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ドラマ『Pachinko パチンコ』感想(ネタバレ)…在日コリアンの歴史を数世代に渡って描く

Pachinko パチンコ

在日コリアンの歴史を数世代に渡って描く…「Apple TV+」ドラマシリーズ『Pachinko パチンコ』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Pachinko
製作国:アメリカ(2022年~)
シーズン1:2022年にApple TV+で配信
シーズン2:2024年にApple TV+で配信
原案:スー・ヒュー
イジメ描写 人種差別描写 性描写 恋愛描写
Pachinko パチンコ

ぱちんこ
Pachinko パチンコ

『Pachinko パチンコ』物語 簡単紹介

1910年、日本は大韓帝国を植民地化。多くの朝鮮人(コリアン)は海外へ逃げたが、植民地となった故郷で耐え忍ぶ家族もいた。ソンジャもそのひとりであり、幼い頃から両親と共に朝鮮半島の片隅で貧しくも生活しており、そこには日常的に日本人による差別や弾圧があった。ある日、成長したソンジャはひとりの男性と出会い、運命を変えていくことになる。その人生はソンジャの孫の世代にまで波及していく…。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『Pachinko パチンコ』の感想です。

『Pachinko パチンコ』感想(ネタバレなし)

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この歴史を無かったことにはできない

2022年5月13日に『教育と愛国』というドキュメンタリーが公開されます。これは政治と学校教育の関係性に迫る内容です。このドキュメンタリーを制作するきっかけとなったのは、“斉加尚代”監督が、道徳教科書の「パン屋さん」の記述が検定意見を受けて「和菓子」を扱う店に修正されたことを知ったからだそうです。2006年に教育基本法が改正され、戦後初めて「愛国心」が盛り込まれることになり、それ以来、日本の教科書はどんどんと政治色が強まり、端的に言えば、右派や保守勢力が好みそうな内容へと改変されていきました。2021年も閣議決定で朝鮮半島からの「強制連行」を「動員」「徴用」、「従軍慰安婦」を「慰安婦」とするのが適切とする政府見解が示され、教科書に影響を与えています。

学校の教科書に書かれていることは「正しい」と子どもなら思うはず。でも実際は特定の政治権力に忖度されている。これが現実…。

こういう社会になってしまった以上、私たちは何をするべきか。それはやはり特定の政治家が忌み嫌うような、教えたがらないような、「不都合な歴史」というものとしっかり向き合うことだと思います。

日本にとって不都合な歴史はたくさんあります。歴史上、日本は多くの加害者の側面を持っています。

今回紹介するドラマシリーズはその日本の加害者性というものを直視させる真摯な作品です。

それが本作『Pachinko パチンコ』

『Pachinko パチンコ』はアメリカ在住の韓国系の作家“ミン・ジン・リー”による小説を映像化したもので、この原作はとても評価が高く、ニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする70を超えるベストリストに名を連ねた話題作。そのドラマ化の本作『Pachinko パチンコ』も「Apple TV+」で独占配信されて以降、傑作と絶賛されています。

本作が題材にしているのはいわゆる「在日コリアン」。日本に植民地化されてしまった朝鮮半島では多くの朝鮮人(コリアン)が日本の支配のもとで生活することを余儀なくされ、その統治が終わっても日本に在住したまま、ずっと日本の地で暮らし続けている人が大勢います。

『Pachinko パチンコ』はその第1世代を始点に、その子、さらに孫と、複数の世代に渡って在日コリアンの人生史を描き出す、かなり壮大なドラマです。ちょっと朝ドラっぽさがあるような…。

ゆえに物語は直線的ではなく、主に2つの年代が同時並行的に描かれていき、その連結点や共通点がしだいに明らかになっていくという構成になっています。

当然、そこには在日コリアンを始めとする朝鮮人が歴史的にずっと受け続けてきた日本人による差別が存在します。中には残虐なものまで…。無論、それは「過去の話」で終わらない。冒頭で説明したとおり、今再び日本社会はオルタナ右翼などの支持基盤で勢いづく政治的集団の台頭もあって、朝鮮人差別が過激になってきています。ネットを見渡せば酷い罵詈雑言が散乱している状況。これは過去の問題であり、そして現在の問題であり、未来の問題になりうるものでもある。

この『Pachinko パチンコ』は日本人こそ直視しないといけないことですし、日本が作るべき作品だと思うのですが、それがアメリカ資本、しかもAppleによって製作されたというのが時代を象徴していますね。

『Pachinko パチンコ』のエピソード監督している人物もなかなかな顔触れで、あの“小津安二郎”エッセンスを全開にしたビジュアルが完成された絵を創り出していた『コロンバス』を手がけた“コゴナダ”、さらに国際養子縁組の法的不備によって引き裂かれる家族をドラマチックに描いてみせた『ブルー・バイユー』“ジャスティン・チョン”。気鋭の監督が揃っているのです。

さらに原案&脚本には、『見えない訪問者 〜ザ・ウィスパーズ〜』などを手がけた“スー・ヒュー”が関わっています。

『Pachinko パチンコ』は俳優陣の名演も釘付けになる見どころのひとつ。

物語の主軸となる主人公の女性を演じるのは、若い姿が『ザ・コール』“キム・ミンハ”、そして老齢の姿があの『ミナリ』で見事にアカデミー助演女優賞に輝いた“ユン・ヨジョン”。この2名の演技が本当に言葉に尽くしがたいほどに心振るわす熱演です。

共演は、在日コリアン3世でもある“ソウジ・アライ”(“パク・ソヒ”)など当事者も参加しており、物語のリアリティが間近にあります。在日コリアンの当事者が在日コリアンの人生を演じることの意味…日本での在日コリアンの軽視、ハリウッドでのアジア系の軽視…その歴史を鑑みればここまで到達したこと自体が感慨深いものじゃないでしょうか。

日本は『スパイの妻』などの一部を除き、朝鮮人差別や暴力の歴史を描くことを避けてきた傾向があります。それは「表現の自由」などではなく、「表現の忖度」があったことの証拠でしょう。

今は『マイスモールランド』などの在日クルド人を描いた映画も登場していますが、もっと日本で密かに生きるマイノリティな民族・人種を持つ人たちに光をあてる作品が増えてほしいと願うばかりです。

『Pachinko パチンコ』のシーズン1とシーズン2はそれぞれ全8話(1話あたり約47~63分)。本作を観るためだけに「Apple TV+」に入る価値もあると断言できます。じっくり鑑賞してください。

オススメ度のチェック

ひとり 4.5:必見のドラマのひとつ
友人 4.0:語り合える誠実な相手と
恋人 4.0:シリアスなドラマだけど
キッズ 3.5:歴史を知るためにも
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『Pachinko パチンコ』予告動画

↓ここからネタバレが含まれます↓

『Pachinko パチンコ』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

1915年。ひとりの女性が過去を語りだします。4姉妹で物乞いをして暮らしていて、自分は3年前に嫁いでから良き妻になろうと努力してきたけど、息子を3人産んだがみんな1歳になる前に死に、また身ごもったが不安で…。

その女性は目の前の助産師に「呪いを解いてほしい」と訴え、儀式が始まります。そして、ソンジャと名付けられた女の子が生まれました。

ソンジャは影島(ヨンド)で両親と暮らしていました。母は下宿をしています。父は足を怪我しており、上手く働けません。ソンジャは活発で海に潜ってアワビをとったりもできます。ある日、ソンジャは父と市場に行き、そこで日本の警察に人々は怯えつつ、ある男が連行されていくのを目撃。「あのおじさんは何か悪いことをしたの?」とソンジャは父に聞きますが、父は「このご時世、誰が悪人かハッキリしない」と言うだけ。

下宿たちの夜の集まりで、日本人への恨みを語りだす者がおり、密告されないかと母は心配します。案の定、翌朝、家に警官がやってきて父は罵倒されます。そんな父も亡くなってしまい、ソンジャの生活はさらに厳しくなり…。

時代は変わって1989年。ニューヨークではシフリーズ銀行のオフィスで「君は今年は昇進できない」と言われる男がひとり。ソロモンです。彼は「東京での取引を成功させてみる」と言い切ります。地主はコリアンで自分なら説得できるはず。「君は日本人では?」「いいえ、日本で育っただけです」

大阪に到着するとソロモンは父のモーザスが経営するパチンコ店へ。再会を喜び合います。次に父と一緒に祖母のもとへ向かいます。祖母の名はソンジャ。

すっかり老いたソンジャは日本の暮らしに馴染んでいました。その人生を物語る無数の写真の中に、父と娘が写った古い写真も…。日本では昭和天皇の崩御のニュースが流れ、多くの日本人に悲しみが広がる中、ソンジャの心境は複雑でした。

ソンジャがあの故郷からこの日本に来ることになったきっかけ。それは父が亡くなって9年後のこと。昔よりも活気に満ちた市場で出会ったのは、そこで実力者として知られているブローカーのコ・ハンス。彼から教えてもらった世界地図で描かれる日本は想像していたよりも小さい島国でした。そしてまだ何も知らないソンジャはハンスに惹かれていき…。

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シーズン1:三世代に渡る3国間の歴史

『Pachinko パチンコ』は複数の時代が描かれ、人間関係も横や縦に広がっていくので、関係性の把握はやや大変かもしれません。でも基本はソンジャを中心に成り立っており、整理すると案外とシンプルです。以下に簡易的な人物相関図を掲載しておきます。

Pachinko登場人物相関図

ドラマは若い時代のソンジャと老齢のソンジャの2つの時間軸が並行して進行します。

この若いソンジャは当初はあどけなくいかにも世間を知らないという雰囲気。そのソンジャがしだいに社会の荒波(というにはあまりにも理不尽な差別)に揉まれていき、演じる“キム・ミンハ”の顔つきが変わっていくあたりの演技が凄いです。

一方の老齢のソンジャを演じる“ユン・ヨジョン”のあの圧倒的演技力。とくに第4話の朝鮮半島の故郷に思い立って帰り、その荒れる海での感情を露わにする場面の凄まじさ。言葉にはしないけどソンジャが抱え込んできた何かが堰を切るように溢れ出す。演技も見事ですし、ここで若いソンジャの時代とシーンがカットバックしていき、なおかつ同一人物ながら同じ地点にいないことの歴史が意味する事柄。それら全体の構図が伝えるインパクトが完璧に噛み合っており、あれをエモーショナルと言わずして何と言うという感じで…。今思い出しても鳥肌の立つシーンでした。

『Pachinko パチンコ』はとにかく演出がいいですね。

ソロモンが土地を売らせようと説得したハン・グムジャの揺るぎない意志を実感して、ついに理解しきったものの、どうしようもないことを悟り、雨の外で踊りまくるシーンとかも。随所に挿入される感情の爆発を表現するのが上手いです。

毎話挟まれる、グラス・ルーツの「今日を生きよう」をBGMにパチンコ店で踊りまくる在日コリアンたちのオープニングも忘れられない。しかも、最終話ではアレンジがかかり、これがまたカタルシスを与えるし…。

朝鮮・日本・アメリカの3国間を交差しながら、その力の不均衡を巧みに把握しつつ、演出に落とし込む。これほどの完成度を見せられたら言うことなしかな…。

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シーズン1:差別はパチンコのように

『Pachinko パチンコ』は一貫して日本による朝鮮人差別が描かれています。

始まりは冒頭から。ソンジャの母がこれまでの苦しさを語る場面。当然、これは1910年の日本による韓国併合によってコリアンの生活が苦境に立たされたという背景があるわけで…。ソンジャの母はそれを「呪い」と表現しますが、現実ではその正体は民族差別であり、家父長制であり…。

この苦しみは残念ながら娘にも引き継がれます。ソンジャが出会ったハンス。最初はこの苦境から救ってくれそうないかにも王子様的な雰囲気もありますが、妊娠時にそれは幻想だったと思い知らされる。ここでの母の無念さは計り知れない…。

一方のハンスの過去が第7話で描かれ、中心となるのは1923年の横浜での関東大震災の被害。被災自体も悲惨ながらそこで起きる日本人自警団による朝鮮人の虐殺。「朝鮮人が刑務所から大量脱獄して女子供を襲う」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人が暴動を起こして金品を強奪している」…そんな根も葉もないデマがパニックとともに拡散し、偏見が憎悪に変貌して起こる最悪の出来事。歴史修正主義者たちが無かったことにしようとする加害の最大の事件です。

ではそんな被害を経験して在日コリアンはどうやって生きているのか。ずっと憎しみを抱いても前には進めないのでなんとか健気に一歩を踏み出すのですが、それでも消えぬ歴史。「過去に囚われるな」と互いに言い合ったり、はたまたソロモンのように「日本人とほぼ等しい存在」になれていると思っている人もいる。しかし、現実は違う。そこでの葛藤は当事者にしかわからないもので…。

それを一番身を持って知っているのは老いたソンジャのはずですが、このソンジャは言葉少なげです。けれども最後は「ソロモンをノアと同じ目には遭わせたくない」と吐露し、やはりソンジャはずっと過去の後悔に憑りつかれていることがわかる。

最終話で夫のイサクが共産主義者との関わりで逮捕され、ひとりとなってしまった若きソンジャ。そこでもう日本の地で恥も外聞も捨てて生きていくしかないんだと悟り、「キムチ、いりませんか~!」と慣れない日本語で声を張り上げる姿が痛々しくもあり…。

そしてドラマはラストで2021年を映し出し、実際の在日コリアンの高齢者のインタビューを取り上げて終わります。こうやって生き抜いてきた人が日本社会で暮らしている事実が突きつけられます。

本作のタイトル「パチンコ」。日本のパチンコ店の多くは在日コリアンが経営していることがその由来ですが、パチンコ自体が在日コリアンの宿命と重なるものです。一見するとパチンコ玉が全てが偶然で落ちていき、後は運しだいのような気がする。でも実際はパチンコ台の釘を曲げて調整されていてそう簡単に当たりはでない。みんなやっていること。そして、それは在日コリアンと同じ。在日コリアンたちも玉のように無数に落ちていっても差別という操作で運命が誘導されてしまう。これが抗いようのない現実だと。

ひとつ言えるのはこの差別構造は少人数の悪人が引き起こしたものではないということ。そこには歴史があり、社会があり、そうしたものの中に差別が生じる歪みがずっと巣食っている。誰ひとりとして他人事ではないでしょう。

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シーズン2:融和か、同化か

※シーズン2に関する以下の感想は2024年10月20日に追記されたものです。

『Pachinko パチンコ』のシーズン2は、前シーズンの方向性を継承し、さらに人物の人生を掘り下げていきます。パチンコの玉と玉がぶつかり合って予想外の方向へ弾かれて落ちていくように、各キャラクターの関係性がもたらす火花の描写が繊細かつ感情的で、今回のシーズンも目が離せません。

舞台は今回も2つの時代を並行で描きます。

ひとつは戦中末期1945年の大阪。日本で在日コリアンとして生きる覚悟を決めたソンジャ(バンドウノブコと日本名を名乗る)が、10代のベク・ノア(ノブオと名乗る。実はコンスの息子だが、ベク・イサクの子として育てられている)と幼いモーザス(こちらはイサクと血の繋がった子)を育て上げるために、なおもキムチを売り続けています。

もうひとつは1989年の経済好景気バブルの中にある東京。ソンジャの孫であるソロモンは前回のビジネス失敗を挽回しようと懸命です。

シーズン2で印象的なのは「日本」の歴史とされてきた出来事の中に確かに存在した在日コリアンの姿を映し出していること。例えば、大阪大空襲、長崎の原爆投下…。当然、そこにも差別は日常化してありふれています。特定の出来事にまつわる虐殺だけじゃない、日々がそうだったということ。

その中で、各人が経験する差別体験とその反応の差異が精密に描かれているのですが、一方で在日朝鮮人と日本人の融和の希望(もしくはその幻想)のようなものが、あちこちでパチっと芽生え、また離れていく…そんな関係性も見どころでした。

疎開した田舎でノアは学校では朝鮮人差別のイジメっ子だったミノルと素直に交流をやり直し、彼が「朝鮮人に成績で負けると父に殴られる」という境遇にあったことを知ります。差別が親から子へと受け継がれること自体の暴力性です。

老齢ソンジャは、ソロモンと付き合いだしたナオミに出会い、家庭料理を親に教わった経験を話すナオミに、「私の作る料理はおカネを稼ぐためだった」と振り返るソンジャとの対比で、女性差別を土台にした差異が浮かび上がります。

また、老齢ソンジャはカトウ(演じるのは“國村隼”)という同じく高齢の男性と親しくなり、ちょっとデートの雰囲気もできるのですが、カトウの意外な過去が発覚。それはパラワン島虐殺と呼ばれる日本兵によるアメリカ人捕虜の虐殺行為で、カトウはそれに関与していました。「過去」に囚われる2人の高齢者の邂逅と別れがもの悲しいです。

在日朝鮮人と日本人ではないですが、朝鮮半島で南北戦争が勃発して祖国の北朝鮮側について参戦しようと決めるキムと、イサクの兄弟であるヨセブ(バンドウユヅル)との、ヨセブの妻ギョンヒをめぐる三角関係も象徴的。分断する半島に対して痛みわけの共有をみせる男2人の姿は成長を感じますが、でも男のモノ扱いされて主体性を見い出せない女。もどかしくすれ違っていく…。

そして今回、ハンスは権力を求めてついに大きな一線を越えた気がします。裏社会に手を伸ばし、政界もコントロールしようというのか…。

別の時代ではソロモンが経済力で権威を欲します。ナオミに対して最初はあんなに謙虚になれて変わったのかと思いきや、彼女を犠牲にするし、「日本は世界一の経済大国になります」と豪語してすっかり迎合しちゃうし…。

このシーズン2で主人公級だったのはノアでした。先生や地元の人たちなど多くの在日コリアンに支えられ、学業の夢を託された象徴的存在。それが1951年、早稲田大学で出会ったナカゾノアキコの介入で実父ハンスの正体を知って現実に失望。ラストでは家族と縁を切り、大学を切り、朝鮮のアイデンティティを捨て、「オガワミナトです」と名乗って遠くのパチンコ屋で働き出す…。「自分が誰であるかを忘れないで」がキーワードの作品でしたが、ノアは同化を選びました。あの表情がツラい…。

1950年にはソンジャも流暢に日本語を話して中華そばを売り、同化を果たしています。「同化」という現象が当事者の尊厳をどう失わせて成り立っているのか。見せつけられるドラマです。

シーズン2もエモーショナルな名演の連続を堪能しながら、何かが削られる鑑賞体験となりました。

『Pachinko パチンコ』
シネマンドレイクの個人的評価
10.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)

作品ポスター・画像 (C)Apple

以上、『Pachinko パチンコ』の感想でした。

Pachinko (2022) [Japanese Review] 『Pachinko パチンコ』考察・評価レビュー
#朝鮮史 #植民地主義 #核兵器 #家族