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『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』感想(ネタバレ)…Netflix;善悪は学べません

スクール・フォー・グッド・アンド・イービル

善悪は学べません…Netflix映画『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:The School for Good and Evil
製作国:アメリカ(2022年)
日本では劇場未公開:2022年にNetflixで配信
監督:ポール・フェイグ
恋愛描写

スクール・フォー・グッド・アンド・イービル

すくーるふぉーぐっどあんどいーびる
スクール・フォー・グッド・アンド・イービル

『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』あらすじ

あまりにも退屈な村でソフィーとアガサは親友になり、愚痴を言いながらも一緒に過ごしていた。早く村を出たいと思っていたソフィーは、書店で「善と悪の魔法学院」の噂を知る。そこでおとぎ話のようなヒロインになれると信じていたが、2人は本当にその魔法学院に辿り着いてしまう。しかし、善悪のバランスを保つことを優先していた学院の調和はこの2人の存在で揺れ動き、友情の絆が試されることに…。

『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』感想(ネタバレなし)

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あなたは善、それとも悪?

「善人」「悪人」に分ける…この善悪で物事や人物を捉える考え方は今だってよく見られる話です。そんな簡単に善悪に分けられるものじゃないと語る人もいますし、その気持ちもわかりますが、そんな人だって善悪の思考に依存していたりします。

一体いつ頃から私たち人間は善悪という規範で考えるようになったのでしょうか。歴史を振り返ると、それはゾロアスター教にまで遡れるそうです。古代ペルシア発祥の宗教であるゾロアスター教は、善悪二元論を特色としていました。そんな昔から善悪に病みつきになっていたら、そりゃあ、人間はその考えをなかなか捨てられないわけです。

もちろん映画も善悪の概念にはそれはもうお世話になってきました。主人公がいれば、悪役もいる。もしくは主人公がヴィランという正反対バージョンもある。この構図はもはや欠かせません。この善悪をどういじって面白くみせるかがクリエイティブな腕の見せ所だったりします。

今回紹介する映画は、まさしくその物語には外せない善悪をあえてネタにしてみせた、斜に構えたファンタジー作品です。

それが本作『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』

『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』は、おとぎ話の善のキャラクターを育てる学院と、悪のキャラクターを育てる学院、2つの善と悪の学院が双璧をなし、互いに世界の調和を保っている…という世界が舞台です。2人の若い主人公はこの善悪の学院に入学することになり、波乱を巻き起こしていきます。

魔法学校モノなので『ハリー・ポッター』風の雰囲気ですが、『フェアリー・ゴッドマザー』のようなおとぎ話自体を風刺しているタイプの作品群でもありますね。

原作があって、“ソマン・チャイナニ”というインド系アメリカ人の作家が執筆した「The School for Good and Evil」という児童文学です。2013年から刊行され、2022年時点の今もシリーズが続いている人気作。日本ではまだ邦訳はでていないっぽいですね。

原作本の出版前の2011年から映画化は企画されていたそうですが、よくある開発行き詰まりの状態に陥り、ようやくNetflixの主導で映画化が進みだし、コロナ禍での撮影を挟みつつ、実現に至りました。

面白いのは監督が“ポール・フェイグ”だということです。“ポール・フェイグ”監督と言えば、主にコメディが得意分野で、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』『SPY/スパイ』『ゴーストバスターズ』から、さらには『シンプル・フェイバー』『ラスト・クリスマス』などオシャレなスタイルの映画まで器用な才能を発揮してきました。そんな“ポール・フェイグ”監督でも王道のファンタジーは初めてなので、ここにきて新境地を開拓してきましたね。

俳優陣ですが、主人公を演じるのは、まず「Lazarus」や「Beetlejuice」など主に舞台で活躍してきた“ソフィア・アン・カルーソ”。そして『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』の“ソフィア・ワイリー”。とくに“ソフィア・アン・カルーソ”は今後も映画界で活躍しそうな若手です。

また、ドラマ『リトル・ファイアー〜彼女たちの秘密』の“ケリー・ワシントン”、『オールド・ガード』の“シャーリーズ・セロン”、『ジョン・ウィック:パラベラム』の“ローレンス・フィッシュバーン”、ドラマ『暗黒と神秘の骨』の“キット・ヤング”、『ガンパウダー・ミルクシェイク』の“ミシェル・ヨー”など、なかなかに豪華な顔ぶれとなっています。

『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』はファンタジーが好きならとりあえず楽しめる映画だと思います。“ポール・フェイグ”監督作は下ネタも多い傾向にありますが、今回ばかりは子どもでも見れますので安心。豪華なVFXの映像も盛沢山ですし、なるべく大きな画面で観るのがオススメです。

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『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』を観る前のQ&A

Q:『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』はいつどこで配信されていますか?
A:Netflixでオリジナル映画として2022年10月19日から配信中です。
✔『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』の見どころ
★映像と衣装で彩られる豪華なファンタジー世界観。
✔『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』の欠点
☆物語はやや散漫。キャラの描き込みも少し薄い。
日本語吹き替え あり
近藤玲奈(ソフィー)/ 清水透湖(アガサ)/ 濱野大輝(テドロス)/ 阿座上洋平(ラファル)/ 玄田哲章(学院長)/ 本田貴子(レディー・レッソ)/ 皆川純子(ダヴィー) ほか
参照:本編クレジット

オススメ度のチェック

ひとり3.5:ファンタジー好きなら
友人3.5:気軽に見れる
恋人3.5:異性愛ロマンスあり
キッズ3.5:子どもでも見れる
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『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):おとぎ話の善悪はここで生まれる

昔々、強い魔力を持つ兄弟がある学院を創設しました。それによって世界の物語の善と悪の力のバランスを長年保ってきましたが、それは永遠に続きませんでした。

剣で戦い合う赤と青の出で立ちの兄弟。赤いラファルは「つまらない、魔法ありで手加減無しで戦おう」と提案し、ラファルは禁じられた魔法のブラッドマジックでもう片方を圧倒。「何千年も善を優遇してきただろう。私がルールを決める。悪は協力しないし、分け合わない」と言い放ちます。それでもラファルは崖から突き落とされてしまい…。

ところかわってガヴァルドン村。この田舎で、ソフィーという少女は自分が誰もが羨む美貌と気品を兼ね備えたヒロインとなって舞踏会で注目を浴びることを夢見ていました。

その夢は終わり、継母に起こされます。現実は非情です。退屈な家で屈辱に耐える日々でした。

一方、ガヴァルドン村の外れにもアガサ(アギー)という少女が住んでいました。母の薬は効きめ無しで魔女なのかも疑わしいですが、周辺の子からは「魔女め」と馬鹿にされる日々。こちらも散々です。

村なんてうんざりだったソフィーとアガサ。この2人は友達でした。変人だと揶揄われても一緒なら平気です。

2人はソフィーお気に入りのドーヴィル書店を訪れます。おとぎ話好きなソフィーは「シンデレラ」の本をめくっていると印に気づきます。これは「善と悪の魔法学院(スクール・フォー・グッド・アンド・イービル)」だと店主は教えてくれます。なんでも誰も知らない、伝説では御伽噺が始まる場所とされているそうで、そこでは善の学院は主人公(ヒーロー)を、悪の学院は悪役(ヴィラン)を訓練するのだとか。

アガサは信じませんが、昔、レオノーラという村の少女が消えて、真っ赤な夜に学院がさらったとされるという噂を店主はしてくれます。

ソフィーはそんなところが実在するなら入学したいと思いました。「私は未来の姫です」と手紙を書くソフィー。村を出てやると息巻くソフィーにアガサは「外を知らないでしょ」と引き止めます。ソフィーは友人の頼みにその場では「わかった」と約束します。

しかし、気持ちは抑えられません。ソフィーは手紙を破り、自ら村を出ていくことを決断します。夜、アガサは止めに来ますが、いつのまにか赤い夜空になっていました。

その瞬間、拉致されるソフィー。これは噂の学院じゃないかと楽しそうです。でもアガサもソフィーを捕まえ、食い止めようとします。そうこうしているうちに2人は謎の鳥に掴まれてしまい、空高く運ばれます。

しばらくすると2つの学院が見えてきました。本当に存在したのか…。

ところが2人は別々に落とされ、あろうことかソフィーは悪の学院、アガサは善の学院に入学する流れになってしまいました

ソフィーは「ここは嫌だ」と主張しても意味なし。悪の学長であるレディー・レッソは意に介さずです。

アガサも善の学長のダヴィー教授に強引にドレスを選ばされ、その場の雰囲気に従うしかありません。

2人の運命はどこへ向かってしまうのか…。

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ファッションで戦います

『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』の見どころはやはり豪華絢爛な世界観でしょうか。類似の作品も多い中、どうやってオリジナリティを出すかに悩んだと思いますが、方向性としてはかなりゴージャス寄りで攻めることにしたようです。

“ポール・フェイグ”監督自身がそもそもオシャレなファッションセンスの人物なので、今作のコーディネートも相当にこだわったのが察せられます。善の学院の生徒たち(エヴァー)の衣装は、基本はパーティードレスですが、シックでありながらファンタジックな盛り方もしており、全員バラバラで鑑賞しがいがあります。対する悪の学院の生徒たち(ネヴァー)はゴスロリ感が漂うダークな佇まいで、こちらも好きな人はドハマりするスタイルでしょう。

主役級も素晴らしく、とくにソフィーを演じた“ソフィア・アン・カルーソ”。物語の中盤過ぎにラファルにそそのかされて完全に闇に染まり始め、そこから髪をバッサリ切ったあたりで、雰囲気も一新。あの転身っぷりは見事な悪女でした。“ソフィア・アン・カルーソ”の小悪魔全開なオーラが良くて、「この子はやっぱり正統派ヒロインじゃなくて、こっちの悪魔系ヒロインの方が絶対にいいな」と納得させるパワーがありましたね。

私の好みもありますが、基本は悪の学院側のファッションの方が統一性があって良かった気がします。“シャーリーズ・セロン”もさすがの貫禄でしたしね。

そのファッションが重要な本作では終盤の見せ場も衣装が大きな役割を果たします。本作の白眉、善と悪の生徒たちの衣装が逆転する瞬間です。そして怒涛の乱戦状態に突入。このシーン、衣装が入れ替わる理屈か、正直全く意味不明なのですけど、ビジュアルがとても良いのでなんだか無性にテンションが上がってしまうノリがありました。ここも“ソフィア・アン・カルーソ”満点!って感じでしたね。悪の学院の生徒たちが覚醒し始めるとやたら強いのがまたいいです。

『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』は、剣や魔法で戦っているというよりは、ファッションで戦っているようなもので、これも実に“ポール・フェイグ”監督らしいファンタジー作品へのアプローチのしかたなんじゃないでしょうか。

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やっぱり善悪があった方が面白いのでは…

映像の豪華さでは見栄えのあった『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』でしたが、物語面ではかなり散漫な印象があったのは残念なところ。本作は147分もあるわりには、そこまで物語にワクワクしてくる興奮はなかったかな…。

まず主人公の2人、ソフィーとアガサの関係性をもっと深く描いてほしかったというのが一番の不満です。あれだけ「私たちは親友だよ」と誓い合った中なのですから、強烈で濃厚なシスターフッドが描かれてもいいはずなのですけど、なんだか妙に表面的になぞるだけで終わってしまった印象でした。

『RRR』とかをお手本にしてほしいものですよ。2人の主人公をどうやって面白くエモーショナルに見せられるのか、答えがそこにあるんですから。

たぶんこのソフィーとアガサをありきたりな男の取りあいという図式で描きすぎているのがよくなかったかな、と。最終的にはテドロスを捨てて女と女の友情を取るオチではありますが、それまでの異性愛ダラダラな展開が邪魔だった…。

また、脇のキャラクターたちがたいして出番もなく片付いてしまうのも非常にもったいないです。大人たちの活躍ももっとあるのかと思いましたが、後半は完全に除外されていましたね。個人的には“ミシェル・ヨー”の雑な扱いには大いに不満です。ハリウッドは“ミシェル・ヨー”を過小評価していますよ(だからこそ『Everything Everywhere All at Once』の感動があるのだけど…)。

本作の最終的なオチもかなり強引なまとめかたで、結局、ラファルは何をしたいんだとか、いろいろな人間関係の対立図があやふやで終わったのも面白さを半減させましたね。皮肉な話ですが、本作は最後は善と悪が混ざり合って1つの学院になる結末を迎えますけど、やはり物語はもっと善と悪がハッキリしている方が面白いのではないかと…そんな確認をさせられてしまったような…。どう考えてもソフィーが悪女全開モードになっていた瞬間の方がハラハラドキドキしましたもんね。

私はソフィーがいかに悪女として人生を謳歌しながら、クソみたいな村を地獄に変えてやるかとか、そういう物語が見たかったですよ…。

グレゴールの件はあれで終了ですか?とか、オオカミ頭番兵たち無能すぎない?とか、エクスカリバーってなんだよ?とか、ツッコミたいこちらの口を沈黙の魔法で塞ぎつつ、力業で「めでたしめでたし」に持っていく。おとぎ話の乱暴さを見せてくれた映画でした。

続きは作れるエンディングになってましたが、作るならもっと攻め方を変えてほしいです。

今は各社が「ネクスト・ハリーポッター」となる作品を発掘しようとしていると思いますが、『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』がその位置に立つなら大規模な改築が必須ですね。

『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 42% Audience 78%
IMDb
5.8 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
4.0
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関連作品紹介

ポール・フェイグ監督の映画の感想記事です。

・『ラスト・クリスマス』

・『シンプル・フェイバー』

・『ゴーストバスターズ(2016)』

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同じくポール・フェイグ監督作。
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作品ポスター・画像 (C)Netflix スクールフォーグッドアンドイービル

以上、『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』の感想でした。

The School for Good and Evil (2022) [Japanese Review] 『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル』考察・評価レビュー