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ドラマ『エコー』感想(ネタバレ)…MCUのこだまがまだ消えない

エコー

MCUのこだまがまだ消えない…「Disney+」ドラマシリーズ『エコー』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Echo
製作国:アメリカ(2024年)
シーズン1:2024年にDisney+で配信
原案:マリオン・デイア
セクハラ描写 交通事故描写(車)

エコー

えこー
エコー

『エコー』物語 簡単紹介

ニューヨークを拠点とする「キングピン」の異名で知られる犯罪王のウィルソン・フィスクは、マヤ・ロペスを最も信頼できる駒として傍に置いていた。長年に渡ってその関係は続き、2人の間には家族のような繋がりが生まれてもいた。しかし、マヤは自身の父親の死にまつわる真実を知り、苦悩の末、フィスクに銃口を向けた。それから数か月後、マヤは自分の故郷であるオクラホマ州に戻ってくる。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『エコー』の感想です。

『エコー』感想(ネタバレなし)

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マーベル・スポットライトって言われても…

2024年はスーパーヒーローもののアメコミ映画の新作はあまり見られない1年となります。これは2023年に行われた全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)と全米脚本家組合(WGA)が全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)に待遇改善を要求して突入した63年ぶりの同時ストライキの余波です(ただし、DCはもともとフランチャイズを再始動する方向転換が計画されており、その影響が当初から大きい)。

アメコミ映画の二大巨頭であるマーベルもDCも公開する新作の数はここ最近と比べるとグっと少なめになります。これは映画だけでなく、ドラマも同じです。

とは言っても全くないわけではなく、「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」を展開するマーベル・スタジオは2024年も早々に真新しいドラマシリーズを配信しました。

それが本作『エコー』です。

このドラマは始動から約16年となったMCUの歴史の中でも初の試みが多い一作となっています。

まずレーティングが「TV-MA」となっており、やや残酷な暴力描写が含まれます。これまで基本的に子どもでも見られる全年齢を貫いてきたMCUにとっては初めてのアプローチです。まあ、暴力描写と言ってもゴアなどの強烈なものではないですが…。

そして今までであれば「Disney+(ディズニープラス)」での独占配信が大前提でしたが、今作はアメリカでは「Hulu」でも取り扱っています。これはアメリカではどちらもディズニーの所有である「Disney+」と「Hulu」のサービスの統合が進められているので、その関連もあるのでしょう。なお、日本の「Hulu」はディズニー所有ではないので『エコー』は配信されていませんので、お間違いのないように。

さらに今作『エコー』は「マーベル・スポットライト(Marvel Spotlight)」と銘打たれた新しいカテゴリで展開するMCU作品となります。なのでいつものあのオープニングのロゴが流れません。

これまで『ウェアウルフ・バイ・ナイト』のように1話単独のテレビ・スペシャルみたいな作品を「マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション」とカテゴライズしてきたりしたMCUですが、この「マーベル・スポットライト」とは何なのか。

公式の説明をそのまま紹介すると、要するに「他作品を観なくても楽しめる独立した作品」としてアピールしたくて新たに用意したようです。MCUもいろいろごちゃごちゃしてきているので、その批判をかわしたいのか…。

ただ、私の感想としてはこの「マーベル・スポットライト」というカテゴリに良い印象は感じてません。というのも、この『エコー』は「他作品を観なくても楽しめる独立した作品」と言いきるには無理があるのです。本作はドラマ『ホークアイ』で初登場したマヤ・ロペスというキャラクターを主人公にした作品です。なのでスピンオフのスピンオフみたいな位置づけなんですね。

物語もドラマ『ホークアイ』の気になるラストから続きますし、ヴィランも今後のMCUにとって無視できない巨大な存在が描かれます。なのでこのドラマ一作に収まるものじゃ全然ないのです。

『ムーンナイト』なら「マーベル・スポットライト」のカテゴリも納得ですけど…。

正直、個人的には『ホークアイ』のシーズン2として「ホークアイ&エコー」みたいなタイトルでやるほうが良かったのではないかなと思う…。

私の推測ですけど、「マーベル・スポットライト」を用意した本音は、ディズニー上層部が製作費を減らした作品を作る口実が欲しかったからなんじゃないかな。実際、本作『エコー』は全5話で、これまでより製作費が抑えられていますし。その金儲けの算段を「私たち、視聴者にMCUをわかりやすくするために考えたんですよ」という、いかにもわざとらしい消費者フレンドリーなデコレーションで飾っただけでは?

はい、そのあたりの話はそれくらいで、『エコー』の本題に映りましょう。

本作『エコー』は、MCUから外れていた「マーベル・テレビジョン」作品を思い出せるような空気を漂わせており、ちょっと懐かしいです。裏社会で活躍する地の人間たちの殺伐としたドラマが好みの人は待っていたという感じでしょうか。

結構、ネイティブアメリカンのルーツもしっかり描かれるので、そこに関心ある人も要注目です。

『エコー』は全話一挙配信。すぐに観れます。

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『エコー』を観る前のQ&A

Q:「エコー」ってどんなキャラクター?
A:ニューヨークで暗躍するマフィアの要となる人物で、戦闘に長けるスペシャリスト。ネイティブアメリカン(アメリカ先住民)にルーツがあります。片足は義足です。ろう者で、手話でコミュニケーションをとります。ドラマ『ホークアイ』で初登場しました。
Q:『エコー』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:少なくともドラマ『ホークアイ』は観ておくといいと思います。
✔『エコー』の見どころ
★MCU初のバイオレンス。
★ネイティブアメリカンの文化描写。
✔『エコー』の欠点
☆宣伝に反して、シリーズ他作品と繋がりが深い。

オススメ度のチェック

ひとり 3.5:MCU好きなら
友人 3.5:初心者向きではないが…
恋人 3.5:シリーズのファンなら
キッズ 3.0:やや暴力描写あり
↓ここからネタバレが含まれます↓

『エコー』感想(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤):クイーンの時代は来るのか

謎の地下のような場所。水中からでてくる無数の人たち。光る液体を飲むと、手に鳥が1羽降り立ち、急に揺れが起きて崩落します。眩い光とともに外に現れた一団は、皮が剥がれ、普通の人の姿になり、仲間に声をかけます。最初のチョクトー人であるチャファ。これがチョクトー族の始まりで…。

そんな自身のネイティブアメリカンの部族の伝承を小さい頃から語り聞かされていたマヤはいとこのボニーと一緒に、テントの中で手話で会話して遊んでいました。ここはオクラホマ州タマハの実家です。

「ココアが飲みたい」とマヤが駄々をこねたので、母のタロアは一緒に車で買いに出かけます。しかし、道中、ブレーキの意図的故障で交通事故が起き、気がつけばマヤは病室でした。 右足を失いましたが、後に母も失ったことを知ります。

祖母のチュラは、マヤの父のウィリアムを責めます。ウィリアムは裏社会と関わりを持っており、今回の事故もその巻き添えの可能性がありました。

マヤと父は、故郷を去り、ニューヨーク・シティへ引っ越しすることになります。

ニューヨークでは、マヤは義足に慣れるためにも格闘術を学ぶことになり、大人に成長した頃には、誰にも負けないほどに強くなっていました。ある日、父の修理場に、刃物を持った何者かが襲撃してきて、父は目の前で息を引き取ります。

虚しさに沈むマヤでしたが、そんな彼女を白いスーツのウィルソン・フィスクが迎えに来て、引き取ってくれます。フィスクは父と関係が深く、マヤがここに来てから傍で見守ってくれました。「私も12歳の時に父を殺された」と同情してくれたフィスクは「力になろう」と言ってくれます。

こうして「キングピン」の異名を持つフィスクの仲間になったマヤ。しかし、その仕事は手を血で染めるものでした。人殺しに最初は呆然と立ち尽くしていましたが、生き残るには殺すしかないです。すぐに圧倒的な格闘能力が武器となりました。

フィスクはデアデビルという厄介な邪魔者に直面しており、渡り合えるほどのマヤの戦闘力を評価してくれます。

しかし、父を殺した相手であったローニン(クリント・バートン / ホークアイ)からあろうことかフィスクが父殺害の黒幕だと突きつけられ、根底が覆ります。

フィスクと対峙したマヤは、信じていたその大男の頭に発砲し、決別しました。

5か月後、負傷しながら地元のオクラホマに戻ってきたマヤ。家には誰もおらず、いとこのビスケッツと出会ってしまいます。口止めしつつ、マヤの叔父であるヘンリーに会いに行き、「次はクイーンの時代だ」と、フィスク無しの世界を築こうと提案します。

ところが、あのフィスクはまだ生きており…。

この『エコー』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2024/01/15に更新されています。
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ネイティブアメリカン描写の進歩

ここから『エコー』のネタバレありの感想本文です。

ドラマ『エコー』で私が何よりも特筆したいのは、バイオレンス描写ではありません(それ自体は他作品とそんな大差ないと思います)。本作を特徴づけるのはやはりネイティブアメリカンの表象です。

マーベルの映像作品に登場したネイティブアメリカンのスーパーヒーローと言えば、ドラマ『ギフテッド 新世代X-MEN誕生』サンダーバードなどがいましたが、正直、そこまで焦点はあたりません。MCUでも同様でした。

しかし、2023年から事情が変わりました。先陣を切ったのがアニメ『ホワット・イフ…?』のシーズン2で、そこでカホーリという新ヒーローの誕生譚を先住民言語中心にじっくり展開。文化描写の精密さは専門当事者も舌を巻くクオリティでした。

実写でもこういうのを見たいなと思ったところ、わりとすぐにドラマ『エコー』がやってくれました。狙っていたのか?っていうくらいに綺麗なバトンタッチです。

そもそも『エコー』の原作コミックでは、主人公のマヤはブラックフット族シャイアン族といった部族設定があったのですが、実際のところ、部族を綿密に描いているわけでもなく、いわゆる「パン・インディアン」(部族の違いを越えて連帯的にアプローチすること)みたいなフワっとしたキャラクター性だったのは否めませんでした。

それに対し、『エコー』ではマヤをチョクトー族の設定に変更し、その部族文化を徹底して描き切ることに全力で務めています。

まず冒頭でいきなりファンタジックな映像が始まってびっくりするのですが、これは現実のチョクトー族に伝わる創世神話をMCU流に少しアレンジして描いたものです(『シャン・チー テン・リングスの伝説』っぽい取り込み方です)。

MCUではチャタア・チャファが部族誕生のルーツにある人物となっており、エコーの祖母はこの祖先を持ち、エコーの母には癒しの力が発現しているなど、先祖たちとつながりを「こだま(エコー)」として描くという軸を見せています。コミックではエコーの能力はあくまで相手の動きをコピーできるというわりと単純な格闘スキルだったので、だいぶ変わりました。でもドラマのほうが明らかに「エコー」の名にふさわしい設定だと思います。

その背景ゆえに、毎回マヤは各地の時代の先祖のフラッシュバックを経験します。第2話では西暦1200年の植民地前の先祖の姿。第3話では1800年代後半を無声映画風に活写。その随所で映される文化描写も丁寧な仕上がりのようで、私が説明できる立場にないので、詳しくは当事者の解説をご覧ください。

このように、マーベル・スタジオのネイティブアメリカンへの姿勢がかなりハッキリ現れており、これはすごく良い時代の変化を印象付けるものでしたね。『ブラックパンサー』から連なる創作の積み重ねの結果なんじゃないでしょうか。

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キングピンはお帰りください

ドラマ『エコー』のヴィランは、みんな大好き(?)キングピンです。前回の『ホークアイ』の最終話でも「これで死ぬわけないよね」と思ってましたが、案の定、ピンピンしてました。銃で殺せないなら、ホームセンターで売ってそうなカナヅチでも倒せないですよ。

今作のキングピンは、ガチのモンスターペアレントであり、マヤを愛しているように見せつつ、実際は巧みで陰湿なグルーミングでマインドコントロールしています。家庭内暴力(DV)の父親に育てられたキングピンはその父を自ら殺し、今度は自分がその暴力の支配者になるという、このキャラクターの定番設定。そのMCU第一の被害者がマヤというわけです。

個人的にキングピンのキャラは好きなんですけど、今作の悪役にふさわしいかというと、少しズレたかなと思わなくもないです。

今回はマヤは先ほども書いたように部族のルーツをたどる深遠な物語が用意されています。それに対して、キングピンはそんなに深く関わってこないのが残念。いや、キングピンの姿勢はそれはもちろん植民地主義的な支配者そのものですし、手話だってあんなマヌケっぽいコンタクトレンズに頼る舐めプ(非当事者は何も努力していない解決法)で、腹立たしい奴であることには変わりないのですが…。

でもこういうDV男からの脱却という物語は、これまでのMCUでは『キャプテン・マーベル』『ブラック・ウィドウ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のガモーラなど、女性キャラで結構やってきているのもあって、新鮮味が薄いかなとも思ったり。もっと植民地主義的な構造にグサっと刃を突きつけられる敵が欲しかった…。

私は『エコー』を見ている間ずっと、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のあの男たちをヴィランとしてボコボコにしてやりたいと思ってましたよ。

MCUにおいてはキングピンは倒せませんし(今後の出番が待っているので)、今回の『エコー』でもキングピンに特殊な力で幼いときの過去を見せたなら臆病風に吹かれて帰っていくというあっさりなオチで、カタルシスはあんまりなかったかな…。

それでも新たな帝国の支配者ではなく、コントロール下に置かれた偽りの家族でもなく、自身の先祖と共にいる家族を取り戻すというマヤの物語はしっかり完結していました。

終わり方はいかにもMCUにとって都合がいい感じ。マヤの出番はここで終わりでもいいし、また登場させることもできるバランスです。

キングピンはニューヨーク市長選に興味を持っていたので、この続きはおそらく次に予定しているドラマ『Daredevil: Born Again』で描かれるはず。

いつかマヤとカホーリが共演する姿も見たいな…。

『エコー』
ROTTEN TOMATOES
Tomatometer 72% Audience 71%
IMDb
6.6 / 10
シネマンドレイクの個人的評価
6.0
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関連作品紹介

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の作品の感想記事です。

・『シークレット・インベージョン』

・『ミズ・マーベル』

作品ポスター・画像 (C)Marvel Studios

以上、『エコー』の感想でした。

Echo (2024) [Japanese Review] 『エコー』考察・評価レビュー