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ドラマ『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』感想(ネタバレ)…新しさと懐かしさ

スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド

二兎を追うものは宇宙へ…ドラマシリーズ『スタートレック: ストレンジ・ニュー・ワールド』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Star Trek: Strange New Worlds
製作国:アメリカ(2022年~)
シーズン1:2023年~2024年にWOWOWで配信
シーズン2:2023年~2024年にWOWOWで配信
原案:アキヴァ・ゴールズマン、アレックス・カーツマン ほか
恋愛描写

スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド

すたーとれっく すとれんじにゅーわーるど
スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド

『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』物語 簡単紹介

2259年、U.S.S.エンタープライズは未知の広大な世界が続く宇宙を探索する旅を続けていた。クリストファー・パイクを船長とするチームは連携して任務にあたるが、ときには予想外の現象に遭遇し、さらに狡猾な敵襲に襲われることもある。しかし、スポックを始めとする優秀なクルーが揃っており、その危機を毎回乗り越える。そして、今日もU.S.S.エンタープライズは未来に向かって進んでいく。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』の感想です。

『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』感想(ネタバレなし)

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ストレンジ・ニュー・ワールド!

コロナ禍と共に佳境に入った動画配信サービス競争は、パンデミックがひと段落すると一気に競争速度は落ち込み、取捨選択による利益重視モードに突入しました。

そんな中、日本にまだ足を踏み入れていない海外の動画配信サービスもいくつかありました。そのひとつがパラマウント・グローバル傘下の「Paramount+」です。

2021年3月に「CBS All Access」から「Paramount+」へと名を変え、アメリカのハリウッド企業各社がひしめき合う動画配信サービスの市場にやや遅れて本格参入。

日本ではしばらく全く展開する気配がありませんでしたが、2023年12月からWOWOW並びにJCOMがパートナーとなり、それぞれの企業で既に展開しているビデオオンデマンド・サービスで「Paramount+」独占作品が配信されることがやっと決定。

ただし、これは「Paramount+」がそのまま日本に到来したわけではなく、あくまでWOWOWとJCOMの部屋を間借りしているだけ。しかも、一部の「Paramount+」独占作品は「Netflix」「U-NEXT」「Amazonプライムビデオ」に散らばっており、正直、かなりわかりづらいです。まあ、でも今後はこういうケースは増えるだろうな…。

ともあれ、私が一番見たかった「Paramount+」独占作品が観れるようになったので良しです。

それが本作『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』

「スター・トレック」シリーズは2016年の『スター・トレック BEYOND』以降は映画館から遠のき、ドラマシリーズとして複数作が配信展開して拡張してきました。

全部観ている人はどれくらいいるのかな…。日本だと『スタートレック ディスカバリー』が2017年から「Netflix」で配信され、後に撤退してディスク・オンリーに。そして『スタートレック ピカード』が2020年から「Amazonプライムビデオ」で配信されてきました。そして今回の『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』がWOWOW・JCOMですよ。見事にバラけてる…。

最新の『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』ですが、内容はシリーズ最初期の『宇宙大作戦』の前日譚というか、時間軸としてはその前の時期を描いており、あの「クリストファー・パイク」を船長とする「U.S.S.エンタープライズ NCC-1701」が主題となっています。

これ、「スター・トレック」ファンなら「おお~!!」となる大歓喜の作品なのですが、わからない人には「は?」って感じだろうな…。

ざっくり説明すると「スター・トレック」シリーズの始まりとなった1966年の『宇宙大作戦』。それで船長だったのが「ジェームズ・T・カーク」で、その前任としてちょこっとだけ言及されたのが「クリストファー・パイク」なんですね。シリーズではレジェンド級のキャラです。

ドラマ『スタートレック ディスカバリー』で「クリストファー・パイク」がゲスト的に出演したのですが、その際に演じた“アンソン・マウント”の存在感が好評で、今回の『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』の企画が始動したそうです。

ということで、おなじみのキャラの若かりし頃がでてくるなど、ファンにはたまらない一作でありながら、原点を描くので初心者にも入りやすいドラマとなっています。

『スタートレック ディスカバリー』が挑戦的なアプローチで、『スタートレック ピカード』はノスタルジー全開でしたが、本作『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』はちょうど新しさと懐かしさの良いとこどり。最後の切り札を使った感じですね。

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『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』を観る前のQ&A

Q:『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:特にありません。
✔『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』の見どころ
★新しい部分と懐かしい部分を両方味わえる。
✔『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』の欠点
☆斬新さの勢いはやや控えめ。

オススメ度のチェック

ひとり 3.5:初心者でも
友人 3.5:ファン同士で
恋人 3.5:ロマンスもあり
キッズ 3.5:子どももようこそ
↓ここからネタバレが含まれます↓

『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

地球のアメリカ合衆国のモンタナ州。ゆったりとした空気に包まれるこの田舎。草原にぽつんとあるロッジで、クリストファー・パイクは『地球の静止する日』という相当に古い映画を鑑賞しながら、ひとりで料理作りを楽しんでいました。

そこにマリー・バテルが寝室から降りてきます。2人は交際しており、休暇を過ごしていたのです。パイクは惑星連邦の宇宙艦隊所属で、探査船「U.S.S.エンタープライズ NCC-1701」の船長です。現在は船はドッグで整備中。バテルも「U.S.S.カユーガ」の船長です。

そのとき、コミュニケーターが鳴り、通信が入ります。何かの呼び出しですが、パイクはこの時間を満喫したいと思っていました。

それでも馬で雪景色を駆け抜けているとシャトル飛行船が迎えに来ます。「U.S.S.エンタープライズ」の初代船長ロバート ・エイプリルの直々のお出ましです。

どうやら新たな星でのファースト・コンタクト任務中、指揮するウーナ・チン=ライリー(ナンバーワン )が何かのトラブルに遭ったようです。「U.S.S.エンタープライズ」は整備を途中で切り上げて救助にでることになりました。

一方、バルカンではスポックが婚約者のトゥプリングと、結婚について聞かれていました。スポックはバルカン人と地球人の混血で、「U.S.S.エンタープライズ」の科学主任。バルカン人の思想に完全に染まっておらず、規範的なバルカン人であるトゥプリングに少し気まずくなります。

しばらく後、緊急招集で「U.S.S.エンタープライズ」のクルーは船に揃いました。保安主任のラアン・ヌニエン・シン、操縦士のエリカ・オルテガス、医療主任のジョゼフ・ムベンガ、看護師のクリスティン・チャペル、機関主任のヘマ―、通信担当の士官候補生のウフーラ

船のメインコントロールであるブリッジに揃う一同。発進前にパイクは手元に不吉な幻覚をみます。そんな気持ち悪さを無かったことにし、気を取り直して全クルーにミッションを説明。そして「Hit it」と発進を命じます。

目的地のカイリー279星は内乱状態にありました。どうやら近くで活動していた「U.S.S.ディスカバリー」を観測し、そこから大量破壊兵器の着想を得てしまったようです。

ウーナらを救出した後、この星を放置できないと感じたパイクは内政干渉を禁じるルールを破り、過去に起きた悲惨な地球の滅亡の歴史を語って示して、惑星連邦への加入を促します。

反省を未来に繋げる。それが自分たちに今できること…。

この『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2024/11/13に更新されています。
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シーズン1:新しく描き直される旧作

ここから『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』のネタバレありの感想本文です。

『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』の開幕は、普段は宇宙艦隊探査船が未知の惑星にファースト・コンタクトする視点ですが、それを反転して未知の船の到来に衝撃を受ける惑星側の視点になっているという意気な演出。まさに「スター・トレックの世界へようこそ!」って感じですね。

さて本格的に主役で描かれることになったクリストファー・パイク。初期の『宇宙大作戦』のジェームズ・T・カークといい、やはりシリーズ当初は先駆的と言われてもこの主役船長の男性像は保守的なものでした。今回、そのイメージを刷新するかのように「男らしさ」にアップデートが入っています(なので作品の立ち位置はリブートっぽい)。

冒頭から今回のパイクの料理趣味っぷりが示されますし、相変わらず女性にモテる姿もところどころ映りますが、どこか落ち着いています。それと並行し、己の不穏な未来(これは『スタートレック ディスカバリー 』で詳細に導入された設定)を知った事実とどう向き合うかという葛藤が人生ドラマのバランスをとっています。正直、私はこの未来設定、あまり好きじゃないんですけどね(なんかディサビリティをひときわネガティブに誇張するみたいなので)。

一方のスポックですが、婚約者のトゥプリングと医療チームのチャペルとの三角関係ロマンスを軸にするみたいです。まあ、スポックのこの時期のドラマとして描ける範囲だとこれくらいのスケールしかないか…。

本シリーズは定期的に特殊世界観設定で展開するエピソードを届けてくれますが、シーズン1は第8話がその回でした。ムベンガの娘ルキヤの好きなファンタジー本の世界に変身し、みんな各自の役割でノリノリに。「スター・トレック」が「スター・トレックのパロディ」を逆にパロディし返したみたいになってました。

レプリゼンテーションとしては、イーナー人のヘマー。ヘマーは種族として基本が盲目なのですが、今作でヘマーを演じた“ブルース・ホラック”も視覚障がい者で当事者キャスティングです。第9話でヘマーが早々に死亡退場となったのは残念だけど…。

クィア要素についてはわりと薄めです。いや、キャスティングはいかにも「クィアですよ!」って姿勢を感じるんですよ。バイセクシュアル設定らしいチャペルを演じた“ジェス・ブッシュ”もクィアだと公表してるし、オルテガスを演じる“メリッサ・ナヴィア”も中性的な雰囲気を上手く体現してるし、第7話で登場する海賊の首領エンジェル船長を演じる“ジェシー・ジェイムズ・カイテル”はトランス女性だし…。

ただ、いかんせんストレート・ロマンスが目立つんですよね。別に「Spirk」(スポックとカークのシップ)を期待してるわけじゃないけど、もうちょっと頑張ってほしいところ。

そのジェームズ・T・カークは第10話でイレギュラーな状況ですが、“ポール・ウェズレイ”演じる姿で堂々と登場しました。シーズン2では出番が増えそうですね。

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シーズン2:ふざけたかと思えば、激シリアスに

『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』のシーズン2は、第1話目から臨時の艦長代理のスポックの堅苦しい発進指示といい、第5話でバルカン人の遺伝子を除去されて焦る姿といい、スポックの可愛さが増量してました。

シーズン2のおふざけ回として、アニメ『スタートレック ローワー・デッキ』のクロスオーバーをやってしましたね。オープニングもアニメで凝ってるし、ボイムラーとマリナーは実写になっても最高に面白いし、ずっとあそこにいてほしかった…。それにしても『スタートレック ローワー・デッキ』は日本では「Amazonプライムビデオ」でのみ扱っているので、それがWOWOW・JCOMに乱入するのだから、もうめちゃくちゃだな…。

さらに第9話は本格的なミュージカル回。ここで真価を発揮するのがウフーラを演じる“セリア・ローズ・グッディング”。実はミュージカル畑の俳優で、舞台劇でグラミー賞をとって、トニー賞にも最年少ノミネートしてるくらいの実力の持ち主なので、桁外れのパフォーマンスでしたね。贅沢な回だった…。

ストーリー部分だと、やはりこの時期はシリーズ初期で種族間の仲は悪い状況にあり、ギスギスしてますよね。第8話の連邦に亡命したクリンゴン人の話は激重です(このシリアスな回があのおふざけクロスオーバーとミュージカルに挟まれているのか…)。

そんな時代だからこそ、第2話でイリリア人としての人権尊重を第一に語るウーナだったり、同船することになるランタナイト人のペリアだったり、そうしたマイノリティな種族の存在が物語を引き締めさせてくれます。

そうした中、本作はゴーン人を最恐の敵とするのかな。『宇宙大作戦』では緊張感のないシュールな戦闘がネタにされ弄ばれてきましたけど、本作では完全に『エイリアン』。私は『宇宙大作戦』版のゴーン人のほうが好きですよ…。

最終話ではモンゴメリー・スコットも登場して、『宇宙大作戦』のメンバーが着実に揃ってきました。たぶんこのドラマの完結は『宇宙大作戦』のクルーが勢揃いして、原点の第1話に繋がってフィナーレなんだろうな。もう見えましたよ(違ったらどうしよう)。

『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』
ROTTEN TOMATOES
S1: Tomatometer 99% Audience 81%
S2: Tomatometer 97% Audience 77%
IMDb
8.3 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
6.0
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関連作品紹介

「Paramount+」(もしくはパラマウント・ネットワーク)独占ドラマシリーズの感想記事です。

・『イエローストーン』

・『Halo』

・『ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男』

作品ポスター・画像 (C)Paramount ストレンジニューワールド スタートレックSNW

以上、『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』の感想でした。

Star Trek: Strange New Worlds (2022) [Japanese Review] 『スタートレック ストレンジ・ニュー・ワールド』考察・評価レビュー
#スタートレック #スペースオペラ #地球外生命体