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『シャザム!神々の怒り』感想(ネタバレ)…続編はリンゴを植えます!

続編はリンゴを植えます!…映画『シャザム!神々の怒り』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Shazam! Fury of the Gods
製作国:アメリカ(2023年)
日本公開日:2023年3月17日
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
イジメ描写 恋愛描写

シャザム!神々の怒り

しゃざむ かみがみのいかり
シャザム!神々の怒り

『シャザム!神々の怒り』あらすじ

古代の魔術師より6人の神のパワーを授かった少年ビリーは、魔法の言葉「シャザム!」と唱えると、最強のマッチョな大人ヒーローのシャザムに変身する。しかし、見た目は大人でも中身は子どもなので、ヒーローとしても半人前のシャザムは、手痛い失敗をしてしまうことになる。人智を超えた神の娘たちがパワーを取り返すべく、シャザムとその仲間たちのもとに襲来。世界を救うのは今度も大変すぎる…。

『シャザム!神々の怒り』感想(ネタバレなし)

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新生DCユニバースはとりあえず忘れよう

人には未来は予測できない…そう私は痛感したのでした。

何を感傷に浸っているのかと言えば、『ブラックアダム』の感想で書いたことの話です。そこで私はこの映画は新しく再起動する「DCユニバース(DC Universe / DCU)」のいわばフェーズ1のひとつを構成する作品になる基幹だと、知ったかぶって語ってしまいました。

その『ブラックアダム』の日本公開直後にメディアで報道されたDCUの未来図。まさかあそこまで既存のキャラクターを結構バッサリ切り捨てるとは思わなかった…。新作でも容赦なしですよ…。

でも言い訳しまくりますけど、当時はみんな『ブラックアダム』がお役御免になるなんて想定すらしていなかったじゃないですか。ワーナーの日本公式だって、俳優だって、びっくりしてましたよ。

そんなこんなで新生DCユニバースは2025年に公開を予定している“ジェームズ・ガン”監督による「スーパーマン」最新作映画が第1弾のスタートとなるようです。

ではじゃあ2023年に公開予定のDC映画たちはなんなんだという話になるのですけど、一応の名目上は新しいDCユニバースに切り替える作業を担うスタッフ、もしくは切り替え中の間をつなぐ前座みたいな感じになってしまうのですが、まあ、こればかりはもう文句を言ってもしょうがない…。

とりあえず今はこの『シャザム!神々の怒り』を単品で楽しむことにしましょう。

本作は2019年に公開された『シャザム!』の2作目となる続編です。コロナ禍とVFX作業過密とDCユニバース企画練り直しもあって、公開が大幅に遅れてしまいましたが、やっとこの2023年に物語の続きがお披露目となりました。

その名のとおり「シャザム」というヒーローを描いているのですが、これまでのDCは「バットマン」とか「スーパーマン」のように、やや大人っぽさを漂わすヒーローばかりで構成されていましたが、そこに良い意味で子どもの緩さをそのまま持ち込んだかのようなヒーローが参戦し、DC映画の世界観の幅を広げたというのがこの『シャザム!』の面白さだったと思います。

また、里親ファミリーを題材にしていたり、性別や人種を交えた多様性あるチームを一作で成り立たせたり、当時としてはかなり一歩を踏み込み、映画を観ることになる多彩な背景を背負った子どもたちにとっての等身大のヒーロー像を提示できていたのも凄かったところです。自分もヒーローになれる!という自信を与えてくれました。

監督の“デヴィッド・F・サンドバーグ”も良い仕事をしました。スウェーデンの映画監督で、『ライト/オフ』で注目を集め、『アナベル 死霊人形の誕生』の監督に抜擢され、『死霊館』シリーズによってキャリアを引っ張ってもらったクリエイターですが、『シャザム!』の成功でキャリアは盤石に。

2作目の『シャザム!神々の怒り』も“デヴィッド・F・サンドバーグ”が続投し、順当にボリュームアップした、いかにも続編らしい正統進化の内容に仕上げています。なお、今回も「アナベル人形を探せ!」の遊び要素ありです。見つけられるかな。

主役の“ザッカリー・リーヴァイ”は当然続投しており、今作でもコミカルな演技を見せていますが、新参入の俳優陣も見どころいっぱいです。

まず『ワイルド・スピード ジェットブレイク』の“ヘレン・ミレン”と、『チャーリーズ・エンジェル』の“ルーシー・リュー”が悪役で参戦。この2人がアメコミ映画で揃う日が来たのか…。

さらに『ウエスト・サイド・ストーリー』でも高く評価され、ディズニーの『白雪姫』の実写版でも主役を飾ることが決定済みの“レイチェル・ゼグラー”も登場。

そう言えば今回の『シャザム!神々の怒り』は主人公の日本語吹き替え担当が変更になりましたね。ちょっと前作の1作目の日本語吹き替えは近年の中では目立つレベルでアレだったから…(人には向き不向きがある)。今作では吹替も字幕も好きなように選んで見てください。

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『シャザム!神々の怒り』を観る前のQ&A

Q:「シャザム」ってどんなキャラクター?
A:正体はビリー・バットソンという普通の10代の少年ですが、魔術師から力を授かり、「シャザム!」と大声で唱えると、筋肉ムキムキの大人のヒーローに変身します。万能のパワーを持っており、「スーパーマン」並みに強いです。ビリー自身はヒーローに憧れるオタクっぽい童心を持っています。
Q:『シャザム!神々の怒り』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:前作となる1作目の『シャザム!』は最低限でも観ておきましょう。前作の人間関係や展開がそのまま継続されます。もうひとつ知っておいてほしいDC映画もあるけど、それは言うとネタバレになるので伏せておきます。
✔『シャザム!神々の怒り』の見どころ
★王道のヒーロー物語として正統進化。
✔『シャザム!神々の怒り』の欠点
☆前作と比べるとベタさの方が強い。

オススメ度のチェック

ひとり 3.5:前作が好きなら
友人 3.5:ヒーロー好き同士で
恋人 3.5:異性ロマンスあり
キッズ 3.5:子どもも楽しい
↓ここからネタバレが含まれます↓

『シャザム!神々の怒り』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(前半):今度の敵は「神」?

ギリシャのアテネにあるアクロポリス博物館。多数の考古学的に貴重な文化財を収蔵・展示しているこの場所ですが、甲冑の2人がズカズカと館内を進んできます。

そして魔術師の真っ二つに折れた魔法の杖の展示ケースの前に立ち、そのガラスを躊躇なく破壊。2人は仮面を外し、顔を見せます。その2人の正体はヘスペラカリプソ。神話のアトラスの娘で、力を欲していました。

2人が杖を握ると力がなだれ込んできます。力を取り戻した2人は、警備員に囁きかけると、急に警備員は周囲の人に襲いかかり、それは伝染するように拡大。パニックとなります。2人は悠々と佇み、展示品の貴重な品を砂塵へと変え、周囲の人間はみんな岩に変貌。アトラスの娘たちの野望がついに始まります。

一方その頃、ビリー・バットソンは悩んでいました。昔のある出来事で、「シャザム!」と唱えるとスーパーヒーローに変身できるようになり、悪い奴を倒したりもしたのですが、そうは言ってもまだ10代。問題を抱えがちです。

ビリーは今もバスケス家という里親のもとで暮らしており、他にも里子であるフレディ、メアリー、ダーラ、ユージーン、ペドロが一緒。そしてこの6人には里親も知らない秘密があります。ビリーだけでなく、他の5人も「シャザム!」と叫べば大人の姿のヒーローになれるのです。

橋でトラブルがあったという無線を聴きつけ、6人は外へ。「シャザム」と叫んで変身し、飛び立ちます。

すでに橋は崩壊しつつあり、渋滞で取り残された人々が逃げ惑っていました。人が乗った車が落ちそうになり、ビリーが間一髪で助けます。他のみんなも抜群のパワーと高速移動で次々と救助。なんとか一件落着です。

何事もなかったかのように一同は帰宅。力を授かった場所である「ロック・オブ・エターニティ」はすっかりみんなの秘密基地となり、私物化されて賑やかになっていました。ビリーはみんなを集めて反省会をしようとしますが、それぞれ好きなように行動し、全くまとまる気配は無し。

18歳を迎え、里親のこの家を追い出されるのではないかとビリーは内心では不安でした。

その同時期、ヘスペラとカリプソは幽閉された魔術師のもとへ向かい、盗んできた杖を見せ、強引に杖を握らせ、「シャザム」と言わせます。真っ二つの杖は完全に復活し、アトラスの娘たちの計画は第2段階へ進みます。

一方、いじめられがちのフレディは、学校でアンという名前の転校生らしい女の子と出会います。しかし、またいじめっこがやってきて、歩行補助杖を折り曲げられます。そんな姿を見てもアンは優しくしてくれ、気に入られたいと思うようになるフレディ。

対するビリーはワンダーウーマンと食事する夢を見ていましたが、急にそれはあの自分に力を授けた魔術師の顔になり、アトラスの娘たちについて警告してきます。

そんな中、フレディはこっそり変身してアンの前でヒーローの姿を見せていましたが、そこへヘスペラとカリプソが現れ、力を奪い、変身を解かせます。フレディはもう変身できません。

そしてアンもアトラスの娘だと知り…。

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子どものノリだからいい!

前作のヴィランがサデウス・シヴァナというビジネス系寄りの博士であったのに対し、『シャザム! 神々の怒り』では思いっきり神話の存在となり、一気にファンタジー感が大増量しました。ほぼファンタジーRPGみたいなテンション。後半は『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』が現在の世界に!というビジュアルですもんね。

今作の敵はギリシャ神話のアトラスの娘たち。と言っても実際の神話ではアトラスにはものすごいたくさんの娘がいて(20人はいる)、さすがに全部出しまくると、なんだかアイドルグループみたいになっちゃうので、今回は3人しかでてきません。ヘスペラカリプソアン(アンテア)です。

でもそんな危機はどこ吹く風、序盤のビリーたちは呑気です。この子どもたちが自由気ままにヒーロー活動しているノリが『シャザム!』らしいですね。「ロック・オブ・エターニティ」が様変わりしているのも楽しいですし、変に背負いすぎていない感じも気楽で緩いです。

これまでのアメコミ・ヒーロー映画は子どもヒーローの数がまだまだ少なく、『スパイダーマン』だって最近は重圧が強めだったので、この『シャザム! 神々の怒り』のユルユルさがたまりません。

『シャザム! 神々の怒り』は子どもがヒーロー活動をすることに対する社会的責任や世間との折り合いなど、そういうシリアスなテーマは一切しないことに振り切っており、これはこれで良いバランスだと思います。真面目に考えだすと、6人も子どもヒーローがいるので収拾つかないですからね。

ハンバーガーを用意しながら外でヘスペラとお喋りするとか、スキットルズで手懐けたユニコーンを乗り回して突撃するとか、これはビリーたちにしかできない技ですから。

でもそんな子ども時代も終わりが来てしまうのだという一抹の不安を今回のビリーは抱えており、ラストのみんなで食事をするシーンは、この一瞬の幸せを今は楽しみつくそうという思いが感じられて、妙に感慨深くなってしまいました。

まあ、DCユニバースでの「シャザム」の今後の展望が不透明だからというのもあるんだけど…。

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急げ!ミスター・マインド!

『シャザム! 神々の怒り』に不満点があるとすれば、全体的に前作と比べてフレッシュな要素が少ないというところでしょうか。王道のヒーローらしい進化は遂げたけど、やや個性は減退しており、前半の子どもたちが自由気ままにヒーロー活動しているノリが薄れれば薄れるほど「普通」になってしまいます。

私は前作の里親ファミリーものとしてのストーリーが結構好きで、あの血縁に対する呪縛を現実的なキツさもしっかり受け止めて、それでも乗り越えていく苦い味わいも良かったと思っています。

一方のこの2作目は家族としてのドラマ性は希薄で、里親も相当に立派な人だし、自分たちがヒーローだとカミングアウトするくらいなので(ペドロはゲイだとカミングアウトしてたけど)、前作の予想外のテーマの深さを今回も期待すると肩透かしになります。

また、フレディとアンのロマンスに象徴されるように、学園青春モノとしても普通にベタな構成なので、それも味気ないかな。本作は女性キャラクターが男性にとってのマドンナ的なポジションで起用されるケースがやや多すぎる気もする…。フレディにとってのアンは典型的な「イジメられるボクに優しい理想の女の子」だし、ビリーにとってのワンダーウーマンも今回ばかりは「女性のエンパワーメントの象徴」という役目から降りてしまっているし…。

加えて、せっかく“ヘレン・ミレン”と“ルーシー・リュー”という最高の中高年女性をキャスティングしているのに、魅力があまり輝き切れなかった感じもあるかも。最近のアメコミ映画は『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』といい、『アントマン&ワスプ クアントマニア』といい、中高年女性がグイグイ活躍しまくっているので、『シャザム! 神々の怒り』ももうちょっと頑張ってほしかった…。でもあんな豪快なリンゴの植え方は初めて見たよ…。

逆に予想以上に魅力全開だったのが魔術師を演じた“ジャイモン・フンスー”だったな…。

『シャザム! 神々の怒り』を見ればこのポテンシャルはまだまだありそうだと実感しましたし(個人的にはドラマシリーズでじっくり各キャラクターを掘り下げてほしい)、ビリー(シャザム)は「ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ(JSA)」あらため「アベンジャー・オーソリティなんちゃら」として今後もシリーズに出続けるのか。

そして歩みがゆっくりすぎるミスター・マインドは間に合うのか…。

主役の“ザッカリー・リーヴァイ”の問題言動もチラチラ目につくし…。

さあ、この諸問題を一気に解決する魔法の言葉は…たぶんないかな…。

『シャザム 神々の怒り』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 53% Audience 87%
IMDb
6.7 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
6.0
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関連作品紹介

DC映画の感想記事です。

・『THE BATMAN ザ・バットマン』

・『ザ・スーサイド・スクワッド 極悪党、集結』

作品ポスター・画像 (C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC シャザム2 フューリー・オブ・ザ・ゴッズ

以上、『シャザム! 神々の怒り』の感想でした。

Shazam! Fury of the Gods (2023) [Japanese Review] 『シャザム! 神々の怒り』考察・評価レビュー