自分まで失わないで…映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2026年)
日本公開日:2026年7月31日
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
恋愛描写
すぱいだーまん ぶらんどにゅーでい

『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』物語 簡単紹介
『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』感想(ネタバレなし)
4作目に突入!
日米同時劇場公開だ…ネタバレを気にしなくていい…。公開日当日に映画館に行けばいいだけ…。なんてラクなんだ!
ということで、さっそく『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』の感想です。
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の“トム・ホランド”演じるスパイダーマンが初顔出しとなったのが2016年の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』。そして『スパイダーマン ホームカミング』(2017年)、『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』(2019年)、『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)と3部作が続きました。
あらためて振り返ると“トム・ホランド”のスパイダーマンは挑戦の連続でした。
そもそもディズニー傘下のMCUが競合企業のソニーが映画化権を持つスパイダーマンと企業の枠を越えてクロスオーバーするのも異例でした。この異例のクロスオーバーを活かして、MCUからさまざまなキャラクターを引っ張りこんでくる楽しさを上手く活かしていました。
そして3部作ラストの『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』では、ソニーの過去のスパイダーマン映画から“トビー・マグワイア”と“アンドリュー・ガーフィールド”演じるスパイダーマンを共演させる…考えうるかぎり最高の集大成をみせてくれました。日本での3週間公開日ズレ騒動も今となっては良い思い出ですよ。
あの『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』を観てしまったら、この次は何をするの?って感じでしたが、2026年の今作『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』は…うん、まあ、ネタバレなしだと何も言えないか…。
でもひとつ思うのは、“トム・ホランド”の成長です。いや、役者としての成長はもちろんなのですけど、ヒロインの“ゼンデイヤ”とも結婚したり、仕事でもプライベートでもこのスパイダーマンと共に重なった彼ですが、もはやフィルムメーカーとして鍛えられて立派になった気がする…。今はもう業界をリードする30歳です。約10年で、みんなにチヤホヤされる子どもの“トム・ホランド”から、大黒柱でシリーズを先導する人物になりましたよ。ネタバレしちゃう危なっかしい子ども扱いはできません。
“トム・ホランド”がいれば『スパイダーマン』シリーズは大丈夫だと安心できますもんね。
4作目の『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』はそういう意味では安定の安心感です。
後半の感想ではある程度のネタバレはしますけど、オチの詳細には触れないので、そのつもりで。映画館に行こう!
大切な人を失ってツラいときでも、寄り添ってくれる映画です。
『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』を観る前のQ&A
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Q『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』を観る前に観たほうがいい作品は?
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A
前作の『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』を観ておくのがオススメです。
鑑賞の案内チェック
| 基本 | — |
| キッズ | 子どもでも観れます。 |
『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
放射能を浴びたクモに噛まれて、驚異的な身体能力を得た高校生のピーター・パーカーは、その能力を活かしてニューヨークの街でスーツを着て「スパイダーマン」としてヒーロー活動をし、アベンジャーズのメンバーとして地球も救いました。ところが、自分の正体が世間手に暴露されて慌てていた最中、ある魔術の暴走のせいで、世界中の人々から「ピーター・パーカーに関する記憶」が全て抹消されることに…。こうして、大親友のネッドや恋人のMJを含む、あらゆる人間がピーター・パーカーのことを忘れてしまいました。
高校の楽しかった思い出も、何もかも失って…。
独りとなったピーターはニューヨークの小さな新居で、ヒーロー活動を続け、素性のわからないスパイダーマンとして認知され続けます。スコーピオンや犯罪集団「ハンド」など、さまざまな敵を倒してきました。
正体を隠しての活動なのでずっとマスクを被ったまま。警察のデウォルフ刑事くらいしか話し相手がいません。
たまにネッドのSNSをチェックしますが、ここから離れたボストンのマサチューセッツ工科大学(MIT)に楽しそうに通っている動画を投稿しており、同じところに進学したMJもたまに映って元気そうな姿がそこにありました。でも眺めるしかできません。
ある日、人工知能アシスタント「E.V.」のサポートのもと、事件現場へ向かいます。装甲車が暴走しているようです。途中で自警団活動仲間の「パニッシャー」ことフランク・キャッスルと遭遇し、彼のいつもの乱暴なやりかたを諫めます。
装甲車はダメージ・コントロール局に突っ込みました。危険な能力者に対処する組織です。
しかし、横転した装甲車の中にいたのは、どうみても不釣り合いな高齢女性がひとり。不思議に思った次の瞬間、別の人間に強烈な敵意を感じます。そのスパイダーマンだからこそ感じ取れる敵意はどんどんいろんな人に移動していきます。そして拘束していたスコーピオンを運ぶヘリの操縦士に嘘の目的を吹き込み、スパイダーマンを嘲笑いながら敵意だけが消えました。
ダメージ・コントロール局の責任者であるウィリアム・“ビル”・メッツガーは、その敵意はここにある“あるもの”を狙っているようですが、詳細は教えてくれません。
ニューアベンジャーズのエレーナ・ベロワにも会いに行きます。ボディチェックのために裸で湯船に一緒に浸かりながらの会話。どうもブラック・ウィドウの養成組織「レッドルーム」がかつて行っていたようなマインドコントロールとも違うようです。「ずっとマスクしたまま独りでやってるの? ガールフレンドやボーイフレンドもいないの?」と気にかけてくれますが…。
あまりに謎だらけで打つ手なしとなる中、ネッドとMJがニューヨークに戻ってきていることを知り…。

ここから『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』のネタバレありの感想本文です。
謝って他人に頼れるスーパーヒーローに
『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』は、ついに「まだ“子ども(キッド)”だから…」とは言えなくなったピーター・パーカーが初めて描かれます。
しかし、その出だしはあまり悲痛で切ないです。一番苦しいときに傍で抱きしめてくれた親友と恋人の記憶から消え、それでもなお親愛なる隣人でいることの精神的苦悩が充満しています。
本作は何よりもこのピーター・パーカーが救われる物語でした。やっぱり観客が一番に気になるのもそこでしょうからね。たぶん昔のハリウッドだったら、新章なので登場人物も心機一転させます!くらいのことはしたでしょうけど、この“トム・ホランド”演じるピーターはそうはいかないんですね。あのネットとMJの関係性があまりに最高値を叩き出しており、あれ以上のものはないと観客も製作陣も確信しているからこそです(まあ、“トム・ホランド”と“ゼンデイヤ”が現行のハリウッドのベストカップルであるというのもあるけど)。
一方で、ピーターとMJがまたカップルに戻りました!という安易なハッピーエンドにしないあたりはさすがですね。そうするのがベタだけど、そうはしない。かといって、露悪的な展開というわけでもない。やはりそこには倫理観というものがありますし、ひとりの人間に対するケアの正しい在り方があります。
孤独で寂しさを抱える男が恋人を手に入れて幸せになる…なんてオチは時代錯誤だし…。そうじゃなくて、ちゃんとツラさを他人に吐露し、他者の助けを受けられるようになろう…そういう軸がしっかりしています。
全てを知ったMJがその点(話さなかったこと)をピーターにきっちり怒るところも良いシーンです。その際、操られていたとは知らずにMJにキスしたことを素直に謝るピーターもまた良くて…。『オブセッション 災愛』のアイツに見せてやりたいよ…この模範的な行いを…。
『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』にゲスト出演したのが、エレーナとフランクだというのも、このテーマ性に合っています。
エレーナもフランクも大切な人を失い、孤独を抱えていた人間です。フランクなんて『パニッシャー:ワン・ラスト・キル』がMCUでもとくに精神的苦痛のダークさが強烈な一作でしたから。
それぞれがそれぞれなりの経験があり、ゆえにこの不器用な20代の若者に手を差し伸べることができる。
みんなの記憶から消えても、ヒーローとしてニューヨークのみんなから愛されているという実感に包まれるあのラストの多幸感。過去に固執せずに見知った顔の仲間と再出発できるまだ見ぬ未来への喜び。
“トム・ホランド”のスパイダーマン、本作にて真の脱皮を遂げました。
自分の技術に責任を持てる大人に
『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』は、敵対側との物語としては、前3部作から受け継ぐ、「テクノロジーを悪いことに使ってはいけない」というテーマを展開します。
振り返れば、トニー・スターク(アイアンマン)だったり、ドクター・ストレンジだったり、たいてい若干お手本にならないオッサンの技術(魔術)の尻拭いをさせられてきたピーター。しかし、今回は自分のテクノロジーの責任を問われます。
そこで大きな相手となるのが、満を持してMCUで初登場となったジーン・グレイです。“セイディー・シンク”が何の役なのかと散々公開前から噂になっていましたが、ジーン・グレイがついにその力を発揮してくれました。
でも私は正直、どんなキャラクターがでるかというオタク的な観点はそんな興味なくて、それよりもテーマと合致しているかが大事で…。
ジーン・グレイの場合も、今作の一貫したテーマを知れば、納得でした。
本作のスパイダーマンは「能力をテクノロジーで都合よく抑制していいのか?」という、技術倫理と向き合うことになります。『X-MEN』のミュータント差別の要素を先取りするというか、その地ならしという感じでしょうか。今の時代、AIの登場でテクノロジーがさらに社会の奥深くに浸透しつつある中、あらためて重要で身近な倫理観でもありますけども。
身体から有機的に糸を出せるようになるなどの突発的な変化に戸惑いつつ、そこでブルース・バナーから「本当にそれは正しいことか? 善悪の判断はどこでするのか?」と大切な指導を受け(指導者としては良い仕事してくれますね。ハルクの暴れっぷりで最終的に大幅にマイナスになるけど)、このピーターの道徳と正義が最後の踏ん張りどころになりました。「大いなる力には大いなる責任がともなう」をどういうかたちであれ忘れていないスパイダーマンはやはり良いものです。
姉のサラをダメージ・コントロール局の非道な実験で殺され、その怒りで破壊衝動に染まるジーン・グレイにあのメイおばさんの言葉を届けてあげる。これぞ『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』を経た私たちの知っているスパイダーマンの正しさですよ。他のスパイダーマンにはきっとできないはず。
悪い大人に振り回されるかたちで子どもを追い詰めてきた“ジョン・ワッツ”監督の意地悪なセンスは、今回の『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』の“デスティン・ダニエル・クレットン”監督も上手く引き継いでいるのですが、そこにケアの倫理を乗せる技が見事でしたね。
しかも、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』でみせた体術アクションの見せかたも手慣れていたし…(覚醒前と後も含め、ハンドとの戦闘はカッコいい)。“デスティン・ダニエル・クレットン”、本当に理想的なスパイダーマン映画の監督なんじゃないでしょうか。
頼もしい“トム・ホランド”は次は「次世代を育成するスパイダーマンをやりたい」なんてインタビューで言っていますが、彼なら大丈夫でしょう。見ていて何も心配はないです。
映画館のある施設でツラい出来事が起こって最近は悲しかったけど、やっぱり大切な人を失ってツラいときでも寄り添ってくれるのも映画なんだなと再確認できました。苦しいときこそ助け合おう。独りで頑張りすぎないで…。
シネマンドレイクの個人的評価
–(未評価)
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
関連作品紹介
以上、『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』の感想でした。
作品ポスター・画像 (C)2026 MARVEL スパイダーマン4 ブランドニューデイ ブランニューデイ
Spider-Man: Brand New Day (2026) [Japanese Review] 『スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ』考察・評価レビュー
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