2023年の映画&ドラマをLGBTQの視点で振り返る
お疲れ様でした、2023年!
2023年も終了です。LGBTQを題材にした映画やドラマ、皆さんはどれくらい観ましたか? ストレスを吹き飛ばす作品に出会えましたか?
この記事では2023年に公開・配信されたLGBTQ(セクシュアル・マイノリティ)のキャラクターが登場する映画やドラマをピックアップしながら、私なりの視点ではありますが、この1年を振り返りたいと思います。
もちろん全てのLGBTQ作品を網羅はできませんので、そこはご了承ください。基本は日本での公開・配信を前提にして整理しています。
「こんな作品がそう言えばあったな」「この作品は観てない気がする」とか、そんな感じで気軽に読んでみてください。
なお、前年となる2022年の記事は以下のとおりです。
ゲイ&レズビアン(同性愛)
2023年も同性愛者のキャラクターが登場する作品は比較的多かったです(もちろん異性愛者のキャラクターのほうが圧倒的に多いですけどね)。
作品自体がクィアな観点で公開前から注目されていたものは、その表象にも気づきやすいのですが、全然クィアな方面で関心を持たれていなかった作品にも普通に同性愛者のキャラクターがいたりするので、「気づかなかった!」という人もいるのでは?
ゲイ表象であれば、ドラマでは『THE LAST OF US』、『レイン・ドッグス フツウじゃない家族』、『シュリンキング 悩めるセラピスト』、『ファウンデーション』(シーズン2)、『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』(シーズン4)など。『クラウデッド・ルーム』はちょっと設定が特殊すぎるけど…。BLドラマは『Midnight Series: Moonlight Chicken』など挙げだすとキリがないかも…。
映画では『アステロイド・シティ』、『ノック 終末の訪問者』、『ザ・ホエール』、『CLOSE クロース』、『インスペクション ここで生きる』、『Saltburn』、『青いカフタンの仕立て屋』、『あの夏のアダム』、『僕と幽霊が家族になった件』、『ワース 命の値段』など。イチャイチャなゲイ・ロマンスは『赤と白とロイヤルブルー』などでたっぷり。
レズビアン表象であれば、ドラマでは『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』、『戦慄の絆』、『キラー・ビー』、『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』、『アッシャー家の崩壊』、『ドリームランド 渚の四姉妹』、『イエロージャケッツ』(シーズン2)、『アフターパーティー』(シーズン2)、『インベージョン』(シーズン2)、『Lの世界 ジェネレーションQ』(シーズン3)など。
映画では『TAR ター』、『バビロン』、『キル・ボクスン』、『ガール・ピクチャー』、『コンパートメント No.6』、『ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』など。アカデミー作品賞受賞作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』も日本では2023年公開でした。アホ枠はやっぱり『ボトムス 最底で最強?な私たち』かな。
中年以上の年齢の女性をメインにした『ナイアド その決意は海を越える』、ドラマ『デッドロック 女刑事の事件簿』などの活躍も嬉しかったです。『ナイアド その決意は海を越える』は実在の人物の伝記映画でもありました。
他にも実在の人物を主題にした『カサンドロ リング上のドラァグクイーン』や『ベネデッタ』のような同性愛映画も興味深いです。
迫害の歴史を描く『大いなる自由』、『蟻の王』、『シチリア・サマー』、ドラマ『Bodies/ボディーズ』などの作品もありましたし、同性愛に限らないLGBTQコミュニティがナチスに差別された歴史を映すドキュメンタリー『エルドラド:ナチスが憎んだ自由』も必見でした。『ラスティン: ワシントンの「あの日」を作った男』は賞レースも狙える感じです。
また、作品自体がアライとして同性愛を応援してくれるものも…。『テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく』(シーズン3)はクィアの面でも仲間の支えというチームワークの力強さを描いていました。
さらに、匂わせで終わりにしない作品も良かったですね。『グッド・オーメンズ』(シーズン2)はついにやってくれたという感じで、一足先に期待に応えた『海賊になった貴族』(シーズン2)はさらにパワーアップ。
日本の作品だと『老ナルキソス』や『エゴイスト』はリアルなゲイのライフスタイルを活写。NHKの大河ドラマ『どうする家康』はサフィックな関係性を描き、前回から続いて頑張っています。
アニメだと、ディズニーに捨てられた映画『ニモーナ』が見せてくれましたね(肝心のディズニーのアニメーション映画は2023年は全くダメだったので余計に…)。2023年のアニメーション映画は全体的にクィアの期待に応えるものが乏しかったです。『ルビー・ギルマン、ティーンエイジ・クラーケン』にはちょこっとゲイフレンドがでてきたけど…。
日本のアニメシリーズは、『転生王女と天才令嬢の魔法革命』、『私の百合はお仕事です!』、『私の推しは悪役令嬢。』と百合作品が豊富で、いずれも愛でる消費の百合にとどまらない実在性に踏み込む表象になってきている傾向があった気がします(そうじゃないのも相変わらずあるけど…)。
毎度変わらず残念なのは、大作映画の勢いの低さ。『シャザム!神々の怒り』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME3』『マーベルズ』など映画業界を牽引するはずのアメコミ映画は興行収入よりも、ささやかなレプリゼンテーション(いわゆる「blink-and-you’ll-miss-it queer」、“まばたきすると見逃してしまう程度のクィア”と批判されるタイプの表象)に危機感を持つべきじゃないですか。ハリウッド映画興行収入ランキングトップ10の中に同性愛者のメインキャラ作品がひとりもいないのはどうなんでしょうか…。
ドラマ『シスター戦士』のキャンセルのキャンセルという復活劇はクィアの希望として大事にしたいものです。
バイセクシュアル&パンセクシュアル
2023年のバイセクシュアル/パンセクシュアル表象は例年どおりの少なめ。可視化しづらいという難点がやはり厳しいところです。(上記の「ゲイ&レズビアン」の節で紹介した作品にもバイ/パンのキャラクターが含まれている可能性があるのでご注意ください)。
そんな中、前年でも多彩なLGBTQ表象に積極的だった『HEARTSTOPPER ハートストッパー』はシーズン2でも絶好調。アニメ『ヴォクス・マキナの伝説』(シーズン2)など継続作はありがたいところです。『RWBY Volume9』はようやくバイセクシュアルのキャラクターに大きな進展がありました(ちょっと遅すぎる気もするけど)。
新作だと、ペニスとヴァギナが喋りだす珍作『ハード・フィーリング!』などもあったり…。
実在の当事者を描くドキュメンタリー『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』もありました。『マエストロ その音楽と愛と』は実在の人物を主題にする貴重なバイセクシュアル表象に。
バイセクシュアル表象で最も称賛されていた作品のひとつは、アニメ『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』でしょうか。どうしてもバイセクシュアル/パンセクシュアルというのは「複数の人とやたらと性的関係を持つ」みたいなステレオタイプなイメージを抱かれやすいですが、この作品はしっかり主体的に人間関係を描き、そこを雑に片付けませんでした。
明快なバイセクシュアル/パンセクシュアル表象とは少し違いますが、性的指向に悩んでいく姿を丁寧に映したドラマ『愛をこめて、キティより』なども大事でしょう。性的指向はそんな常にハッキリわかるものでもないですから。
トランスジェンダー&ノンバイナリー
トランスジェンダー差別が日本を含めて世界中で酷さを増す中、その適切な表象は本当に大切で、命にかかわるものです。
肯定されることがいかに本人の人生に意義があるのかを描いた『セックス・エデュケーション』(シーズン4)、差別吹き荒れる地域でも結婚の幸せを手にする当事者を描いた『サムバディ・サムウェア』(シーズン2)など、力強く応援してくれる作品には涙がでます。青春映画だと『ファンフィク』があったり。
イギリスの国民的ドラマ『ドクター・フー』も2023年スペシャルにてトランスジェンダーのキャラクターを堂々と登場させました(演じたのは『HEARTSTOPPER ハートストッパー』の“ヤスミン・フィニー”)。こういう有名タイトルにトランスジェンダーのキャラがでると、すかさず「woke(ポリコレ)だ!」とワンパターンな戯言が飛んでくる時代になってしまいましたが、そんな雑音を気にしない毅然とした作品と製作陣の態度が頼もしいです。
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』やドラマ『パワー』など、女性差別を扱った作品の中にも同じく差別を受けているトランスのキャラがいました。
実在の人物がでてくる作品だと『ウェルカム トゥ ダリ』でしょうか。
脇役ですが『スキップとローファー』は日本のアニメで自然にトランスジェンダー・キャラが描かれる安心感がありました。海外アニメでも『ムーンガール&デビル・ダイナソー』などがあったり…。
ドキュメンタリーだと、短編『父として』は当事者の素の姿がそこにありました。レインボー・リール東京では黒人トランス女性のセックスワーカーを映した『ココモ・シティ』、トランスジェンダー映画祭ではインドの当事者の生活を映した『私たちの場所』と、限定的な公開にとどまったものも少なくないので、できればもっと観られる機会が増えるといいですが…。
一方、ノンバイナリー表象ですが、まだまだ乏しいです。『グラマラス』や、バイジェンダーを描いたドラマ『ジェン・ブイ』などわずかなものを見つけるしかありません。『REBEL MOON パート1 炎の子』では出番は少なめ。ジェンダー・ノンコンフォーミングなキャラなら『サラウンデッド』などがあったのですが…。
ドキュメンタリーでは『SANTA CAMP サンタの学校』や『マーピープル:”人魚になる”という仕事』など職業系が並び、アニメでは『パインコーン&ポニー』(シーズン2)なども…。
トランスジェンダー/ノンバイナリー当事者の俳優の活躍も応援したいものです(演じているキャラがトランスやノンバイナリーかどうかはわからない)。
2023年も『バービー』の“ハリ・ネフ”、『オットーという男』の“マック・ベイダ”、『シアター・キャンプ』の“パティ・ハリソン”、『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』の”ゾーイ・テラケス”、『ハンガー・ゲーム0』の“ハンター・シェイファー”、『死霊のはらわた ライジング』&ドラマ『ONE PIECE』の“モーガン・デイビス”、ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』(シーズン12)の“MJ・ロドリゲス”、『マーダー・イン・ザ・ワールドエンド』の“エマ・コリン”、ドラマ『THE LAST OF US』の“ベラ・ラムジー”、ドラマ『フォー・オール・マンカインド』(シーズン4)の“コーラル・ペーニャ”…当事者俳優がさまざまな役柄で大活躍でした。
『世界は僕らに気づかない』など当事者の監督も要チェックです。
トランスジェンダーやノンバイナリーとは違いますが、インターセックスの表象もドラマ『パワー』や『I(アイ)人に生まれて』で見られたことは補足しておきます。
アセクシュアル&アロマンティック
他者に性的に惹かれない「アセクシュアル(アセクシャル)」、他者に恋愛的に惹かれない「アロマンティック」。これらアセクシュアル/アロマンティックの表象はLGBTQの中でもとくに大きく不足しがちでしたが、2022年は大変革の年でした。では2023年はどうなるのか?
この時を待っていたと言わんばかりに『HEARTSTOPPER ハートストッパー』(シーズン2)と『セックス・エデュケーション』(シーズン4)がアセクシュアル表象をがっつり打ち込んできて、身をもって包括性をカバー。『HEARTSTOPPER ハートストッパー』はアセクシュアル当事者である“アリス・オズマン”が関わっているので予想できましたが、『セックス・エデュケーション』は以前にささやかなアセクシュアルの脇役キャラがちょっと映っただけだったので挽回しました。
『サムシング・イン・ザ・ダート』や『ガール・ピクチャー』など、影が薄いもののアセクシュアル表象があったり…。
日本では前年の2022年が目立っていた感じだったので、2023年はドラマ『今夜すきやきだよ』などややインパクト少なめだったかな…。でも『ミューズは溺れない』や『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』など明言はなしですが、恋愛に惹かれない登場人物が描かれる映画はありました。
全体を振り返って
ストライキの余波
一気に2023年のLGBTQ作品を振り返りましたが、どうだったでしょうか。
去年より良い変化はあったのかと言われると微妙なところです。
ちなみにGLAADが2022年の映画を対象にハリウッドの大手スタジオのLGBTQ表象を調査したレポートの詳細は別記事にまとめています。
本来であれば、「さあ、あの2022年と比べて2023年はどうだったのかな?」と言いたいところなのですが、ちょっと2023年は特殊な事態が起きました。夏に起こった全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)と全米脚本家組合(WGA)が全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)に待遇改善を要求して突入した63年ぶりの同時ストライキです。
ストライキは無事に組合側の納得いくかたちで終結しましたが、数カ月間の制作停止状態が生じたので、映画やドラマの制作進行は遅れています。そのため、全体の作品数が減ることになり、LGBTQ作品の勢いも流れで減退気味になってくると思われます。この傾向は2024年前半まで続くと思います。
さらに余波が心配されます。今回のストライキによって脚本家や俳優により正当な報酬の分配が多少は行われるようになったのは良かったのですが、とは言え、今後は製作費はこれまでより抑えぎみになる可能性があります。ひとりで数百億円ももらっているCEOがいる時点で腹立たしいのですが…(CNBC)。以下の数字を見てください。
- ワーナー・ブラザース・ディスカバリー社のCEO“デビッド・ザスラフ”の収入(2018年~2022年):4億9891万5318ドル
- ハリウッドのトップ幹部の平均収入(年間):2800万ドル
- ハリウッド俳優の平均収入(年間): 6万8989ドル
- ハリウッド脚本家の平均収入(年間):6万9510ドル
参考:Backstage, Distractify
そんな札束で泳げそうなハリウッドの大企業のトップは得意げに「これからは量より質だ」と言っています。一見するとまともそうな発言ですが、要するに「儲ける作品を選りすぐる」と言っているだけです。もっと自分が儲けたいのでね…。
現場の作り手にとっては、作品の数が減るということは「働く機会」や「収入単価」が減るという意味です。今後はより話題のスター俳優や著名監督に製作費が偏りやすくなるかもしれません。
そうなってくるとLGBTQ作品には不利です。LGBTQ表象はたいていは有名作や大作ではなく、マイナーでニッチな作品に支えられているからです。今後のハリウッドがLGBTQ表象にどう向き合うのか、厳しく監視していく必要があるでしょう。
心配な日本
では日本はどうでしょうか。私の意見ですが、日本のLGBTQ描写は確かに少しずつ増えていると思います。ただし、当事者が安心して素直に応援できる作品はどれだけあるかと言うと…。
”是枝裕和”監督の『怪物』や”北野武”監督の『首』など、日本の著名な監督がLGBTQ表象に手を付けだすことはあっても、当事者の反応はやや低めです。それはそうした著名監督がLGBTQを自分の映画の題材にしてキャリアの糧にするわりには、現実のLGBTQ権利運動に全く寄与しないからというのもあるでしょう。こんな態度では当然LGBTQ当事者も冷めます。
また、日本のLGBTQ表象は二極化している印象があります。具体的には「センセーショナルな表象」か「お行儀のいい表象」かの二択です。差別構造には無頓着な作り手も多く、差別レトリックを作品に持ち込まれると感想も何も…。あえて作品名は伏せますが、一部の作り手はセンセーショナルに描くことがクリエイティブなオリジナリティだと勘違いしているところもあるような…。
現実の社会と同様に、表象においても課題が山積みな日本です…。
差別を狙った作品は映画界にも…
トランスジェンダー当事者は差別に怯え、脅迫を受け、自殺に追い込まれる人も珍しくない中、2023年12月、『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』という反トランスの差別陰謀論本の出版が日本で発表され、当事者とその支援者を不安に突き落としました。
この本は邦訳ですが、KADOKAWAが急に出版を中止。それでも差別の勢いは増しました。
出版業界の嫌なニュースでしたが、映画業界も対岸の火事ではいられません。なぜならアメリカでは反トランス本だけでなく反トランス映画もガンガン作られているからです。
例えば、保守系メディア「The Daily Wire」の共同CEO“ジェレミー・ボーリング”が監督&脚本&出演を務めて2023年に公開された映画『Lady Ballers』は、男が「自分は女だと言えば女性スポーツに参加できる」と風刺した露骨に反トランス作品です。
また、保守系団体「PragerU」が2023年に制作した短編ドキュメンタリー『Detrans: The Dangers of Gender-Affirming Care』はそのタイトルが物語っているとおり、トランスジェンダーのケアを有害とみなすプロパガンダ・バッシング作品となっています。
日本でもいつこういう映画が展開するようになるか…考えるだけで憂鬱ですが、しかし見て見ぬふりもできませんので、私たちは正しい知識と人権保護の姿勢で迎えうたないといけません。そのためにもこれまで以上に信頼できる人物やメディア同士の情報発信と連携は大切です。
そして日本の映画業界ももっと考えてほしいです。自分たちの持つ“力”の使い道を…。
2024年への期待と注目作
最後は2024年の期待と注目のLGBTQ作品(映画&ドラマ)を一部紹介して、ポジティブになっておきましょう。
すでに日本で公開予定のクィアな映画はいくつかあります。
『ミツバチと私』(2024年1月5日)、『ジャンプ、ダーリン』(1月19日)、『哀れなるものたち』(1月26日)、『カラーパープル』(2月9日)、『Firebird ファイアバード』(2月9日)、『ネクスト・ゴール・ウィンズ』(2月23日)、『落下の解剖学』(2月23日)、『異人たち』(4月19日)…などなど。
日本での公開は確定していませんが、『Passages』、『Blue Jean』、『Fairyland』、『My Animal』、『Woman Of…』など他にもいろいろあります。
トランス女性を主人公にした『Monica』、トランス男性を主人公にした『Mutt』、クィアなネイティブアメリカンを描く『Fancy Dance』や『Frybread Face and Me』、ドラァグ・ロマンスのカナダ映画『Solo』、ノンバイナリー監督が手がけるクィア・ホラーな『Birth/Rebirth』なんかは、私はぜひ公開してほしいところです。
2023年のもうひとつのおバカ映画枠である『Dicks: The Musical』は見れるかな?
ドキュメンタリーも個性作があります。LGBTQの若者のためのカナダのサマーキャンプを映した『Summer Qamp』、タリバンを取材するトランスジェンダーのジャーナリストを映した『Transition』、トランスジェンダー&ノンバイナリーの俳優だけでヴァージニア・ウルフの「オーランドー」を表現しようとする試みを映した『Orlando, My Political Biography』、LGBTQを過激運動とみなすロシアで活動して抵抗するドラァグ・パフォーマーを映した『Queendom』など…。
私のイチオシは、インターセックスの当事者と権利運動の現在地を映したドキュメンタリー『Everty Body』。これは絶対に日本でも映画館で公開するべきです。日本の配給会社さん、お願いします…。インターセックスのドキュメンタリーは他に『Who I Am Not』などが2023年はありました。
まだ誰も見ぬ未公開も楽しみです。“イーサン・コーエン”の新作映画『Drive-Away Dolls』はレズビアン主役なようで、“クリステン・スチュアート”主演の『Love Lies Bleeding』はバイセクシュアル主人公だとか…。クィアなキャラが豊富な大人向けアニメ『ハズビン・ホテルへようこそ(Hazbin Hotel)』はAmazonプライムビデオにて1月に配信開始の予告されていますので、海外アニメ好きは要チェック。
有名フランチャイズ作だと、「スター・ウォーズ」の最新スピンオフ・ドラマ『The Acolyte』は、クィアな俳優やキャラの情報があるけど、どうなるのだろうか…。MCUのドラマ 『Agatha: Coven Of Chaos』はクィア・キャラクターの噂はいかほどなのか…。『Joker: Folie à Deux』にでてくるハーレイ・クインはクィアとして描かれるのかな…。
日本では、LGBTQコミュニティからの支持もアツいドラマ『作りたい女と食べたい女』のシーズン2が私たちのお腹を満腹にしてくれそうです。
2024年もLGBTQ映画やドラマをたくさん観れることを願っています。レプリゼンテーションを紹介し合ったり、感想を語り合ったり、批判し合ったり、それも大切なことです。
HAPPY NEW QUEER !
オマケ
✔2023年に出版されたLGBTQに関する書籍のオススメ
- 『トランスジェンダー入門』 (集英社新書)
周司あきら (著), 高井ゆと里 (著) - 『ウィッピング・ガール トランスの女性はなぜ叩かれるのか』 (サウザンブックス社)
ジュリア・セラーノ (著), 矢部文 (翻訳) - 『Q&A多様な性・トランスジェンダー・包括的性教育:バッシングに立ちむかう74問』 (大月書店)
浅井 春夫 (編集), 遠藤 まめた (編集), 染矢 明日香 (編集), 田代 美江子 (編集), 松岡 宗嗣 (編集) - 『ノンバイナリー 30人が語るジェンダーとアイデンティティ』 (明石書店)
マイカ・ラジャノフ (著), スコット・ドウェイン (著), 山本 晶子 (翻訳) - 『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』 (左右社)
アンジェラ・チェン (著), 羽生有希 (翻訳)