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ドラマ『ファウンデーション』感想(ネタバレ)…アイザック・アシモフの世界を重厚に実写化する

ファウンデーション

アイザック・アシモフの世界を重厚に実写化する…「Apple TV+」ドラマシリーズ『ファウンデーション』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Foundation
製作国:アメリカ(2021年~)
シーズン1:2021年にApple TV+で配信
原案:デヴィッド・S・ゴイヤー、ジョシュ・フリードマン
性描写 恋愛描写

ファウンデーション

ふぁうんでーしょん
ファウンデーション

『ファウンデーション』あらすじ

1万年にわたって栄える銀河帝国を築いた時代。独自の理論である心理歴史学によって帝国の崩壊が不可避であることを悟った天才科学者ハリ・セルダンは、帝国の終焉後に訪れるであろう数万年の暗黒時代を千年まで短縮するため、人類文明の存続を保証し復興の基盤となるべき組織「ファウンデーション」を発足させることを提案する。その計画に運命を委ねたひとりの若き数学者を始め、多くの者の人生が交錯する。

『ファウンデーション』感想(ネタバレなし)

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2021年は名作SFの映像化が凄かった

2022年に授賞式が行われた第94回アカデミー賞。その作品賞に輝いたのは『CODA コーダ あいのうた』でしたが、最多受賞となったのは“ドゥニ・ヴィルヌーヴ”監督の『DUNE デューン 砂の惑星』でした。10部門にノミネートされ、作曲賞、音響賞、美術賞、撮影賞、編集賞、視覚効果賞の6つでオスカーを手に入れ、非常に高い評価を得ました。原作はあの古典的名作ということもあり、2021年を象徴するSF大作というだけでなく、SFファンにとっても見逃せない存在でしたね。

そんな2021年、実は『DUNE デューン 砂の惑星』以外にもSFファンにとって偉大な名作が満を持して映像化されていたのをご存じでしょうか。まあ、きっとSFファンなら当然チェックしているだろうけども…。ただ、本作はアカデミー受賞作と比べたらメディアでの取り上げ方も少ないですし、なにせ「Apple TV+」のドラマシリーズなので宣伝も少なめだから認知が低いのもしょうがないんですが…。

それが本作『ファウンデーション』です。

本作の原作は何を隠そうあの“アーサー・C・クラーク”、“ロバート・A・ハインライン”と合わせて三大SF作家と称されるひとりである“アイザック・アシモフ”の代表作。“アイザック・アシモフ”については私が説明するのもおこがましいSF界の神みたいな御方ですけど、ソ連で生まれ、ユダヤ系ロシア人としてアメリカに渡り、そこで飛び級した大学生の頃に作家デビュー。科学解説者としても長け、文学と科学を繋げる架け橋にもなりました。1992年にエイズで亡くなるまで500冊以上の著書を執筆したというから驚きです。

その“アイザック・アシモフ”の代表的なSF作品である「ファウンデーション」シリーズは、1942年に1作目が掲載。後に「ファウンデーション」(1951年)、「ファウンデーション対帝国」(1952年)、「第二ファウンデーション」(1953年)の三部作としてまとめられました。1982年には第4巻が出版され、7巻まで作られ、前史となる物語もあり、さらに“アイザック・アシモフ”の死後は他のSF作家によって新三部作が制作され、世界観を拡張しています。

この「ファウンデーション」シリーズは過去に何度か映画化を試みる動きがあったのですが全部頓挫。しかし、ついに2021年にドラマシリーズとして映像になりました。あの「ファウンデーション」シリーズが映像になるなんて…と感慨深い人も多いでしょう。

ただ、単純にそのまま原作どおり映像化しているわけではなく、原作第1巻をシーズン1として描くという感じでもありません。実際に見るとわかるのですが、かなり脚色しており、独自の再構成が目立っています。現代の観客にも入りやすいようなキャラクターの配置などになっているので、悪い改変ではないと思いますが…。

見どころのひとつは、豪華な映像です。VFXが非常に贅沢に山盛りで「え? こんなカネかけてるの?」とびっくりするレベルの映像質量。どれだけ予算をつぎ込んでいるんだろう…。ドラマシリーズとしては破格のハイクオリティなので、出来る限り大きい画面で観ないとダメなやつです。

その映像を支えるクリエイター陣は、原案に『ダークナイト』三部作や『ターミネーター ニュー・フェイト』の脚本でおなじみの“デヴィッド・S・ゴイヤー”と、ドラマ『スノーピアサー』を手がける“ジョシュ・フリードマン”。各エピソード監督には、全体評価はイマイチながら映像だけはゴージャスだった『ゴースト・イン・ザ・シェル』の“ルパート・サンダース”、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の“アレックス・グレイヴス”、ドラマ『エクスパンス 巨獣めざめる』の“ジェニファー・ファング”、ドラマ『スタートレック ヴォイジャー』の“ロクサン・ドースン”などが関わっています。

俳優陣は、『ヴォイジャー』の“ルー・ロベル”、『ファイティング・ファミリー』の“リア・ハーヴィ”といった若手が主役に抜擢。ちなみに“リア・ハーヴィ”はノンバイナリーです。

そして、“ジャレッド・ハリス”、“テレンス・マン”、“ラウラ・ビルン”などのベテランも。また、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『キャプテン・マーベル』でロナンを演じて印象に残った人も多いであろう“リー・ペイス”が今作でも憎たらしいほどに活躍するのでお楽しみに。

ドラマ『ファウンデーション』はシーズン1は全10話(1話あたり約50~60分)。重厚なSFであり、わかりやすいエンタメというハードルの低さではないかもしれませんが、気になる人はぜひ。「原作:アイザック・アシモフ」って画面にバーンとでるのはやっぱり印象的ですからね。

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『ファウンデーション』を観る前のQ&A

Q:専門用語ばかりで難しい?
A:いくつか専門用語が登場しますので以下に解説しておきます。
【世界観】
銀河系をめぐる壮大な世界を舞台にしており、未来史を描いています。非人型の異星人は登場せず、みんな人間です。
【銀河帝国】
銀河系全体を統治している国家であり、惑星「トランター」を中心に、皇帝が絶対的な権力を持っています。
【心理歴史学】
本作独自の架空の理論。人間集団の行動を数学的に予測し、未来さえも予測するという手法であり、これが物語の起点となります。

オススメ度のチェック

ひとり3.5:SFファンは要注目
友人3.5:マニア同士で語り合う
恋人3.5:趣味が通じ合えるなら
キッズ3.5:SFが好きな子なら
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『ファウンデーション』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『ファウンデーション』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤):辺境の地が私の物語になる

銀河の最果てにある非居住惑星「ターミナス」。砂と岩の大地に囲まれたこの場所で、4人の子どもが防壁で待ち合わせして、こっそり壁の外へ。目指すは「ヴォールト」という謎の構造物がある、入植者は近づけないことになっている領域です。ヴォールトに近づくとなぜか意識を失います。キーアがジアにそそのかされて勇気試しでヴォールトに近づこうとしますが、変な感覚に襲われてキーアは帰ってきます。今度はポリーが行きますが、その場で気絶。残った3人は助けを呼びに行くも、駆け付けたサルヴァー・ハーディンに助けられました。サルヴァーは唯一、この「ヌルフィールド」に立ち入っても平気な人間で、番人として仕事をしていました。

どうしてこの地に入植者がいるのか。発端は35年前。「シンナックス」という惑星では、ガール・ドーニックという若者が数学コンテストで数学上の難問アブラクサスを解いて優勝したことで銀河帝国の中心惑星「トランター」に招待されました。この故郷の星を出ることに寂しさを感じつつ、母は背中を押され、決心します。

宇宙船に乗ると、ジェリルという男と知り合い、トランターに到着後も色々と教えてくれます。次に合流したのはレイチという男。彼はハリ・セルダンという著名な学者の教え子であり養子。ガールはこのセルダンの元で学ぶことになっていました。

緊張したときは素数を数えるガールはいよいよセルダンと面会。しかし、いきなり衝撃的なことを告げられます。

「私と君は明日逮捕される」

なんでもセルダンが考案した心理歴史学によって銀河帝国の崩壊が予測され、それが帝国のクレオン1世のクローンである皇帝にとって気に障るものだったからというのです。

セルダンは逮捕され、ガールも起訴されます。すぐに裁判が開廷。セルダンは「5世紀以内で帝国が滅ぶ」とあっさり公言。しかも「滅びは防げないが暗黒時代を1000年に短縮ならできる」と断言。後世の者たちが文明を築く基礎「ファウンデーション」を作ることを提案します。

悩みましたがガールも「計算は正確です」と後押し。

その瞬間、トランターの軌道エレベータであるスターブリッジが、外縁部の国であるアナクレオンセスピスの者と思われるテロリストの自爆テロにより次々と破壊され、都市に落下。1億人が死亡してしまいます。

これは予測の正しさを示しているのか…。

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シーズン1:究極の家父長制クローン

『ファウンデーション』は原作がそもそも“エドワード・ギボン”の「ローマ帝国衰亡史」を元ネタにしていることからもわかるように、強大な権力を誇る支配体制が崩壊していくさまを描く、スケールの大きいストーリーです。アニメ『平家物語』も同じですね。

それが銀河クラスの未来史として描かれるのが『ファウンデーション』ですが、構図としては「知識・学問を重視するファウンデーションのチーム」vs「知識・学問を疎かにする銀河帝国の皇帝体制」の対立であり、このあたりも押さえておけば壮大なわりにはわかりやすいです。

まず銀河帝国の皇帝体制側ですが、帝政とはいえ、本作のそれは超極端です。一瞬混乱した人もいたかもですけど、要するに400年前の初代の皇帝であるクレオン1世のクローンが代々座を受け継いでおり、しかも年齢の異なる3世代のクローンが常に存在し、ブラザー・ダスク(夕暮れ)、ブラザー・デイ(昼)、ブラザー・ドーン(夜明け)…と名乗っています。このうちブラザー・デイが実質的な権力執行者です。年をとると新たな赤ん坊がドーンとなり、かつてのドーンがデイとなり、かつてのデイがダスクとなり、かつてのダスクはダークネス(闇夜→死)としてこの世を去ります。

これはある種の究極の家父長制であり、永久に特定の男性像が象徴として君臨し続ける。科学も芸術も宗教も見下し、絶大な権力だけを欲しいままにする。

しかし、ここに綻びが生じます。クレオン13世の統治時代、若きブラザー・ドーンは庭師のアズーラ・オディーリに恋をし、自身の運命に疑問を持ちます。しかも、最終話ではクレオン1世のDNAの時点で変異が生じており、今までの継承は欺瞞だったことが判明。

さらにここで気になるのが、皇帝の宰相のエトー・デマーゼル。実はアンドロイドであり、この世界では相当に珍しいロボット。これは“アイザック・アシモフ”のもうひとつの代表的なSF作品「ロボット」シリーズと「ファウンデーション」シリーズが途中から緩やかに世界観共有していることに由来し、このドラマ版では早々にアンドロイドをお目見えさせています。加えて、本作ではデマーゼルを女性として描くことで家父長制に従属してきた女性の実像とも重ねており、一層意味深くなっていました。

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シーズン1:2人の女性の合流が気になる

対するファウンデーションのチーム側。こちらは主にガール・ドーニックとサルヴァー・ハーディンの2つの視点でやや時間軸が何度かジャンプするように描かれ、シーズン1の最終話でこの2人がついに合流します。

本作ドラマ版でのこの2人の描かれ方はかなり大胆にアレンジされており、2人とも女性キャラクターとなり(ジェンダーが何かは知りませんが少なくとも扱われ方としては女性)、物語を引っ張るリードとしても重要性があがっています。ただの若い数学の天才かと思ったら予知能力でもあるかのように未来を察知できるガール、統計モデルには外れ値が存在するように特殊な立ち位置で常に事象の中心にいるサルヴァー。138年後のシンナックスで出会った2人は母娘なのか…謎は深まるばかり。

また、ヴォールトから出現した死んだはずのハリ・セルダン(デジタルな複製)が真の目的(単なる百科事典の編纂ではなく、知識や人材を保存してアナクレオン人やセスピス人と団結して外縁に帝国に対抗できる文明を築くこと)を語りだし、ターミナスに集結した一同をまとめ、運命に導きます。本作では連帯させるニュアンスが強くなっており、ここも現代的なアプローチです。

反科学・反知識というのは現代社会でも権力者(とその支持者)の傾向として問題視されている部分ですし、本作はそうした背景を取り込みつつ、古典的名作を今の世界でも通じるものへと変えていこうという強い意志を感じます。原作を知っている人でもこのドラマ版の今後の展開はちょっと予想がつきにくいんじゃないでしょうか。

欠点があるとすれば、物語がかなり乱切りのように散発的なので、視聴者としてはひとつに落ち着かず、集中しづらいことです。とはいえこのシーズン1は序章も序章、世界観とキャラクター紹介みたいなものでもあり、キャラクター同士の化学反応が生まれるシーズン2以降から作品のダシが効いてくるのではないかなとも感じます。でもこの作品、時代がかなり飛ぶからなぁ…。

どこまで映像化するんだろう…。せめて原作3巻くらいまではドラマで描いてほしいけど、一体シーズンがいくつになるのかな…。

『ファウンデーション』
ROTTEN TOMATOES
S1: Tomatometer 70% Audience 58%
IMDb
7.4 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
6.0
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作品ポスター・画像 (C)Apple

以上、『ファウンデーション』の感想でした。

Foundation (2021) [Japanese Review] 『ファウンデーション』考察・評価レビュー