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『白頭山大噴火』感想(ネタバレ)…いつ噴火するか? マ・ドンソクが教えます

白頭山大噴火

韓国製ディザスターパニック、次は噴火だ!…映画『白頭山(ペクトゥサン)大噴火』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

英題:Ashfall
製作国:韓国(2019年)
日本公開日:2021年8月27日
監督:イ・ヘジュン、キム・ビョンソ

白頭山大噴火

白頭山大噴火

『白頭山大噴火』あらすじ

北朝鮮と中国の国境付近に位置する火山の白頭山。それが観測史上最大の噴火を起こした。その余波は韓国のソウルにも及び、大地震でビルが崩壊。パニックに陥る中、韓国政府は白頭山の地質分野の権威である専門家に協力を要請する。朝鮮半島を崩壊させるさらなる大噴火が75時間後に起こると予測され、韓国軍爆発物処理班のチョ・インチャン大尉率いる部隊が、北朝鮮へ潜入して火山の沈静化を図る極秘作戦に乗り出す。

『白頭山大噴火』感想(ネタバレなし)

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もしあの火山が噴火したら…

世界最大の火山はハワイの「マウナロア」だと私も教科書で学んだのですが、2013年に日本の東の海底にマウナロアをはるかにしのぐ面積約30万平方kmの巨大すぎる火山「タム山塊」の存在が論文で発表され、世界最大の火山の称号はそちらに譲られました。ところがこのタム山塊は単一の火山ではないらしいことが判明し、現時点では再びハワイのマウナロアが世界最大の火山に返り咲いています。

でも活火山が身近にあるのは複雑な気持ちになりますよね。なにせ噴火でもされたら困るどころではない、下手をすれば一帯が壊滅するのですから。場合によっては噴火兆候を捉えられずに被害に遭うこともあります。日本でも2014年9月27日、「御嶽山」が突然噴火し、秋の行楽時期の登山客が大勢巻き込まれ、火口付近に居合わせた58名が死亡するという戦後最悪の火山災害が起きてしまいました。

日本の火山だけ心配していればいいわけではありません。火山の影響範囲はとにかく甚大です。例えば、「白頭山」をご存じでしょうか。

白頭山(ペクトゥサン)は中国と北朝鮮の国境地帯にある標高2744mの火山です。日本でいうところの「富士山」のようにこの白頭山も周辺で暮らす人々にとって文化的に大きな存在で、信仰の対象でもあります。そんな白頭山は946年に世界最大級とも言われる巨大噴火を引き起こし、なんとその火山噴出物は日本の北海道と東北地方にまで降り注いだとか。もしまた白頭山が大噴火を起こせば北日本は深刻な被害を受けることは確実ですが、最近は韓国でも白頭山の噴火を警戒する動きも見られ始めました。

そんな不穏な状況を反映して生まれたのが今回の映画。それが本作『白頭山大噴火』です。

2019年の韓国映画である本作はそのタイトルでこれ以上ないくらい露骨に示されているとおり、白頭山が大噴火します。そのまんまです。いわゆるディザスターパニックと呼ばれるジャンルですが、韓国映画はこのジャンルのものはこれまで2009年の『TSUNAMI ツナミ』があり、こちらも当時は韓国国内で大ヒットしました。2017年の『軍艦島』も一部は鉱山事故を描いたディザスターパニックの様相となっていました。今度は噴火ですね。

物語は白頭山の火山活動が激化してしまい、朝鮮半島を滅ぼす大噴火を食い止めるべく奮闘する人々を描いています。そこに北朝鮮とのポリティカルなミリタリーサスペンスの要素も加わり、なかなかにド派手なことに。大作も大作の堂々たる映画!って感じです。

監督は、『ヨコヅナ・マドンナ』『彼とわたしの漂流日記』『22年目の記憶』を手がけた“イ・ヘジュン”、そして『監視者たち』を監督し、『神と共に』シリーズ『PMC:ザ・バンカー』の撮影を手がけた“キム・ビョンソ”のダブル監督です。映像クオリティは一級品。

俳優陣も注目のあの人この人が目白押し。まず主役は『神と共に』シリーズでも大活躍した“ハ・ジョンウ”。今作では韓国軍爆発物処理班の役で、ちょっと情けなさもある人物を好演。そしてその横に並ぶもうひとりの主役が『KCLA 南山の部長たち』で私もまたもや魅了されてしまった“イ・ビョンホン”。今作では北朝鮮側の人間を熱演し、クセのある佇まいがまたまたニクい。大鐘賞では本作の演技で“イ・ビョンホン”が主演男優賞に輝きました。

さらに『新感染 ファイナル・エクスプレス』『悪人伝』はもちろん最近はMCU映画にもデビューしてしまった韓国界随一のマッチョ男“マ・ドンソク”がなんと今作では地質学者の役で出演。なんか、地質調査でも素手で地面を掘ったりパンチで岩を砕いたりしてそう…。

また、『テロ・ライブ』の“チョン・ヘジン”、『建築学概論』の“ペ・スジ”などが脇に並びます。あと日本の公式サイトには掲載されていませんが、『シークレット・サンシャイン』の“チョン・ドヨン”、ドラマ『青春の記録』の“ピョン・ウソク”がカメオ出演しています。

大スケールの映像が堪能できますので、できれば劇場の巨大なスクリーンでの鑑賞を強くオススメします。

なお、当然と言えば当然なのですが、火山噴火描写はもちろん、地震や津波など災害シーンがたっぷりあるのでフラッシュバック等にはお気を付けください。ただ、そこまで残酷で陰惨な直接的描写は少ないですけどね。

オススメ度のチェック

ひとり3.5:迫力の映像を満喫
友人3.5:大作を見たいなら
恋人3.5:ロマンス要素は薄い
キッズ3.5:火山マニアなら
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『白頭山大噴火』予告動画

『白頭山大噴火』本予告
↓ここからネタバレが含まれます↓

『白頭山大噴火』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):核爆発しかない

韓国・ソウルの建設工事現場で不発弾処理にあたる韓国軍爆発物処理班大尉のチョ・インチャン。やる気はなさそうです。実はもう除隊するつもり。妊娠中の妻チェ・ジヨンがおり、すでにお腹はかなり大きく、家庭のためにも自分の身を危険に晒せません。

インチャンがビル街を車で移動していると、突然の揺れ。そしてマンホールが次々と飛び上がり、もの凄い衝撃が襲ったかと思うと、周囲のビルの窓は割れ、地面は陥没。様々なモノが落下し、ビルが倒壊していきます。その場を逃げるべく車を疾走させるインチャン。車はぶつかって動かなくなったので降りると今度は目の前で巨大なビルが無慈悲に倒れてきて、それを間一髪で回避。

ソウルの街は阿鼻叫喚の地獄と化していました。そこにはもう日常はありません。

この大災害は白頭山の噴火が引き金でした。メディアは一斉に報道します。今回のマグニチュード7.8の地震だけでなく、さらなる大噴火が起きるかもしれないことも…。

一方、アメリカのプリンストン大学の地質学教授であるカン・ボンネに訪問者が現れました。韓国大統領府民政首席チョン・ユギョンです。彼女は白頭山の噴火を誰よりも予期していたカン教授に頼ります。

大統領府で緊急対策会議が開かれ、カン教授も参加。政府関係者に説明します。「私は過去3年間シミュレーションした結果、5km以内で600キロトンの人工的な爆破を加えるとマグマ溜まりの圧力を最大45%下げられました」…意味がわかってない政府関係者のためにそばにあったコーヒーの容器にペンで穴をあけて中身がドボドボ流れるところを実演します。「圧力の逃げ道を作るのです」

国家情報院から周辺の炭鉱の情報が説明され、カン教授は使えそうな炭鉱として9番炭鉱を指示。また、600キロトンの爆破をどうやってやるのかという質問に「核爆発です」と即答。会議に参加していた人たちはざわつきます。韓国は核兵器なんて持っていません。となると…。

危機を逃れたインチャンは休む暇もなく極秘作戦を命じられます。それは北朝鮮の工場に隠された核ミサイルを解体してウラニウムを確保し、所定の炭鉱にセットして核爆発を起こし、白頭山の大噴火を食い止めること。タイムリミットは約75時間。

妻を残していくのは気がひけますが、やるしかありません。重装備で武装したチームとともに輸送機に。しかし、飛行中に爆発音。エンジンが炎上。大量の火山灰の飛散が原因なのか。とにかく急いでハッチを開け、降下し、パラシュートで着地。

次に核兵器の場所を知る北の工作員リ・ジュンピョンと合流するべく、収容所へ向かいます。どうやらその収容所はもはやコントロールを失い、廃棄状態のようです。中はボロボロ。脱走者もたくさん。でもGPSチップによればジュンピョンはまだここにいるらしく…。

慎重に潜入。確かにいました。髭ぼうぼうの男が。こいつがジュンピョンなのか…。

呑気に煙草を吸うジュンピョン。非常に冷静で全く動じておらず、戦闘スキルはあるようです。身なりを整えたジュンピョンはこっそり作戦をひとり把握し、画策しだします。

次の目的地は北朝鮮軍に守られる慈江道(チャガンド)の工場。果たして無事に朝鮮半島の全滅を防げるのか…。

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大災害の後は男2人の友情が芽生えました

『白頭山大噴火』は冒頭から飛ばしまくりで、ディザスターパニックの「これを待ってた!」という映像をしっかりお見舞いしてくれます。あのジェットコースター級の流れるような勢いのままに大災害で崩壊する都市を駆け抜けていくパートの映像は見事。ちゃんとローランド・エメリッヒの伝統を引き継いでいましたね。

『白頭山大噴火』のVFXを担当しているのは『スペース・スウィーパーズ』でもすっごい映像を提供してくれた「Dexter Studios」。このスタジオの映像クリエイティブはもう信頼感抜群ですね。

しかし、この『白頭山大噴火』、そんな単純なディザスターパニックでは終わりません。ひたすらに災害の猛威から逃げ惑う展開でもじゅうぶん物語になると思うのですが、本作はそこになかなかにびっくりなトッピングを加えます。

まず大噴火を止めるために核爆発が必要に。さすが“マ・ドンソク”、地質学者になってもパワースタイルだ…。でも韓国には核兵器はない。よし、北朝鮮の核ミサイルから盗ってこよう!…という大胆にもほどがある作戦を決行しないといけないことになります。しかも時間制限つき。

そんな無茶苦茶な…とは思うのですが、つべこべ言っている場合ではない。そして、韓国のチョ・インチャンと北朝鮮のリ・ジュンピョンとの、もう韓国映画では何度観たかわからない「いがみあっている男2人が最後は共闘していくブロマンス」風に流れていくのでした。またBL火山の溶岩が噴出しちゃうよ…。

今作も“イ・ビョンホン”がたまらないです。あのすっかりひねくれてしまっている感じとか、でもときおり可愛いところを見せるくだりとか、あざとい。実にあざとい。裏切るの?裏切らないの?どっちなの?という感じもまたこっちの心をかき乱してくるし…。MCUの「ロキ」っぽかったなぁ…。

最終的には2人の男の友情旅になってました。事態は深刻なのに部分的に切り取ると修学旅行みたいなことをしてるもんなぁ…。核爆発を起こせる装置も一緒だけど。

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もっと科学者、集めてよ!

そんな『白頭山大噴火』ですが個人的には不満点もいくつもあります。

まず主役2人は濃密に描いていましたけど、他のキャラクターはかなり雑です。とくに女性キャラクターは非常に貧相な描写しかありません

例えば、韓国大統領府民政首席のチョン・ユギョンは言ってしまえば無能な政府における良心みたいな存在なのですが、それがどうあの政府の中で立ち回るのか、その仕掛けが彼女の才能と絡めて発揮されていく展開は薄くて…。だいたいこんな無謀な作戦を実行しているあたりでもうそんなに優秀ではないような気もしてくる…。

また、チョ大尉の妻であるチェ・ジヨンは典型的な「夫を待つ妻」であり、お約束のような妊娠設定といい、これはもうステレオタイプど真ん中で、もっと工夫できなかったのかと思います。私なりの例を挙げるなら、チョン・ユギョンとチェ・ジヨンでタッグを組んで韓国国内でもうひとつのスペクタルありの作戦を進行していくようなパートがあっても良かったかな…。

あと、個人的にここが一番の不満なのですが、地質学者のくだり。いくら彼がキーパーソンとはいえ、あれほどの国家壊滅の危機なのですから、もっと多くの専門家を科学界から多方面で招集すべきでしょう。例示するなら、歴史学者、放射線学者、気象学者、地震学者などなど。こういう科学者たちが集まって未曽有の危機を乗り越えるという「科学賛歌」な映画にもできたはずです。そこはまだ『シン・ゴジラ』の方が上手かったですね。できればそこに国境の壁を越えて国際的な連帯を示せたらいいのですけど。

本作ではアメリカ軍の介入もあって(しかもあのアメリカ軍の行動動機も曖昧というか、やや粗雑である)、状況は後半になればなるほどカオスになるのですが、そのわりには核爆発で万事解決というハリウッド的なオチには無批判でなんだか少しガッカリです。あれだど結局は韓国はアメリカンな思想に取り込まれてしまっただけにも見えるし…。

無理にミリタリー方向に持っていってしまった感じもありますね。軍事作戦スタイルとして始まりつつ、それをどう覆していくかというのが腕の見せ所になりそうなものなんですけどね。

エンディングではなんとなく日常を取り戻した感じで終わってましたが、どう考えてもあの作戦のせいで国際問題の火種は噴火してしまったと思いますし…。たぶん今の韓国社会が国家規模災害を経験したら、それこそかつてのIMF危機と同等のインパクトはあるんじゃないかな…。

とりあえずもし本当に白頭山が大噴火しそうになったら、“マ・ドンソク”は招集しないほうがいいかな。

『白頭山大噴火』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 70% Audience 74%
IMDb
6.2 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
5.0
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作品ポスター・画像 (C)2019 CJ ENM CORPORATION, DEXTER STUDIOS & DEXTER PICTURES ALL RIGHTS RESERVED

以上、『白頭山大噴火』の感想でした。

Ashfall (2019) [Japanese Review]