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『ウィズアウト・リモース』感想(ネタバレ)…マイケル・B・ジョーダン、戦闘開始!

ウィズアウト・リモース

マイケル・B・ジョーダン主演作で戦闘開始!…映画『ウィズアウト・リモース』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Tom Clancy’s Without Remorse
製作国:アメリカ(2021年)
日本では劇場未公開:2021年にAmazonビデオで配信
監督:ステファノ・ソリマ

ウィズアウト・リモース

ウィズアウト・リモース

『ウィズアウト・リモース』あらすじ

元アメリカ海軍特殊部隊の精鋭だったジョンは除隊して平和に愛する妻と暮らしていた。妻のお腹には新しい命が宿っており、暖かい家庭の未来を思い描いていた。しかし、それは唐突に消える。妻は無残に殺害され、その犯人を必死で追う中、彼は国家が事件に複雑に関わっていることを知る。そして、国家の陰謀を暴いていくことになるが、それは想像以上に闇深いものだった。これは伝説の序章に過ぎない。

『ウィズアウト・リモース』感想(ネタバレなし)

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不滅のトム・クランシー最新作

「トム・クランシー」という小説家を知っているでしょうか。

『ある女流作家の罪と罰』の主人公が「あんな極右なのに出版社にもてはやされて…」とディスりまくっていましたが、そのトム・クランシーです。

軍事や諜報を主軸としたスリラーのジャンルではアメリカでトップクラスに有名な小説家のひとり。1984年に「レッド・オクトーバーを追え」でデビューし、これがベストセラーとなって瞬く間に業界のトップランナーとなりました。

代表的な著作はこの「レッド・オクトーバーを追え」から始まる「ジャック・ライアン」シリーズ。「愛国者のゲーム」(1987年)、「クレムリンの枢機卿」(1988年)、「いま、そこにある危機」(1989年)、「恐怖の総和」(1991年)…とどんどん作品を連発し、2016年には「イスラム最終戦争」が出版されるなど、その勢いは衰える気配がありません。2013年に亡くなってしまったのですが、なおも共著者が引き継いで執筆が続いています。

もはやこのジャンル=トム・クランシー…という感じで不滅なんじゃないでしょうか。日本では一般には知名度は全然ないのですけどね。

でもTVゲームで知っている人はいるかもしれません。トム・クランシー作品はゲーム化もしていて、「Tom Clancy’s Rainbow Six」「Tom Clancy’s GHOST RECON」というシリーズが発売されています。

そしてもちろん映像化もされています。1990年の『レッド・オクトーバーを追え!』はアレック・ボールドウィン主演でアカデミー音響効果賞を受賞したりもしました。他にもハリソン・フォード主演の『パトリオット・ゲーム』(1992年)と『今そこにある危機』(1994年)、ベン・アフレック主演の『トータル・フィアーズ』(2002年)、クリス・パイン主演の『エージェント:ライアン』(2014年)、ジョン・クラシンスキー主演のドラマシリーズ『ジャック・ライアン』(2018年~)…。役者をコロコロ変えつつ、こっちも随分長いです。

そんな中、トム・クランシー原作の「容赦なく」が映画化され、お披露目となりました。それが本作『ウィズアウト・リモース』です。

この作品はおなじみの「ジャック・ライアン」シリーズの一作ですが、シリーズ主人公のジャック・ライアンの物語ではなく、ジョン・クラークという別の男の話。そのジョン・クラークが軍事諜報の世界で生きることになる始まりの章・エピソードゼロを描いたものです。だから過去作の映像作品とか観てなくても大丈夫です。

しかも、ここが大事ですが、本作『ウィズアウト・リモース』は原作とほぼ別物。ストーリーも世界観もガラっと変わってます。

何よりも主人公ジョンを演じるのが“マイケル・B・ジョーダン”であるというのが最大の特筆ポイントです。『クリード』シリーズのようなスポーツ映画から、『ブラックパンサー』のようなエンタメ、『KIN/キン』のようなSF、『黒い司法 0%からの奇跡』のような社会派など、幅広い活躍を見せている若手俳優。残念なことにチャドウィック・ボーズマンが亡くなってしまった今、“マイケル・B・ジョーダン”への期待はさらに高まっていると言っていいでしょう。実際その期待に応えるようにとても映画界を変える挑戦にも積極的です。「インクルージョン・ライダー」を起用し、有色人種や女性の活躍を高めたり、その影響力はみんなのお手本にもなっています。

その“マイケル・B・ジョーダン”が長らく白人主体的であったこの軍事諜報ジャンルに切り込んでいくのはとても意義深いと思います(ちなみに原作では主人公は白人です)。

で、肝心の映画としての『ウィズアウト・リモース』なのですがかなり昔から企画が停滞していましたが、パラマウントが映画化を進め、ようやく2020年に公開…と思ったら新型コロナウイルス。公開タイミングを見失い、結局はAmazonに売却することになり、本作は「Amazon Prime Video」でのオリジナル映画として配信となりました。まあ、しょうがないか…。

ということで影が薄めの作品になってしまったのですが、でも製作陣も凄いのです。あの『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』を手がけた“ステファノ・ソリマ”監督&“テイラー・シェリダン”脚本のタッグ再びです。これだけでも期待値が上がる映画ファンもいるのでは?

『ウィズアウト・リモース』は軍事諜報ジャンル好き、または俳優ファンには無視できない一作だと思います。

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『ウィズアウト・リモース』を観る前のQ&A

Q:『ウィズアウト・リモース』はいつどこで配信されていますか?
A:Amazon Prime Videoでオリジナル映画として2021年4月30日から配信中です。

作品を観れます!

オススメ度のチェック

ひとり3.5:ジャンル好きなら
友人3.5:趣味の合う同士で
恋人3.0:ロマンス気分は薄い
キッズ2.5:暴力描写は多数
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『ウィズアウト・リモース』予告動画

【マイケル・B・ジョーダン主演】Amazon Original 新作アクションスリラー!4/30 限定配信開始
↓ここからネタバレが含まれます↓

『ウィズアウト・リモース』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):容赦なく復讐開始

シリアのアレッポ。戦場化して疲弊しているこの街で、闇に潜むのはアメリカの特殊部隊。ネイビーシールズです。

今回の任務をCIAから派遣されたロバート・リターが説明します。人質はCIA工作員。困難なミッションですが、スペシャリストが揃うこのチームであれば不可能ではありません。

さっそく任務開始。夜間に建物へと侵入。順々に制圧し、的確に戦闘員を撃っていきます。クリア。人質を発見。ここまでは完璧。しかし、チームの一員であった上級兵曹長のジョン・ケリーは異変に気付きます。敵はどうやら元ロシア兵のようです。なぜこんなところにロシアが…。

しかし、リターはろくに説明してくれず、撤収を急ぎます。その瞬間、RPGを敵がぶっ放し、仲間のカレン・グリアが崩落した床に落ちてしまいます。人質の脱出が優先だとチームは行ってしまいますが、ジョンは残って助けることに。リターは嘘をついていたのか、ここはロシアの武器庫のようにも見えます。

なんとか敵を殲滅し、ヘリでリターを問い詰めるジョン。無言です。結局は不満をこらえるしかなく…。

3カ月後。ジョンは除隊していました。家族で団欒。民間の警備会社で働くつもりで、何よりも妻パメラ(パム)と一緒にいる時間が大事でした。妻は妊娠中。来月が予定日で、今からその日が楽しみです。

ところがそんな幸せの裏。各地であのネイビーシールズの隊員が何者かに殺される事件が同時多発的に起こっていました。ノースカロライナ州シャーロットでは家の前の道路で男がバンに轢かれ、ジョージア州アトランタでは夜の街で渋滞にハマった男が前方車両から突然の銃撃を受け…。そしてその魔の手はジョンにも…。

夜。妻も寝てしまい、ジョンは暗い部屋でソファの上、くつろいでいました。しかし、停電。異変を感じ、銃とライトを手にゆっくり状況を窺います。敵を確認。相撃ちになってしまい、両者倒れます。相手は足をひきずり消えていきました。

ジョンはなんとかベッドの妻のもとへ這っていきますが、そこにあったのは息絶えた愛する者の姿。

ジョンは緊急搬送され、目覚めると目の前にはグリアが立っていました。「赤ん坊は?」…首を横にふられ、悲しみをこらえるジョン。それはすぐに怒りに。

クレイ国防長官がグリアのもとに訪ねてきて、「ジョンについて話したい。彼はどこまで信用できる?」と語ってきます。

リハビリを終えたジョンはグリアから話を聞きます。ラングレーのCIA本部に呼ばれた彼女はそこで国防長官と一緒にリターから報告を受け、ユーリ・ゼリンというロシア連邦保安庁(FSB)の長官の息子がアレッポにいたこと、シールズ隊員はロシアが間接的に攻撃したと分析していること、そしてCIAは事をこれ以上荒立てたくないので解決済みと考えていることを伝えられた、と。

納得いかないグリアは密かにジョンに資料を渡します。元FSBのワシリエフという男がパスポートを発行しているようです。

全てを失ったジョン。やることはひとつのみ。

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尋問はいつも突然に

『ウィズアウト・リモース』は“ステファノ・ソリマ”監督&“テイラー・シェリダン”脚本のタッグ再登板というだけあって、とても重厚でビジュアライズされたシーンがずっと印象的でした。

冒頭の水場からヌッと出てくるネイビーシールズの演出もいいですし、その後も随所に視覚的に釘付けになるシークエンスが連発します。

主人公のジョンもいつも突発的に戦闘に巻き込まれるのですが、何気ない日常が緊迫のシーンに切り替わるのに映像が後押しする力は大きいです。最初の家に侵入されて強襲されるくだり、独房でのいきなりの乱闘、どれも一瞬の不穏な空気を感じ取ったと思ったら、死ぬか生きるかの瀬戸際に。

また、飛行機でのこちらも突然すぎるロシア戦闘機からの撃墜によって落下&不時着のダイナミックなシーン。さらに後半のスナイパーによる狙撃でどんどん仲間が倒れていくという絶望的なシーン。

こういう瞬間的に恐怖が襲ってくる演出は“ステファノ・ソリマ”監督の前作『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』でもありましたけど、やはり得意技なのでしょうか。

ちなみにジョンはなぜだか知りませんがやたらと豪快な尋問を用意します。最初は炎上する車内の中。次は水中に沈む車内の中。ここはあまりにも荒唐無稽で「大丈夫か、ジョン!?」って感じなのですけど(もうちょっと目立たない確実性のある尋問もできるだろうに)、あのジョンの常軌を逸した感じも出ていて、少し作品のキーポイントになりそうだったかな。

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ジョディ・ターナー=スミスがCool!

俳優陣ももちろん良かったです。

主演の“マイケル・B・ジョーダン”はさすがの貫禄。やっぱりこの俳優はどのジャンルでも絵になりますね。というか、私たちは黒人主人公のこの手のジャンルだと、今まではずっとウィル・スミスかデンゼル・ワシントンだったわけで、どこか絵に飽きていたと思うのです。“マイケル・B・ジョーダン”という新しい役者の登場は純粋にまずフレッシュですし、作品の幅を広げてくれています。

本作でもそうなのですが、割といっつも甘ったるいロマンスをしているのは“マイケル・B・ジョーダン”的なイメージ像がこうだからなんですかね。

そんな中、私が“マイケル・B・ジョーダン”よりも本作でお気に入りとなったのが、カレン・グリアを演じた“ジョディ・ターナー=スミス”です。かっこよすぎる…。佇まいが最高ですね。

まずセクシーなお色気キャラクターではないこと、か弱く男の助けを必要とする守られキャラクターでもないこと、主人公との恋愛相手として配置されているキャラクターではないこと。こうしたフェアな女性キャラクターを、しかも有色人種で出すというのは、こういう白人主体的なジャンルではまだまだ異例ですし、大きな意味があると思います。

この“ジョディ・ターナー=スミス”の起用も「インクルージョン・ライダー」を重視する“マイケル・B・ジョーダン”による計らいなのかはわかりませんが、映画の魅力が150%増しになりました。あのグリアを主人公にスピンオフ、作ってくれないかな。

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作品の様式を見い出せず…

一方でこの『ウィズアウト・リモース』、全体的にはかなり作品の方向性も曖昧なまま、ただボリュームの少ないエピソードゼロを見せつけられた気分も…。

いや、これがドラマシリーズの第1話とかなら全然OKなんです。これだけで映画一本となるとちょっと物足りないかな…。

パートごとにかなりブツぎりな感じもしますし、なんだか戦争モノのFPSゲームのキャンペーンモードっぽいですよね(キャンペーンモードというのはストーリーを主にひとりで楽しむ要素のこと)。

ストーリー展開もCIAが黒幕という既に定番化したものに思わせておいての国防長官。これを意外性ととるか、「結局はアメリカじゃないか!」とツッコむか、少なくとも大番狂わせではないと思いますし、それはそれでいくらなんでもロシアが都合よく利用されすぎな気もするし…。

本作が根底にあるジャンル的な強みと、“テイラー・シェリダン”の脚本センスとの相性の悪さもあったのではないかな。

このジャンルの成功の秘訣はオリジナリティある様式を見い出せるかだと思うのです。「007」シリーズは原作から大幅に脱却し、完全にわざとらしさ全開のハードボイルドで攻めまくる姿勢が大ヒットしたわけですし、最近であれば「ジョン・ウィック」シリーズはポリティカル・ミリタリー・アクションの「ポリティカル」を潔く放り捨てて暗殺者ワールドというアホっぽい世界を真面目にやっているから面白いのであって…。

この『ウィズアウト・リモース』はまだその作品の核となる様式を見つけられていないと思います。それこそジョンはいっつもやりすぎな尋問をしてしまうとか、何かしらの定番を作りたいですよね。尋問合戦になっていくとかの方が面白いかもしれない。

一応、本作はこれで終わりではなく、ラストで提示されていたように身分を変えて「ジョン・クラーク」になった主人公の活躍は、「レインボーシックス」で構成される2部作続編へと繋がっていきます。ただ、『ウィズアウト・リモース』はAmazonに売られてしまったし、パラマウントがまだ映画化に関心を持っているかはわかりません。本作の評判自体もあまり良くないみたいだし…。

“マイケル・B・ジョーダン”と“ジョディ・ターナー=スミス”の活躍はもっと観たいのだけど…。

『ウィズアウト・リモース』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 44% Audience 44%
IMDb
5.7 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
5.0
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関連作品紹介

マイケル・B・ジョーダン出演の映画の感想記事です。

・『クリード 炎の宿敵』

・『ブラックパンサー』

・『黒い司法 0%からの奇跡』

作品ポスター・画像 (C)Paramount Pictures, Skydance Media

以上、『ウィズアウト・リモース』の感想でした。

Without Remorse (2021) [Japanese Review]