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『イコライザー THE FINAL』感想(ネタバレ)…3作目はマッコールがやってくる

イコライザー THE FINAL

あなたの地元にもやってくる…映画『イコライザー THE FINAL』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:The Equalizer 3
製作国:アメリカ(2023年)
日本公開日:2023年10月6日
監督:アントワン・フークア

イコライザー THE FINAL

いこらいざー ざふぁいなる
イコライザー THE FINAL

『イコライザー THE FINAL』あらすじ

元海兵隊員で国防情報局(DIA)の凄腕の特殊工作員だった過去があるロバート・マッコール。ある日、イタリアのシチリアで負傷し、近くのアマルフィ海岸沿いの静かな田舎町で休むことになる。身内のように温かく接してくれる人々の存在に救われた彼は、この町を安住の地にしようかと気持ちが傾いていく。しかしその町にも悪意に染まった者が巣くっており、マッコールは大切な人々を守るべく動き出す。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『イコライザー THE FINAL』の感想です。

『イコライザー THE FINAL』感想(ネタバレなし)

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お前の嘆かわしさを抹殺する

嘆かわしいことに「白人が主役の作品がリブートされて主役が有色人種に変わる」という現象が起きると「ポリコレ(woke)だ!」と条件反射で拒絶反応を示す人が一部で依然として存在するわけですが、そういう人たちは往々にしてそうした事例が前からあって成功している作品があるということにたいして興味も持っていません。

白人が主役だったけどリブートされて主役が有色人種に変わった作品の成功例で、一番に挙げられるもののひとつが『イコライザー』シリーズでしょう。

2014年に黒人俳優の“デンゼル・ワシントン”主演で『イコライザー』という映画が公開されましたが、この作品はもともと1985年から1989年にかけて放送されたドラマシリーズ『ザ・シークレット・ハンター』(原題は「The Equalizer」)をリブートして映画化したものです。

『ザ・シークレット・ハンター』は、『ウィッカーマン』(1973年)でおなじみのイギリスの白人俳優の“エドワード・ウッドワード”が主演しており、『ザ・シークレット・ハンター』の演技によってゴールデングローブ賞のテレビドラマ主演男優賞(ドラマ部門)を受賞しています。

物語は、ロバート・マッコールという男が主人公で、彼は実は米国政府諜報機関の元秘密工作員で、今は一般社会で困りごとを解決する奉仕活動をしており、その過程で己のスキルと人脈を活かして悪者を裁いていく…という自警団モノです。

この『ザ・シークレット・ハンター』が“デンゼル・ワシントン”主演でリブート映画化し、コンセプトは変わらず、でも“デンゼル・ワシントン”らしい濃厚な凄みが増したことで、別格級に作品が研ぎ澄まされました。

“デンゼル・ワシントン”主演の『イコライザー』は1作目の成功もあって、2018年に2作目となる『イコライザー2』が作られました。

そして2023年、3作目の登場です。それが本作『イコライザー THE FINAL』

今回もマッコールさんが容赦なく鉄拳制裁を下します。過去作以上に恐ろしさが増しており、スクリーン越しからでも相手を睨み殺せそうです。

監督は過去作から引き続き、“アントワン・フークア”(アントワーン・フークア)です。『THE GUILTY ギルティ』『自由への道』と近年もいろいろな映画を手がけてきましたが、やっぱり“デンゼル・ワシントン”が好きなんでしょうね。

今作で“デンゼル・ワシントン”と共演するのは、あの“ダコタ・ファニング”。“デンゼル・ワシントン”とは幼い頃に『マイ・ボディガード』(2004年)で一緒に並んだことで有名ですが、すっかり大人に成長し、また“デンゼル・ワシントン”と隣になるというのも感慨深いです。“デンゼル・ワシントン”がすっかり親戚のおじちゃんみたいになってる…。

ただ、思っていたよりは“ダコタ・ファニング”の出番は少ないんですけどね。

他には、ドラマ『フロム・スクラッチ ~愛のレシピをもう一度~』“エウジェニオ・マストランドレア”『ハード・ナイト・フォーリング』“アンドレア・スカルドゥージオ”、ドラマ『That Dirty Black Bag』“ガイヤ・スコデッラーロ”などが出演しています。

『イコライザー THE FINAL』はシリーズ3作目なので、当然これまでのシリーズが好きな人が真っ先に観に行くタイプの映画なのは間違いありませんが、そんなに過去作との連結がハッキリしておらず、ひとつの映画で完結していくスタイルの作品でもあるので、今作から初めて鑑賞する人でもそれほど問題ないとは思います。

“デンゼル・ワシントン”のマッコールさんの凄み、とくと味わってください。悪いことをしている場合は今のうちに謝っておくほうが身のためです。

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『イコライザー THE FINAL』を観る前のQ&A

Q:『イコライザー THE FINAL』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:過去のシリーズ(1作目と2作目)を観ないとわからない要素はほとんどありませんが、一部で過去作との接続があります。
✔『イコライザー THE FINAL』の見どころ
★今日もマッコールさんは容赦なし。
✔『イコライザー THE FINAL』の欠点
☆良くも悪くもいつもどおり。

オススメ度のチェック

ひとり 3.5:シリーズ好きなら
友人 3.5:一緒に満喫
恋人 3.0:恋愛要素ほぼ無し
キッズ 3.0:暴力描写が多め
↓ここからネタバレが含まれます↓

『イコライザー THE FINAL』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):シチリアにようこそ

イタリア、シチリア。身軽な格好のロレンツォは隣にの少年を乗せて車を運転していました。のどかな田園風景です。

自分の所有する広々としたブドウ園に到着。しかし、すぐにただ事ではない空気を感じ取っていました。入り口には警備員が血塗れで死んでおり、敷地内にも他の死体が転がっています。かなり手練れた戦闘術でやられたことは明らかです。

無言で警戒しながら銃を手に取るロレンツォ。孫を車に待たせて、自分は車を降ります。

生き残った部下がいて、奥へと共に歩いていきます。ここにも死体はいくつもあり、ロレンツォは何かを察したように帽子を脱いで地下の階段を降ります。

真っ暗なワイン貯蔵庫。そこには部下3人に銃を突きつけられながらも優雅に座ってワインを味わっている男がひとり。名はロバート・マッコール

ロレンツォは穏やかな口調で目的を問います。マッコールはストップウォッチを始動させ、素早い身動きであっという間に周囲の男を射殺。這って逃げるロレンツォもショットガンで撃ち殺します。

マッコールが外にでると、車にロレンツォの孫がいました。その場で動くなと指示しますが、背を向けた瞬間に撃たれて、その子には逃げられます。追いかければ仕留めることはできそうでしたが、やりません。

冷静にその場にしゃがみこみ、自分が致命傷を負ったことを自覚。茫然と考えこみます。

しばらく後、道路に止めた車の中でジオ・ボヌッチ警部に見つかり、町医者のエンツォ・アリシオの診療所で弾の摘出を受けてなんとか生き延びます。マッコールはこのエンツォの好意でしばらく家に泊めてもらえることになりました。

杖をついて歩けるようになるまでに回復。ここはアマルフィ海岸沿いの穏やかな町です。3日も眠ってしまったようです。

自力で階段を降りると町の日常が広がっていました。住人が思い思いで自由に過ごしています。

でもマッコールは癖なのか、つい監視カメラを気にして行動してしまいます。

カフェに寄ると、ジオの娘のガビーが挨拶に来てくれます。この町の温かさを絵に描いたような優しい子です。

マッコールは考えました。この負傷であれば自分で動くことはできません。そもそももうこんな血塗られた生き方から引退するちょうどいい機会なのかもしれない…。

そこで縁のある組織である国防情報局(DIA)のエマ・コリンズと連絡をとり、あのブドウ園の情報を伝えておきます。そして常に肌身離さず持っていた時計は引き出しにしまいます。

ある日、いつもの市場で、マフィア「カモッラ」のヴィンセントと弟のマルコが魚屋のアンジェロを脅していることに気づきます。この兄弟はこのあたり一帯を恐怖で仕切っており、住民はみな怯えていました。逆らう者には暴力で屈服させます。

マッコールはもう争いを避けることにしたので極力そうしたいざこざは無視したいところですが、この性分である以上、目の前の理不尽な行為を静観することはできず…。

この『イコライザー THE FINAL』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2024/02/05に更新されています。
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もう死神の次元に達している

ここから『イコライザー THE FINAL』のネタバレありの感想本文です。

“デンゼル・ワシントン”の『イコライザー』シリーズにおける、主人公ロバート・マッコールは、基本的に第一線を引退しており、細々と暮らしているだけです。でも悪意のせいで困っている人を見かけてしまうと黙っていることはできず、その手腕で制裁を下します。

1作目と2作目はその平穏生活から制裁モードへと切り替わっていく姿が順を追って描かれていたのですが、3作目の『イコライザー THE FINAL』は意表を突くオープニングで始まります。

殺戮の場と化したブドウ園。そこに佇むマッコールはワインを飲んでいるけど、生き血を飲んでいるようなもので、普通にめちゃくちゃ怖いです

何も知らない人がこの映画からいきなり観たら、「あ、この人がこの映画の悪役なんだな」って思うでしょう。常識的にもマッコールが悪ですよ(映画の最後でなぜマッコールがこのブドウ園を襲ったのか明らかになるんですけど、そんな皆殺しにしなくても…とはやっぱり思ってしまう…)。

本作のマッコールさん、もういろいろ限界突破しすぎなんですよね。自警団というか、人ならざる死神みたいなものなんじゃないだろうか…。実際、殺害のシーンは完全にホラー映画並みの怖さになっています。

終盤でヴィンセントの屋敷に乗り込んで死を与えるシーンなんかは、アクション映画だと教えなければ、ワンシーンを切り取ると、ほとんど異形の殺人鬼か超常現象の怨霊に狙われて怯える男の姿にしか思えないですもんね…。

最近のアクション映画は、『ジョン・ウィック』シリーズといい、いかにアクションの幅広さをかっこよく見せるかにこだわって作品のアイデンティティを確立していますが、この『イコライザー THE FINAL』はそれさえしません。マッコールがそこにいれば、それは「死」をもたらすのです。

過去作では「何秒で殺す」とか、一応のギミックはありましたけど、この『イコライザー THE FINAL』となると、そのあたりの小細工すらもどんどん省略してしまっており、映画のスタイルが極まりすぎていて、これもありなのか…とちょっと唖然とします。

『北斗の拳』の主人公・ケンシロウの有名な台詞で「お前はもう死んでいる」というのがありますけど、今回のマッコールもこの死の宣告の決め台詞が一番ふさわしいと思います。

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マッコールさんはトラブルシューティング

そんな死神に転職したマッコールが暴れる『イコライザー THE FINAL』ですが、3作目の特徴として、舞台が海外…イタリアのシチリアに移ることと、そこでのコミュニティとの関係性があります。

2作目の『イコライザー2』ではアフリカ系コミュニティへの奉仕を描くことで、このマッコールらしい在り方を描いていたのですけど、3作目は舞台からしてバカンス的な味わいです。

それにしてもエルキュール・ポアロといい、ヨーロッパの観光地で休養して自分の能力を取り戻していく男、最近も映画でいくつも観るな…。

まあ、今回のマッコールさん、「もう引退するか…」といかにも時計を閉まったりして雰囲気を出しますけど、我々観客にしてみれば「ご冗談を…」って感じで、どうせすぐに復帰するのは見え見えなんですけどね。というか、マッコールさんの行くところに殺戮があるから…。

実際、トラブル検知器みたいな能力で町の悪人を感知していましたからね。マッコールさんはトラブルシューティングなんですよ。

マッコールにしてみれば限りなくただの雑魚である兄弟をぶっ倒し、めでたしめでたしのエンディングを迎える本作。

いや、ツッコミはありますよ。あの町、いくらなんでもマッコールみたいな相当に得体のしれない人をあっさり受け入れすぎだろ、とか。自警団賛美の色が濃すぎる気もします。

また、DIAのエマ・コリンズもだいぶ無駄骨というか、わざわざ出向いてくる必要もなかったんじゃないか、とか。あのエマについては、ブライアンとスーザン・プラマーの娘であることが最後に明らかになり、マッコールの人生との繋がりが提示されますが、マッコールと知り合いというのはある程度のリスクではあるな…。

邦題では「THE FINAL」と銘打ってしまっていますけど、この『イコライザー』シリーズはこれで終わりなのか。完結作としてはあまりにゆるっとしているので、いくらでもまだ拡大しそうです。事実、前日譚を作る話も持ち上がっているらしいですけど(若返りVFXか、役者変更か)、どうなるやら。

すでに“クィーン・ラティファ”主演で女性版に切り替えた新しいリブートのドラマシリーズも2021年から製作済みですし、たぶん映画が再リブートすることはないと思いますが、“デンゼル・ワシントン”はまだ見たい気持ちもありますね。

いっそのこと今度はブギーマン(マイケル・マイヤーズ)と一騎打ちで戦ってみてくれないだろうか…。個人的にちょっと興味ある…。

『イコライザー THE FINAL』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 75% Audience 94%
IMDb
7.1 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
5.0
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関連作品紹介

デンゼル・ワシントン出演の映画の感想記事です。

・『マクベス』

・『フェンス』

作品ポスター・画像 (C)Sony イコライザー ザ・ファイナル イコライザー3

以上、『イコライザー THE FINAL』の感想でした。

The Equalizer 3 (2023) [Japanese Review] 『イコライザー THE FINAL』考察・評価レビュー