言えないんだ…「Apple TV」ドラマシリーズ『シュガー』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2024年~)
シーズン1:2024年に Apple TV で配信
シーズン2:2026年に Apple TV で配信
原案:マーク・プロトセヴィッチ
性暴力描写 自死・自傷描写 性描写 恋愛描写
しゅがー

『シュガー』物語 簡単紹介
『シュガー』感想(ネタバレなし)
映画好きの探偵さ
見た目は人間、頭脳は映画のことでいっぱい、その名も…名探偵シュガー!
…いや、そういう決め台詞はありませんけど、この作品の探偵は自制的で謙虚なので、そんなノリは似合わないですね。
ということで、さっそく今回の紹介するドラマシリーズの話。
それが本作『シュガー』です。
本作は紛れもなく探偵業をしている男が主人公なのですが、いわゆる「ハードボイルド探偵モノ」になっています。『マルタの鷹』のように昔から確立されているあのサブジャンルです。
それだけでなく、この主人公、オールド・ハリウッドの名作映画が大好物で、モノローグ内ではやたら映画のことを語り、実際に作中ではいろいろな映画のシーンが挿入されていきます。
だからと言って、映画の知識がものすごく要求される作品ではないのですけど。それこそ個人の感想です。そう、ただの映画の感想。
そしてこのドラマ『シュガー』には、もっととんでもない隠し玉があるのですが、それを事前に伝えるべきかどうか、悩むところ…。
たぶんそれを伝えるほうが興味をもってもらえる人が増えそうなのですけども、でもネタバレするのもね…という微妙なライン。その隠し玉を知りたいという人は、この記事後半の以下のシーズン1の感想部分(の始め)だけをサラっと目を通してみてください。チラっと見ればわかります。「ああ、それ?」と。
逆にそれを知ることで「えぇ…。じゃあ、興味ないや…」と背を向ける人もいるでしょうけども…。
ドラマ『シュガー』の原案は、『アイ・アム・レジェンド』(2007年)や『オールド・ボーイ』(2013年)といった映画の脚本を手がけてきた“マーク・プロトセヴィッチ”。これが初のドラマシリーズのようです。
主演は、何かとドラマにも引っ張りだこな“コリン・ファレル”。最近はドラマ『THE PENGUIN ザ・ペンギン』で風貌激変を披露していましたが、今回の『シュガー』はわりといつもの“コリン・ファレル”です。あの困り顔のね。
共演は、シーズンごとに顔触れがガラっと変わるスタイルで、シーズン1だと『ゴーン・ベイビー・ゴーン』の“エイミー・ライアン”やドラマ『サンドマン』の“カービー・ハウエル=バプティスト”など、そしてシーズン2だとドラマ『Pachinko パチンコ』の“ジン・ハ”や『ザ・フラッシュ』の“サッシャ・カジェ”など。
ドラマ『シュガー』は「Apple TV」での独占配信で、シーズン1・シーズン2ともに全8話で、基本的に1話あたり約30分と短め(ただし、一部で50分近くあったりもします)。
謎解きよりも、雰囲気を味わう感じですかね。作品の雰囲気が好みに合えば気に入るでしょうし、合わないとイマイチに終わるんじゃないかな。
『シュガー』を観る前のQ&A
鑑賞の案内チェック
| 基本 | 性的脅迫や性暴力を物語上で扱っています。 |
| キッズ | 大人向けのドラマです。 |
『シュガー』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
日本のとある平凡な部屋で、ヒデオという男が料理をしていると、電話が鳴り、「おカネを落としましたね」と言って、わざわざ直後に玄関のドアをノックし、ある人物が届けてくれます。
家に来たのはスーツを着た白人男性で、和やかな表情は一瞬だけで、ドアを閉じると、「ユウマという子どもを誘拐したのでは?」と問い詰めてきます。その男は部屋を見渡しつつ、「お前が誘拐したのはヤクザの子どもだ」と言い、隠し場所を教えた後に身を隠すように薦めます。ヒデオは包丁で襲ってくるものの、白人男は落ち着いて対処し、首を絞めます。その後、引き戸の奥にいた女性と子どもを見つけます。
しばらく後、今度は父親が現れ、「面倒をかけた」と労い、報酬を渡して去るように告げます。
この男の名前はジョン・シュガー。行方不明者の捜索を専門とする孤独な私立探偵です。語学に堪能で、集中力と格闘センスもあります。家は持たず、世界を転々とするのがいつものこと。
バーに足を運び、ゆっくりしていると、ジョナサン・シーゲルという人物の代理人キンジーから依頼のメールが届きます。
次はロサンゼルス。タクシーで郊外の住宅の前に着くと、そのとき、変な感覚でしゃがみこみます。それは数秒の出来事で、気を取り直してその家をノック。出てきたのはルビー。
ルビーはシュガーのマネージャーで、よく知った仲です。ルビーはシュガーが手順を無視して勝手にシーゲルと話をつけたことに不満なようです。実はもうすでに会っていました。
シーゲルは有名な映画プロデューサーで、対面したのも大豪邸です。行方不明になったのはシーゲルの25歳の孫娘オリヴィアで、いなくなって2週間経っているとのこと。前は薬物に依存し、何度か消えたこともあったらしいですが、今回は様子が違うそうです。2年間も薬物を絶ち、やっと改善したはずなのになぜ…。
シュガーはその提供されたオリヴィアの写真を見つめ、ジェンを思い出させると口にし、特別に固執していました。
ルビーは念のために銃をシュガーに渡し、医者も推奨するものの、医者だけは断られます。そしてピカピカの青いオープンカーで出発。
シュガーは管理人ゲイリーの案内で、オリヴィアの車と広いアパートの部屋を物色します。捜索中にオリヴィアの異母兄であるデイヴィッド(デイヴィー)・シーゲルが現れます。最初は不審者だと思われますが、とりあえず理解してくれます。
今度は、オリヴィアの元継母でかつてはロックスターでもあったメラニーに会いに行きます。彼女は親しみやすい人柄です。
こうして情報をかき集めますが…。

ここからドラマ『シュガー』のネタバレありの感想本文です。
シーズン1:シュガーの正体は…
さっそくドラマ『シュガー』の「とんでもない隠し玉」の話。
それはシーズン1の第6話の最後で明示されます。主人公のシュガーが自分に何かを注射すると、しだいに目や肌が青くなり、それはどう見ても人間…もっと言えば地球人の姿ではなく…。そう、シュガーは宇宙人なのでした。ハンドラーのルビーも宇宙人。宇宙人のコミュニティがそこにありました。
つまり、ドラマ『シークレット・インベージョン』のように、高度な地球外生命体のシェイプシフターがヒトの姿にそっくり擬態し、人間社会に溶け込んでいる…というのが真実。ドラマ『シュガー』はただのネオ・ノワールではない、SFだった…。
その伏線はわりと第1話からこれ見よがしに仕込まれていました。シュガーは、白人の見た目ですけど、どんな言語も喋れ、それ以前に母国語がないような振る舞いです。そもそもプライベート自体が見えてきません。人間味のなさは全体的に違和感として漂い続けます。
ゆえにシーズン1では「世界をまたにかけるスパイ組織なのか?」と疑念を持たれるのですが、シュガーら宇宙人はどうやらあくまで「人間観察」に徹しているらしく、別に地球を乗っ取ろうとかそういうことはしていません。シュガーが私立探偵として人助けしているのも、人間社会に溶け込むための「役」です。
そしてここがユニークですが、このシュガーはその「役」の参考として、古い映画を素材にしているらしいということ。昔の映画のクリップがやたら本作には挿入されるとおり、シュガーの中ではその映画を模倣することで「ヒト」になりすましています。だから余計に古臭い、どこか浮世絵離れした存在感にもなっているのですけど。
シュガーは『スタートレック』を観たらどういう反応するんだろうな…。
第1話でメラニーが「SFが好き」と言及したり、酔えなかったり、獰猛な犬もなだめられたり、他にもあれこれとシュガーの正体を示唆するヒントが散りばめられていました。
そんなシュガーがシーズン1ではオリヴィアを探すのですが、真相はリベンジポルノで若い女優を食い物にしていたデイヴィッドの傲慢さでした。
ここで単に達観するのでなく、明らかにシュガーはそのオリヴィアを自身の行方不明の妹ジェンと重ねており、実は宇宙人仲間のヘンリーが関与していたことも突き止めます。
この探偵というジャンルと、宇宙人という設定を、どう組み合わせるかはなかなか難しそうですが、モノローグを多用しながらの内省的な自己探求の物語になりそうですね。
シーズン2:映画を趣味にするくらいがちょうどいい
ドラマ『シュガー』のシーズン2は、仲間の宇宙人が身バレで地球から一斉退散してしまい、天涯孤独で地球に佇むシュガーから始まります。肝心のヘンリーも早々に命を絶ち、やることもなくなってしまいました。
しかし、そのシュガーの孤独さは、地球の移民文化との相性がいいようで、前シーズンでもホームレスと仲良くなるのが上手かったですが、今回は移民コミュニティに溶け込む仕草が手慣れています。見た目はエリート白人なのですけどね…。ヴァルという新しい協力仲間も作るなど、ゼロから関係性を築き始めもします。
そしてシーズン2で向き合う事件は、ダニー・ムンという韓国系アメリカ人のボクサーの兄であるジが失踪したというもの。その裏で起きていたのは、ギャングがホームレスのコミュニティにフェンタニルを大量に持ち込み、中毒死者を意図的に増加させ、その遺体の身元を盗んで低所得者支援住宅に利用し、儲ける狙いでした。弱者搾取はどこにでもありますね。
やはりシュガーは異郷の地で身内との再会を望む人間の心情に弱いらしく、今回もだいぶ同情しながら介入します。“アルフレッド・ヒッチコック”の『めまい』ばりの死の偽装までしますからね。
今回は麻薬カルテルのボスであるセルゲイの部下らしいヴェガという強敵まで登場しますが、シュガーはここで最終的に一線を越えます。「地球人を殺してはいけない」というルールを逸脱。真面目な性格なぶん、やってしまったことへの自責の念が露骨です。
しかし、終盤にまたもとんでもない事実が発覚。前シーズンより宇宙人要素が少ないと思っていましたが、ラストにぶっこんできましたね。
実はジェンは生存していて、パヴィッチ議員やシャーロットとの繋がりも利用し、地球の同類宇宙人を追い出してまでしていました。その理由は、明らかに地球外の技術を用いたテクノロジー(4つの丸みたいな機械)で天候操作を実現して気候変動問題を解決し、地球人を救うこと。ジェンはシュガー以上に地球に感情移入しまくっていたようです。
ただ、これはジェンは救世主主義に陶酔しているわけで、さすがのシュガーも同意できません。あらためて地球人との付き合いかたのバランスを考え直すシュガー。11年前の来たばかりの姿も描写されていましたが(すごいチグハグな服装で笑える)、やっぱり映画を趣味にするくらいがちょうどいいですよ。犬とも再会して、一緒に映画鑑賞する時間があれば、もうじゅうぶんじゃないですか。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
以上、『シュガー』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)Apple
Sugar (2024) [Japanese Review] 『シュガー』考察・評価レビュー
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