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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』感想(ネタバレ)…令和ゴジラにひれ伏す

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

令和ゴジラにひれ伏す…映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(ゴジラ2 キングオブモンスターズ)の感想&考察です。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。

原題:Godzilla: King of the Monsters
製作国:アメリカ(2019年)
日本公開日:2019年5月31日
監督:マイケル・ドハティ

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

ごじら きんぐおぶもんすたーず
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』あらすじ

あのゴジラがアメリカを襲った衝撃から5年後。さらなる脅威が出現する。モスラ、ラドン、キングギドラなど続々と復活する神話時代の怪獣たち。ゴジラは世界の覇権をかけて戦いを繰り広げる。未確認生物特務機関「モナーク」はその人知を超えた戦いによって世界が破滅するのを食い止めるべく、行動に出るが…。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』感想(ネタバレなし)

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ゴジラを語ってもいいですか

「ゴジラ」って何なのだろう…(唐突な哲学)。

私は自分が映画好きになった原点にあるのが怪獣映画「ゴジラ」なので、自分で言うのもあれですが、もうそれはそれはゴジラへの思い入れは相当に大きいものです。映画鑑賞が趣味になって以降、今まで多種多様な作品を見てきましたが、それは全て「ゴジラとは何か」という問いに答えを出すためのものかもしれない…あ、はい、それは言い過ぎました。でもよく心の中では考えるものなんです。そんなことを言うと、全然興味のない一般の人からは「ただの怪獣でしょ?」と言われるのですが、“いや、そうじゃないんだ”とゴジラ愛がメルトダウンを起こしているファンなら口を出さずにはいられない。

これに関しては各個人の答えがあるものです。その人のゴジラへの想いを知りたければ「好きなゴジラ映画を挙げてください」と聞けばだいたいなんとなく察することができたりも。

ちなみに私の“ゴジラ映画ベスト10”は以下のとおり。

1位:『ゴジラ』(1954)
2位:『シン・ゴジラ』(2016)
3位:『ゴジラvsモスラ』(1992)
4位:『ゴジラvsデストロイア』(1995)
5位:『ゴジラ対ヘドラ』(1971)
6位:『ゴジラvsキングギドラ』(1991)
7位:『ゴジラvsメカゴジラ』(1993)
8位:『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966)
9位:『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)
10位:『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)

まあ、これ以外の全部に愛着はありますけどね。各作品ごとに語れと言われれば永遠に語れます。

ゴジラ映画を見るとき、その視点を大雑把に2つに大別できると思います。ひとつは“社会派”的な要素。もうひとつは“エンタメ”的な要素。私の上記のトップ10は上位1~5は“社会派”的な要素に注目していて、下位6~10まで“エンタメ”的な要素で気に入っている映画ですね。

そして、今やゴジラはワールドワイドな存在。グローバルな大作として世界に羽ばたかせてくれたのがワーナー&レジェンダリー&東宝が進める「モンスターバース」シリーズです。ほんと、ゴジラを追い続けてきた者としては“ついにここまで来たか”という感慨…。エメリッヒ版『GODZILLA』のときは、“もう海外展開はおしまいかな”とか思ったのに…。

2014年のギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』に始まり、ゴジラは出てこないものの世界観は共通している『キングコング 髑髏島の巨神』を間に挟み、いよいよシリーズとしては3作目(ゴジラ映画としては2作目)となる『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の公開となりました。

『キングコング 髑髏島の巨神』のエンドクレジット後シーンで“モスラ”・“ラドン”・“キングギドラ”の登場が示唆されたときから、私の中のゴジラDNAが疼いてワクワクでしたよ。

『GODZILLA ゴジラ』のときは、敵対する怪獣が出てきたのですが、結構もったいぶった感じでバトルを直接描くことを避けていたのが気に入らなかった人もいるでしょうが、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は心配ご無用(ちなみに私は『GODZILLA ゴジラ』のあの演出、初代『ゴジラ』っぽくて凄く好きです)。あれは「モンスターバース」1作目としてプロローグみたいなもの。今作では怪獣同士がぶつかり暴れに暴れまくります

ゴジラ以外にメインで登場する怪獣は先にも挙げたように3体。“モスラ”・“ラドン”・“キングギドラ”。この3体が揃うのは日本ゴジラシリーズ5作目にあたる『三大怪獣 地球最大の決戦』と同じ。なお『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のタイトルは初代『ゴジラ』のアメリカ公開時の英題「Godzilla, King of the Monsters!」に由来しています。

一応、ゴジラシリーズに詳しくない人のために簡単に各怪獣を解説するとこんな感じ。

“モスラ”は、あれです、でっかい蝶もしくは蛾ですね(元も子もない解説)。もしかしたらゴジラの次に有名かもしれないですが(歌とか)、どちらかといえば人間の味方寄りに描かれることが多いです。もともと1961年に『モスラ』という単独映画で出てきた怪獣であり、ゴジラとは関係ありませんでした。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ではデザインがオリジナルからかなり変わり、『ゴジラvsモスラ』に登場したモスラの宿敵の“バトラ”や、『モスラ3 キングギドラ来襲』に登場した形態変化で進化したモスラを連想させるものになっています。『三大怪獣 地球最大の決戦』ではキングギドラを倒すためにゴジラとラドンに共闘を呼び掛けるという珍シーンがありましたけど、今作ではあるのか…。

“ラドン”は、あれです、でっかいプテラノドンですね(だから元も子もない…)。マイナー怪獣だと思っている人も多いですが、本来は1956年の『空の大怪獣ラドン』で主役をはった大御所です。

これまでずっと着ぐるみで表現されてきたこともあり、空を飛ぶという特性があまりビジュアル化しづらいネックがありましたが、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では完全フルCGなので大胆な映像に期待できます。『ゴジラvsメカゴジラ』のときは俗称“ファイヤーラドン”と呼ばれるパワーアップを遂げたりしましたが、今作では…。

“キングギドラ”は、あれです、3つ首のやつですね(もうこれで説明できるから凄い)。キングギドラは特殊で、地球のものではない宇宙怪獣という設定に昭和シリーズではなっています。そのためゴジラの最強の敵として『三大怪獣 地球最大の決戦』の初登場以降はしばらくは健在(のちにメカゴジラやガイガンにその役割を奪われますが…)。私はモスラ派なのでキングギドラは天敵ですけど、『ゴジラvsキングギドラ』のメカ化による味方化はアツかった…。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ではどういう扱いの存在になっているのやら。設定だけを見ると、ミレニアムシリーズの『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』に近いのかな。

そんな怪獣たちがひたすらに大暴れする『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』。もう語ることはない(じゅうぶん長々語った)。あとは鑑賞するのみ。過去作とか観なくても良いです。裸でかかってきてください。私たち観客は怪獣たちの前では所詮はモブキャラです。

「ゴジラとは何か」って? え、そんなことどうでもいいです(暴言)。

オススメ度のチェック

ひとり ◎(マニア必見、初心者歓迎)
友人 ◎(怪獣映画好きと一緒に大興奮)
恋人 ◯(怪獣嫌いなら無理ですが)
キッズ ◎(怪獣映画っ子になって;願望)
↓ここからネタバレが含まれます↓

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』感想(ネタバレあり)

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ゴジラへ、3000回愛している

いやぁ、これはもう「あなたの信仰している神は?」と聞かれたら「ゴジラです」と答えなくちゃダメなやつじゃないですか。まさしくキング。王です。よし、もう人間は政治を止めて、全部ゴジラに任せよう。

そんなことも言いたくなる『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』。端的に言うなら「ファンのための究極の一品」…そんな映画が生まれました。

作品のポジションとしては『アベンジャーズ エンドゲーム』に限りなく近いです。全ては愛してくれた観客のために捧げてくれる…“純粋なるファンのための愛に満ちた映画”…私はそのように評しましたけど、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』もまさにそういう映画でした。

ただ、『アベンジャーズ エンドゲーム』はシリーズを通してのストーリーやキャラクターの繋がりというロジックがあるのに対して、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』はそうじゃないんですね。

一応、前作は2014年の『GODZILLA ゴジラ』ですが、今回はただのその続編となる映画というだけでなく、上手く言葉にできませんが、(ストーリーは直接つながっていない)これまでの全ゴジラシリーズの集大成というか、スピリットを一か所に結集した映画といいましょうか。より純度の高いファン・ムービーになっています。

だから鑑賞したゴジラファンの皆さんは骨の髄まで感じたでしょうけど、“こういうものが見たいんだろ?”というご褒美の雨あられで、お菓子の家をプレゼントしてもらった小さい子どものように大はしゃぎできるんですね。誤解を恐れずハッキリ言えば、ゴジラファンのための大予算をかけた“ポルノ”ですよ。そりゃあ、喜びますよ、発狂しますよ、○○しちゃいますよ(不適切な表現のため自主規制)。

本作の“マイケル・ドハティ”監督、見事にオタクの需要に答えることに徹しましたね。でましたよ、オタクの上に立てるオタクの王が。これは今後もいろんな作品で期待されちゃうのじゃないですかね。

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壁紙にしました(報告)

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の主役は何と言っても「怪獣」。前作では怪獣の総称を「ムートー(Massive Unidentified Terrestrial Organism;未確認巨大陸生生命体」と呼んでいたのですが、今作では「Titanus(タイタン)」と呼称していました(たぶん未確認生物から学名つきの生物になったのでしょう)。

本作で登場するタイタンこと怪獣はもちろんゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラの4体。他にも芹沢博士の口から研究機関モナークの管轄下にある怪獣が17体いることが明かされ、作中でオルカという装置によって起こる目覚めで、何体かの他の怪獣も街で暴れていましたが、まあ、脇役です(ちなみにあれらの怪獣たち。マンモスっぽいやつとか、クモっぽいやつとかいましたけど、たぶん監督のインタビューなどを見るかぎり東宝怪獣ではなく完全オリジナルのようですね)。

とにかくこのメインの4体の怪獣。本作はこの怪獣描写がとにかく素晴らしい。CG&モーションキャプチャーでできる最高峰の怪獣を活写してくれたと思います。全ての登場シーンが神々しく、もはや全部を絵画にして飾りたいくらい。なぜ公式サイトで壁紙を配布しないのか。“いきなりステーキ”とタイアップしている場合じゃないですよ。

一体一体についてなるべく感情を抑えて手短に語ると、まずはやっぱりゴジラ。今作ではその雄姿を余すところなく見せつけてくれますし、プロレスラーですか?みたいなボディが明らかに肉弾戦向きで、そのため敵となる怪獣の巨体をねじ伏せるシーンの迫力が尋常じゃないです。終盤の『ゴジラvsデストロイア』を思わせる赤く発色した体からの猛攻はもう天変地異。『シン・ゴジラ』の方向性とはまた違う恐怖を与える怪獣王になってくれました。この場面でビルなどが熱で溶けるシーンがあるのが、初代『ゴジラ』オマージュでたまらない…。

私のアイドル、モスラ。序盤の幼虫形態で人を襲うシーンで恐怖を植え付けてきますが、今作ではかなり人の味方寄り。いつのまにか怪獣の女王になっていました。天使のような神性と怪獣としての凶暴性を合わせ持つ今回のデザインは観終わってみると良い感じ。ラドンとあそこまで互角に戦うモスラの姿は、平成『モスラ』3部作のアップデート版。脚で刺したりと物理で戦ってくれるのが嬉しい(ビームはね…怪獣はいつもなんだかんだでビーム出すようになるから…)。

監督お気に入りだという、ラドン。オリジナルの原点を思い出させる火山口からの猛々しい登場。そこからの空中戦。文句なしのカッコよさ。シリーズ後作では、モスラ幼虫を背に乗せたり、イルカを食ったり、若干の小物感が漂っていましたけど、今作は違う。あのキングギドラとも一対一で対峙するのですから。でも、ラストでゴジラに土下座しているラドンはいつものラドンだった…

そしてモンスターゼロことヒール怪獣、キングギドラ。正直、これを超えるキングギドラなんて思いつかない。それほどの圧倒的完成度。3つ首それぞれでモーションキャプチャーしたという動物的な個性もありつつ、それでも地球外のバケモノ性をまざまざと見せつける畏怖。観終わった後も、いや、キングギドラがキングでも良くない?という気持ちが消えない…(ゴジラは名誉キングの称号で)。

今年のアカデミー賞は主演男優賞=ゴジラ、助演男優賞=ラドン、助演女優賞=モスラ、悪役賞(特別部門)=キングギドラで決まりだな…。

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冷静になると、次が心配

怪獣たちの神々しいビジュアルばかりに目が奪われがちですが、随所に散りばめられたリスペクトもとても心地よいです。そのあたりもファンへの“気配り”がわかっている…全く“マイケル・ドハティ”監督はおもてなしが上手いんだから…

レジェント“伊福部昭”作曲の「ゴジラのテーマ」はもちろん、しっかり「モスラのテーマ」も入れてくるのは感謝感激。まさか小美人をああやって出すとは思わなかったけど。

芹沢博士の最期のシーンは、初代『ゴジラ』のオキシジェン・デストロイヤーのラストのオマージュということで確かに感極まるものがあります。ただ、こういうシチュエーションはありがちですが、いい加減、遠隔で攻撃くらいできるようになってよと毎回思うのですが…。それよりも本命のオキシジェン・デストロイヤーが“ちょっと強い核兵器”程度の感覚で雑使用されたのは、私の鼻から熱線がでかける感じはありましたけどね。

全体的に“社会派”的な視点はごっそりないのですが、ファン向けのエンタメに特化した構成は素直に嬉しいです。でも大丈夫かな…とも思うところ。

熱い興奮を冷静に冷ましてみると、要するに今作、“どっちが強いか勝負だ!”合戦をしただけですからね。もう『HiGH&LOW』とやっていることは同じです。全体もいわゆるディザスター映画と同類の大味傾向になってきます(ファン愛を刺激しやすい程度)。つまり、どうしたってマンネリ化してきます。事実、ゴジラ映画はいつもこうやって怪獣をいっぱい出し始めて徐々に目新しさが無くなり、終わる…その繰り返しでした。

おそらく来年の『ゴジラvsコング』で「モンスターバース」は一区切りを終えるのかもしれないです(あれかな、今度はどっちが王にふさわしいか対決なのかな?)。

でも、個人的には「モンスターバース」はもっと飛躍してほしい、それこそまだまだオタク向けの印象も強い怪獣映画というジャンルを世界の一般層に広げていってほしい…そうも思っています。

王にひれ伏すだけでなく、王の魅力を伝えるために、私も“いちしもべ”として何でもやります。忠実なペットですよ。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 44% Audience 90%
IMDb
7.1 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 6/10 ★★★★★★
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関連作品紹介

続編の感想記事です。

・『ゴジラvsコング』

作品ポスター・画像 (C)2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

以上、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の感想でした。

Godzilla: King of the Monsters (2019) [Japanese Review] 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』考察・評価レビュー