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アニメ『クリーチャー・コマンドーズ』感想(ネタバレ)…非人間に人権はない!

クリーチャー・コマンドーズ

非人間に人権はないんですか!?…アニメシリーズ『クリーチャー・コマンドーズ』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Creature Commandos
製作国:アメリカ(2024年)
シーズン1:2024年にU-NEXTで配信(日本)
原案:ジェームズ・ガン
性暴力描写 ゴア描写 性描写
クリーチャー・コマンドーズ

くりーちゃーこまんどーず
『クリーチャー・コマンドーズ』のポスター。

『クリーチャー・コマンドーズ』物語 簡単紹介

アメリカ政府職員として極秘に仕事しているアマンダ・ウォラーは、ある国家を侵攻から救出するために、危険ゆえに特殊な刑務所に収容されていた非人間の囚人たちを集めてチームを結成させる。そのチームを現場で引っ張る任務を命令されたのが熟練のリチャード・フラッグで、癖者揃いのメンバーたちに手を焼く。その任務は世界を揺るがす大事件へと発展していく。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『クリーチャー・コマンドーズ』の感想です。

『クリーチャー・コマンドーズ』感想(ネタバレなし)

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DCUを一足先に

マーベルと並ぶアメコミ二大巨頭の片方である「DC」は、「DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)」という映像作品シリーズを急遽畳んで「DCU(DCユニバース)」へと新装開店しました。

2025年夏公開の『Superman』がDCU映画の第1弾となるのですが、DCUを構成する最初の新作は映画ではありません

それはこの『クリーチャー・コマンドーズ』という2024年12月にスタートしたアニメシリーズです。

以前に後にDCUを主導することになる“ジェームズ・ガン”が監督を手がけて『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)という映画があったのですが、その派生作として『ピースメイカー』というドラマシリーズもありました。本作『クリーチャー・コマンドーズ』は“ジェームズ・ガン”の企画で、さらに派生した流れをくむ作品です。

やっていることはほぼ「スーサイド・スクワッド」(スースク)と同じ。今作も癖の強い犯罪者を集めたチームに裏ミッションをさせるのですが、メンバーは一新し、非人間の奴らになっています。コミックでの初登場は1980年で、初期の頃は狼男や吸血鬼、フランケンシュタインの怪物など、いわゆるユニバーサル・モンスターズを意識した顔ぶれですね。

元も子もないことを言えば、実写でやるとコストがかかりすぎるメンツなので、今回はアニメシリーズでやる!ってことです。たぶんそうです。うん…。

前回の実写映画のほうでも若干の非人間メンバーがいましたが、今回はオール人外。非人間だからって人権はないのか!と大暴れします。

ここまで説明すると「あれ? このアニメがDCUの最初の作品なのに派生作なの?」と疑問が浮かぶと思うのですが、ここがこのDCUのややこしいところ。「DCUってどの作品からなの?」と聞かれると困る問題。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』と『ピースメイカー』(シーズン1)は以前のシリーズであるDCEUなのですけども、DCUとも部分的に世界観を共有しているんですね。ファンでもなければわけわからん話でしょうね…。大人の事情だから…。

そんなわけで『クリーチャー・コマンドーズ』は立ち位置も中身のキャラクターも相当にマニアックです。それでも物語自体はシンプルなので、DCを全然知らなくても海外アニメが好きだからという理由で観始めてみるのもOK。

今後のDCU映画に登場するキャラクターもチラ見せしているので、DCU展開に興味ある人も要注目です。ただ、この『クリーチャー・コマンドーズ』を観ないとこれからのDCUのシリーズについていけなくなるということはないと思います。そのへんは配慮しているでしょう。

“ジェームズ・ガン”企画ということもあって、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』と同じで露悪的な暴力描写も満載。子どもにはやや適さないアダルトアニメですが、“ジェームズ・ガン”らしい思いやりにも溢れています。

『クリーチャー・コマンドーズ』のシーズン1は全7話(1話あたり約25分)。日本では「U-NEXT」で配信しています。

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『クリーチャー・コマンドーズ』を観る前のQ&A

Q:『クリーチャー・コマンドーズ』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:とくにありません。『ザ・スーサイド・スクワッド 極悪党、集結』を観ておくと一部のキャラクターを事前に知ることができます。
✔『クリーチャー・コマンドーズ』の見どころ
★個性豊かなキャラクターが横暴に繰り広げる物語。
✔『クリーチャー・コマンドーズ』の欠点
☆マニアックなので初心者向けではない。

鑑賞の案内チェック

基本 性的加害行為が描かれます。また、子どもの死に関する描写があります。
キッズ 2.0
性行為の描写があり、ゴアな残酷描写も多いので、子どもには不向きです。
↓ここからネタバレが含まれます↓

『クリーチャー・コマンドーズ』感想/考察(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

テレビでは、セミッシラのアマゾン族のキルケーが自身の支持者である「セミッシラの息子たち」を引き連れてポコリスタンという国に侵攻したと報道されていました。現場は混乱しているようで、レポーターが現地を取材。その映像には「セミッシラの息子たち」を自称する男たちが取材に応えており、「行き過ぎたwoke(ポリコレ)」という言葉を使ってフェミニズムなどに露骨に嫌悪感を示し、自身の行動の正当性をレポーターの前で恥ずかしげもなく主張していました。

その惨状を報道で確認するのは、「A.R.G.U.S」という組織の長官のアマンダ・ウォラーリック・フラッグSr将軍。この友好国の状況をアメリカ政府も放置できません。しかし、露骨に介入もできません。そこで行動を開始します。

ただし、2年前にウォラーはアメリカ政府は公式には行えない極秘任務を任せる相手として、刑務所に厳重に収監されている悪党たちにチームを組ませ、「スーサイド・スクワッド」として送り込むことがありましたが、上手くいきませんでした。そのため、同様の手段は禁止されています。

そこで今度は人間の悪党ではなく、非人間の悪党に目をつけます。そしてベル・レーヴ刑務所から非人間の囚人を呼び寄せました。

そのメンバーは、ブライドDr.フォスフォラスウィーゼルG.I.ロボットニーナ・マズルスキー。チームのコードネームは「タスクフォースM」

命令に従わなかった場合は遠隔から電気ショックを与えると脅し、いつものように輸送ヘリで派遣。リック・フラッグSr将軍も同行します。

ポコリスタンでは軍隊に迎えられ、イラーナ・ロストヴィッチ女王にも手厚く歓迎されます。城でイラーナはフラッグSr将軍にやけに親しげに接してくれ、夜、部屋でイラーナは裸になって言い寄ってくるほどでした。フラッグSr将軍はさすがに遠慮します。

一方で、あまりやる気をだせないブライドは城を抜け出し、ニーナも見かけてついていきます。ブライドが向かったのは不気味な故郷の屋敷。ここでブライドは誕生しました。その記憶は苦々しいものでもありました。

その姿を近くに住む老婦人が目撃。ある存在に知らせます。それはエリック・フランケンシュタイン。ブライドを自分の唯一無二の花嫁として付け狙う奴で…。

この『クリーチャー・コマンドーズ』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2025/01/12に更新されています。
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シーズン1:非人間にも人生はある

ここから『クリーチャー・コマンドーズ』のネタバレありの感想本文です。

『異世界スーサイド・スクワッド』の感想でも言いましたが、「スーサイド・スクワッド」系の導入は毎度ながら説明事項が多すぎて忙しくなりがち。

その点、この『クリーチャー・コマンドーズ』は派生作なので「もうわかってますね?」という省略スタイルで冒頭から突っ走ります。

一方で、各キャラクターのオリジンを各エピソードで同時並行で描いてもおり、なかなかに情報量は多め。ただでさえ原作時点でマイナーで、独自に設定を膨らませて癖がありすぎるキャラになっていますし…。

ブライドは「Bride(花嫁)」の名のとおり、ヴィクター・フランケンシュタイン博士が作り上げた怪物エリックの花嫁用に女性の死体から創造された存在。『フランケンシュタインの花嫁』(1935年)からに着想ですが、その極めて屈辱的で女性蔑視な出自を意識しつつ、強烈に反骨精神に溢れたキャラとして今作で確立。ハーレイ・クインとはまたタイプの異なる中指を突き立てる女性キャラが登場してくれました。実質的なチームリーダーであり、“ジェームズ・ガン”もフェミニズムなパワーをアップさせたかったのだろうな、と。

G.I.ロボットは第二次世界大戦の時代に製造された「ナチス絶対殺す」をプログラムされた殺人マシーン。戦後もネオナチをついつい探知し(あちこちにいる…)、今回の任務でもプログラムどおりにしか行動できない己のアイデンティティに苦悩しつつ、最終的には「セミッシラの息子たち」を皆殺しにして発散します。この「セミッシラの息子たち」、要は反ポリコレ連中なんですけど、“ジェームズ・ガン”からの「お前ら、現代のネオナチ的なクズ同然だからな」というお達しですね。

ウィーゼルは『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』で先に登場し、短い出番ながら凄まじい印象を残していたのですが、今回はこの動物(?)の無実の過去が明かされます。このあたりは動物好きの“ジェームズ・ガン”らしいエピソードでした。とりあえず動物でも弁護士はついてくれるんだなぁ…。

Dr.フォスフォラス(ドクター・フォスフォラス)は今回のチームで唯一、明白に元人間であり、本名はアレックス・サートリアス。皮膚から絶えず炎が燃え続けるメタヒューマンとなってしまっており、「こいつに電撃とか効くのか?」と思わなくもないですけど、なんだかんだでコントロールはされてましたね。こいつと肉弾戦で戦えていたリック・フラッグSr将軍がむしろ凄いです。

ニーナ・マズルスキーは半魚人ミュータントで、あのチームの中ではわりと良識があります。しかし、その過去はやはり壮絶です。『シェイプ・オブ・ウォーター』のような優しい愛は待っておらず、非人間としてみなされた者の悲しい宿命を代表するキャラクターでした。

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シーズン1:今後の作品との繋がり

『クリーチャー・コマンドーズ』は今後のDCU映画に登場するキャラクターもチラ見せしていたり、ある意味ではこのDCU世界のイントロダクションになってもいます。

例えば、ルパート・ソーンを倒して犯罪裏業界を牛耳っていたDr.フォスフォラスはバットマンに捕まっており、DCUのバットマンの活動歴の長さが示唆されます。DCUではバットマンを主役にした映画『The Brave and the Bold』が製作予定です。

『ワンダーウーマン』でおなじみのセミッシラのアマゾネスに属するキルケーの登場も、どうやらこのDCUの世界ではセミッシラ自体は世界的に認知されていることが窺えます。DCUではセミッシラを舞台にしたドラマシリーズ『Paradise Lost』が製作予定。

G.I.ロボットにおいては第二次世界大戦の活躍を描く回想で、「イージーカンパニー」というサージェント・ロックの率いる部隊が描かれました。DCUでは映画『Sgt. Rock』が企画進行中で、もしかしたらG.I.ロボットは実写デビューするかもしれません。

そして今回で黒幕的に画策していたクレイフェイス。このキャラクターの単独映画も企画が報じられていたので、ホラー風味強めでたっぷり描かれるのではないかな。

アマンダ・ウォラーもDCUのドラマ『Waller』で主役になるらしいけど、どこまで魅力を引き出せるのだろうか…。今のところ、この人、ヘマしかしてないと思うのですが…。

ニーナ・マズルスキーの過去ではスターシティが登場し、この街と言えば「グリーンアロー」の本拠地ですが、そのヒーローの活躍もいつか描かれるのか、どうなのか…。

最後に新生タスクフォースMにちゃっかり加わっていたキング・シャーク(ナナウエ)。このキャラは『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』と同一個体らしいので普通に存命だったってことらしいですね。結果、DCEUからの続投キャラクターの仲間入りを果たしました。やるな、このサメ…。

なお、前回の映画では“シルヴェスター・スタローン”が声を演じていましたが、今回は“ディードリック・ベーダー”が声を担当しています。声優として長年の実績がある人で、『バットマン マントの戦士』でもハービー・デントの声を演じるなどDCとも縁深いです。“シルヴェスター・スタローン”はMAGA(ドナルド・トランプ熱狂的信者)に加入しちゃったので、もう戻ってこないでしょう…。

急ぎ足すぎるところもありましたが、“ジェームズ・ガン”的な風味をあちらこちらに散りばめ、愉快に駆け抜けた『クリーチャー・コマンドーズ』。“ジェームズ・ガン”は人間よりも非人間のほうがやっぱり性にあってますよ。

『クリーチャー・コマンドーズ』のシーズン2はどこへ向かうのかな?

『クリーチャー・コマンドーズ』
シネマンドレイクの個人的評価
6.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)

作品ポスター・画像 (C)DC Studios, Warner Bros. Animation クリーチャーコマンドーズ

以上、『クリーチャー・コマンドーズ』の感想でした。

Creature Commandos (2024) [Japanese Review] 『クリーチャー・コマンドーズ』考察・評価レビュー
#アメコミ #DC #DCU #ロボット