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『クローバーフィールド・パラドックス』感想(ネタバレ)…それは突然Netflixからやってきた

クローバーフィールド・パラドックス

それは突然やってきた…Netflix映画『クローバーフィールド・パラドックス』の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:The Cloverfield Paradox
製作国:アメリカ(2018年)
日本では劇場未公開:2018年にNetflixで配信
監督:ジュリアス・オナ

クローバーフィールド・パラドックス

くろーばーふぃーるどぱらどっくす
クローバーフィールド・パラドックス

『クローバーフィールド・パラドックス』あらすじ

そう遠くない未来。世界は地球規模のエネルギー問題に直面していた。その危機を打開するため、世界中から集められた宇宙飛行士たちが研究していたのが「クローバーフィールド宇宙ステーション」だった。無限のエネルギーを生み出す可能性のあるシェパード粒子加速器の実験を繰り返す日々。しかし、良い結果は得られない。ところが、ある日の実験で予想外の事態が起こってしまう。

『クローバーフィールド・パラドックス』感想(ネタバレなし)

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3度目の不意打ち

サプラ~イズ!(ロキ風に)

そんな感じのノリで何の前触れもなく突如としてNetflixで配信された『クローバーフィールド・パラドックス』。タイトルから察しが付くとおり、「クローバーフィールド」シリーズの関連作となります。

このシリーズは、“J・J・エイブラムス”が仕掛け人となっているフランチャイズです。「スター・ウォーズ」の新世代3部作を手がけたことで有名なこのノリにノッている映画人ですが、“J・J・エイブラムス”は映画の売り方をちゃんとわかっているのが凄いのです。つまり、プロモーションですね。

「クローバーフィールド」シリーズの第1作となる『クローバーフィールド HAKAISHA』にせよ、2016年の2作目である『10 クローバーフィールド・レーン』にせよ、その宣伝手法からして注目されていました。基本的に情報をほとんど明かさず、ある日、いきなり情報公開で世間を驚かせるスタイル。しかも、そのための小ネタやらブラフを事前に念入りに仕込む徹底ぷり。

今の映画界では元からファンの強い原作ものが圧倒的に優位な状態ですが、そんな中でも全く無名な作品を売っていく方法を毎回考え出していくあたり、日本の映画界もじゅうぶん参考にすべきでしょう。

そんな「クローバーフィールド」シリーズもすでに名前が売れてしまい、皆も“次はどうくるんだ”と待ち構えるようになっているなか、この3作目はまさかのサプライズNetflix配信となりました。相変わらず、不意をつくのが上手いです。まあ、最初からこの戦略を練っていたわけではなく、いろいろあってのこの着地らしいですが。

本作も、“J・J・エイブラムス”がプロデュースで、彼の製作会社バッド・ロボット・プロダクションが手掛けています。

気になる内容は…ネタバレしても面白くないので、さっさと観るにかぎります。ひとつだけ言うなら、2作目の『10 クローバーフィールド・レーン』は1作目とのつながりがなくてガッカリした人も、今作ならもしかしたら…。あとは観てのお楽しみ。

過去作を観ておく必要はありません。むしろ今作が初めての「クローバーフィールド」シリーズとなる方が良いかも…。時間があるときの暇つぶしにどうぞ。

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『クローバーフィールド・パラドックス』を観る前のQ&A

Q:『クローバーフィールド・パラドックス』はいつどこで配信されていますか?
A:Netflixでオリジナル映画として2018年2月5日から配信中です。
日本語吹き替え あり
中村千絵(エヴァ)/ 小松史法(マイケル)/ 小松由佳(ミーナ)/ 内田夕夜(シュミット)/ 後藤敦 / 楠大典 / 桐本拓哉 / 弓場沙織 / 志賀麻登佳 ほか
参照:本編クレジット
↓ここからネタバレが含まれます↓

『クローバーフィールド・パラドックス』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):地球を救うのか、それとも…

「政府関係者によれば世界のエネルギー資源は5年以内に枯渇することが予測されています…」「宇宙ステーションが本日完成しました。任務は危険をともなう…」「軌道上の実験室にあるシェパード粒子加速器が搭載されており、これを稼働できれば地球のエネルギー危機は永遠に解決されるのです」

世界が未来を決めるコイントスを迫られているこの瞬間。滅ぶか、救われるか…。

全てを委ねられている人物がここにもひとり…。

宇宙。「第1回目のトライだ。シェパードチームは準備OKです。カウントします。3、2、1、点火」

眩しい光を放つ機器。激しい揺れ。粒子加速器は不安定な動作により、モニターには「失敗」と表示されました。クルーの表情は暗いです。

「ハンツビル、こちらキール船長。点火は失敗です」

223日目。失敗。496日目。失敗。623日目。失敗。救うべき青い地球が目の前に浮かんでいるのに、それを成し遂げられない焦りだけがクルーに広がります。

地球では石油をめぐる戦争が勃発。実験に使える燃料はあと3回。希望はごくわずか。

694日目。ヴォルコフは「加速器だけが作動しないのはなぜなのか」と怒鳴り、他のクルーに当たり散らしています。シュミットと乱闘になり、押さえつけられます。

クローバーフィールド宇宙ステーションでの47回目のテストが始まります。モニターには報道番組で「クローバーフィールド・パラドックス」の著者である男が、この機器は時空を歪め、実験によって混沌を解き放つ可能性があると警告していました。モンクに「そんなものは消せ」と船長は指示し、集中させます。

稼働、ついに開始。

これが本当にカオスの始まりとなるとは誰も知らず…。

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J・J・エイブラムスの思うツボ

地球の資源枯渇と、そしてそのエネルギー危機を救うとされるシェパード粒子加速器を実験する宇宙ステーションのニュースが流れる冒頭。停電で真っ暗な夜、渋滞する車の席で会話する男女。どうやら例の宇宙ステーションの任務に参加するかどうか女は悩んでいるようです。そこで男が女に言います…「君が行けば世界は救われる、行かなければ望みはない」…空を見上げる女、名前はハミルトン。

この冒頭のシーン、本編を全て観終わるととても重要なシーンだったことがわかります。つまり、どっちのハミルトンを描いているのか…。

それは今はさておき、そのままカットが変わって宇宙に浮かぶステーション。ハミルトン、キール、シュミット、モンク、マンディ、タム、ヴォルコフの多国籍なメンバーからなるチームは、シェパード粒子加速器の実験に日々取り組んでいました。しかし、オープニングクレジットととも度重なる実験の失敗で焦燥していくチームの姿が映し出されます。ついに694日。祈りを捧げて、何度目か点火実験に挑むと、成功か?と思った矢先に大爆発。

混乱も収まらぬなか、地上と通信できないことに気づくチーム。それどころか周波数が見当たらない、いや、地球がない! 外部カメラにも地球らしきものは何も映ってない! 絶句するチーム。

といった流れで、3作目の「クローバーフィールド」は定番ともいえる宇宙ステーションが舞台のシチュエーション・スリラーとなりました。

この手のジャンルは、2017年も『パッセンジャー』や『ライフ』などがあり、わりと食傷気味なんですが、一定の面白さをキープしてくれるので、スナック感覚で食べるように見ちゃうのですよね。“J・J・エイブラムス”の思うツボですよ。

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君の腕が頼りだ

最初から「地球がない!」というド級の衝撃を与えてくる本作『クローバーフィールド・パラドックス』。しかし、この映画、この後もまだまだたくさんの小技を披露してきます。

手始めに、壁から謎の叫び声のような音が…壁を開けてみるとそこにひとりの女性がいて、まるでワープしてその場に出現してきたように導線が体にめりこんで苦しんでいる! 怖い!

続いて顔に異変を感じたヴォルトフ…鏡で確認すると片目があらぬ方向にギョロっとむいて、そのまま憑りつかれたかのように仲間に銃を突きつける。と思ったら、そのまま気絶、痙攣、口から虫ドバァーっ! 怖い!

お次は、施設の修復に精を出すマンディ…すると突然、壁に腕を飲まれるように吸い込まれてしまい、パニック! 仲間の力で壁から引き離すと、マンディの腕はスッパリ切断! あら、綺麗な断面。とくに痛みはない様子。怖い…?

最後は、謀反を疑われて部屋に閉じ込められたシュミット…彼が見たのは、這い回っているマンディの片腕! 怖…くない。うん、怖くないぞ、気持ち悪いけど。

というふうに、最初はどんな展開になるのだろうと真面目にハラハラして見ていたのですが、だんだんと「あれっ、この映画、結構コメディなんじゃないか」と思えてくる変わりっぷりにやや困惑。とくにマンディの腕のネタは、完全にギャグです。腕だけでペンを持ってダイイングメッセージよろしく文字を書いたときは「どこに行きたいんだ、この映画」と別の意味でハラハラしました。

一応、この後の展開は、冒頭のシーンにもつながる感動を誘うハミルトンのドラマがあったりするのですが、すっかりどうでもよくなってしまって…。ジェンセンとの対決も全く盛り上がれないままでした。後半の失速というか、ストーリーの雑さは『10 クローバーフィールド・レーン』以上でしたね。

でも、個人的には暇つぶしムービーとしては最適だと思ったので良しです。正直、ジェンセンを倒すのはマンディの腕であってほしかったなと。そんな願いを抱くくらいの思い入れですよ(なんだそれ)。

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スティーブン・キングを目指している?

最後は、怪獣ドォーン!で終わってましたが、『クローバーフィールド HAKAISHA』、そして『10 クローバーフィールド・レーン』に続いていくということなのかな。でも、こんな露骨に怪獣を出すとは思わなかったですね。

本作を観てなんとなく思いましたが、“J・J・エイブラムス”は「クローバーフィールド」をスティーブン・キングの作品群みたいな感じにしたいのかな。『ダークタワー』の感想で書きましたが、スティーブン・キングの作品は全てつながっていて、ダークタワーの力で異変が起こっているという設定になっています。

「クローバーフィールド」シリーズも、本作の中でニュースに出ていた男が主張したとおり、どうやらシェパード粒子加速器の実験のたびに次元の膜とやらが壊れて現実が崩壊し、未知の怪物がやってくるらしいことが判明しました。本作で示された事実により、この世界観の可能性がインフレしすぎな気も否めませんが、楽しいことは楽しいです。

次は何で驚かせてくれるのでしょうか。腕が自律行動するくらいですから、もう予測不可能だけど。

『クローバーフィールド・パラドックス』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 21% Audience 42%
IMDb
5.5 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 5/10 ★★★★★

作品ポスター・画像 (C)Netflix クローバーフィールドパラドックス

以上、『クローバーフィールド・パラドックス』の感想でした。

The Cloverfield Paradox (2018) [Japanese Review] 『クローバーフィールド・パラドックス』考察・評価レビュー