とりあえずね…映画『ミッションインポッシブル ファイナル・レコニング』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2025年)
日本公開日:2025年5月16日
監督:クリストファー・マッカリー
みっしょんいんぽっしぶる ふぁいなるれこにんぐ
『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』物語 簡単紹介
『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』感想(ネタバレなし)
8作も観たんですか?
前置きは無しでいきましょう。助走はじゅうぶんです。
『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』のおでましです。
ご存じ“トム・クルーズ”がやりたい放題することが許されている映画『ミッション:インポッシブル』シリーズ。その第8作目となります。
二部作のパート2でもあり、前作の映画公開時のタイトルは『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』で、続編となる今作も当初は『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART TWO』というタイトルがアナウンスされていたはずなのですが、結局、原題が「Mission: Impossible – The Final Reckoning」で邦題も『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』になりました(合わせて前作のタイトルもホームメディア発売時に『ミッション:インポッシブル デッドレコニング』に縮められました)。
タイトルは変わっても二部作の後半であることは変わらず、前作からストーリーは直通で続きます。
前作のあらすじを超簡単にまとめると「なんかヤバいAIのせいで世界が危機だ。鍵はゲットした。これを使う場所は沈没した潜水艦だって!」…そんな感じ。ほんと、物語の主軸はそれくらいあっさりしてるから…。
もちろん『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』の見どころは、主役の“トム・クルーズ”がどんなアクロバティックなスタントをみせてくれるか…これに尽きます。物語は飾りです。チャレンジングなスタントのための舞台にすぎません。
“トム・クルーズ”の他は、“サイモン・ペッグ”、“ヴィング・レイムス”などのいつものメンバーは当然のこと、前作から登場の“ヘイリー・アトウェル”や“ポム・クレメンティエフ”、“グレッグ・ターザン・デイヴィス”も継続参加。
さらに、アメリカ大統領役で”アンジェラ・バセット”がカムバックしたり、空母艦長役でドラマ『テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく』の“ハンナ・ワディンガム”、潜水艦艦長役でドラマ『セヴェランス』の“トラメル・ティルマン”などが出演したりしています。
それにしても…8作目か…。そんなに観たのか、私…。でも“トム・クルーズ”が何か命を懸けるというなら、見守ってあげないと…。
上映時間はさらにシリーズ最長を更新して169分に。狙い目のトイレ・タイムは、潜水艦の大仕事がひと息ついた直後ですかね。
『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』を観る前のQ&A
A:前作『ミッション:インポッシブル デッドレコニング』を観ておくのがオススメです。
鑑賞の案内チェック
基本 | — |
キッズ | 映画時間が長すぎるほか、会話パートはかなり退屈かもしません。 |
『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(前半)
世界は「エンティティ」と呼ばれるAIによって、各国の政府機関や銀行、大企業が次々と不正にアクセスされてしまい、破滅的な未来が間近に迫っていると予想されていました。社会は大混乱と不安に包まれ、ある人々は静かに終わりに震える一方で、一部の人からは世界が終わって次の新しい世界が築かれることに期待する声も聞かれました。とにかく何の保証もありません。
その危機に立ち向かおうと覚悟を決めていた男がひとりいました。
IMFのエージェントとしてこれまで数多の絶対不可能とされてきたミッションをクリアしてきたイーサン・ハントです。
今こそイーサンが必要とされていました。イーサンの手に懸かっている…。しかし、アメリカ合衆国大統領であるエリカ・スローンからの指令には簡単に応えられません。現在の情勢では誰が信用できるのか何もわからないのです。
幸いなことにイーサンには国家よりも信頼できる仲間がいました。
長年の相棒であるベンジーとともに地下の線路の奥深くに仮設された秘密基地へ。そこではこれまたずっと一緒に活動してきたルーサーが先にそこで仕事に取り掛かっていました。
エンティティのコントロールには必要とされてきた2つの鍵。組み合わせると十字型のひとつの鍵になりますが、これには秘密があるようです。
その謎を解くには「セヴァストポリ」という言葉を口にしていたパリスという暗殺者に聞きださないといけません。パリスはガブリエルというエンティティに従っている男の配下でしたが、今はガブリエルに反旗を翻し、捕まっていました。
イーサンは捕まったパリスを解放し、ガブリエルの居場所を問います。
以前に鍵を追う中で仲間になったグレースと合流し、ガブリエルがいる場へ向かうことにしましたが、ガブリエルはそれも予測していたようで、グレースとともに捕まってしまいます。
拘束したイーサンとグレースの前で、ガブリエルは沈没したロシアの潜水艦セヴァストポリからある品を回収するように強要してきます。そのアイテムがあればエンティティのソースコードを制御できるようになり、この世界を手中にすることも可能になるとのこと。それが事実であれば、誰にも渡せません。
イーサンは死にかけたふりをして隙をつき、拘束から解放。グレースと連携して敵を格闘で制圧します。2人は全力疾走でガブリエルを追い、ベンジーは新人のパリスとテオ・ドガをともなって支援に駆けつけます。
それでも狡猾なガブリエルは逃げ出すことに成功し、ロンドンにいるルーサーに危険が迫っていました。
イーサンは全力でルーサーのもとへ走りますが…。
主張の激しい「1996年5月22日」

ここから『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』のネタバレありの感想本文です。
さすがに私もわかっています。基本的にこのシリーズは、“トム・クルーズ”の特大スタントを見物するための映画なのであり、物語はそのスタント・シーンを用意するための繋ぎでしかないことを…。ここ最近の作品は物語の大雑把さが顕著でしたが(ツッコんだら負け)、今回の『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』は大雑把どころではないこれまでで一番いい加減な感じではありました。
前作を観たときはてっきり「これは次作は潜水艦まで潜っていくスタント・アクションから始まるんだろうな」と思ったのですけど、まさか潜水艦へ潜るシーンまでに1時間以上費やすとは…。
正直、この前半部、非常にまどろっこしいです。ばっさりカットしても良かったんじゃないかと思うくらいには…。
まず潜水艦の位置がわからないから座標を調べないとならず、その最中に相変わらず行動が突発的なガブリエルが邪魔しつつ、アメリカ政府の協力を得ます。これまではかなりアメリカ政府は信用できない存在として切り捨てられがちでしたけど、今回はアメリカ政府側に花を持たせる国威宣揚なシーンが散りばめられていたのは…『トップガン マーヴェリック』に影響されたんだろうか…。
序盤は謎の棺っぽい映像体験装置でイーサンに核による終末のビジョンを見せたり、やたら仰々しい煽りが多く、「もうそれはわかったよ! ヤバいんでしょ? いつものことじゃんか!」と観客としては心の中で思いながら観てました。
あのAI、何がしたかったんだろうな…。
その雑さは毎度のことかもしれませんが、本作はこれに加え、ある種のシリーズのフィナーレ的な区切りの位置づけということもあって、送別会のような雰囲気を醸し出します。これが余計に今作を大雑把にしているんですね。
とにかくやたらと過去作の映像集が不定期に挟まれますし、昔懐かしい顔との再会要素として1作目に登場したウィリアム・ダンローがまた現れます。素直に告白すると、私は最初は「あれ、誰だっけ?」って思いました。
そして長年の仲間であるルーサーは敵の策略で犠牲になってしまい、ベンジーは死にかけながらも土壇場の応急処置で生きながらえ、エモい空気に貢献します。
でもこのシリーズ8作の終着点としてのお疲れさま会の中で、グレースや、パリス、テオ・ドガにいたっては、かなり新参者なので、ちょっと場の空気に馴染み切れていないところはあったな…。なんか場違い感があってちょっと可哀想だった…。
たぶん一番エモさをだしたかったのは、「1996年5月22日」と書かれた手紙のくだりだったのかもしれません(空母で艦長が封を開ける手紙の中身)。これ、わからない人にはさっぱりなシーンですけど、「1996年5月22日」というのは1作目のアメリカ本国劇場公開日なんですね。私はエモいを通り越して「ネタが直球すぎるだろう」と少し笑ってしまったのですけど…映画内では異様なまでにシリアスで貫いていた…。
個人的な好みとして、そこまで壮大な重々しさとかはいらないので、もっとみんなでワイワイがやがやとコミカルにミッションに取り組む姿を観たかったな…。
トム・クルーズにファイナルはない
で、肝心の『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』の目玉、“トム・クルーズ”のスタント・アクション。今回は大きく2つのどでかいシーンが提供されます。
ひとつは、前作で海底へと沈没した潜水艦セヴァストポリに潜るパート。さすがに生身は無理なので潜水服で潜るのですが、中途半端に浸水した艦内で潜水艦自体がぐるぐるごろごろしだしたがゆえに、あらまあ大変。まるで洗濯機や食器洗い機の中ですよ。
ここの水中シーンはもう閉所恐怖症と水中恐怖症には辛い展開の連発ですが、こういう刑が地獄とかにありそうです。“トム・クルーズ”は何か悪いことしたんでしょうか…。
潜水艦を出ると今度は「お前はアクアマンなのか!」っていうくらいの底力を発揮するイーサン。もちろんあそこは本当にあれほどの深度の海の底から這いあがってみせたわけではないでしょうし、グレースが水中でキスで息継ぎするみたいなベタな演出過剰なところもあるのですけど、あらためて思う…イーサンの超人を過信しすぎだろう…と。呼吸の問題とかじゃないですよ、普通は。
お次のパートが、今作のファイナル・アクション…2機の複葉機での追走劇からの一騎打ち。もうこのシーンになると、ギャグと神業が紙一重すぎてこちらは何も言えないですよ。
2人で曲芸で揉みあいしまくるのですが、相手のガブリエルが「スタントにもし失敗したときの最悪の死に方」を披露してくれるのがまた笑いを誘う…。いや、本当にこんなことになったら全然笑えないのですけども…。
このスタント・アクションのためにあの1時間以上のまどろっこしいシーンを見せ続けられていたのだとしたら、それでもいいかなとつい思ってしまうくらいには、凄まじいものを眺められる満足感はやっぱりありますね。
こういう本気のスタントを観てしまうと、『キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』の空中戦とか、そういう他の映画のアクションが凡庸に思えてきてしまう…。
ほんと、この空中シーンのメイキングとか動画で見ると「なにしてるんだろ、この人たち…」って呆れるしかなくなりますからね。
こうして『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』でシリーズの最後を迎えた…わけではないかもしれないらしく、“トム・クルーズ”は死ぬまで映画で頑張ると言っていますし、このフランチャイズを企業が捨てるはずもないので、また続編が作られるときは“トム・クルーズ”が体を張ってしまうのかも…。62歳だし、どこかでストップかけないといけないと思うのですが、誰か止められる人、いるんですか? お疲れさま会をしたので少しは頑張り度合いを下げてもいいんですよ。
シネマンドレイクの個人的評価
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
関連作品紹介
「ミッション:インポッシブル」シリーズの作品の感想記事です。
・『ミッション:インポッシブル フォールアウト』
作品ポスター・画像 (C)2024 PARAMOUNT PICTURES ミッション・インポッシブル ファイナルレコニング ミッションインポッシブル8
以上、『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』の感想でした。
Mission: Impossible – The Final Reckoning (2025) [Japanese Review] 『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』考察・評価レビュー
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