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シネマンドレイクが選ぶ「2020年 映画ベスト10」…偏見にもコロナにも負けず

「2020年」の感想

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未曽有の大変さだった…

2020年も終わり。

今年も映画もあれやこれやとたくさん観ま…いや、まさかこんな状況になるなんて…。映画であれだけパニック映画やディストピア映画を観ていたのに、いざ現実世界がそうなると自分の無力さと浅はかさを思い知らされるばかり…。

それでも私には映画を鑑賞するくらいしかできないのです…。

ということで、私的に選んだ2020年の映画ベスト10を発表したいと思います。対象は私が今年観た「2020年に劇場公開された or DVDスルーで発売された or 動画配信サービスで配信された新作映画」です。ついでに独自の部門別でも選びました。

さらにドラマシリーズのベスト5も発表しています。

このコロナ禍にて多くの映画が公開延期となったこともあって、2020年の観た映画の本数は前年よりも減少しています。それでも250~300作品の間くらいでしょうか。劇場に足を運ぶ回数はやむを得ず減りましたが、そのぶんネット配信やドラマシリーズを堪能したりして、私が趣味に費やす時間自体はとくに微動だにしていないのですけどね。

ちなみに過去の年の「映画ベスト10」は以下のとおりです。

映画 ベスト10

映画のベスト10です。10位から1位の順で発表しています。

10位『アイヌモシリ』

残念ながら2020年も多くの人種・民族差別が話題となり、日本でも酷いヘイトスピーチが飛び交う光景がありました。それに対して「正義」を訴える声も少しずつ増えてはいるのですが、そんな「正義」を嘲笑う冷笑主義者も大勢います。その時代の真っただ中で、映画は何を見せるべきなのか。この『アイヌモシリ』は北海道の先住民族「アイヌ」の今を描く作品であり、当時者が抱える苦悩や葛藤が、当事者の出演によって映し出される、ドキュメンタリーともフィクションとも言えない、とても不思議な感覚のある映画でした。これから邦画でもマイノリティを題材にするものは増えていくと思いますが、そのときは常に当事者の立場を第一に作品を生みだしていってほしいものです。マジョリティ観客ではなくて…。その想いが強くなった1年でもあったので、本作は2020年の邦画ベストワンですね。

9位『ザ・ファイブ・ブラッズ』

2020年はたくさんの映画界の功労者が亡くなってしまったのですが、私にとって2020年に最も喪失感をもたらしたことはチャドウィック・ボーズマンの死でした。間違いなく新しい時代を導くリーダーになる人だったのに…彼のいない世界でどうやって前に進めばいいのか…。スパイク・リー監督によるこの『ザ・ファイブ・ブラッズ』はその死が起きる前に公開されたものでしたが、まるで彼の死を予期していたかのような内容でした。ブラック・ライブズ・マター(BLM)の怒りの声が世界を震わせた1年でもあり、この『ザ・ファイブ・ブラッズ』は2020年を象徴する運命的な映画だったと思います。この映画を観ることが鎮魂の祈りになると同時に、平等を絶対に実現しなければという戒めにもなる。同じく“チャドウィック・ボーズマン”出演の『マ・レイニーのブラックボトム』と合わせて「9位」にしたいですね。“チャドウィック・ボーズマン”は個人的ベスト男優賞です。

8位『ナイチンゲール』

世界的に論争を起こす差別の問題は多層的な構造になっており、一面的に論じるべきではなく、それこそ幅広い知識や歴史への理解が求められます。それは映画も同様です。ジェニファー・ケント監督の『ナイチンゲール』は19世紀のオーストラリア・タスマニア地方で起きた恐ろしい歴史的暴力をショッキングな映像とともに逃げずに描ききったものです。人種差別や女性差別が複雑に入り乱れながら、救いを求めてもがく者たちのあるがままの姿を見事に活写していました。『ジョジョ・ラビット』のようなエンタメ性のある風刺で向き合うのもいいのですが、やはりまだまだ正攻法で描く試みは足りていない歴史も無数にあります。これからもこうやって光をあてられていない歴史に映画が役割を果てしていくことが増えていくといい…そう願うばかりです。

7位『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』

人種・ジェンダー・セクシュアリティといろいろなマイノリティにスポットがあたる中、身体的ハンディキャップを持った人を忘れるわけにはいきません。しかし、そんな「障がい者」を映画は昔から扱ってきましたし、2020年も邦画洋画問わずたくさん観られましたが、何かと観客を感動させる道具に利用されがちです。『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』はそういう薄い偽善の世間体を消音にするような映画でした。「ろう者」のデフ・コミュニティをリアルに描く物語。そこには、可哀想な人として見られることの屈辱、障がいを個性として捉えるまでの苦悩…当事者が経験する人生の一部が垣間見えます。もちろんこの映画を観ただけで全てを理解したような気になってはいけないです。でも当事者と非当事者を繋げる“何か”に映画はなれると思います。

6位『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』

2020年はシスターフッドを主軸にした映画やドラマが豊作で、いよいよ時代はシスターフッド最盛期に突入した感じもあります。その中、私の2020年最推しのシスターフッド映画はこの『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』です。一般的にはシスターフッドの主役は若い人であることが多いですが、この『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』は中高年のおばちゃんがメイン。私はやっぱりおばちゃんが活躍する作品が好きなんだなと痛感しました。寂れた田舎の漁村で起きた事件を土台に、酸いも甘いも嚙み分ける女たちが“あること”をしている。そして、それは老化してきた連帯を、未来ある若者へと継承させることにもなっていく。このシスターフッドの世代交代を独特なストーリーテリングで描いた本作に串刺しにされました。

5位『40歳の解釈 ラダの場合』

日本でもLGBTQを題材にした映画が目立ち始めてきた2020年でしたが、その描写は正直に言って不十分というか、かなりダメなものも散見されました。でもマジョリティの観客は気にすることもなく消費して喜んでいたりする。その風景がまた当事者にはグロテスクで…。部分的には良いものもあるのですけどね…。そんなこともあって傷ついたときもあった1年だったのですけど、この『40歳の解釈 ラダの場合』は人種問題を主に扱っていますけど、そのモヤモヤを抱えた者にとって「よく言ってくれた!」」というスカッとするものでした。「私たちを都合の言いように利用するな!」「私のストーリーを駄作にするな!」…こういうことを世間に叫びたかったんです。監督・製作・脚本・主演を兼任した“ラダ・ブランク”は個人的にベスト女優賞です。

4位『ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから』

2020年も選り取り見取りのティーン作品がありましたが、映画ならばこの『ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから』にバキュンと撃ち抜かれました。アジア系を主役にした作品としても最高です。アジア系特有のステレオタイプに陥ることなく、かといってリアルにも向き合っている、このバランスも素晴らしいですし、知的で幼く不安定な青春を適度に映し出してもいます。「愛は厄介でおぞましくて利己的、それに大胆」…そんな愛に対するアカデミックな自問自答。基本的にレズビアン・ロマンスなのですが、脇には男性たちのマスキュリニティを問い直すメンタルヘルスな要素もあって、そういうサイドストーリーも含めて全部が心地いい映画でした。本作を手がけた“アリス・ウー”監督、もっと作品をガンガン生み出していってほしいです。

3位『キューティーズ!』

私はたいていはその年のベスト10には子どもを題材にした映画をひとつは選んでいるのですが、2020年はもうこの『キューティーズ!』一択でした。本作はかなりタブーに挑戦する一作で、子どもへの性的搾取を題材にしています。直接的な性的虐待ではなく性的なコンテンツとしての消費。それは日本でも今年もたびたび炎上していたセクシュアル・オブジェクティフィケーションの問題でもあり、本作に至っては小児性愛とも交差するものです。それはどうしても現実的な問題として捉えづらい部分もあるのですが、本作はそこに人種・宗教・貧困といった側面も重ねつつ、そのリアルをあるがままに映し出しています。子どもたちを既存の社会が救えていないもどかしさ。それを子ども視点で描くことで浮かび上がる行き場の無さ。このセンセーショナルなテーマに踏み込んだ映画を性的問題で荒れるフランス映画界に送り込んだマイモウナ・ドゥクレ監督は私のベスト監督賞です。

2位『燃ゆる女の肖像』

傑作という言葉を安易に使うべきではないのはわかりますが、あえて言いたくなることもある。まさにこの『燃ゆる女の肖像』は傑作にふさわしい映画でした。本当に映画史に残るでしょう。レズビアン・ロマンスとして一級品ですが、あらゆるセクシュアリティを総合した恋愛映画全体においても頂点ではないのだろうか。加えてフェミニズムをテーマにした作品としても芸術レベルが桁違いですし…。なんだろう…上手く言葉にできない。圧倒的です。しかもこの映画は映画館で観た時のインパクトが尋常ではありません。ネット配信では絶対に味わえない“観る”という興奮がダイレクトに飛び込むラスト。今、これを書いていてもあのシーンを思い浮かべると心拍数があがる気がする…。こんな傑作が生まれてしまったら、これからのレズビアン映画のハードルはグンとあがってしまうでしょうね…。

1位『ミッドサマー』

このサイトをずっと見てくれている人は察しがつき始めていると思うのですが、私が1位にするのは世間的に素晴らしいと評された良作ではなく、私が偏愛を捧げることができる映画でして…。となると2020年はもうこの映画しかありえません。我らが神、もしくは悪魔、“アリ・アスター”監督が生み出した怪作『ミッドサマー』です。もうこの映画に関しては世界中の人が嫌いだと言ったとしても、私が好きならそれでいいかなと思っています。でも思っていた以上に世間で『ミッドサマー』が注目を集めてしまい、ちょっと私の方が困惑している…。大丈夫? こんなヤバい映画を一般人に見せてもどうなるか知らないですよ? “アリ・アスター”監督には次回作はもっと凡人たちをドン引きさせるような映画を生みだしてほしいですね。

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総評&ベスト10に惜しくもリストできなかった映画

あらためて私の2020年映画BEST10は以下のとおりです。

1位『ミッドサマー』
2位『燃ゆる女の肖像』
3位『キューティーズ!』
4位『ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから』
5位『40歳の解釈 ラダの場合』
6位『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』
7位『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』
8位『ナイチンゲール』
9位『ザ・ファイブ・ブラッズ』
10位『アイヌモシリ』

悩みに悩み抜いて決めたベスト10。当然、惜しくも入れられなかった映画も2020年もいっぱいあります。

『ジョジョ・ラビット』にも偏愛がありますし、『ルース・エドガー』『透明人間』といった良作も話題に外せません。シスターフッド映画なら『ハスラーズ』も最高の多幸感でしたし…。

『アンアンカット・ダイヤモンド』『レディ・オア・ノット』のような劇場未公開なスルー映画も良質でした。ほんと、もっと注目を浴びてほしいのですけど。

アニメなら『ウルフウォーカー』『ソウルフル・ワールド』が私の中では興収ナンバーワンです。『ウルフウォーカー』はとくに最後までベスト10に入れようかと悩んだのですけどね。

ちなみに『パラサイト 半地下の家族』は2019年のベスト1位にしています。

振り返れば、2020年の私のベスト10は6作品が女性監督。年々活躍が増えており、確実に映画界も変わってきている兆しを感じますね。

ドラマシリーズ ベスト5

2019年にドラマシリーズの感想記事も書くようになり(もちろんそれ以前からドラマシリーズは鑑賞していたのですが)、2020年はさらにドラマシリーズ感想記事の数も増えました。ドラマシリーズ1作の感想執筆にかかる労力は映画以上で大変なのですけど、皮肉なことにコロナ禍のせいで時間に空きができたぶん、ドラマシリーズの感想にあてる余裕ができました。そんな中で、2020年の個人的ベスト5を選出しました。アニメシリーズは別枠で選出しているでの含めていません。

5位『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』

本作は強烈にクセがあって万人に薦められないのですけど、私の趣味にはドンピシャでした。人種差別の恐怖とクトゥルフ的な怪物に襲われる恐怖が巧みに重なり合い、風刺をともない、ある種の啓示ももたらす、そんな多層的な作品になっているわけで、毎話鑑賞していてこんなに脳みそが刺激されるストーリーは他になかったというくらいに満喫できました。物語というもののパワーをまざまざと実感させられるとんでもなくパワフルなドラマでしたね。

4位『セックス・エデュケーション』シーズン2

性教育が世界でも致命的に出遅れているゆえに、大人でも残念な性知識を露呈しまくっている日本。そんな国にいる以上、真っ先に観てほしいドラマシリーズがこちら。性は恥ずかしいことじゃない、タブーでもない、人生に必要な理解すべきパートナー。本作を観れば、誰でも抱えているジェンダーやセクシュアリティの悩みが軽くなるはず。個人的には1位でもいいくらいにお気に入りなのですが、2021年にはシーズン3も配信されますし、その今後への期待値も含めてこれくらいの順位に。

3位『POSE ポーズ』

ニューヨークで暮らすアフリカ系やラテン系のトランスジェンダーなどのLGBTQコミュニティにとっての社交の場になっている「ボール(Ball )」という文化を題材にした本作。当事者が主体的に参加することでこんなにも面白くなる。理想的な「私たちの私たちによる私たちのための」作品ではないでしょうか。マジョリティ観客のために存在しているんじゃない、自分たちのためにパフォーマンスしている。ドラマなどの創作物もそうであってほしいと思います。搾取はもう嫌なのです。

2位『クイーンズ・ギャンビット』

2020年のNetflix作品の中でも世界的に最高の視聴者数を記録した、まさに今年の顔になった本作。素晴らしいストーリー、魅力的なキャラクター、釘付けになるサスペンス、惚れ惚れするデザインセンス、現代的テーマに刺さるメッセージ、圧倒的なラストのカタルシス…。どこを切り取っても隙がなく、まるで完全勝負で打ち負かされた気分です。主演のアニャ・テイラー=ジョイもこれで一気に一般での知名度があがって活躍の場が広がるといいですね。

1位『アンオーソドックス』

宗教は人間に何をもたらすのか。厳格な規律で個人を縛るユダヤ教超正統派の世界を覗くことになる本作。その生々しさに戦慄を感じますが、他人事にもなれない。日本は無宗教だから…なんて声もいまだに聞こえますが、こんなふうに個人を抑圧する世の中はいつもすぐそこにあって…。主演を務めたのがシラ・ハースという若手女優の名演も見どころ。あまり観ている人は少ないかもしれませんが、リミテッドシリーズでボリュームも少ないので、時間的には視聴しやすいです。

アニメシリーズ ベスト1

アニメーション・シリーズはあまり多くを観ていないのでベスト1だけを選出します。日本・海外どちらも含む作品が対象です。あくまでシリーズものだけを対象とし、単発の映画が対象にしていません。

1位『ボージャック・ホースマン』

カルト的人気を集めてついに完結したこの大人向けアニメシリーズ。私にとってはアセクシュアルを真正面から素直に描いたものとして、人生初の出会いをもたらした運命的な作品。私のオールタイム・ベストとして記念碑を立てることにします。終わってしまうのが本当に悲しい、ずっと一緒にいたかった…そんな寂しさも正直ありますが…。マヌケそうな絵柄ですが、予想を超えて心にグサっとくる人間の不甲斐なさをリアルに描くものですので、騙されたと思ってぜひ鑑賞を。

他にベスト5に入れたかったドラマシリーズは『ウォッチメン』『キング・オブ・メディア(サクセッション)』『ミッドナイト・ゴスペル』など。

独自部門の個別賞

ベストランキングの次は、俳優や監督のベスト…と言いたいところですが、そんなものはやり尽くされていて面白くない。そこで以下の独自な部門を勝手に設置して、自己満足で作品を選びました。作品の対象は映画・ドラマシリーズ・アニメなど全てを範囲として含みます。

ベスト・ドキュメンタリー賞
…通常の作品とは評価基準が異なってくるドキュメンタリー作品から年間ベストをひとつ。
ベスト・エンターテインメント賞
…自分の中でその年を象徴するエンタメ満載な作品をひとつ。
ベスト・ミュージック賞
…音楽や楽曲が優れていて作品自体にマッチしていた作品をひとつ。
ベスト・アニマル賞
…個人的に「動物」が好きなので、作品に登場した動物の中からピックアップ。
メモリアル賞
…ベストに入れられなかったけど、ベスト以上に心に強く残った作品に贈ります。
忘れてない?賞
…日本でビデオスルーもしくは公開規模わずかになってしまった良作映画に贈る、個人的イチオシ。
ベスト・Ace/Aro賞
…私がアセクシュアル&アロマンティックということで、その好みに合う作品orキャラに。
ベスト・ノンバイナリー賞
…私がノンバイナリーということで、その好みに合う作品orキャラに。
ベスト・アライ賞
…いろいろなマイノリティを支えてくれる献身的な作品orキャラに。
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ベスト・ドキュメンタリー賞

『トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして』

とくに日本を見るとトランスジェンダーの認識はまだまだかなり乏しいと痛感することが多いです。やはり“異性になりきっている人”というイメージは強く、そうでなかったとしても“性転換している人”という理解だったり、“障がい”という枠でしか捉えられなかったり…。かくいう私もノンバイナリーなので広義のトランスジェンダーなのですが、トランスジェンダーというのは考えている以上に多様で、奥が深いです。それこそ当事者でも全容を把握できないほどに。そんな中、この『トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして』は、トランス当事者が映画などの映像作品におけるトランスジェンダーの描かれ方の歴史を紐解いていきます。映画好きなら1度は観てほしいと強く思う一作です。

ちなみに他に良かったドキュメンタリーは、『娘は戦場で生まれた』『ミス・アメリカーナ』『オクトパスの神秘 海の賢者は語る』『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』などですかね。

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ベスト・エンターテインメント賞

『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』

2020年のエンタメはとにかく何度も言ってますけどシスターフッドが強かった印象。『ハスラーズ』も『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』も大満足でしたが、一番を選ぶならこの『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』かな。何がいいってこの圧倒的な肯定感。クヨクヨするな、ウジウジするな、自分を卑下するな…イケてないからって劣等感で自分を傷つけることはしないで! たぶんこういう言葉はあらゆる世界のあらゆる人々に今まさに必要なんだと思います。

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ベスト・ミュージック賞

『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』

2020年も素晴らしい音楽を映画は届けてくれたのですが、このコロナ禍を象徴すると考えるとやはりそこには『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』を無視できないと思います。個別の感想記事内でも書きましたが、この新型コロナウイルスのパンデミックの時期に本作が公開されたのは導きだったのだろう、と。ビルとテッドは本当に世界を救ってくれたんだ、と。そう思うじゃないですか。エクセレントなパワーをありがとう。

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ベスト・アニマル賞

『カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇』のアルパカ

動物映画と言えば2020年はクオリティで言えば『ウルフウォ-カー』で間違いないです。ではなぜ『カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇』のアルパカを私は選んでしまっているのか。なんでだろう…。たぶん私は老後は田舎でアルパカを育てるという余生を過ごしてみたいと思い始めているのかもしれない。クトルゥフな生き物を飼育する動物園とかでも経営しようかな…。あ、『キャッツ』も忘れてないですよ、あれもクトルゥフだったもんね…。

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メモリアル賞

『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』

2020年、大衆を熱狂させた映画と言えば、あれです。時間を逆行するという禁断の技を使い、こんなの見たこともないという映像をお見舞いする…そうです、『続・ボラット』です。まあ、時間は逆行してなかったけど、倫理観は逆行していました。でも冗談抜きにして本作は2020年に最も記憶に残るべき映画だったと思うのです。『続・ボラット』を思い出せば「あ、そう言えば2020年はクソな政治家がいたな」ってフラッシュバックできますからね。ええ、あなたの失態は絶対に忘れてやりませんよ。

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忘れてない?賞

『ナンシー』

2020年も本当に数多くの良作がビデオスルーになってしまって…。中には劇場公開されたはいいけど、ほんのわずかな公開規模だったものもあって、こちらも扱いは可哀想です。そんな中で、私が2020年に選ぶのは『ナンシー』です。物語の主人公自体も「忘れてない?」と言いたくなるような社会の影に隠れてしまって放置された人間ですからね。どのマイノリティのカテゴリにも入らないけど、忘れられている者がいる。それはいつも覚えておきたいことです。

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ベスト・Ace/Aro賞

『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』

グレタ・ガーウィグ監督の本作は別にアセクシュアル・アロマンティックを想定しているわけではないと思うのですが、その当事者にも他人事ではない物語だったと思います。私も本作を何度か見直していく中で、やっぱりこれは私たちにも手を差し伸べられている気がどんどんしてきました。本作で主人公が抱える孤独はそういうものとしても解釈できますし、そんなクィア・リーディングもいいんじゃないでしょうか。本作がまだ見ぬAce/Aro大作映画の土台になることを願って…。

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ベスト・ノンバイナリー賞

『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』

ノンバイナリーというのは男性も女性でもないジェンダーのことですが、それを主題にする映画はたぶん2020年はひとつもなかったように思います。しかし、意外にもノーマークだったこの『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』はそのノンバイナリーな領域に足を踏み入れようとする、子ども向けのアニメーション映画だったのかなと思います。私たちは中間ではない、それがひとつの個性として、自分らしさを胸に生きているのです。

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ベスト・アライ賞

『ベビー・シッターズ・クラブ』

アライ(Ally)というのはマイノリティに寄り添って助けてくれる人のこと。気休めのような「私、変に思ってないよ」という言葉ではなく、真に一緒に闘ってくれる仲間のこと。個人的にはドラマシリーズのベスト5に入れませんでしたが『ベビー・シッターズ・クラブ』シーズン1のうちで、トランスジェンダーの子を描いた第4話「Mary Anne Saves The Day」はベストエピソードとして特別級に大切な感動を与えてくれました。映画であれば、同性愛コミュニティの中ではアライとして伝説になってるジュディ・ガーランドを描いた『ジュディ 虹の彼方に』を選ぶかな。


 

以上です。

2021年もたくさんの心震わす映画&ドラマに出会えますように。でも感染症対策は気を緩めないでね。