサ・カービー”も登場し、アクションを披露。

ちなみに『デッドプール2』を観ておくとクスっとできる小ネタがあるのでお楽しみに(“あの人”と“あの人”が登場!)。

天気を晴れにするお天気ガールならぬ、猛暑をさらに暑くするお天気ハゲの活躍で、暑さを吹き飛ばしましょう。

おすすめ PiCKUP!
↑『ワイルド・スピード ICE BREAK』…シリーズ8作目。いろいろなことが起きて、車で乗り越えます(アホみたいな紹介)。
オススメ度のチェック
ひとり◎(誰でも楽しいエンタメ)
友人◎(ワイワイ盛り上がる)
恋人◯(ハズレのない選択肢)
キッズ◯(乗り物好きなら最高)

予告動画






↓ここからネタバレが含まれます↓





ネタバレあり感想

ハゲとハゲのスーパーラブコンボ

はい、いきなりですが総括します。『ワイルド・スピード スーパーコンボ』は“ドウェイン・ジョンソン”と“ジェイソン・ステイサム”のラブコメです。ハゲとハゲが出会ったとき、喧嘩しながらも、お前やるじゃんと認め合い、共通の敵もボコ殴りし、やがて筋肉的な意味で結合する。ラストバトルなんて、実質セックs(自主規制)。

でも真面目な話、本当に本作の物語の作りはバディ映画の王道をあえてストレートに突き進む、まごうことなきブロマンスでした。「スーパーラブコンボ」です。なんで二人は結婚しないのか…。

冒頭、ホブスとショウの朝起きてからの日常が画面二分割で表示される演出が入りますが、画面色彩がホブスは赤、ショウは青で対極になっているものの、やっていることの基本軸は共通。この時点で観客にしてみれば、“あ、この二人は相性いいな”と思うし、早く二人が出会うところを見たくなるものです。ほんと、なんで二人は結婚しないのか…(二度目)。

そんな二人が運命によって引き寄せられる本作。娘と仲良く食事するニヤニヤなホブスのもとに、CIAエージェントの男がお邪魔してきます。一方、ショウのもとにもCIAエージェントの男がコンタクト。

このCIAエージェントの二人、演じるのはまさかの“ライアン・レイノルズ”“ロブ・デラニー”というサプライズ出演。どちらも“デヴィッド・リーチ”監督前作の『デッドプール2』からのゲストです(“ロブ・デラニー”は平凡なピーターを演じていた人)。“ライアン・レイノルズ”にいたっては真顔で自重しないボケをするいつもの姿でしたが…。こんな風に本作はキャストで遊んでいる節が随所にあります。

そして、ついに顔を合わせする二人。ファッキンな1日を呪うも、任務は避けられません。ウイルス兵器を持ち去ったハッティを見つけるために、それぞれで行動開始。最初は別行動状態なのも、後々の連携を期待させていいですね。

ハッティをなんとか見つけてオフィスに連れていくも、そこに強化人間と化したブリクストンが窓をぶち破って乱入。敵の動きを予測し、銃弾も効かないブリクストンに悪戦苦闘。ハッティを大胆に連れ去られてしまいます。

なんとかブリクストンから逃げ切ったホブス、ショウ、ハッティの3人は「Snowflake」というウイルス開発に関与した教授を見つけだし、あれこれ情報を聞きだします。ちなみに、このアンドレイコという科学者を演じるのは“エディ・マーサン”で、“デヴィッド・リーチ”監督作では『アトミック・ブロンド』『デッドプール2』に出ており、死ぬ役です。今作でも火炎放射器をぶっ放す大技を披露しますが、まあ、消えます(監督作のお約束ネタになってきましたね)。

キャスト遊びと言えば、この後の、飛行機内のシーンで“ケビン・ハート”演じるキャラが登場。“ケビン・ハート”は、『セントラル・インテリジェンス』『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』で“ドウェイン・ジョンソン”と共演しており、いわゆる友情キャスティング。


そんなこんなで物語は進み、ホブスとショウのタッグも噛み合っていき、最後はトンデモバトルに突入。すごくシンプル。

なんかもうこういう考察の必要性が欠片もない、「楽しかったです!」の一言で感想を済まされる映画もたまにはいいもんですよ。思考停止する暑い日にはぴったりです。ただ涼しくはならないな…。

本当にヘリを飛ばしています

『ワイルド・スピード スーパーコンボ』の魅力はあらためて書くのもアホらしいですが、アクション、アクション、またアクション。これに尽きます。

今作は『ワイルドスピード』シリーズうんぬんを通り越して、ハリウッド映画史上でも類を見ないビックスケール系のアクションの連続。これと双璧を成せるのは『ミッションインポッシブル』シリーズくらいですよね。

ただ、近年のアメコミ映画によるアクションのリアリティラインの変化もあってか、別にファンタジー的な要素は無いはずの『ワイルドスピード』シリーズの流れを組む本作は、完全にアメコミ映画と大して変わらないレベルの技術がボンボン登場します。

とくに“イドリス・エルバ”演じる、「ブラック・スーパーマン」ことブリクストン。どっちかというとサイボーグなのですけど、出る映画を間違えている。

しかし、これもすでに書いたとおり、あのホブスとショウを相手にするならこれくらいのハンデをあげないと、敵になりえないという、良いんだか悪いんだかわからない現実。最初の戦闘シーンで、ブリクストンは強化人間だから、高層ビルをワイヤー脱出で降下するのも余裕。これはわかる。でもホブスはロープなしで高層ビルから落下している…あれ…強化?ってなりますよ。

最後に至るまで、強化人間の方が可哀想に見えてくる不思議な作品でした。

一方で、ただ荒唐無稽なアクションというわけではなく、さすがそこは“デヴィッド・リーチ”監督、アクションの組み立てが非常に上手く、見ごたえがあります。

オフィス襲撃からの最初のカーチェイスシーンでは、ショウの運転のもと、彼らしい非常にスタイリッシュなカーアクションが展開。その後のロシアでの脱出カーチェイスでは、ホブスらしいあらゆるものをなぎ倒すパワードライビングで爆走。ちゃんと対比になっているのが丁寧です。

そしていよいよホブスとショウの連携が完成した終盤のカーチェイスは、戦闘ヘリを車でアンカーするという、完全に頭がクレイジーな映像。この二人が揃うとこんなことになっちゃうんですよ…という究極を見せてくれます。

凄いのはこの終盤アクション、ちゃんと本当にヘリを飛ばして撮影しているのがメイキング映像でわかること。超低空で同型のヘリを飛ばし、さすがにアンカーはないですけど、車と並行させ、その周囲を撮影班を乗せたヘリがブンブン飛ぶ…なんかもうカオスな現場。

『ワイルド・スピード ICE BREAK』の終盤クライマックスの潜水艦はさすがに無理でしたが、今作は極力CGに頼らずやってみせる職人技。誰よりもこの映画の製作陣がスーパークレイジーでした。

皆さん、ご自宅近くでマネされないようにしてください。

ワイルド・スピード スーパーコンボ

バディ映画の理想形

バディ映画としても『ワイルド・スピード スーパーコンボ』は理想形。

アクションスターの二大共演というのは、絵になりますけど、意外に互いを上手くたてるのが難しくて、失敗してしまう映画も他にはチラホラあるものです。それを避けるためにもなるべく両極端な二人を揃えるのが基本。

しかし、本作はステータスとして似通った二人をあえてコンビにして、魅力を引き上げているのが、地味ですが素晴らしいな、と。あの顔認証シーンに至るまでの二人の対比とか、製作陣があの“ドウェイン・ジョンソン”と“ジェイソン・ステイサム”の個性を足の先から頭のてっぺんまで理解し尽くしている証拠

それにやっぱり二人の俳優がもともと個性がハッキリした存在感を持っているのが功を奏したとも言えるのかもしれません。

結局、“ドウェイン・ジョンソン”と“ジェイソン・ステイサム”があまりにもラブラブすぎて“イドリス・エルバ”や“ヴァネッサ・カービー”が入りこむ隙が無いくらいでしたから。後半にホブスのサモアにいる家族が紹介されるシーンもあって(シリーズ恒例の「家族」というエッセンスへの目配せ)、もう完全に家族にパートナーに顔見せさせている場面であって、どうしても早く結k(しつこい)。

これでこの二人のコンビネーションがもう見られないかもしれないのは悲しいですが、私は「スーパーコンボ2」も全然アリなので、続編を待っています。

逆に『ワイルドスピード』シリーズの正規ナンバリングとなる次の9作目は大丈夫なのか、少し心配になってくるけど、ま、なんとかなるか。

ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 71% Audience 92%
IMDb
7.2 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 6/10 ★★★★★★

作品ポスター・画像 (C)Universal Pictures