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映画『最終絶叫計画 令和!』感想(ネタバレ)…Tジェンダリズムは怖いって?

最終絶叫計画 令和!
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確かにトランスジェンダーはみんなテロリストだもんね…映画『最終絶叫計画 令和!』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Scary Movie
製作国:アメリカ(2026年)
日本公開日:2026年6月26日
監督:マイケル・タイデス
LGBTQ差別描写 性描写 恋愛描写
最終絶叫計画 令和!

さいしゅうぜっきょうけいかく れいわ
『最終絶叫計画 令和!』のポスター

『最終絶叫計画 令和!』物語 簡単紹介

ゴーストフェイスな殺人鬼はどこにでも現れる。その理由は、アメリカの治安が悪化したからではない。ハリウッドが調子に乗ってホラー映画を作りすぎたからである。しかし、スーパーヒーロー映画は自粛しても、ホラー映画を作るのをやめるような業界ではない。そして、2026年もどこかで誰かがあっけなく死んでいく。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『最終絶叫計画 令和!』の感想です。

『最終絶叫計画 令和!』感想(ネタバレなし)

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コンプラはちゃんと守っている

どこぞのアメリカ大統領は好き勝手に映画やアニメなどのIPを使用してプロパガンダをしまくっていますが、そんな奴と一緒されたくはないのが今回紹介する映画です。

日本の宣伝では「コンプラ度外視」と銘打たれていますが、そんなことはない…。ちゃんとコンプライアンスは遵守して製作されています。

それが本作『最終絶叫計画 令和!』

本作は「Scary Movie」シリーズの2026年の最新作。2000年の『最終絶叫計画』から始まり、『最’新’絶叫計画』(2001年)、『最’狂’絶叫計画』(2003年)、『最終絶叫計画4』(2006年)、『最終絶叫計画5』(2013年)と続編が続いていました。今回は13年ぶりのシリーズ6作目です。

それにしても邦題に「令和」って勢いでつけちゃっているけど、絶対にさらに続編がすぐに作られるだろうに…。ここはシリーズのパロディの精神を見習って『最終絶叫計画 無限城編』みたいな邦題で攻めるべきだよ…。

そうです。このシリーズの最大の特徴はパロディです。正真正銘のパロディ映画です。ホラーはもちろんのこと、最近話題になったあらゆる映画をネタにしまくるのがお約束。1作目の邦題『最終絶叫計画』も、『スクリーム』(=絶叫)、『ラストサマー』(=最終)、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(=計画)の3作がパロディにされているから組み合わせただけの、非常に安直なネーミングでした(他にもいろいろパロディにされている作品はある)。

そんなことをしても怒られないのか? 大丈夫。アメリカではパロディは憲法によって表現の自由としてちゃんと認められているのです。ほらね、コンプラ、守ってるんです。

2026年はドラマ『ウィドウズ・ベイ』のようなホラー・ジャンルをオマージュした作品がありましたが、ああいうジャンルを分析した批評性はこの「Scary Movie」シリーズには期待しないでください。このシリーズのパロディは、ハッキリ言えば、ものすごく幼稚で小学生レベルのギャグです。くだらない、しょうもなさの極み。

そのうえ、下品も下品。過剰に下品に(ときに激しく性的に)ふざけまくるノリ。なので好き嫌いは明確に割れます。

2026年に蘇った『最終絶叫計画 令和!』も、期間が空いた中で公開されたホラー映画を全部消化する勢いでパロディしまくっています。正直、パロディの元ネタがわからないと、最悪、該当のシーンはちんぷんかんぷんのままに眺めることになるので覚悟してください。

また、続編として旧作キャラクターもほぼ勢揃いするし、1作目のネタバレもガッツリあるので、少なくとも1作目は観ておかないと、「関係ない同窓会に迷い込んだ」みたいになります。

シリーズの原案者で脚本にも参加していた“ショーン・ウェイアンズ”“マーロン・ウェイアンズ”は、『最終絶叫計画 令和!』でカムバック。3作目からシリーズに遠ざかっていましたが、やっぱりこの2人がいないと味が物足りないですかね。監督は、『ネイキッド』『セクスタプレッツ オレって六つ子だったの?』“マイケル・タイデス”です。

ちなみに意外ですけど1作目は初期はディズニーの傘下(ミラマックスのディメンション・フィルムズ)だったのですが、今はレーベルの売却たらい回しのすえにパラマウント・スカイダンスに版権が移っています。

日本でも劇場公開の機会を獲得しましたが、だいぶ玄人向けの中身ですけども、宣伝は間違ってませんか?

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『最終絶叫計画 令和!』を観る前のQ&A

Q
『最終絶叫計画 令和!』を観る前に観たほうがいい作品は?
A

少なくとも1作目の『最終絶叫計画』を鑑賞しておくことをオススメしますが、ただし、1作目は新作以上に好き嫌いが割れます。できれば『スクリーム』シリーズの1作目も観ておきたいところです。

✔『最終絶叫計画 令和!』の見どころ
★トランスジェンダー表象の変化に時代とクリエイターの成長を感じる。
✔『最終絶叫計画 令和!』の欠点
☆あまりに多数のパロディを乱雑に詰め込みすぎている。

鑑賞の案内チェック

基本 同性愛やトランスジェンダーへの差別的な言動のシーンが一部にあります。
キッズ 1.0
過度に性的なネタが多いです。
↓ここからネタバレが含まれます↓

『最終絶叫計画 令和!』感想/考察(ネタバレあり)

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あらすじ(序盤)

とある高級レストラン。ひとりの黒人女性がバーで待ちぼうけしていました。『ワン・バトル・アフター・アナザー』で極左過激派革命組織のメンバーを熱演して高評価を受けたのに、魔女を演じた白人女にアカデミー賞の助演女優賞をかすめとられたテヤナ・テイラーです。

そこへ電話がかかってきて「君のお気に入りの恐怖映画は?」と嘲笑うかのように相手が質問してきます。テキトーに対応しつつ、建物を出て、ひと気のない路地裏へ。

その瞬間、好機とばかりにゴーストフェイスが現れます。しかし、テヤナ・テイラーは続々と仲間を呼び寄せ、臨戦態勢。彼女の腹はナイフの刃も効きません。ゴーストフェイスは集団にボコボコにされ、テヤナ・テイラーは豪快に地べたの相手にトドメをさし…。

…という映画をリビングのテレビで流し見していたひとりのティーンエイジャー。その名もチューズデーは、家の玄関の呼びベルを鳴らして普通に入ってきたゴーストフェイスに驚愕します。

ところかわって、遊園地で不真面目に働くサラは、異母妹チューズデーがゴーストフェイスに襲われたという知らせを受け、恋人のジャック・キルシュと病院に向かうことにします。

また、別の場所。『リング』にでてくるヤバい奴に殺されてもへっちゃらで人生を謳歌してきたブレンダ・ミークスは、今は我が子である学生のブラッドデイを送り出したばかり。ブラッドは恋人のエルと一緒で仲睦まじいです。ブレンダのほうは夫だったレイ・ウィルキンスとは別れ、シングルマザーの人生を送っています。

同じ場所にて、保安官のグレッグ・フィリップは息子のジェスを見送っていました。ジェスはトランスジェンダー男性ですが、グレッグは代名詞に慣れていません。

ブラッド、デイ、エル、ジェスは揃って、噂のゴーストフェイスの話をします。そこへブレンダの弟であるショーティもいつもの調子で話に入ってきます。

チューズデーの見舞いを終えたサラとジャックは、この事態の秘密を知るであろう疎遠の母親のもとを訊ねます。名前はシンディ・キャンベル

一体、今度は何が起きていて、ゴーストフェイスの正体は誰なのでしょうか…。

この『最終絶叫計画 令和!』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2026/06/26に更新されています。

ここから『最終絶叫計画 令和!』のネタバレありの感想本文です。

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パロディのパロディのパロディ

『最終絶叫計画 令和!』は1作目の『最終絶叫計画』をなぞるかたちで『スクリーム』シリーズをパロディのメインに採用しています。スラッシャー映画の『スクリーム』シリーズは2022年から再稼働し、2026年も『スクリーム7』が日本でも劇場公開されました。その流れに乗っかるなら絶好のタイミングです。

それにしても『スクリーム』自体がスラッシャーのジャンルのパロディなのに、それをパロディにした1作目の『最終絶叫計画』があったうえで、今回の新作『最終絶叫計画 令和!』はその自身のシリーズの1作目すらもパロディにするので、もはやパロディの三段重ねになっています。ジャンルに不慣れな人からすれば意味不明だろうな…。

2022年以降の『スクリーム』シリーズが昨今の量産されるホラー映画の業界の風潮を痛烈に皮肉っていたので、この『最終絶叫計画 令和!』は何をやるんだろう?と思って観ていましたが、すごく恥も外聞もない「このシリーズは俺らのもんだ!」という私物化欲求を最大級の自虐で言い放っていました。ここまで振り切れるともう怖いものはないですよ。

それ以外のパロディに関してはいつもどおり…というか、パロディ対象の作品数が多いので過去作以上に乱雑だったかもしれない…。本当に本筋と何の関係もない、パロディのためだけに用意されたシーンが無理やり挿入されまくりますからね。

正直、個人的には“ショーン・ウェイアンズ”と“マーロン・ウェイアンズ”はパロディのセンスはそこまで洗練されているほうではないと1作目の頃から感じていましたけど、この幼稚さはこれはこれで貴重かもしれない…。地味に『Dead by Daylight』とかゲームにもパロディの領域を広げていて、そのあたりの業界の視野も広いし…。

シリーズ初期にあった露骨に女性蔑視的なユーモアはさすがに消失しましたが、性的なおふざけは健在で、今回だと『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』がその餌食になっていました。このシーンは、アニメ系ポルノの二次創作文化を堂々と風刺しているような感じですかね。

今回の最後のアクション映画のパロディは『ジョン・ウィック』でしたけど、1作目の『マトリックス』や2作目の『チャーリーズ・エンジェル』と比べると、馬鹿々々しさで一歩劣るかな、と。『ジョン・ウィック』をやるなら犬をだしてほしかったですよ。犬が豪快に人を食べまくるとか…。

政治ネタは控えめですが、エプスタイン・ファイルなど、ときおり切れ味がやけに鋭いものも飛び出すムラがあります。ちなみにシンディを演じ続けている“アンナ・ファリス”はシンディをMAGAの陰謀論者に陥った人物として表現したかったらしく、“ドナルド・トランプ”いじりのセリフも盛り込みたかったようですけど…。

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クリエイターが当事者意識を持つと…

ここで『最終絶叫計画 令和!』のある一点について絞った感想を書いていこうと思いますが、それはLGBTQ…とくにトランスジェンダーです。

“ショーン・ウェイアンズ”&“マーロン・ウェイアンズ”の手がけていたシリーズ初期(1作目と2作目)は、ハッキリ言えば、典型的なホモフォビアやトランスフォビアが浮き出るギャグが目立っていました

ことさらトランスジェンダーに対する冷笑的な演出は露骨で、今の時代で鑑賞し直すと当時(2000年代初め)の空気感をあらためて思い出させます。例えば、女子更衣室に入ってくる女性の風貌の教師の短いスカートから睾丸が垂れる…といったギャグは、現在の反トランスジェンダーの立場の人が思いつく揶揄と全く同じセンスです。“ショーン・ウェイアンズ”&“マーロン・ウェイアンズ”は2004年の『最凶女装計画』でもそうですが、女装ギャグがもともと好きなんでしょうね。

それから約25年が経過し、『最終絶叫計画 令和!』の中身にはある変化が訪れました。その背景にあるのは予想外のプライベートな経験によるものでした。“マーロン・ウェイアンズ”の子どものひとりがトランスジェンダーだったんですね。

こうしてLGBTQコミュニティに寄り添うクリエイターとして新作を制作するにあたり、クィアの扱いかたも変わりました。性的マイノリティを他者化して揶揄するのではなく、親密な仲間としてパロディにするというかたちに…です。

レイ・ウィルキンスがゲイだった一件は『罪人たち』のパロディで強引に無かったことになりました。

そして何よりも保安官のグレッグ・フィリップの子どもであるジェスがトランスジェンダーとして描かれ(ジェスを演じるのはトランスジェンダー当事者の“ベニー・ジールケ”)、“マーロン・ウェイアンズ”の親子経験を強く反映したものであるのは明らかです。「“girl”じゃない、“boy”だよ」とミスジェンダリングがなかなか直らない父を元気にぶっ倒す息子の姿は、反省的自虐精神の愛嬌に満ちています

また、誰がゴーストフェイスの正体かをみんなで探る議論のシーンで、ジェスに疑いが向けられ、「トランス・シェイミングは良くないよね」とセリフが飛び出し、いわゆる「トランスジェンダーは殺人鬼だ」という陰謀論へのいじりがあります。

ストップ禁書の看板を掲げるデイが代名詞を理解されずに地下鉄で刺殺されるシーンといい、LGBTQをめぐるパニックを風刺する方向にチェンジしているのが随所でわかります。

もちろんこれらの描写をLGBTQコミュニティがどう受け止めるかは人それぞれだと思います。まだ蔑視的だと受け取る人もいるでしょう。まあ、あの『ザ・ボーイズ』でさえ、風刺を履き違える視聴者もいるくらいなので、『最終絶叫計画 令和!』を観て「トランスジェンダーをバカにしていて超笑える!」なんて反応している人はもう相手しても疲れるだけなんだと思いますが…。

“ベニー・ジールケ”はインタビューで「トランスジェンダーの人々が笑いのネタにされることはなく、むしろ私たちがジョークを言う側で、私たちを間違った性別で呼んだり、混乱したり、戸惑ったりする人たちが笑いのネタにされるという設定なので、本当に素晴らしい経験でした」と語っていましたOut

私としては差別的な作品を作っていたクリエイターが当事者意識を持つことでここまで変わるんだと実感できる稀有な作品でした。

『最終絶叫計画 令和!』
シネマンドレイクの個人的評価
5.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
△(平凡)
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関連作品紹介

『最終絶叫計画 令和!』のパロディの元ネタの映画の感想記事です。

・『テリファー 聖夜の悪夢』

・『サブスタンス』

・『WEAPONS ウェポンズ』

以上、『最終絶叫計画 令和!』の感想でした。

作品ポスター・画像 (C)2026 PARAMOUNT PICTURES. スケアリー・ムービー

Scary Movie (2026) [Japanese Review] 『最終絶叫計画 令和!』考察・評価レビュー
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