あなたは何色?…「Disney+」アニメシリーズ『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:日本(2026年)
シーズン1:2026年にDisney+で配信
総監督:神山健治
きゅうにんめのじぇだい

『九人目のジェダイ』物語 簡単紹介
『九人目のジェダイ』感想(ネタバレなし)
今度はアニメシリーズで世界観拡張
2026年5月に劇場公開された久々の『スター・ウォーズ』映画となった『マンダロリアン・アンド・グローグー』。
英語圏のメディアでは「興行的失敗」と評する意見もありますが、日本に限って言えば、かなり重要な成功をおさめたと思います。興収の盛況というだけでなく、これまで『スター・ウォーズ』に全然興味を持っていなかった層が『マンダロリアン・アンド・グローグー』を観に行き、すっかりハマって「Disney+(ディズニープラス)」でドラマ『マンダロリアン』を観漁っている光景を観察できたからです。『スター・ウォーズ』の新規ファンを開拓するという重大なミッションを達成していました。これは大・大・大成功でしょう。
この新規ファン開拓って本当に大事で、古参オタクだけが熱烈に話題にしていても、正直、ファンダムは尻すぼみするばかりなんですよね。日本ではMCUがその新規ファン開拓に地味に成功していて、DCは上手くいかず、『スター・トレック』にいたっては沈没しているし…。結構、差がでる部分ではないでしょうか。
最高の機会を得たわけですから、『スター・ウォーズ』は日本では2026年を新たな初年として頑張ってほしいですね。
幸いにも『スター・ウォーズ』には映像作だけでなく、小説やゲームなど、いろいろな入り口があります。もちろん映像作でもいいです。「映画だけだと思ったら、ドラマとか、アニメもあるんだ」と意外に思った初心者もいるはず。
そう、『スター・ウォーズ』はどこからでもウェルカムです。「映画はどのエピソードから観るか?」なんて論点は気にしないでください。映画じゃなくてもいいんです。
今回のアニメシリーズもちょうど良いタイミングの2026年に到来し、そのフォースの力で新規ファンを切り開いてくれるでしょうか。
それが本作『九人目のジェダイ』。
本作は正確には『スター・ウォーズ:ビジョンズ』というメインタイトルのアニメシリーズで、その第1弾の副題が『九人目のジェダイ』のようです。
そもそもの背景から軽く説明すると、まず『スター・ウォーズ ビジョンズ』という同名の企画が2021年からありました。
この2021年からの『スター・ウォーズ ビジョンズ』は、『スター・ウォーズ』のアニメーション作品を本来の制作スタジオである「ルーカス・フィルム」以外のスタジオに作ってもらおうという試み。アンソロジーであり、それぞれの短編アニメを、日本や海外のスタジオの個性に任せて生み出していました。
いわゆる正史ではなく、『スター・ウォーズ』の世界観を用いているだけ。要は公式の二次創作みたいなものです。ちょっと初心者には関連性がややこしいのですが、映画とお話が繋がっていたりはしませんので、深く気にしないでください。
そのアンソロジーの『スター・ウォーズ ビジョンズ』のほうは、シーズン1とシーズン3は日本のさまざまなスタジオに、シーズン2は海外のさまざまなスタジオに短編アニメを制作してもらっていました。
そして2026年、その企画がさらに発展したのが今作『九人目のジェダイ』で、アンソロジー版にて「Production I.G」が手がけたシーズン1の5話目『九人目のジェダイ』と、シーズン3の3話目『The Ninth Jedi: Child of Hope』。この2エピソードの世界観を膨らませ、その続きを1本のアニメシリーズ(全8話)にしたものとなります。
ということで本作のアニメシリーズ『九人目のジェダイ』を観るときは、2つの短編アニメが事実上の前日譚になりますから、ぜひそちらから観るのをオススメします。「Disney+」ですぐに視聴できるのでね。
アニメシリーズ『九人目のジェダイ』を総監督として手がけるのは『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』など海外での活躍も目立つ“神山健治”。脚本はアンソロジー『スター・ウォーズ ビジョンズ』のシーズン1の第1話『The Duel』を手がけた“堺三保”。
『スター・ウォーズ』を知らないという人も歓迎です。
『九人目のジェダイ』を観る前のQ&A
鑑賞の案内チェック
| 基本 | — |
| キッズ | 子どもでも観れます。 セクシュアライゼーション:なし |
『九人目のジェダイ』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
ジェダイもシスも消えた銀河系。かつてフォースの使い手が使いこなしていたライトセーバーの製法も失われていました。宇宙の秩序は乱れ、戦乱の世が拡大。その中でもナワーム将軍の脅威は計り知れず、最大の軍事力で各星々を震撼させていました。
師(マスター)のいないジェダイ(マスターレス・ジェダイ)のひとりであるベテランのジューロはジェダイ騎士団を復活させようと考えていました。暗黒(ダークサイド)に堕ちた者たちの存在が強まっており、この銀河の平和を取り戻すには、ジェダイ騎士団が欠かせないと…。大昔はジェダイたちの組織であるジェダイ騎士団が存在したと言われています。
そしてジューロは若き仲間を得ました。ひとりはホーメン。もうひとりは、セーバースミス(ライトセーバー鍛冶職人)のジーマのひとり娘であるラ・カーラです。
カーラの父ジーマはジューロもよく知る人物でしたが、今は捕らえられてしまっており、ジーマの行方を捜索中でした。
ジューロらの乗る船は宇宙にて、ナワームの配下である司令官ゲンノウの艦隊に追われて激しい攻撃を受けています。ジューロらはドロイドのオジイの操作でハイパースペース・ジャンプを巧みに繰り返し、なんとか追撃を突破。
ゲンノウの艦隊はブラックホールにハマりかけますが、ゲンノウのフォースの力でそこから脱します。
ジューロたちはマコマ・コウに到着。この発展した商業都市にもジェダイがいて、それは領主のダンバイです。しかし、都市の防衛にいっぱいいっぱいだと言い、本人は消極的。ジューロはライトセーバーをみせますが、たかが数人ではジェダイ騎士団の復活は厳しいだろうと指摘されます。
そこへゲンノウ艦隊が追いつき、ジューロらの身柄を引き渡せと通告。ダンバイはここは自由都市なので従う必要はないと自治権で対抗。ゲンノウが諦めるわけもなく、ドロイド軍を降下させ、攻め込み始めます。
ジューロらは船に戻り、ゲンノウの艦隊に一気に接近し、乗り込むことに成功。同時刻、ダンバイはジューロが置いていったライトセーバーを手にし、ドロイドをなぎ倒していきます。
カーラはシスの象徴でもある赤いライトセーバーを取り出すゲンノウと対峙。自らも緑のライトセーバーを構え、刃を交えます。ゲンノウは戦い慣れており、カーラは防戦一方でしたが、ドロイド軍のコントロールを一斉停止させる時間稼ぎにはじゅうぶん。
ゲンノウはカーラの名前を覚え、退散。敵船は操縦者を失い、墜落します。
カーラはゲンノウが立ち去る間際に言っていた「ジーマは協力者なので丁重にもてなしている」という発言を思い出していました。
その頃、ナワームの艦隊では、ジューロの仲間であるイーサンとドロイドの99-99が密かに潜入し、偵察していました。
そこでナワームが青いライトセーバーを駆使している姿を目撃し…。

ここから『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』のネタバレありの感想本文です。
真面目な『スター・ウォーズ』の捻り
どうしても海外の有名タイトルを日本が手がけるとなると、ベタに「和」っぽくしたり(例えば『ニンジャバットマン』)、日本でおなじみのジャンルにしたり(例えば『異世界スーサイド・スクワッド』)、そうしがちです。
『九人目のジェダイ』は短編のときからそうしたこれ見よがしに「日本らしさ」をだすような素振りには一切傾かず、「私の考える正統派『スター・ウォーズ』を作る!」という姿勢が清々しく貫かれています。
とくに今作を観ると、エピソード4~6の3部作が好きな人たちが作った物語だなというのがよく伝わってきますし、王道で真面目な『スター・ウォーズ』って感じでした。
強大な支配者に抵抗する者たちが結集して戦いを挑む展開、父子の関係性、師弟の継承、星を粉砕する破壊兵器…といった『スター・ウォーズ』の定番の基礎はほぼ全て揃っています。
一方で単になぞるだけでなく、そこに捻りを加えているのもわかりやすいです。
その点で、この世界観であたらめて活かされているのが「持ち手の資質や感情に反応して色や長さが変わる」というライトセーバーの特性。正史でもカイバー・クリスタルの設定は若干あやふやで流動的だったりしましたが、今作はよりドラマ性を盛り上げるライトセーバーになっています。
無の境地に達すると銀色のライトセーバーになって、高速で居合斬りもできるとか、中二病っぽさが濃い…。というか、すっかり色で性格診断できるな、この世界のライトセーバー…。
剣技のアクションのアニメーションも見ごたえじゅうぶんでした。
真面目すぎなところも
あらためて『九人目のジェダイ』は真面目だなと私はつくづく感じたのですけど、これは私の好みですが、この真面目さがむしろ「真面目すぎでは?」と思うくらいに品行方正に徹底されている印象が全体的に強く、良くも悪くも癖がないですね。
例えば、キャラクターの多くがインパクトに乏しかったかなとも感じました。
とくに主人公のカーラは、これは日本のアニメにありがちな定型ですが、天真爛漫で純真無垢なヒロインです。そんな彼女もライトセーバーが赤くなって闇堕ちしかけますが、結局は闇に染まりません。斬らないセーバーの一閃でナワームを完敗させる決着といい、ここも優しい真面目さが滲みます。
『スター・ウォーズ』の闇堕ちはエピソード1~3の頃からの恒例で、最近もドラマ『スター・ウォーズ アコライト』に、アニメ『スター・ウォーズ モール シャドウ・ロード』と、闇堕ちのバリエーションが豊かになってきました(なんだ、闇堕ちのバリエーションって…)。ドラマ『スター・ウォーズ スケルトン・クルー』なんて闇堕ちをギャグにしてますから。


闇堕ちしないのがむしろ捻りになるまでになったのかな…。でも似たような己の道を貫いてみせた少女時代を経たキャラの「アソーカ」と比べても、やっぱりカーラは薄味ではありました。
また、『九人目のジェダイ』はオリジナル映画へのリスペクトが強すぎるがゆえか、昔の『スター・ウォーズ』の悪い部分もそのまま無自覚に受け継いでいる部分も感じて…。
例を挙げるなら、第5話でカーラが隠れ潜む星の先住民の描写は、エンドアのイウォーク族を彷彿とさせますが、あれはあれでステレオタイプな先住民表象なので、あまりマネするのはな…とか。
あと、近年の『スター・ウォーズ』作品群では強化されている傾向にあるポリティカルな緊張感には欠けていましたね。このへんの薄さはエピソード7~9の欠点を思い出したりもした…。
今作で政治的残酷さが一番に浮き出るのは、かつての師だったリノの素性ですが、正直、あれくらいなら『スター・ウォーズ』基準でそんなに悪いことではないのでは?と思ってしまう…。だってあれがダークサイドなら「俺の素顔を見たな。ならば殺す」の方針のマンドーなんて超悪(ワル)だよ…。
いろいろ書きましたが、『スター・ウォーズ:ビジョンズ』のこの企画自体は私は好意的に受け止めているので、今後もどんどんやってほしいです。
シネマンドレイクの個人的評価
–(未評価)
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
関連作品紹介
以上、『九人目のジェダイ』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)Lucasfilm スターウォーズナインスジェダイ 9人目のジェダイ
Star Wars: Visions Presents – The Ninth Jedi (2026) [Japanese Review] 『スター・ウォーズ:ビジョンズ/九人目のジェダイ』考察・評価レビュー
#スターウォーズ #スペースオペラ




