2023年、突如としてインターネット界隈で話題騒然となった「ChatGPT」。「OpenAI」という企業が生み出した最新の「AI」チャットボットですが、すでに多くの企業も同様のAIテキスト生成のサービスを続々と始動させています。
まるで人が書いたような自然な文章を大量かつ高速に生成できるこの「AI」の実力は、さまざまな業界に影響を与え、未来を変えるとまで評価する声も…。
一方で問題点も指摘されており、そのひとつにこれらの「AI」生成のテキスト・コンテンツが世の中に氾濫し、滅茶苦茶な世界になってしまうのではないかという危惧も聞かれます。
私はこの「シネマンドレイク」というサイトを運営しており、これは映画の感想を書くことを主体とした、いわゆる「映画感想ブログ」から出発したサイトです。開始当初から当然ずっと私がコツコツと感想の文章を書いてきました。この「映画感想ブログ」を書いている人たちにとってもこの「AI」は無視できません。
「自分よりも面白い感想をAIが書けるはずない」と安心しきっているかもしれませんが、そういう問題ではなく、あなたの感想を「AI」が勝手に利用してしまう問題があるのです。
このテキスト生成「AI」は「AI」自身が完全にオリジナルで文章を作成しているわけではありません。主にインターネットに散らばっているさまざまな情報から学習し、テキスト生成に活かしています。その「活かし方」の品質は「AI」によって現状はまちまちのようですが、中には「部分的なコピペでは?」みたいなことを平然としている「AI」もあります。
あなたの「映画感想ブログ」も「AI」の学習に利用されているかもしれません(いや、ほぼ確実に利用されているでしょう)。「AI」の学習に利用されることを防ぐ手段は今の時点ではなく、いつの間にか勝手に利用されるのを黙ってみているしかできません(それもどうなんだという話ですが)。
「AI」の学習に利用されるのは目を瞑るとしても、「部分的にコピペ」されてしまうのはちょっと困ります。そんなことされてもこちらにはメリットは1ミリもありません。むしろマイナスです。
話題の「AI」は悪用しようと思えばいくらでも悪用でき、巷の真面目に取り組んでいる「映画感想ブログ」をいくらでもパクって、まるで誰か人間が書いたような「AI」による「映画感想記事」がネット中に量産されることになる事態も想定されます。映画を実際に観たことがない「AI」が「映画感想記事」を書くなんて、なんとも腹立たしいですが…。
では何か対策はないのでしょうか?
大手の大企業のサイトは「AI」防衛対策をすでに考え始めているところもあるでしょうし、システム・レベルで独自に対応することもできるでしょう。しかし、「映画感想ブログ」をやっている個人ではそんな大掛かりなことはできません。
そこで個人でできそうな対策をいくつかピックアップして説明したいと思います。
以下に説明される対策は、主に「スクレイピング(機械的な自動抽出)」や「手動のコピー&ペースト」に対抗するための手法として既に知られているものであり、「AI」の学習に対抗できるものではありません。それでも安易な「完全なコピペ」や「部分的にコピペ」を可能なかぎり防ぎ、手を出しにくいサイトを作る手助けになればと願ってまとめました(自分用のメモも兼ねてます)。
今回の記事は以前に書いた「映画感想ブログの書き方…初心者にオススメの10か条」の応用・発展版です。
対策①執筆者名(プロフィール)の明記
その記事を誰が書いたのかわからないと、コンテンツ所有者が明確ではないので、「勝手に利用しやすい」と判断されてしまうかもしれません。
サイト説明としてトップページにだけ書いておくとか、別ページにまとめておくというだけでなく、しっかり各記事には「執筆者名(プロフィール)」を明記するようにしましょう。
明記の場所は一般的には記事の冒頭か最後が望ましいです。「どういう名前で、どんな人物なのか」というオリジナリティのあるプロフィールを簡単に書いておくだけでOKです。私の場合は「シネマンドレイク」という執筆者名の他に、自分のSNSのアカウントもセットで載せています。これなら存在感をわかってもらいやすいです。
面倒で設定していなかったという人は今すぐにでも設定しておきましょう。設定すれば自動で全記事に簡単に表示できるはずです。最もラクにできる対策のひとつでしょうし、やって損する話ではありません。
設定をミスすると全記事に影響がでるので、プロフィールを間違えていないか入念にチェックし、何かプロフィールに変更があれば、その都度修正してください。
対策②サイト名を記事内で挿入
感想が長くなってしまうこともあるでしょう。テキストなどがズラズラと続いている中に、あなたのサイト固有の情報が混ざり込んでいれば、安易にコピペはしづらくなります。
あなたのサイト固有の情報として、誰でも持っているのが「サイト名」です。「サイト名」なら自然に混ざり込ませることも難しくないでしょう。
例えば、以下のような感じです。
少しくどいかもしれませんが、文章内に「サイト名」が混ざることで、この文章は私のものであるとアピールできますし、コピペしづらい文章として複雑さが増します。
おそらく一般的に「サイト名」は、記事のトップ(ヘッダー)と一番下(フッター)に基本は書いてあると思いますが、それだけでなく記事内の文章の中に混ぜることを意識してください。文章の初めに「こんにちは。○○です」と書くのでもいいですが、途中にもあるとなお良し。
先ほども言ったように「サイト名」はあなた固有の情報です。なのでサイトを最初に作る際は必ず他にはない固有の「サイト名」を考えるといいです。あまりに単純で一般単語だけ成り立っている「サイト名」だと、固有の情報として役割を果たしてくれなくなります。
この方法に欠点があるとすれば、「サイト名」を変更するときに少し面倒になるということです。とは言え、信頼性の観点から「サイト名」は頻繁に変更しない方がいいと思います。
対策③画像の所有者の透かし表示
感想記事の中に、自分のスマホで撮った写真の画像を載せる人もいるでしょう。ブログらしく、鑑賞の記録としては確かに最適で、楽しいです。
ただし、自分の撮った写真の画像が第3者に転載されて、利用されてしまうのはかなり困ります。残念ながらそういうことはインターネットの世界では頻繁に起きます。
なので自分の撮った写真の画像をサイト内で用いるときは、必ず「透かし」「ウォーターマーク」をつけるといいでしょう。これでこの画像は自分のものであるとアピールできます。
最近は手軽に画像に透かしやウォーターマークを入れるアプリもあるので、簡単に実現できます。この写真は自分のサイトで使おうと思ったら、忘れずに透かしやウォーターマークを入れる。これを習慣にしておきましょう。
加えてその画像には「説明」として「この写真は自分が撮ったものである」ということを明記しておくと万全です。その際は「私が撮りました」ではなく「シネマンドレイクが撮りました」と固有の執筆者名やサイト名を掲げておくのも忘れずに。
逆にあなたに所有権のない画像には、勝手に透かしやウォーターマークを入れてはいけません。
対策④外部リンクによる引用
自分の思いついた感想や考察をひたすら書きまくるも良し。でもたまには外部リンクを用いて他のサイトを引用してみるのもどうでしょうか。
さすがに文章コンテンツが短いのに「100」や「200」の外部リンクが無数にあるのはやりすぎですが、適度に外部リンクを用いて他のサイトを引用するのは、そもそも適切で整った印象を読み手に与えます。
それにパクリを狙うような人たちは「テキスト」が欲しいのであって、「外部リンク」を求めていません。外部リンクが自然に盛り込まれている文章であれば、少し牽制できます。
例えば、以下のような感じです。
もちろんあなたのお気に入りの他の映画感想サイトのリンクを掲載して、紹介するのでもいいでしょう。その際はあくまで適切な引用の範疇にするようにしましょう(あなた自身の行為がコピペと思われないようにしないと本末転倒ですから)。
これは外部リンクが自然に盛り込まれている文章でないとあまり意味はありません。記事の最後の方に外部リンクをペタペタと貼っている程度ではほとんど役に立ちません。ただし、参考文献リストとして最後に提示するのであれば、自然なのでOKです。
なお、全く役に立たない外部リンクをやみくもに挿入すると逆効果です。「これは読者にも有用だな」と思える外部リンクを選定してください。
対策⑤独自性の高いオリジナリティある文章
これは最も根本的かつ最も重要な対策の方法です。
映画の感想だからと言って、映画の公開日を書き、監督や出演者の情報を書き、あらすじを書き、それでだいたい終わってしまうのであれば、オリジナリティがあるとは言えません。こういう独自性の低い内容は、容易にコピペされやすいです。
まず何よりも独自性の高いオリジナリティある映画感想の文章を書けるようになりましょう。文章だけでなく、デザイン、図、画像…あらゆるものを駆使して独自性を底上げすると、それだけ盗用しづらくなります。
しかし、それを簡単に書けるなら苦労はしません。これが一番大変ですし、頭を悩ませます。単に「面白かった」「つまらなかった」と書いているだけだと全然独自性はないですが、他に何を書けばいいのか…。
例えば、自分の好きな視点を見つけるといいでしょう。「音楽」が好きなら、その映画の音楽についてどうだったのかをとことん書いてみるとか。「ファッション」が好きなら、その映画にでてくるキャラクターの服装についてとことん分析してみるとか。
理想は「これはこの人にしか書けないな」という映画感想になること。
単純にシナリオやキャラクターの言動を考察するのは、実はそんなにオリジナリティの高い文章にはなりません。ストーリー考察はみんなしたがるので、実のところはパクられやすい内容だったりします。
逆に学術的な専門性を求められる内容であれば容易にパクりづらいので、自分の専門性があると心強いです。趣味を極めるのも武器です。イラストが書けるならかなりの特徴をだせます。政治的な視点で分析するのも、政治的なコンテンツを毛嫌いするパクリ者には、適度な虫除けスプレーになってくれます(個人的な主観ですけど政治ネタを混ぜ込むのは地味に効果がある気がする)。
対策⑥コンテンツをむやみに削除しない
感想を書いていると「これ、もうなんか気に入らない文章になっちゃったな…」「恥ずかしいから掲載したくなくなってきたな…」と過去の自身の感想記事に対して思うこともあります。そういうとき、その感想文章を削除することもあるでしょう。
ただし、削除は慎重に判断しましょう。なぜなら削除してしまうと、その文章などのコンテンツはあなたの書いたものだと証明できなくなり、他者にパクられても「これはもともと私が書いたものだ」と主張できなくなってしまいます。
コンテンツを削除するということは、他者にパクられても打つ手がない状態になることもありうるということです。その覚悟を持って削除するかを決めた方がいいです。
とは言え、もう何の管理意欲もなく、愛着もなくなってしまった「感想記事」や「感想ブログ」を放置しても自分には何のメリットもないですし、サイトを無管理で放置するのはセキュリティ上の問題もありますから、覚悟ができれば思い切って削除するのも大事です。
対策⑦独自ドメインの使用
無料のブログサービスで映画などの感想を書いている人もいるでしょう。その際、サイトのドメインはサービスの初期に無料で利用できるタイプのままで使っているかもしれません。
それでもいいのですが、できれば独自ドメインを持っておくといいです。独自ドメインというのは「~~~~.hatenablog.com」みたいにサービス上のドメインに乗っかっているものではなく、自分の独自で購入した「cinemandrake.com」のような完全なドメインのことです。
なぜ独自ドメインを使うといいのかというと、独自ドメインはいわばインターネット上の住所のようなものなので、それだけで自身の存在を証明できます。しかも「サイト名」などと違って他人と同じになってしまうことはありません。確実に固有です。
それだけなら「~~~~.hatenablog.com」みたいなサービス上のドメインに乗っかっているだけでもいいのですが、独自ドメインになるとサイト引っ越しなどもしやすくなり、サイト内のコンテンツの所有権も自分自身がスムーズに保持できます。
そして万が一、自分のサイトのコンテンツが第3者に盗用されても、独自ドメインでもって自分が所有者であることを証明できます。独自ドメインは結構いざというときに重宝します。リスクマネジメントを考えるなら独自ドメインは必須です。
独自ドメインはそういう独自ドメインを販売している取得サービスを利用して購入します。安いものであれば年額千円ちょっとでいいので、コストはそんなにかかりません。設定もそこまで難解ではありません。
独自ドメインを持つと「映画感想ブログ」を続けるモチベーションが少し上がるという、オマケの利点もあったりします。
対策⑧SNSなどに全く同じ内容を投稿しない
SNSは便利です。映画の感想を投稿するのもサイトやブログよりもはるかに簡単。管理の手間もかかりません。最近は長文を投稿できるSNSも増えたので「これでいいや」となる人もいるはず。
もちろんSNSによるコミュニケーションは映画感想と相性がいいですし、楽しいのは間違いありません。「映画感想ブログ」をやりながら、SNSでも映画の感想を投稿したりしている…そんなこともあるでしょう。
しかし、「映画感想ブログ」の内容(文章など)をそのままSNSにあげるのがオススメしません。理由としては、SNSはサイトやブログ以上にパクられやすいからです。SNSはそういうコンテンツのパクリに関する対策措置がほぼ無いに等しいので、これでは自分が先に作ったコンテンツだと証明するのも至難の業。
なので「映画感想ブログ」に書き綴った文章の大部分をSNSにあげてしまうのはやめましょう。「映画感想ブログ」の文章を要約したり、独自にSNS用に感想を書くのは良いと思います。
対策⑨サイトのシステム・アップデート
これは盗用対策というよりは、セキュリティの基本ですが、サイトのシステムに関連するアップデートは必ずやっておきましょう。
無料ブログサービスを利用している人には関係ない話ですが、レンタルサーバーで「WordPress」を使っていると、絶対に無視できない話です。
「WordPress」自体のアップデート、「PHP」のアップデート、「テーマ」のアップデート、「プラグイン」のアップデート…。とにかく常にアップデートとの付き合いがあります。
面倒だなとこれを怠ると、かなり深刻なセキュリティ上の欠陥が生じてしまうこともあります。こうなるとコンテンツの盗用以前に、サイトそのものを盗まれかねません。
大変ではありますが、アップデートできるものは全部やっておきましょう。いっぺんに全部やるのではなく、ひとつずつ試してトラブルがないかを確認しながらです。不要な「プラグイン」はアンインストールするべきですし、また最新のバージョンに対応していない「プラグイン」も利用を控えるのも手です。
システム面のアップデートを怠けていると、「このサイトの管理者はあまり警戒心がないな…」とみなされて狙われやすくなるかもしれません。
対策⑩不審なアクセスのブロック
最後の手段とも言える技ですが、もし自分のサイトの不審なアクセスがたくさん発生しているなら、そのアクセスしてくるIPアドレスをブロックしてしまうべきかもしれません。
これはそれが100%有害なアクセスであると断言できる場合のみに使う、奥の手です。うっかり有害ではないアクセスをブロックしてしまわないようにしないといけません。
レンタルサーバーを利用している人などができる手段なので、無料ブログサービスを使っているだけだと、こういう最後の手段は使えないことが多いです。
とにかくこれは「他にどうしても手段がない」という場合に検討しましょう。
「映画感想ブログ」を将来も楽しみながら運営していきたいのであれば、日々の改善が大切。時代に合わせて「こんなことをしたらいいのかな?」とか「こういうのは面白いのでは?」と試行錯誤する。それも「映画感想ブログ」の醍醐味です。機械的・事務的に感想記事を投稿するだけだと味もなくなります。AIだなんだの盗用も怖いですが、結局はオリジナリティ溢れる感想サイトを作れるかどうかってところでしょうかね。