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『スーサイド・スクワッド』感想(ネタバレ)…だから楽しくいこうと言ったのに

スーサイド・スクワッド

だから楽しくいこうと言ったのに…映画『スーサイド・スクワッド』の感想&考察です。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Suicide Squad
製作国:アメリカ(2016年)
日本公開日:2016年9月10日
監督:デビッド・エアー

スーサイド・スクワッド

すーさいどすくわっど
スーサイド・スクワッド

『スーサイド・スクワッド』あらすじ

バットマンをはじめとするヒーローたちによって投獄され、死刑や終身刑となった個性豊かな悪党たち。手が付けられない狂人・変人ばかりで、独房に閉じ込めるしかない存在だった。しかし、そんな奴らが減刑と引き換えに「スーサイド・スクワッド(自殺部隊)」の結成を強制され、危険なミッションに挑むことに…。

『スーサイド・スクワッド』感想(ネタバレなし)

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ハーレイ・クインのお披露目ショー

映画の予告動画はとても大切です。その映画の第一印象が決まってしまうわけですから。今の時代は動画サイトもありますし、予告動画が注目されればどんどん拡散して宣伝にもなります。

その点でいえば、本作『スーサイド・スクワッド』の予告動画は実に楽しいものでした。Panic At The Discoの「Bohemian Rhapsody」のリズムと効果音を合わせたノリノリのPVは、アメコミに詳しくない層にも受けがよさそうな感じがGoodです。

知らない人のために言っておくと、映画の予告動画は映画本編の製作チームとは違う人たちによって作られています。映画の予告動画専門の会社があるのです。なので、予告と実際の本編の印象が乖離することも少なからずあります。

そして『スーサイド・スクワッド』も予告と本編の印象が全く違う作品です。予告動画のようなハチャメチャな楽しい雰囲気を期待するとがっかりします。私も『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』とか『キングスマン』みたいな、ノリノリな音楽と楽しい奴らの暴れっぷりがシンクロするエンタメ映画なのかと思っていました。

本編を見た後、「PVが一番面白かった」という残念な感想が私の頭に浮かんだのは正直なところ。
この想像との落差も原因にあるのか、本作はアメリカでは公開と同時に批評家から酷評。その評価の悪さにファンが怒り、批評サイトの閉鎖を求める事態に発展しました(自分の好きな作品に悪評がつくのが嫌だというのは理解できるけど、こんなことしても作品にマイナスにしかならないだろうに…)。この酷評っぷりは、同じく今年公開されて酷評されたDCコミック映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の再来といえるかも。今年のDCコミック映画は評価が芳しくないですね(興収は大好調ですが)。

もちろんファンムービーとしては一定のクオリティは超えています。本作の魅力はなんといっても悪役のキャラクターたち。とくに公開前からすでに大人気のイカれたセクシーガール・“ハーレイ・クイン”は抜群。演じたマーゴット・ロビーの代表キャラになったことは言うまでもなく、単独作だってじゅうぶん期待したくなるほどです。初登場時の原作ではピエロみたいな恰好をしているのですが、今作でがギャル風パンクファッションで、なんか日本人の嗜好と親和性が高そう。もしかしたら日本で一番女性に受けるアメコミキャラになるかもという期待もできます。『スーサイド・スクワッド』をどんなに酷評しても、彼女のビジュアルの完成度には文句はでないでしょう。

ただ他のキャラはあんまり…。日本ではハーレイ・クインがメインのような宣伝がされていますが、確かに彼女は物語の主軸を担う人物のひとり。ですが、もうひとり、ウィル・スミスが演じる“デッドショット”のエピソードも大きく描かれます。いろいろな意味で前に出過ぎるクセがあると映画通からは嫌がられたりもするウィル・スミスですが、今作でも目立ってましたけどハーレイ・クインがいるおかげで中和されてました。あと他のキャラもまあまあ描かれるのですが、やっぱりハーレイ・クインには一歩劣る感じに私は見えました。

なので、多数のキャラが総出演する本作ですが、結局最後に印象に残るのはハーレイ・クイン独りになるのは間違いないです。はっきり言えば、本作はハーレイ・クインのお披露目ショーです。映画料金をハーレイ・クインひとりに払えるか考えてください。

逆にいえばハーレイ・クインがいなかったらどれだけ酷かったのかという嫌な想像もできますが…。

それを含めて楽しめるかどうかが評価の分かれ目となります。

DCコミックファンじゃない人はハーレイ・クイン目当てで観るぶんにはギリギリありかな…。これを機にハーレイ・クインのファンになって、彼女の単独主演作の実現の後押しに貢献してください。

ちなみに本作は一応『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の続きのストーリーになっています。絶対に観るべきというほどではないですが、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のオチのネタバレがさりげなく流れますから、嫌な人は事前にこちらも観ておくとよいと思います。

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『スーサイド・スクワッド』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『スーサイド・スクワッド』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):悪には悪で対抗する

ルイジアナ州のブラックサイト。この刑務所は普通の刑務所ではありません。極悪犯専門の収容施設なのです。今日も極悪犯罪人は厳重な牢獄の中で刑務官にいたぶられています。

スーパーマンの死によって世界は変わりました。世の安全を脅かす存在にどう対処するべきなのか。アメリカ政府の高官アマンダ・ウォラーには策がありました。「悪には悪で対抗する」

こうして「タスク・フォースX」プロジェクト、通称「スーサイド・スクワッド」の結成が実現します。メンバーは極悪人たち。

フロイド・ロートン、別名「デッドショット」…プロの暗殺者で4km先も狙撃できます。娘との幸せな生活を夢見ていましたが、バットマンに捕まりました。

ハーリーン・クインゼル、別名「ハーレイ・クイン」…アーカム精神病棟に努めていましたが、そこでジョーカーをセラピーしている間に恋に落ち、悪に染まりました。

ディガー・ハークネス、別名「キャプテン・ブーメラン」…オーストラリアで強盗をやり尽くしてアメリカに来たものの、神出鬼没のフラッシュによって確保されました。

チャト・サンタナ、別名「エル・ディアブロ」…炎を召喚できるこの男は愛する者を殺してしまい、失意のままに自ら投降しました。

ウェイロン・ジョーンズ、別名「キラー・クロック」…爬虫類のような姿になってしまって、怪物扱いされて下水道に逃げ込んでいました。

ジューン・ムーン、別名「エンチャントレス」…考古学者でしたが、短剣中に冥界の魔女に憑りつかれてしまい、恐るべきパワーを持ちました。彼女の心臓はアマンダの手中にあります。

この強烈なメンバーを制御するべくチームをまとめるのがリック・フラッグ大佐です。ジューン・ムーンと恋愛関係にあり、彼女も同行するかたちで任務に参加します。乗り気ではありませんが、ジューンを人質にとられているようなものなので渋々納得。

政府の上層部はその無謀な作戦を信用しませんが、特殊な能力をその目にすれば認めざるを得ません。こうして計画は承認され、始動します。

ところが支配からの解放を狙うエンチャントレスの企みがこの計画を危険な方向へと誘い始め…。

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個性豊かなヴィランがどんどん普通に…

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でもクロスオーバーが雑すぎて初見放置プレイが酷かったですが、『スーサイド・スクワッド』も似たり寄ったりでした。冒頭である程度の尺をとって各キャラの説明が入るぶん、わかりやすさは増しましたが、ストーリー自体が各キャラの内面に踏み込む内容なため、いまいち飲み込みづらい感じが否めません。素直にキャラクター映画にすればいいのに…と思います。

あと「フラッシュ」の扱いです。冒頭で登場した全身赤い謎の男…知らない人は誰?ってなりますが、「フラッシュ」というDCコミックのヒーローです。彼は今後、単独主演映画の製作が決まっていますが、ここで全身出しちゃうの?と思いました。もっと大事にとっておいてよかったのでは…。

このへんのクロスオーバーの下手さは、経験を重ねたマーベルコミックとは違うのだから、仕方がないと諦めるとしましょう。それでも『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』にはなかった欠点がどうしても気になります。

それは個人的にアガるシーンがひとつもなかったこと

あえていうなら、出陣の前にスーサイド・スクワッドのチームが勢ぞろいする場面が盛り上がりのピークでした。面白くなりそう…面白くなる…よね?といった感じ。まあ、面白くならなかったわけですが…。

その原因はいろいろな要因が絡んでいます。

まず社会的な必要性の観点からスーサイド・スクワッド(自殺部隊)の結成の動機が不明確です。スーパーマンがいなくなって治安が不安とか言ってましたけど、具体的な脅威が全く見えてきません。しかも、今回の騒動は政府高官のアマンダ・ウォーラーの管理下にあった“エンチャントレス”の暴走が原因です。つまり、政府の失態ですよ。このマッチポンプさは『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』のトニー・スタークを思い出します。ウォーラーの失態を隠すために投入されたスーサイド・スクワッドなので、別にヴィランであろうが何であろうが、自由に使える駒であれば誰でも良かったのではという気も…。首のナノ爆弾でどうとでも強制できてしまうのですからなおさらです。

ちなみにこのウォーラーの、スーサイド・スクワッドのヴィランより全然悪い奴という、わかりやすい非道っぷりにはびっくりしました。原作知らないのでわからないんですけど、今後も重要キャラとして絡んでくるのでしょうか。

とにかくスーサイド・スクワッドの組織トップがこの悪すぎる政府人であるため、正義に利用される悪という立ち位置がなし崩しになっているように感じます。普通のヒーロー映画だったら、このウォーラーが悪役になりますから、結局、巨悪に利用される小悪党みたい見えます。それって、すごく普通じゃないですか。自殺部隊ではなくパシリです。

そして、肝心のスーサイド・スクワッドがチームとしてまとまる動機も曖昧なまま。劇中では、終盤のバーのシーンで皆がしんみり語り合い、なぜかリック・フラッグ大佐の恋人でエンチャントレスに乗っ取られたジューンを救うために団結するのですが、なぜ?でした。

別にシリアスな演出がダメなのではないです。デビッド・エアー監督は、悪と呼ばれるような奴らにも複雑な事情があるという裏側に焦点をあてたかったのでしょう。それはわかる…でもそんなテーマはやり尽されてます。ヒーローであろうがヴィランであろうが政府の人間であろうが一般人であろうが、家族がいて恋人がいて悲しい過去があり劣等感もある。そんなのは百も承知です。

それぞれの愛を抱えるヴィランたちがリック・フラッグ大佐の愛に共感した…というロジックは理解できます。しかし、このヴィランたちの場合、それを安易に成り立たせてよかったのか? そんな他者への同情心に深い奴らなら、極悪になんてならないでしょう。極悪と呼ばれる人たちは、自身の愛には盲信するけど他者の愛には非道だから成り立つ存在その性質が極端な人たちのはずです。もっとその異常性を肯定する映画になってほしかった…。

デビッド・エアー監督が描きたかったテーマと、今回のキャラクターは食い合わせが悪すぎたように思います。

結果として、アメコミ映画には欠かせない見せ場であるべき戦闘シーンのつまらなさ、チーム映画やコミック映画としての「痛快さ・コミカルさ」の不足につながっているのではないでしょうか。ファンムービーとして評価する以上のことはできません。

でも、デビッド・エアー監督ひとりを責められない事情もあるのも言及すべきでしょう。

本作の製作にはいろいろとすったもんだがあったみたいです。先に公開された例のPV人気に影響されて作品の方向性を修正したとか、ウィル・スミス出演決定に合わせてデッドショットの出番を増やしたとか、逆にジャレッド・レト演じるジョーカーの登場シーンを大幅にカットしたとか…。

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』もそうですけど、近年のDCコミック映画は監督の作家性を殺して無難な商業的成功を急ぐ傾向が強い気もします。本当にそれでいいのか、偉い人はジョーカーに脅されながら考え直してください

『ジャスティス・リーグ』が不安です。バットマンさん、頑張ってチームつくってくださいね。その前に『ワンダーウーマン』があるけれど…。

『スーサイド・スクワッド』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 27% Audience 60%
IMDb
6.1 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 4/10 ★★★★
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関連作品紹介

DC映画の感想記事です。

・『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』

・『ザ・スーサイド・スクワッド 極悪党、集結』

作品ポスター・画像 (C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

以上、『スーサイド・スクワッド』の感想でした。

Suicide Squad (2016) [Japanese Review] 『スーサイド・スクワッド』考察・評価レビュー