たった1回のシフトでも…ドラマシリーズ『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』(シーズン1)の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
製作国:アメリカ(2025年)
シーズン1:2025年にU-NEXTで配信(日本)
原案:R・スコット・ゲミル
性暴力描写 自死・自傷描写 児童虐待描写 LGBTQ差別描写 人種差別描写 恋愛描写
ざぴっと ぴっつばーぐきゅうきゅういりょうしつ
『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』物語 簡単紹介
『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』感想(ネタバレなし)
医療ドラマの革新的アップデート
2025年はどんな傑作の海外ドラマに出会えるかなと思った矢先の1月、心を震わす作品がいきなり飛び込んでくるとは思いもしませんでした。
書きたいことがたくさんあるので、さっさと本題に映りましょう。
それが本作『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』です。
24時間体制で救急患者(予約のない患者や救急車で搬送されてきた患者)を受け入れる「救急救命室」というシステムがあります。英語の「emergency room」の頭文字をとって「ER」と呼ばれたりもするものです。
この救急救命室を主題にした医療ドラマとして、「NBC」で1994年から2009年にかけて放送された『ER緊急救命室』はこのジャンルの代表作とも言える大人気作となり、多くのファンを得て、愛されました。
その『ER緊急救命室』で主演のひとりだった“ノア・ワイリー”とプロデューサーだったの“R・スコット・ジェミル”と“ジョン・ウェルズ”はもう医療ドラマはやり尽くしたからいいだろうと思っていたそうですが(そりゃあ15年も関わればね…)、2020年からのコロナ禍が考えを変えさせたそうです。あの世界中の医療従事者が壮絶な体験をすることになった非常時、“ノア・ワイリー”に「あなたのドラマを観て医療の道に進みました」という感謝の言葉が多く届き、そのコロナ禍での医療従事者の苦悩もまた伝わってきたそうです。
そこで“ノア・ワイリー”は「現在の医療の問題も含めた新しい医療ドラマ」を作ろうと決心し、この『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』が生まれました(“ノア・ワイリー”主演です)。
本作の最大の特徴は、シーズン1は全15話なのですが、1話で作品内の1時間を描き、ある緊急救命室での計15時間の1日のシフトを描き切っているということです。長回しとかではないですし、ノーカットでもないのですが、たった1日のシフトに専念した非常に尖った構成です。
そのうえ、社会の縮図とも言えるようなさまざまな現代アメリカのトピックが詰め込まれており、とにかく情報量は多いですが、凄まじくアップデートされたドラマになっています。
その現場のリアリティは実際の医療従事者からも正確だと賞賛されるほどで、扱っている医療から少し枠を広げた社会問題の観点でも、製作陣が相当にリサーチして作っているのだろうなということがよく滲み出ています。
1回だけの鑑賞だと情報量に圧倒されるのですけど(でも実際の緊急救命室の働き手はこの内容を日々こなしているのだと思うと…凄いとしか言いようがない…)、2回目の鑑賞だともっと整理できて隅々まで楽しめます(私は1回目の完走後、すぐさま2回目を観ました)。後半の感想では私なりに気づいた点を補足しながら書いていますので補助の参考になるかもしれません。
ともあれ2025年必見のドラマなのでぜひ。
『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』を観る前のQ&A
鑑賞の案内チェック
基本 | 手術や傷の生々しい描写が多いです。また、職場でのパワハラ、さまざまなメンタルヘルスの悪化症状が描かれます。 |
キッズ | リアルな傷や手術の描写が多いので、保護者のサポートが必要かもしれません。 |
『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』感想/考察(ネタバレあり)
あらすじ(序盤)
アメリカ、ペンシルベニア州のピッツバーグ。午前7時、マイケル・ロビナヴィッチ(ロビー)が出勤してきます。職場はピッツバーグ救命救急センター、「ピット」という愛称でロビーは呼んでいます。
すでに待合室は人でごった返しており、24時間体制でここに休みはありません。ロビーは担当医をしており、病院の奥へ。すると「病院が売られるって本当ですか? 救命科(ER)を無くして整形外科にするとか」と看護師から質問されますが、とりあえず安心させます。
救急救命室の中央には机があり、上のモニターで患者の待機状況がわかります。そこに立つ主任看護師のデイナから「グロリアが探している」と言われます。この病院の経営を担う主任医療官のグロリア・アンダーウッドのことです。
一方、上級研修医のヘザー・コリンズは病院内のトイレで吐いていました。つわりのせいで、同僚のほとんどに妊娠を話していません。
ロビーはグロリアの件は無視し、屋上に佇む昔なじみのジャック・アボットのもとへ行きます。彼はロビーと肩を並べる医師で、夜勤担当です。アボットはさっきまでの勤務を終え、現実を噛みしめていました。
今日は新しい実習生と研修医(レジデント)が来ることになっていました。その研修医はメリッサ・キング(メル)とトリニティ・サントスです。その挨拶を済ませつつ、患者に親身すぎる研修医3年目のサミラ・モハンを病状確認だけでいいとアドバイスするロビー。
また、研修医2年目のキャシー・マッケイは実習生のデニス・ウィテカー、ヴィクトリア・ジャバディを案内しながら診察していました。仕事真っただ中の上級研修医のヘザー・コリンズとフランク・ラングドンも紹介されます。他には外科研修医のヨランダ・ガルシアもおり、後はパーラ、マテオ、プリンセスなど看護師がたくさんいます。
落ち着く暇はありません。新しい患者が続々と運ばれてきます。今は列車に轢かれた人物とそれを助けた人物が搬送されてきます。轢かれた人はアジア系の女性で、自殺なのか、ヘイトクライムなのかわかりません。緊急性が高く急いで処置を開始。しかし、何語を話しているのかわからず、さらに痛々しい傷をみてジャバディは気絶してしまいます。
最初の1時間目から忙しい中、グロリアが来て「この科は患者の満足度が低い」と苦言。
そんな中、デヴィッドという怠惰な振る舞いの18歳の若者が高齢の母テレサを連れてきます。ところがそのテレサはデヴィッドに聞かれていない場で、これはわざと体調不良になったのであり、その理由は息子が書いた「殺したい少女の一覧のメモ」を見つけたからだと驚きの事実を告げます。
対応を余儀なくされたロビーたちは、ひとまずソーシャルワーカーのキアラに相談しますが、デイヴィッドは走って病院から去ってしまいました。
そしてロビーはあるフラッシュバックに襲われます。新型コロナウイルスが猛威を振るってここもパニックになったいたあの時期、師のアダムソンが命を落としたあの記憶。今日は命日でした…。
ERは人生と社会の縮図

ここから『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』のネタバレありの感想本文です。
『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』がほぼ舞台が救急救命室のあの空間に限定されており、そこから動きません。「患者が運ばれる→応急治療する」のひたすらな繰り返しに忙殺される中(明確な食事休憩時間はなく、そのへんでサンドイッチをつまむ程度しかできない)、各医療従事者や患者の人生のほんの一部が垣間見え、さまざまな社会の背景がそこに透けてきます。
まさにあのERは人生や社会の縮図のようになっていました。
もちろん非常に医療の現場らしいド直球のテーマも立ちはだかります。患者本人の延命拒否意思を無視して延命措置を望んでしまう家族、脳死判断を受け入れるのに時間がかかる遺族、さらにはそのドナー臓器提供に動揺したり(オナーウォークも描かれていました)…。溺死した6歳の子の件は本当にこちらまで胸が張り裂けそうになりますが、この職場は「死」から目を逸らすことはできません。そして「死に慣れよう」としてもやはり無理なものは無理です。
その他にも主にアメリカ(アメリカに限った話ではないけど)を取り巻く社会問題もたくさん窺えます。
若者に蔓延するフェンタニルの危険性は嫌というほど伝わりますし(ドラッグに無縁そうな人でも例外はない)、海外の安全ではない化学物質を含んだ商品を使ってしまって水銀中毒で運ばれた美容インフルエンサー、はたまた父親の大麻グミを食べてしまった4歳の子ども…。
また、やはりこれは無視できない…反マスク&反ワクチンの患者の厄介さ。作中では待合室での喧嘩騒ぎまで起き、医療現場の余計な過労を増やすばかり。ネットの情報を鵜呑みにして子どもの治療手法に文句をつける親なども同類の問題です。
論争と言えば、中絶の一件もありました。事前に来ていた中絶希望者のクリスティは実は中絶の妊娠週数制限を超えており(ペンシルベニア州では妊娠24週まで中絶が合法で、妊娠11週目までは中絶薬が選択肢となり、18歳未満の未成年者は、親の同意を得るか、裁判所の承認を得れば中絶を受けることができます)、結局、妊娠週数を制限日数より1日短い(10週と6日)と誤魔化して記録するという、かなりギリギリな(人権に沿った)対応を裏でやります。しかし、付き添いの女性は母ではなく、本当の母が乱入し、中絶を辞めさせようとする…。ほんと、大変だ…。
いずれにせよERであろうと「当事者同士で納得いくまで話し合ってもらうしかない」という現実。治療はできても合意形成はできませんから。
個人的経験と職務を切り離すべき?
当事者同士で納得いくまで話し合ってもらうしかないのは確かなのですが、わずかながらの医療従事者の寄与もあって、そしてそのわずかが重大な影響になったりすることもあります。
『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』は意図的に矛盾した教訓が入り乱れるように描かれるのですが、そのひとつが「個人的経験と職務を切り離すべきか」という問いです。情に流されないために個人的経験を仕事に持ち込まないのは確かに正論。でも個人的経験が医療の場で誰かを救うのに役立つことも映し出されていました。
本作の医療従事者の中でもとくに共感性を持ち味にしているのが新米研修医のメルで、妹ベッカが自閉スペクトラム(以前は「自閉症」と呼ばれた)なので、その経験を活かして同じく自閉スペクトラムの患者と上手く交流してみせます。メルを演じた“テイラー・ディアデン”もADHD当事者で、メルというキャラも何らかのニューロダイバージェントな当事者にみえる表象になってました。ちなみに“テイラー・ディアデン”はメルをアセクシュアルだと解釈して演じていたらしいです(Us Weekly)。
メルは介護で疲弊しきる患者の付き添いの人にも寄り添い、親身です。
その共感性の実践でも先輩なのがモハンで、知名度の低い鎌状赤血球症患者(女性で妻がいる)に気づいたり、メルとの連携でシングルファーザーと来た10代前半の少女の処女膜閉鎖症を見抜いたり…。やっぱりスピードだけでなく、こういう丁寧な接し方ができる医療従事者も現場にひとりふたりは必要ですよね。
実習生のジャバディも、受付でもミスジェンダリングされていたトランスジェンダーのターシャの医療記録の性別の誤りを訂正したりと、良いアシストができていました。ちなみにあのターシャを演じたトランス当事者の“エヴァ・エヴェレット・アーヴィング”…なんとあの有名な小説家“ジョン・アーヴィング”の娘さんだそうでびっくり(Decider)。
初日の最初に自分が診断した患者が死亡したことですっかり怖気づいていた実習生のウィテカーは、ほんと、本人には悪いですけど、いじられ弟属性キャラそのまんまで可愛いのですが、汚れ役(文字どおりの意味)でユーモアを振りまきつつ、精神病患者のホームレスの人と心を通わせることができ、意外な成果をだします。そのうえ、ラストでウィテカー本人もホームレス(スクワッター)だと判明し、彼をますます応援したくなる…。
一方、序盤から嫌われポジションだった研修医のサントス(人種的にミックスゆえに、白人でもなく、フィリピン系とも折り合えない孤立感がでている)。そのサントスが、最後に自殺キットを使用したと思われる患者に、自分の友人が自死した体験を語り、心を開かせる展開も良かったです。
寄り添う力がフルに発揮されるのが、出産のシーン。あそこでは出産するのは代理母で、親は同性男性カップルです。ここでは代理出産をステレオタイプに描くことはせず、出産直後に出血で命の危険が生じた際も、親側の男性が代理母側に思い出話を聞かせる演出があり、この両者が世間が偏見でみなすほどによそよそしい関係ではないことを強く訴えます。代理母が口にするとおり「家族」であり、それはあの出産を成功させた医療従事者みんながある種の共有する喜びでもありました。
ERの現場が多様なメンバーで構成されることの価値がこれでもかと実感できますね。
一方で、共有できない苦しさとしてその対極で描かれているのが、体外受精していたコリンズの流産の描写です。妊婦が陥りがちな孤独の辛さ。専門知識があるはずの医療従事者でさえもその苦しさを抱え込んでしまう。その姿も生々しくもありました。
逆に寄り添えないことの問題として、マッケイの肥満恐怖症による診断ミスなど、医療の現場の偏見が招く問題もあって…。
個人的経験と職務を切り離して解放的になれた好例は、実習生のジャバディ(母であるシャムシ先生からの解放)かな。まあ、今度は職場内恋愛に傾きがちではあるけど…。
現場ではできることに限界がある
そんな医療の高度な専門知識と個人的経験に基づく共感性をもってしても現場でできることに限界がある…それを突きつけるのも『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』です。
寄り添えばいいものでもないのが、オピオイド依存症患者のモルヒネ欲しさの嘘だったり、常連のアルコール依存症患者の対応だったり…う~ん、やっぱり難しいですね…。
しかし、本作はさらにキツイ現実を直視させます。
その一例目が、体調不良で搬送されてきた男性の件。後から妻と娘が駆けつけますが、その妻は「夫は風呂場で10代の娘を性的虐待していて性欲を鈍らせるためにプロゲステロンを投与した」と告白。しかし、娘は完全に父を信用しきっており、加害を認識していません。実態として妻のほうが夫に健康に害のある物質を投与したことを自供しているので、そちらの行為を警察に通報しないといけない状況になりかねず、やむなく何もできず…(サントスは男をこっそり脅すけど)。
2例目が、上司の女性の付き添いでやってきた若い女性の件。クラミジアの感染で治療を受けるのですが、どうやら性的人身売買(若い女性はプライベートな付き合いで男性と性的関係にあると思っているが、裏で上司女性が報酬を受け取っている)の疑いがありました。しかし、やはりこの件も被害者側に被害の自覚がないので何もできず、なんとかその若い女性に支援連絡先が隠して書かれたペンを持たせて帰らせるのに精一杯で…。
いずれも性暴力絡みの一件ですが、ERはあくまで応急処置をするところで、患者の根本的な人生の問題点にまでは踏み込めない…。その場しのぎになってしまうのは本当にやるせないです。
そして、数時間という待ち時間に不満爆発の患者ダグにデイナが殴りつけられる事件は、患者から看護師が暴力を受けるのは日常茶飯事という職場暴力の問題を浮かび上がらせると同時に、その背景には利益重視の経営や人材不足などの慢性的な根源があって、暴力で働き手が辞めればもっと人手が足りなくなって…と負の連鎖が…。
もうどうしたらいいんだよ!と天を仰ぎたくなる…。
心が助けを求めてくれないと…
そして『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』のピット組は第12話から正念場を迎えます。フェス会場で起きた銃乱射事件。100人を超える搬送者に一気に対応しないといけません。
ここからのパートは本当に壮絶です。同時に職業裏側モノとしてなかなか見れない風景をリアルにみせてくれる面白さもあります。緊急時対応プランを発動し、トリアージがいかに重要かよくわかりますし、野戦病院と同じで医療品が足りない中、ある道具だけで工夫で対処していくスキルと、医療従事者もその場で献血して自分の血で患者に対応する異様さまで…。「救う」ということへの本気をみせられます。
とくに抜群の技を発揮するのが緊急出勤してきたアボットですが、彼はラストで義足なのが判明しますが、国境なき医師団とかで紛争地帯などでの医療経験があるのかもですね。経験値が全然違った…。
ERで搬送されてきた患者の中には足首に拳銃を携帯している人もいて(ペンシルベニア州では銃規制が緩く、許可証さえあれば拳銃を隠し持ちできる)、治療の場すら一触即発になりますが、銃社会の怖さがひしひしと…。
で、この銃乱射事件に関連して焦点があたる人物が、高齢の母の付き添いで来たデイヴィッドという18歳の男。母いわく「殺されるべき少女の一覧」なるメモを息子が書いていたらしく、一時はデイヴィッドがこの銃乱射事件の犯人ではないかと疑われ、拘束されますが、無関係でした。
でもここで冤罪としてあっけなく片づけず、いわばインセルの言動をとる若い男に対して、私たちはどうやって未然に事件を防ぐために行動をとれるか…という難題に向き合うことになります。「犯罪者扱いするな」とますます他者を拒絶する男に、メンタルケアを受けるように心を開く一歩を繋げることの難しさ。『アドレセンス』では描いていなかった、もうひとつの大切なマノスフィアのトピックですね。

本作は「現場でできることに限界がある」という厳しさを映し出してきましたけど、デイヴィッドの件はカウンセリングに繋がったようで、微かな希望を最後に描いてくれます。
デイヴィッドだけでなく、本作は男性のメンタルヘルスを全体的に裏テーマのように描いていたのが印象的でした。
ずっとデイヴィッドの問題を過小評価していたロビーですが、誰よりもロビー自身が大きなメンタルヘルス上の問題をひとりで抱え込んでしまっており、それが職場で有害な男らしさとして滲みでてしまっています。
ドラッグ依存で薬品を盗んでいたことが発覚したラングドンをその場でクビにし、彼の衝動的なパワハラな振る舞いも叱りますが、そのロビーも実のところ、ドラッグに依存しかけているし、自分の振る舞いを抑制しきれていません。
本作の冒頭と終盤は屋上に立つアボットとロビーで、それぞれの希死念慮を投影する心苦しいシーンですが、アボットのほうはセラピーを受けているようでまだ安心ですが、ロビーはかなり心配になる状態です。自分の精神的不安定さを他人に知られる恐怖に怯えるばかり。どんなに医療知識があろうと、自分の心は自分で治療できないのですよね…。
もちろん男性だけでなく、女性の医療従事者もメンタルヘルスの問題はいくつも抱えています。前述のコリンズもそうですし、モハンは双極性障害のようでしたし…。
救急医療の現場は従事者のメンタルヘルスは極めて悪化しやすく、コロナ禍での凄惨さはドキュメンタリー『ニューヨーク 第1波』を観るだけでも嫌というほど伝わってきますが、そうでなくとも平常的にPTSDなどに晒されやすい環境です。
それでも医療従事者の人たちがこの仕事を続けてくれる理由も、このドラマではハッキリ描かれてもいました。それを象徴するのが「フリーダムハウス救急隊」のメンバーが搬送されてきたときのエピソード。フリーダムハウス救急隊というのは、医療訓練を受けた救急救命士を配属したアメリカ初の救急医療サービスで、1967年にピッツバーグで誕生しました。スタッフはすべてアフリカ系アメリカ人で構成されており、つまり、ERの歴史の原点は黒人史でもあるわけです。「救いたい」という使命感がバトンタッチされ続けている…。
師アダムソンだけでなく、継息子ジェイクの恋人のリアを銃乱射事件から救えなかった新たなトラウマを抱えてしまうことになったロビーですが、職の誇りを胸に、次のシーズンでは彼も救われてほしいところです。
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△(平凡)
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以上、『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』の感想でした。
The Pitt (2025) [Japanese Review] 『ザ・ピット ピッツバーグ救急医療室』考察・評価レビュー
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