今年も終わり。

映画もあれやこれやとたくさん観ました。

ということで、私的に選んだ2017年の映画ベスト10を発表したいと思います。対象は私が今年観た、2017年に劇場公開された or DVDスルーで発売された or 動画配信サービスで配信された新作映画です。最後に独自の部門別でも選びました。

Netflix作品は一部の映画祭で今後、低待遇を受ける可能性もあるので、このブログでは応援していきたいと思います。ということで、Netflix作品もガンガン上位に食い込んでます!

10位『オクジャ』

オクジャ
毎回、10位が一番悩むのですよね。10位候補が10作品くらいありますよ。でも、やっぱりこれにしました。ポン・ジュノ監督が動物映画を手がけたら、やっぱりとんでもない作品になった。ポン・ジュノ監督らしさ全開の“もどかしさ”を残すエンディングもあり、単純な動物愛護プロパガンダには全くならない絶妙な味加減。感想は書きにくいけど、何か言葉にして語りたくなる不思議なパワー。クセの強すぎるキャラクターの“これでもか”と言わんばかりのオンパレードで、エンターテインメントとしても一級品でした。
『オクジャ』感想(ネタバレ)…少女と動物の交流? ポン・ジュノがそんな普通するわけない

9位『ドリーム』

ドリーム
公開前から別の理由で話題になってしまいましたが、もう忘れましょう。「科学×教育×人種」、このテーマで私が好きにならないはずはありません。この作品が嬉しいのは、非常に人におすすめしやすい映画だということ。あらゆる意味で入門的な作品になっています。差別に関する問題が社会で話題になったら、真っ先に本作を観てくださいと言えます。決して偉そうな説教はありません。差別のメカニズムも、解決策も知ることができます。もしまだ見ていない人がいるなら、これこそは絶対に見てほしいです。
『ドリーム』感想(ネタバレ)…私たちの「名前を知ってね」計画

8位『ミッドナイト・スペシャル』

ミッドナイト・スペシャル
日本劇場未公開のビデオスルー作品。ジェフ・ニコルズ監督は今年は『ラビング 愛という名前のふたり』もあったりと、実は賑やかだった…のですが、日本の扱いは低い。怒。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督っぽい手触りなので好きな人は好きなはずなんですけど。一貫する家族ドラマという土台の上で、今作はストーリーテリングが非常に最高。語らない語り口が本当に上手いです。エンターテインメント性は皆無に近いですが、シリアスな家族ドラマをSFでアレンジした一作を見たければ、この作品はその希望にこたえるものになるはずです。
『ミッドナイト・スペシャル』感想(ネタバレ)…見逃せない演出が光るSF家族ドラマ

7位『最初に父が殺された』

最初に父が殺された
アンジェリーナ・ジョリー監督がついに名作を生み出してくれました。難産でしたね…。批評家からも高い評価を集めて、賞にもノミネート。でも、Netflixオリジナル作品のせいか、世間の注目度は少なめ。もったいないです。徹底的に子ども視点で戦争を描き、かつウェットにはならないバランスが素晴らしかった。じわじわと恐怖が子どもの目線で描かれ、それが終盤にかけて最高潮に達するドラマ展開も見事。個人的には主役を演じたスレイモック・サリウムが2017年のベスト子役でした。思わずもうやめてと言いたくなる壮絶さに心が潰されそうに…。
『最初に父が殺された』感想(ネタバレ)…少女が見た戦争と歴史の不条理

6位『ハクソー・リッジ』

ハクソー・リッジ
ハリウッド業界の著名人が不祥事に大揺れした2017年。そんな激動の中で、俺なんかもう慣れっこだぜ!…とは言ってないけど、そんな度胸を見せるメル・ギブソン。この人、相変わらずプライぺードはダメダメだけど、作る映画はやたらと誠実。本当にどうなってるのだろうか…。それはさておき、沖縄戦を描くという意味でも、日本人必見の映画であることは間違いなしでした。これを日本人なのに観ていませんというのは、ちょっとどうなんですか。別に政治的な要素は皆無。お決まりのように平和を押し付ける作品でもないです。
『ハクソー・リッジ』感想(ネタバレ)…メル・ギブソンの信念は戦争にも屈しない

5位『マイ・ハッピー・ファミリー』

マイ・ハッピー・ファミリー
まさかこれがNetflixオリジナル作品で個人的ベストになるとは思わなかった。ジョージアという国が製作の、倦怠期夫婦(家族)もの映画なのですが、こういうジャンルが好きという自分の趣味に合致しただけでなく、既存の枠組みから何とか離れて独立しようとする主人公(母)の姿に共感。ステレオタイプな保守的な家庭が嫌で出ていく母のように思えて、実はもっとさらに踏み込んだテーマになっているのもいい。あと、シリアスのようでユーモアも実はたっぷりな構成も満足。
『マイ・ハッピー・ファミリー』感想(ネタバレ)…母が独立する理由

4位『エル ELLE』

エル ELLE
2017年に観た映画の中で一番衝撃を受けたのは、やっぱりこのポール・ヴァーホーヴェン監督作でした。世間はLGBTやらジェンダーやら人種問題やらで体裁を気にしまくる時代。そんな時代において、既存の枠組みにあてはまらない驚異的な自由さを発揮する本作は凄いの一言。やっぱりポール・ヴァーホーヴェンなんだよ。こういう奇才がいてこそ映画が単調にならないのでワクワクしてくるものです。イザベル・ユペールは個人的には2017年のベスト女優でした。
『エル ELLE』感想(ネタバレ)…衝撃すぎて、もう頭がヴァーホーヴェンです

3位『お嬢さん』

お嬢さん
強烈な作品たちばかりを世に送り出してきたパク・チャヌク監督。個人的に本作はパク・チャヌク監督作でダントツのベスト。やられました。ジェンダーにおける男性に虐げられる女性をテーマにしておきながら、“上から目線”な説教臭さはゼロ。なぜなら「変態」という部分が目立ちすぎてバランスがオカシイから…というどこからツッコめばいいのか意味不明な部分が大好きです。
『お嬢さん』感想(ネタバレ)…最高で最低な変態たち。でも仕えたくはありません

2位『わたしは、ダニエル・ブレイク』

わたしは、ダニエル・ブレイク
国ごとに特有の事情や背景があったりするわけですが、「格差社会」というのはどこの国にもある普遍的なものです。その社会の底辺で生きる人たちを描くことも映画では多々あります。本作もそういう作品なのですが、個人的に良いなと思うのは、重々しくシリアス一辺倒にならず、笑いでもって「ポジティブさ」も描いている点です。暗い現在と明るい未来を見せてくれた傑作でした。
『わたしは、ダニエル・ブレイク』感想(ネタバレ)…私は何も貧しくなんてない

1位『メッセージ』

メッセージ
もう何も言うことはありません。…ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はちょっと手加減してください。今年は『ブレードランナー 2049』と合わせて(少なくとも日本では)ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の年だったと誰もが評するところ。ただ、本作はそれ以上に純粋にSF映画として楽しめました。「文系SF」というのは新鮮だったし、私の中のSFの新しい道を切り開いてくれました。
『メッセージ』感想(ネタバレ)…ドゥニ・ヴィルヌーヴは異星人


ベスト10の次は、俳優や監督のベスト…と言いたいところですが、そんなものはやり尽くされていて面白くない。なので、まず通常の作品とは評価基準が異なってくるドキュメンタリー作品から年間ベスト(ベスト・ドキュメンタリー賞)を一作。そして、個人的に「動物」が好きなので、映画に登場した動物の中から「ベスト・アニマル賞」を決めたいと思います。人間だけでなく、動物だって魅力的に輝いています。また、ベストに入れられなかったけど、忘れないために記憶に留めておきたい作品におくる「メモリアル賞」を選定しました。

ベスト・ドキュメンタリー賞:『太陽の下で 真実の北朝鮮』

太陽の下で 真実の北朝鮮
今年の漢字は「北」だったとおり、ミサイルを日本上空を通過させたり、船を難破させたり、あげくに島を荒らしまくったり、何かと騒ぎを巻き起こしてくれた「北朝鮮」。その北朝鮮について私たち日本人はなんとなく「怖い国」というイメージがますます増していると思います。しかし、そんな今だからこそこのドキュメンタリーを観る価値があるでしょう。
『太陽の下で 真実の北朝鮮』感想(ネタバレ)…私が北朝鮮のやらせに共感した理由

ベスト・アニマル賞:『ウィッチ』の“ウサギ”

ウィッチ
今年も動物が大活躍でした。『オクジャ』とか『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』とかも最高でしたが、あれはCGだし、猿の惑星にいたってはCGの皮をかぶった人間ですよ。ちなみにシーザーは個人的2017年の主演男優賞です。じゃあ、ベストな動物は何か。『僕のワンダフル・ライフ』の犬か、『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』の猫か、いえ、どちらも違う。私の心に響いた動物は『ウィッチ』の“ウサギ”でした。普通に座っているだけなのに怖い。ウサギに恐怖を感じた初体験でした。
『ウィッチ』感想(ネタバレ)…闇に消えた魔女たちに追悼と救済を

メモリアル賞:『ブルージェイ』

ブルージェイ
忘れたくない作品と言えば、これしかありません。残念なのが、Netflix(オリジナルではない)作品で、配信が2016年12月(おそらく)だったのですが、私が本作を観たのは2017年になってからだったということ。もし2016年中に観ていたら確実に「2016年の個人的映画ベスト10」に入っていた。それくらい素晴らしい作品でした。これだからNetflixはオリジナル作品でなくても見逃せないのだよなぁ…。
『ブルージェイ』感想(ネタバレ)…甘さと苦さが際立つ純粋すぎるロマンス

2018年もたくさんの心震わす映画に出会えますように。