続編も快走してます…映画『ソニック・ザ・ムービー2 ソニックVSナックルズ』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2022年)
日本公開日:2022年8月19日
監督:ジェフ・ファウラー
ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ
そにっくざむーびー そにっくばーさすなっくるず
『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』あらすじ
『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』感想(ネタバレなし)
予想以上に快走してます!
日本ではアメリカの映画が本国と同時期に公開されることはあまりなく、少しズレる、場合によっては大作映画でも半年以上も遅れて公開となることも珍しくありません。
このタイムラグは日本の映画ファンにとってはすっかり慣れっこになっていますが、これによってネタバレを気にしないといけないジレンマも起きますし、時にはまだ映画を観れていないのにもう続編制作決定のニュースを聞かされてしまうこともあります。つまり、「この映画、続編が作られるんだよな…」とわかったうえで映画館に足を運ぶことになる…。そうなってくると「続編につながるようなエンディングになっているのかな」とか余計なことも頭にはよぎって、正直、いろいろノイズになったりするのですが、これもやむを得ないことなのかな…。
今回紹介する映画も日本をすっかり置いてきぼりにして走りまくっている作品です。
それが本作『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』。
本作は、日本の代表的なゲームメーカー「セガ」を象徴する人気ゲーム「ソニック」シリーズを2020年に実写映画化した『ソニック・ザ・ムービー』の2作目となる続編。
前作はアメリカ本国ではコロナ禍に本格突入する直前の2月半ばに劇場公開されたのですが、予想以上に大ヒットを記録し、すぐに続編制作のGOサインがでました。そして2作目の『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』はアメリカでは2022年4月に劇場公開。この2作目も快調にヒットを記録し、もう3作目の制作も決定(このニュースを今知ったという人はごめんなさい…)。なんだろう、パンデミックなんてまるでものともしない突っ走りを見せている…。
ゲームの実写化の企画はこれまでもたくさんありましたけど、近年で最も成功をおさめたのがこの「ソニック」になるとは…。やっぱりアメリカでの人気っぷりの成せる技なんでしょうか。
今やファミリー映画の新しい顔になっていますし、なんというか複雑で壮大なシリーズ把握とかをせずに、単純明快に家族で楽しめる映画が欲しいという需要に、この「ソニック」はスポっとハマったんじゃないかな。
今回の『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』も1作目とノリは全く同じ。ガラっと雰囲気を変えるような挑戦は全然していないですし、あえて同じことをしているような感じさえある。そこが安心感でもあるんですけどね。
一応、2作目となった『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』にも前作にはない新鮮な部分もあって、今回はソニックだけでなく、前作のラストでちょこっと顔を見せた「テイルス」と、さらに「ナックルズ」も登場し、ますます「ソニック」ワールドが賑やかになっています。ファンにしてみれば「待ってました!」という顔触れですね。
いや~、でも前回の時はソニックの初期デザイン大不評騒動がありましたが、もしあのままのデザインだったらこのテイルスとナックルズはどんな顔になっていたのだろうか…想像したくない…(まあ、あのデザインだったらそもそも2作目が作られるほどに人気はでなかったかもだけど)。
監督は前回に引き続き、アニメーターだった“ジェフ・ファウラー”。
俳優陣は、ソニックの声を“ベン・シュワルツ”がまたも演じるほか、ソニックの宿敵として有名な狂気の科学者を“ジム・キャリー”が再度熱演し、今回も張り切りまくっています。『X-MEN』シリーズでおなじみの“ジェームズ・マースデン”や、『サウスサイドであなたと』で高く評価された“ティカ・サンプター”、ドラマ『ハンドレッド』の“リー・マジドゥブ”も続投。
そして、テイルスの声はゲームと同じで“コリーン・オショーネシー”が担当しているのですけど、ナックルズはなぜか“イドリス・エルバ”という…。声だけで攻撃力が10倍くらいにあがった気がする…。なお、“イドリス・エルバ”はゲームの大ファンらしいです。
前作が好きだった人は、この『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』も楽しいと思います。
『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』を観る前のQ&A
A:前作『ソニック・ザ・ムービー』からの続きですが、1作目を観ないと絶対に理解できない物語というわけでもありません。気楽に鑑賞できます。
オススメ度のチェック
ひとり | :ゲームファンならお気軽に |
友人 | :キャラが好きなら |
恋人 | :ロマンス要素は無し |
キッズ | :子ども向けの楽しいエンタメ |
『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』感想(ネタバレあり)
あらすじ(前半):アイツが戻ってきた
どこかにある「キノコの惑星」。ここで200日以上も過ごしているドクター・ロボトニック。ソニックといいうあの忌々しい青いハリネズミに負けてしまい、こんな辺境の地に飛ばされてしまったのでした。
でも孤独ですが元気です。「ここから絶対に脱出してやる」というその熱意だけで実験を続け、ソニックの毛を利用した装置を開発して、ポータルを開こうとしていました。さっそく装置を起動すると、衝撃で気絶。リングポータルが開き、何かが立ち入ってきます。あらかじめ仕掛けておいた罠でお出迎えして、ロボトニックは余裕の顔。
しかし、ポータルから屈強そうな赤い奴が出現し、「そいつをどこで手に入れた?」と毛に興味を示します。
一方、シアトル。夜の街で、パトカーが強盗車両を追っていました。そこに颯爽と現れたのは、ソニックです。「ヒーローだ」と自己紹介し、犯罪者の車を強奪。車内に爆弾があって大慌てするも、車を高速で分解して、シャーベットを食べている子に激突するのを回避。ただし、街中はソニックが爆弾を地下に捨てたことで水だらけの滅茶苦茶に…。でも本人はノリノリでヒーロー活動をやり遂げた満足感に浸り、帰っていきました。
ソニックが帰った場所はグリーンヒルズ。わけあってこの世界に飛ばされたソニックは、保安官のトムとその妻のマディと出会い、一緒に暮らし始めたのでした。
トムと釣りをしていると、シアトルを水浸しにしたことを責められます。バットマンきどりはやめるべきと言われますが、ソニックは「ブルージャスティスだ」と勝手に自称。諭すトムですがソニックは反省していない様子です。
トムとマディは妹のレイチェルが結婚するので式をあげるハワイに出発することになりました。リングポータルでソニックは見送ります。
誰もいなくなった家。ソニックと犬だけです。何でもし放題だと、家を勝手にいじって好きにしまくるソニックでした。
そんなグリーンヒルズに黄色い奴が現れます。テイルスです。テイルスはソニックにあることを告げに来たのです。
急に停電が起き、ソニックは玄関に立つロボトニックを目撃し、警戒します。しかも、背後に赤い奴もおり、殴り飛ばされるソニック。
「お前は誰だ?」と聞くと「ナックルズ」だと紹介してくるロボトニック。2人は利害の一致で共闘することにしたようです。ナックルズはソニックの高速アタックも素手で受け止める強さです。
そこにパトカーで突っ込んできたテイルスが助けてくれます。ナックルズは追ってきますが、テイルスは尻尾ぐるぐるで飛べるので逃げ出せました。
トムの同僚であるウェイドの家に避難したソニックたち。テイルスは事情を説明します。ソニックのかつての導き手だったロングクローのメッセージによれば、「マスターエメラルド」というアイテムがどんな望みも叶えられるものだそうで、ロボトニックとナックルズに奪われる前に、地図をもとにエメラルドを探さないといけません。
ロボトニックは身なりを整え、元部下のエージェント・ストーンと合流し、完全復活。
このリベンジ戦。勝つのはどちらなのか…。
ヒーロー映画っぽくなった
1作目の『ソニック・ザ・ムービー』はソニックの孤独に焦点が置かれていたのですが、2作目となる『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』ではソニックは家族がいる身になり、孤独そのものは怖いものではなくなりました。留守番を満喫しているソニックの変化が良い証ですね。
今度は目的意識の探求が描かれます。ソニックはヒーローになりたいらしく、夜な夜な勝手に街へと突っ走っては自警団的なヒーロー活動を展開。でもトムにはそんな振る舞いをたしなめられてしまう。ヒーローごっこでハシャぐ子どもを叱る父親みたいです。
そんな中で、黄色い2本の尻尾を持つ「マイルス “テイルス” パウアー」と、後半には赤いハリモグラの「ナックルズ・ザ・エキドゥナ」も仲間になり、3人チームで宿敵のマッドサイエンティストであるドクター・ロボトニック(エッグマン)に挑む。
奇をてらうこともない超ストレートなヒーローのチームアップ映画になっているんじゃないでしょうか。
とはいえ、ソニックですから道中にはいかにもソニックらしいスピード感あるアクションが山盛り。シベリアでの酒場でのダンスバトルもソニックっぽいですし、そこからの雪山を滑り降りる派手で爽快なアクションはこれぞソニックという勢いの良さ。
「GUN」の組織がレイチェルの結婚式まで利用するくだりは現実的に考えると酷いものですけど、まあ、ここもソニックのノリならありかなというレベルです。レイチェル役でドラマ『インセキュア』でおなじみの“ナターシャ・ロスウェル”がハジケてたな…。
終盤はロボトニックの巨大ロボットとのラストバトル。ここで満を持しての黄金色に輝いた「スーパーソニック」に変身。圧倒的パワーで敵を粉砕します。瞬殺とはこのこと。
勝ち方も含めて、王道であり、そこまで特筆することもないのですが、ファミリー映画としての起承転結のシンプルさも今回も保持しており、優等生なファミリー映画の佇まいを崩さず、綺麗に続編化できていると思いました。
ゲームネタも相変わらずいっぱい散りばめられていたしね…(全部を説明しきれないので、気になる人は解説とかを調べるといいです)。
ジム・キャリー、今回も面白すぎる
そして『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』でも再確認できたけど、やっぱりドクター・ロボトニックを演じた“ジム・キャリー”の楽しさの塊みたいな存在感。このシリーズの魅力の半分はほぼ“ジム・キャリー”で成り立っているといって過言ではないのではないか…。それくらいに“ジム・キャリー”が面白すぎる。
正直、私はこの「ソニック」の映画シリーズが仮に終わっても、“ジム・キャリー”主演の「エッグマン」シリーズでもうひとつスピンオフ展開ができるのでは?と思うほどです。
ソニック以上に映像化が難しいのでは?と思ってしまうキャラクターを難なくリアルに表現してみせ、クセの強さを完全に自分流に変えている“ジム・キャリー”の才能に今作でも感服してしまいました。
“ジム・キャリー”のコメディにおけるベストアクトじゃないかな。『マスク』だとVFXでせっかくの細かい演技が潰れてしまうこともありましたけど、今作はほとんど“ジム・キャリー”の素の演技が堪能できるし、加えてあまり子どもに見せたくないようなお下品さもない。完全無欠の“ジム・キャリー”の推奨しやすい作品が誕生しているんですよ。
自分の娘がソニック好きだからという動機でキャリアベストに到達するとは…。
ロボトニックが自分の脚をギターにみたててエアギターする終盤の巨大ロボット操作シーンは、たぶん『ワンス・ビトゥン 恋のチューチューバンパイア』(1985年)のオマージュでしょうし、“ジム・キャリー”の持ちうるキャリアを総動員して遊びまくっている感じが楽しいです。
映画「ソニック」シリーズ、3作目はどうなるのか。とりあえずラストのシーンからは「シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」がメインで登場するのは間違いないです。こちらも人気キャラなので当然の流れか。
個人的にはこの際だから「エミー・ローズ」とか「クリーム・ザ・ラビット」とか「ブレイズ・ザ・キャット」とか「シルバー・ザ・ヘッジホッグ」とか「ビッグ・ザ・キャット」とか、歴代の「ソニック」シリーズのキャラクターを総出演させてもいいのではと思うけど…。こうなってくると「ソニック」シリーズの『アベンジャーズ』状態ですね。「セガ」が映画の制作に関与しているし、問題なく実現できるはず。
きっと3作目もこのまま爆走してくれるでしょう。
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 69% Audience 96%
IMDb
6.5 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
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ゲームの実写映画化作品の感想記事です。
・『モータルコンバット』
・『モンスターハンター』
・『名探偵ピカチュウ』
作品ポスター・画像 (C)PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ソニックザムービー ソニックvsナックルズ
以上、『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』の感想でした。
Sonic the Hedgehog 2 (2022) [Japanese Review] 『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』考察・評価レビュー