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『ウェアウルフ・バイ・ナイト』感想(ネタバレ)…MCUで最も可愛いキャラクターが登場!

ウェアウルフ・バイ・ナイト

MCUで最も可愛い(個人の主観です)キャラクターが登場!…映画『ウェアウルフ・バイ・ナイト』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Werewolf by Night
製作国:アメリカ(2022年)
日本では劇場未公開:2022年にDisney+で配信
監督:マイケル・ジアッチーノ
ゴア描写

ウェアウルフ・バイ・ナイト

うぇあうるふばいないと
ウェアウルフ・バイ・ナイト

『ウェアウルフ・バイ・ナイト』あらすじ

多くの人は知らない闇の世界ではハンターたちが闇夜に蠢く怪物を狩っていた。そのハンターとして歴史あるブラッドストーン家では家長が亡くなったことで、その継承者を決めるべく、儀式が行われることになった。そこに集ったのは各地で実績のある狩人たち。強大な力を持つブラッドストーンという石を手に入れられるのはひとりだけ。しかし、その中に少し複雑な事情を抱えた者が混ざっており…。

『ウェアウルフ・バイ・ナイト』感想(ネタバレなし)

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MCUもハロウィン・スペシャルだ!

フェーズ4に突入してから怒涛の勢いで世界観が拡大している「マーベル・シネマティック・ユニバース」、通称「MCU」。2022年7月のサンディエゴ・コミコンではなんとフェーズ5とフェーズ6の展開まで発表され、情報量の多さに頭が追いつきません。

こうなると「全部観きれないから話がわからない…」と嘆く人もいるのですが、そのあたりはマーベルも考えてあってMCUの中には他作品を一切観ていなくても楽しめる「入り口」となる作品がいくつか用意されています。

そしてこれもフェーズ4になってからの特徴ですが、同じMCUとして世界観は共有しつつもジャンルが多様になっており、「アメコミ作品と言えばこれでしょ?」というベタなテイストではすっかり収まらなくなっています。青春学園ドラマもあれば、クリスマス家族ドラマもあるし、法廷ドラマもあれば、ミステリー要素の濃いドラマもある。つまり、万人ウケよりもニッチな観客層を掴めるようなアプローチの多さで攻めている感じです。なので「私、ヒーローものってあんまり肌に合わないんだよな…」と昔のイメージを引きずっている人こそ、今のフェーズ4に突入したMCUは意外な面白い作品に出会えるチャンスだったり…。

2022年10月に「Disney+(ディズニープラス)」で配信が開始したこの作品もMCUの新しい一面を切り開き、これまで距離の遠かった客層にリーチするポテンシャルを秘めていると思います。

それが本作『ウェアウルフ・バイ・ナイト』です。

まず本作の立ち位置から説明しないといけません。これまでのMCUは映画とドラマシリーズ、そしてアニメシリーズを展開してきましたが、今回の『ウェアウルフ・バイ・ナイト』は「マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション」と題されています。「なんだこれ?」という感じですが、要するにこれは既存のテレビ・スペシャルのようなものだそうです。『ウェアウルフ・バイ・ナイト』はその内容からしていわゆる「ハロウィン・スペシャル」と同等なのだと思います。『ウェアウルフ・バイ・ナイト』自体は約50分のボリュームの中編映画みたいな構成です。

ただ面白いのは既存のキャラクターでハロウィンの物語を作るのではなく、この『ウェアウルフ・バイ・ナイト』は完全に新キャラクターで物語を始めているということ。なのでMCUをこれまで一度も観たことがない人でも本作からすんなり入れます。

『ウェアウルフ・バイ・ナイト』のジャンルも特徴です。今作はハロウィンらしくホラー、それも「フランケンシュタイン」や「ドラキュラ」シリーズでおなじみのハマー・フィルム・プロダクション的なクラシック・ホラーとなっています。何が出てくるかはお楽しみにしておきますが、タイトルでバレてますね。

さらにここも特筆すべき点ですが、なんとMCU初のR指定(15+)となりました。R指定のマーベル映画と言えば『デッドプール』があって、その新作がMCU初のR指定映画になるのかなと思っていましたが、まさか『ウェアウルフ・バイ・ナイト』に先を越されるとは…。

ということで『ウェアウルフ・バイ・ナイト』はゴア描写があります。腕とか頭とか吹き飛びます。でもほとんどモノクロなので見た目はそれほどショッキングではないです。

それに案外とほんわかする物語でもあったりして…。詳細なネタバレは控えるけど、MCUで最も可愛い(私の独断)キャラクターがついに登場しますよ。

『ウェアウルフ・バイ・ナイト』を監督するのは意外な人物。てっきりホラーが得意な人が抜擢されるのかと思いきや、なんとMCU『スパイダーマン』シリーズで音楽を手がけてきた作曲家の“マイケル・ジアッチーノ”が初監督を務めます。「え?本当に初監督ですか?」ってくらいに上手い手腕を見せています。

俳優は、『WASP ネットワーク』の“ガエル・ガルシア・ベルナル”、ドラマ『ザ・ネバーズ』の“ローラ・ドネリー”など。おそらく今後もMCUに登場する俳優になるんじゃないかな。

MCU好きだけでなく、クラシック・ホラー好きやクリーチャー好きの人もこの『ウェアウルフ・バイ・ナイト』は必見です。

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『ウェアウルフ・バイ・ナイト』を観る前のQ&A

Q:『ウェアウルフ・バイ・ナイト』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:ありません。事前に鑑賞しないと物語が理解できないような作品は一切なく、いきなり本作から鑑賞てもOKです。MCU初心者も気楽にどうぞ。
✔『ウェアウルフ・バイ・ナイト』の見どころ
★クラシック・ホラーな雰囲気が全開。
★魅力的なクリーチャーも。
✔『ウェアウルフ・バイ・ナイト』の欠点
☆モノクロで映像が暗いので鑑賞環境に注意。

オススメ度のチェック

ひとり 4.0:クラシック・ホラー好きは注目
友人 4.0:気軽に観やすい短さ
恋人 4.0:ロマンス要素は無し
キッズ 3.5:多少の残酷描写が平気なら
↓ここからネタバレが含まれます↓

『ウェアウルフ・バイ・ナイト』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):闇の世界の儀式が始まる

ヒーローたちが華々しく活躍する表の世界があれば、知られていない闇の世界も存在します。今、この闇の世界は世代交代のときを迎えようとしていました。

家長ユリシーズを中心とするブラッドストーン家は、神秘的な武器を使って多くの怪物を狩ってきましたが、ユリシーズが亡くなったことで、代々受け継がれてきた武器となる「ブラッドストーン」という石は新たな持ち主を求めていました。

告別式の今夜、世界中からハンターが集まり、継承者を決める儀式が行われます。

そこに訪問してきたひとりであるジャック・ラッセルは屋敷の広間に足を踏み入れます。見渡すと色々な狩人がすでに到着しており、壁には怪物の剥製が飾ってありました。そして赤く光る石が異様な雰囲気を放っています。あれがブラッドストーンです。

ユリシーズの妻で喪にふしていたヴェルッサエルサが来たと知らされ、顔を合わせます。

「20年ぶりね。みんなも気を悪くするでしょう」

「石を貰ったら帰る。私があれをどうしようとあなたには関係ない」

「お前はお父様の期待を裏切った」

ヴェルッサはみんなの前で語りだし、それぞれの狩人の功績を讃えます。ジャックは100匹以上を殺した強者として紹介されました。

ユリシーズの棺が開かれ、カクカクと動いて喋り出します。

「私の死去に伴い、新たな指導者を選ぶ時が来た。その栄誉を与えられるのはただひとり。最も強く我らの使命に身を捧げる者でなくてはならない。まもなく諸君が見たこともないような怪物がこの神聖なる地に放たれる。その獣を殺した者が我がブラッドストーンを手に入れる」

本来相続すべき権利を持つエルサは家を離れたので権利を失っています。世襲制はなくなり、誰でもチャンスが到来。「なぜエルサは実績ないのに参加できるんだ?」と他の参加者のひとりが懸念を表明しますが、 特別扱いはしないとヴェルッサは宣言。

始まりの儀が終わり、ジャックが先頭に選ばれ、舞台となる迷路のようなエリアに進みます。ここで狩るか狩られるかの戦いをしながら石を手にした者が勝ちです。他の参加者もひとりずつ中へ。

ジャックはいきなりエルサに出くわします。そこでジャックは「このまますれ違うのはどう?」と提案。しかし、髭大男が乱入し、攻撃してきて、ジャックはどさくさに紛れて姿を消します。エルサはそいつを追っ払って斧を奪い、足跡らしきものが辿って探索を続行。

一方のジャックは茂みから飛び出す巨大な手に掴まれます。でもジャックは怯えることなく安堵の表情を浮かべ、「捜しに来たんだ。大丈夫か? お前、毎回次は気を付けるって言うけど、またこうなった。これで最後だぞ」とその怪物に気楽に語りかけます。逃げ道を作るための爆発物を仕掛けてくると言ってジャックは一旦その怪物から離れます。

そこで他の参加者に見つかってしまい、建物に隠れるジャック。ドアを閉めてしまったことで閉じ込められました。中には負傷して苦しむエルサがいて、やや睨み合いに。

「手を組まないか?」

ジャックの提案にエルサは渋々乗っかります。けれどもジャックはまだ重要なことを明かしておらず…。

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モノクロ演出が効いている

『ウェアウルフ・バイ・ナイト』、ビジュアルからして非常に雰囲気がでていました。ハロウィン・スペシャルだからといって手抜きも無く、独自の新世界を見せていくというこの贅沢さはさすがMCUです。

やはり“マイケル・ジアッチーノ”監督、初心者とは思えないですね。

作曲家の監督デビューと言えば、最近だと“ヨハン・ヨハンソン”『最後にして最初の人類』がありましたが、あれは没後にシネマコンサート形式の上映映像を編集したものなので事情が異なるし…。今回の“マイケル・ジアッチーノ”監督はしっかり監督業としての実力を示したのではないでしょうか。

モノクロの映像も見事にハマっています。ただ、本作はそもそもカラーのデジタルで撮っており、R指定が行きすぎないように編集した結果のモノクロで落ち着いたらしいので、おそらくモノクロを最初から意識した撮り方はしていなかったのではないかと思われます。

でもクラシック・ホラーを土台にしていたせいか、モノクロは相性ぴったりで、光を使った恐怖をかきたてる演出も効いていました。とくにジャックがついにウェアウルフ(狼男)に変身する影の映像はド定番ながら「待っていました!」という感じですし、その狼男が檻を飛び出してから次々と相手に襲いかかるシーンで閉じていくドアの光をバックに映される一連のショットは完璧でしたね。

ちなみにあそこで狼男を取り押さえようとする人たちは『ロキ』に登場した時間変異取締局(TVA)の職員が持っていたロッドを駆使していましが、あれはTVA絡みなのか、または単に予算削減のために小道具を使い回したのか、はたまた偶然に似たデザインになったのか、謎です。

でもあのロッドの光の点滅とかも演出に上手く活かされていました。

“マイケル・ジアッチーノ”監督的な部分で言えば、迷路に参加者が立ち入る際にそれぞれ「ブオー!」と楽器で音を鳴らし、それが異様な不気味さを煽るなど、音楽の面での演出も雰囲気を盛り上げていましたね。

逆にもっと世界観の詳細を知りたい人には物足りないかもしれないですけど…。

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マンシングと私も生活したい

そんなおどろおどろしい空気とは裏腹に『ウェアウルフ・バイ・ナイト』の主人公たちはお茶目です。

主人公のジャックもいかにも生気のない顔をしていましたが、単にあの場に緊張していただけで、実は相当におっちょこちょい。エルサに「戦うのやめない?」とか「手を組まない?」とか、開口一番に誘ったり、ただただ臆病です。爆弾を壁になかなかくっつけられないくだりのアホさといい、なんだろう、『ムーンナイト』の主人公と同じ匂いを感じる…。

そしてついに登場しました。マンシング、別名はテッドです。

予告動画にでてきたときから個人的に楽しみにしていたのですが、こういうキャラクター性で来るか~と悶えました。あれです、ハン・ソロ&チューバッカのパターンですね。掛け合いとかかもろに同じです。

マンシングは泥と植物のモンスターで、強大なパワーと不死身の肉体を持っていますが、MCUのマンシングの背景はよくわかりません。一応、相手の頭を鷲掴みにして焼き殺せるみたいですが…。

しかし、ちゃんとコミュニケーションもとれます。あのエルサに「テッド?」と呼びかけられたときの「およ?」みたいな表情の変化が可愛いですね。それからもいち早く壁の穴から退散したかと思えば、出遅れまくって助っ人に登場するし、あげくにはラストではコーヒー淹れて朝の寝起きのケアまでしてくれるし…。私もマンシングと生活したいよ…。

とりあえずこれでマンシング(テッド)のコスプレをする人が増えるね!

ちなみにマンシングは実は2005年に『巨大怪物 マンシング』としてマーベル・コミックを原作に映画化済みだったりするのですが、知名度はすごく低いです。

『ウェアウルフ・バイ・ナイト』で描かれるモンスターとそれを狩る者がいる闇の世界はこれまでの世界でも暗示されていましたが、今作で本格的に初登場です。マーベルはもともとコミックでもこの世界を題材にしたものがたくさんあるので、MCU版「ダークユニバース」が実現できますし、ゆくゆくは狙っているのだと思いますが…。

ジャックとテッドの珍道中の生活ももっと見たいですし、2人の馴れ初めも知りたいですが、それらが語られる日は来るのか…。少なくとも次の闇の世界を舞台にする作品は、吸血鬼とそのハンターを描く『ブレイド』かな。ブラッドストーンを手にしたエルサも何か大きな役割を果たしそうです。

2022年冬には次の「マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション」として『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデイ・スペシャル(The Guardians of the Galaxy Holiday special)』が配信される予定です。そちらの方はとことんふざけまくりになりそうですね。

『ウェアウルフ・バイ・ナイト』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 91% Audience 95%
IMDb
7.8 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
7.0
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関連作品紹介

MCU映画の感想記事です。

・『ソー ラブ&サンダー』

・『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』

・『エターナルズ』

作品ポスター・画像 (C)Marvel ウェアウルフバイナイト

以上、『ウェアウルフ・バイ・ナイト』の感想でした。

Werewolf by Night (2022) [Japanese Review] 『ウェアウルフ・バイ・ナイト』考察・評価レビュー