家族はまだまだ成長中!…映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』(ガーディアンズオブギャラクシー Vol.2)の感想&レビューです。前半はネタバレなし、後半からネタバレありとなっています。
製作国:アメリカ(2017年)
日本公開日:2017年5月12日
監督:ジェームズ・ガン
恋愛描写
がーでぃあんずおぶぎゃらくしー りみっくす
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』物語 簡単紹介
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』感想(ネタバレなし)
アメコミ映画史を明るく照らす星
今はアメコミ映画の「カンブリア爆発」時代です。2000年代に入り、本当に数多くのアメコミ映画が登場し、映画業界の成功を大きく担う巨大な存在に成長しました。
あまりにも大規模なので、どの作品が何なのか関係性の把握が、わからない人にはとことんわかりにくいのですが…。完全初心者向けに簡単に整理すると、以下の4つに分かれます。
【マーベル&ディズニーの「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズ】
・最も作品数の多様性が豊かなグループで、全体的に成功を収めています。『アイアンマン』、『キャプテン・アメリカ』、『マイティ・ソー』など。最近だと『ドクター・ストレンジ』。革新的だったのが『アベンジャーズ』です。各ヒーローがひとつの作品内で集結するという展開を確立し、他の映画会社の作品展開にも大きな影響を与えています。
【マーベル&ソニーの「スパイダーマン」シリーズ】
・『スパイダーマン』シリーズだけですが、すでに3度のリブートをしており、最新作『スパイダーマン:ホームカミング』では、マーベル&ディズニーの「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズの仲間入りを果たして、クロスオーバーすることになりました。すでに『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』にて新スパイダーマンが登場しています。
【マーベル&20世紀フォックスの「X-MEN」シリーズ】
・『X-MEN』シリーズは、ウルヴァリンを始めとする様々なミュータントたちの活躍を描く作品群。最近は『X-MEN: アポカリプス』のような正統派作品もありましたが、なんといっても予想外の大ヒットを叩き出した『デッドプール』の存在が今後大きくなるのかも。「マーベル・シネマティック・ユニバース」のように各作品をクロスオーバーさせる企画もあるみたいですが、どうなる?
【DCコミックス&ワーナー・ブラザースの「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズ】
・「スパイダーマン」や「バットマン」を抱えるDCコミックはアメコミ映画としても最も古く、歴史があります。とくに『ダークナイト』3部作の成功は大きかったです。しかし、最近は『スーサイド・スクワッド』など、批評的にはイマイチな作品が目立ち、さらに製作段階でトラブルも聞かれ、大丈夫なの?状態。変化球『レゴバットマン ザ・ムービー』の成功が今の救いです。
そんな群雄割拠な戦国時代のようなアメコミ映画史において、転換点といえる作品がいくつかあります。その中でも最も新しい作品だと私が思うのが、2014年公開の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』です。
この映画は、マーベル&ディズニーの「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズを構成する一作なんですが、『スター・ウォーズ』のように宇宙を舞台にしており、基本、地球が戦場の多くのアメコミ映画とは一線を画しています。
ただ、宇宙が舞台なのは重要ではなくて。この『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が転換点とさえいえるぐらいの功績だったのが、とにかく作風が“明るかったこと”。陽気に音楽が流れて、ワイワイガヤガヤ会話しながら、敵を倒していく…社会的メッセージとか重苦しいテーマはゼロです。
それまで『ダークナイト』3部作の成功により、シリアスな作品が続いていたアメコミ映画の風潮に、完全に一石を投じたどころか隕石を落としたぐらいのインパクトを与えた一作でした。現に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』以降のアメコミ映画は『デッドプール』など明るい魅力的なシーンが格段に増えました。
その『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の続編が本作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』。邦題に「2」は入ってないですが続編です。
俳優陣は、前作と同じで、“クリス・プラット”、“ゾーイ・サルダナ”、“デイヴ・バウティスタ”、“カレン・ギラン”、“マイケル・ルーカー”など。
今作ではさらに、“カート・ラッセル”、“ポム・クレメンティエフ”、“エリザベス・デビッキ”なども登場。
「最近はアメコミ映画がたくさんありすぎて今さら入り込めるか不安…」なんていう人も問題なし。前作すら観ておく必要はないくらいです。でも、前作は観た方が面白さが10倍は上がるので、時間があるときはぜひ。
知名度は低いかもしれませんがとにかく観てください。老若男女が何も考えず楽しめる最高の一作ですよ。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』感想(ネタバレあり)
あらすじ(前半):今度の父親は…
1980年、地球のミズーリ州。とある男女のカップルがドライブしながら楽しそうに歌っていました。男は女を「リバー・リリー」と愛しく呼び、森の中へ誘います。男が案内した場所にあったのは不思議な植物のようなもの。「土が合わないかと思ったけど根付いた。もうすぐこれがどんどん増えていく。宇宙のありとあらゆる場所に…」
メレディス・クイルには意味がわかりませんでしたが、今は目の前にいる男にメロメロで、キスをします。
34年後。ソヴリンという惑星で、ピーター・クイル、ガモーラ、ドラックス、ロケット、ベビー・グルートで成り立つ「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のチームはある仕事をやっていました。この面々は以前にとある出来事で運命を共にし、それ以来はこの宇宙でそれなりに有名な集団になったのです。落ちこぼれの集まりですが、案外とやればできるのです。例えば、宇宙怪獣を倒すとか…。
今日の目的はアニュラクス・バッテリーを防衛すること。敵はウネウネのデカい怪物。みんなで挑みかかり、悪戦苦闘しつつも、なんとか倒しました。
ソヴリン人の女王アイーシャは仕事完遂を讃え、成功報酬を渡してくれます。それは行方をくらませていたガモーラの妹ネビュラです。以前にかなり激しい対立がありましたが、ザンダー星で賞金と交換するつもりでした。
去り際にアイーシャはピーターの両親について尋ねます。母親は地球人。父親は…わからない。アイーシャは何かを見抜いているようです。
後は宇宙船ミラノ号で退散。ロケットはこっそりアニュラクス・バッテリーの一部を盗んでいました。それはあっけなくバレて大量のソヴリンの艦隊に襲撃されます。いつもの口論をしつつ、艦隊を迎撃しますが、敵が多すぎます。加えてピーターとロケットは操縦をめぐってしょうもない喧嘩を続けます。
そして宇宙船は攻撃を受け、惑星ベアハートに不時着してしまいました。またもぶつぶつと口喧嘩をしていると、今度は謎の奇妙な宇宙船が突如として出現。そこから現れたのはエゴと名乗る男、それもクイルの父だというのです。エゴは世話係のマンティスと共に、ガーディアンズの一行を自らの星に招待してくれます。
本当に彼は父親なのか…。
皆、元気そうでなによりです
前作もオープニングが最高でしたが、今作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』もオープニングがGOOD! 前作と違ってひとりじゃない、仲間がいる!ということで、チームの存在が強く感じられます。ピーター・クイル、ガモーラ、ロケット、グルート、ドラックスの前作でまとまったチームメンバーはもちろん、今作でチームに加わったネビュラ、マンティス、クラグリンに至るまで、全てのキャラに見せ場を用意しているのは素直に凄いと思います。まあ、“シルベスター・スタローン”演じるスタカーは、今作からの登場なんですからあそこまで師匠感をだされるとちょっととってつけた感じも否めなかったですが。ちなみにクラグリンを演じた“ショーン・ガン”はジェームズ・ガン監督の弟だそうで、最後にヨンドゥの形見の操れる矢を練習してましたが、今後活躍するのかな? 弟分キャラとして期待できますね。当然、ネビュラのツンデレキャラ、マンティスの不思議キャラも活躍していってほしいです。
そして、本作の一番の魅力キャラはやはりヨンドゥ。育ての父として最高の子ども孝行を見せてくれた姿は感動です。いや、序盤の墜落でドラックスが死なないのに、ヨンドゥが死ぬのは若干納得いかないけど。“カート・ラッセル”演じるエゴは今では古風すぎるくらいの思想の悪でしたが、ヨンドゥとの対比のためにはあれくらいの味付けは必要だった…かな。
ちなみに本作を観て確信しましたけど、ジェームズ・ガン監督はデビュー作『スリザー』のときからそうですが、敵はだいたい“ウネウネ”か“ウジャウジャ”なんですね。
宇宙規模の大家族に密着
先にも語ったとおり、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』の魅力は“重苦しさゼロの陽気な作風”。最近だと移民問題とか人種問題とがが主流のテーマですけど、本作の場合は、これは黒人問題のメタファーだな…とかそんなこと考える余地は綺麗さっぱりない。なんたって肌の色が緑だったり青だったり、今作に至っては金色ですからね。『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』のときに、アジア人のドニー・イェンが出演したことで人種多様性が上がったと盛り上がっていましたが、本作はそんなの気にもならない。ストレス発散素材として最適なのが本当に気持ちが良かったです。
だからといって『ワイルド・スピード ICE BREAK』のような映像の勢いだけのハチャメチャなバカ映画かというと、そうでもない。宣伝のキャッチコピーでは「銀河の運命は彼らのノリに託された」とありますが、意外とちゃんとドラマはある。中心にあるのはいつも「家族」です。
生みの父と育ての父で揺れるピーター・クイル、横暴オヤジに煽られた姉妹喧嘩に決着をつけたいガモーラ、愛を知らずに温かいねぐらを欲するロケット、ギャラクシー家族のなかで絶賛成長中のグルート、実は家族や愛について誰よりも深く理解しているドラックス…「ガーディアンズ」は全員家族の問題を抱えていえます。というか、この家族の問題で銀河の運命がいつも脅かされている気も…。
「アベンジャーズ」がどちらかといえば企業みたいなもので、一方の「ガーディアンズ」は家族となっていて対称的です。前作では家族の誕生を描き、今作では家族の成長を描く。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズは家族のように世代交代を重ねながら、自作だけでどんどん世界観を拡張していくわけで、まさに「リミックス」。これこそ「アベンジャーズ」系を含む他のどのアメコミ映画にもない強みなんじゃないでしょうか。一言でいえば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの魅力は、よくある大家族密着TV番組と同じなんです。
今後は『アベンジャーズ』新作に参加するほか、3作目もあるということで、どんな家族ドラマを見せてくれるのか、楽しみです。
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 83% Audience 87%
IMDb
7.7 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
星 7/10 ★★★★★★★
関連作品紹介
MCU映画の感想記事です。
・『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』
・『マイティ・ソー バトルロイヤル』
・『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』
作品ポスター・画像 (C)Marvel Studios 2017 ガーディアンズオブギャラクシー2 リミックス
以上、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』の感想でした。
Guardians of the Galaxy Vol. 2 (2017) [Japanese Review] 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』考察・評価レビュー