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シネマンドレイクが選ぶ「2022年 映画&ドラマシリーズ ベスト10」…トム・クルーズのように走れないけど

シネマンドレイクが選ぶ「2022年 映画&ドラマシリーズ ベスト10」

「2022年」の感想

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メンタル面は絶不調。でも映画は観る

2022年も終わり。

今年も映画もあれやこれやとたくさん観ました。すっかり映画業界はコロナ禍から解放されて、続々と大ヒット作が生まれました。こうやって業界が元気なのが一番嬉しいです。

ということで、私、シネマンドレイクが選んだ2022年の映画ベスト10を発表したいと思います。対象は私が今年観た「2022年に劇場公開された or DVDスルーで発売された or 動画配信サービスで配信された新作映画」です。

さらにドラマシリーズのベスト10も発表しています。

ついでに独自の部門別でも選びました。

私が2022年に鑑賞した新作映画の本数は配信も含めると今年も350は超えると思いますが、正確には数えていません。なんだろう、老化なのか、1年の初めの頃に見た映画とか、「今年の映画だったっけ?」っていつも思ってしまう…。ドラマシリーズの鑑賞本数は…わからない…。2022年は日本のアニメシリーズの感想もボチボチと書くようにしましたが、そんなに多くないです。

2022年は私はメンタル的にいろいろ絶不調で、体調を壊したりもしたせいで(コロナではないです)、やりたいと思っていたことが全然できなかった年でした。とりあえず感想を更新することはなんとかできたので良しとします。トム・クルーズみたいに全力で走ったり、戦闘機を乗り回したりはできないけど、心の中ではマイペースでアグレッシブに生きてきたつもりです。頑張った、わたし。

ちなみに過去の年の「映画ベスト10」は以下のページで確認できます。

また、「2022年のLGBTQ映画&ドラマを振り返る」という記事も作っています。そちらも興味があれば読んでみてください。

映画 ベスト10

映画のベスト10です。10位から1位の順で発表しています。

10位『グリーン・ナイト』

2022年を振り返って「ああ…私ってなんてダメ人間なんだ…」と自分に幻滅することってあるじゃないですか。あれも失敗した、これもできなかった、それも投げ出してしまった…。そうやって劣等感の底なし沼に沈んでいく人は数知れず…。でも最後の最後で正しい決断をできるか、それが大事なのではないか。そんなことを教えてくれるダーク・ファンタジーならぬコンプレックス・ファンタジーな『グリーン・ナイト』は私の心にもグサっと刃が突き立てられました。本作のガヴェインくんを見守りながら、どこか自分の人生も客観視して、反省できる。私も最後に大人しく首を差し出せる人間になりたいですね。本作はマスキュリティへの風刺が濃いめでしたが、往生際の悪い人は別に性別に限らずたくさんいます。間違えたことをしてしまったら「私は間違えました。ごめんなさい。もう過ちを繰り返しません」と素直に言えるか。緑の騎士の試練は私たち全員に降りかかっているのです。

9位『ザ・メニュー』

2022年も醜悪なインセルたちの言動が目立つ1年でした。そんなインセルにお灸をすえる、いや、それどころじゃないですね、「そんなことをしていても虚しく破滅するだけですよ」と現実を突きつける…手厳しい味わいを提供する映画『ザ・メニュー』。2022年のインセル風刺作品の中でもこの映画がダントツだったかな。インセル的な男性が惨めさをこじらせた結末に待つ運命だけでなく、エスタブリッシュメント(上流階級の富裕層)への風刺も混ざ合わせるなど、かなり多層的な味付けなら、この映画はあからさまにカルトなアプローチで映像化しており、そのクレイジーさも好みでした。『ミッドサマー』の親戚ですね。本作の場合はきっちりカルトも燃え尽きるし、後味の悪さに困ることもないでしょう。あんな奇抜なエンディングを見れただけでも私は大満足です。マネはちょっとできそうにないので、脳内で妄想して楽しむだけにしようと思います。みんな、マシュマロになってしまえ!

8位『ボイリング・ポイント 沸騰』

2022年の映画を観ていると(日本映画に多いかな)、「仕事は大変。でもやりがいもある!」みたいな業界賛歌みたいな作品がチラホラあって、世間は「感動的だね!」と盛り上がっているところ悪いですが、私は全然乗れなくて…。最近はとくに「やっぱり仕事とか労働ってクソじゃないか?」という気持ちの方がはるかに増大しているわけです。だってみんな本音では働きたくないでしょう? でも「仕事は素晴らしい!」みたいな映画に惚れ込んでしまうのは、そういう希望を信じたくなるからでしょう? この『ボイリング・ポイント 沸騰』は真逆でした。労働現場が限界点を迎える瞬間を描く、残酷な仕事ディストピア映画です。このフルコースを全部平らげることになる、嫌な満腹感を味わえること間違いなし。私なんか本作を見終わった後は労働する意欲はゼロに等しい値にまで下がりました。皆さん、こんな世の中だからこそ2023年も言っていきましょう、「仕事なんて有害だ!」と。

7位『TITANE チタン』

頭の中にチタンの板が埋め込まれており、車とセックスしながら、人を見境なく殺す衝動に駆られつつ、肉体面でもっととんでもないことが起きていく…。この『TITANE チタン』の設定を説明しても「は?」って言われそうですが、本当にそういう映画だからしょうがない。本作はトランスフォビアか否かにはさまざまな議論があります。ボディ・ホラーのジャンルはもともとトランスジェンダー差別的になりやすい構造があるのですが、一方で本作はそのステレオタイプからさえも逸脱しているような気さえしてくる。とにかく規範的な解釈を許さないという徹底した強靭な自己確立がある。私はこういう映画が堂々と生まれてきたのは嬉しいなと思います。「ポスト・フェミニズム」的であり、「ポスト・LGBTQ」的でもある、非常にプログレッシブな領域へと突き進む一作とも言えるような…。とにかくありきたりで粗暴で雑な言葉を貼り付けて語れるような映画じゃないですね。

6位『プレデター ザ・プレイ』

既存のシリーズを別次元に格上げする…そんなことは至難の業ですが、見事にやってみせたこの『プレデター ザ・プレイ』には拍手を送りたいです。大人気の映画スターを活用するわけでもなく、ここまでのことを達成するのは今のハリウッドでも異例だと思います。『マッドマックス 怒りのデスロード』を彷彿とさせる驚異の進化ですが、それ以上に凄いことをやってみせた映画ではないでしょうか。本当に自然界の生存競争の延長としてプレデター戦が描かれていくというのも野生動物好きの私には溜まりません。ジェンダーのテーマを既存のジャンルに組み込むのが非常に上手いし、今作は白人救世主モノすらも華麗に捨てきっていますからね。本作を観てしまうとやっぱり『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』は霞むなぁ…。「Disney+(ディズニープラス)」での独占配信となりましたが、これこそ劇場で見たかった!と激しく思うほどの最高の映像迫力があり、2023年でも遅くはないので、特別に劇場公開するべきですよ(観に行くよ!)。

5位『バーバリアン』

2022年はミソジニーやジェンダーバイアスを投影したホラー映画がよく見られたのですが、その中でもこの『バーバリアン』は個人的に一番好きでした。フェミニズムな視点を物語構造として上手く組み込んでおり、それがわかっていれば仕掛けが理解できて膝を叩くことができる…そんな作品。ストーリーテリングがものすごく巧みで、それでいてユーモアもあって、変に重くなりすぎない。このバランス感覚はちょっとマネできないセンス。あの要素もこの要素もいれました!と変に盛り込みすぎていないシンプルな構造なのが良さなのかな。男女で同じ空間でも緊張感が違うということを「こんだけ極端に描いたらわかるでしょ!」というザック・クレッガー監督からの皮肉なプレゼンテーションなのですが、やっぱり伝わらない人にはこの映画を見せても全く伝わらないようで、ジェンダーの固定観念って怖いんだなとあらためて思いました。キレよく閉幕するホラー映画は良い作品の証拠です。

4位『アテナ』

フランスの架空の団地を舞台に、ひとりの少年が警官らしき者たちに暴行されて死亡する事件が動画に撮影され、それを理由に暴動を決行した団地に暮らす若者たちを描くフランス映画『アテナ』。「これ、どうやって撮ったんだ?」と驚くようなダイナミックな映像と没入感が、私たちを部外者にさせません。本作自体には「過激に描きすぎでは?」という批判もあるのですが、2022年にはヨーロッパ各地で不穏な出来事が勃発し、日本だって元首相が暗殺されたりと、明らかにこの年はこういう空気のある1年でした。本作はそんな時代のカオスさを正直に映しとっていたのではないでしょうか。2022年の究極の団地作品であり、2022年の究極の戦争映画でもありました。これが未来の戦争ならば、もう私たちは戦時中の人間ですね。これはフィクションではなく、実際に明日にでも起きるかもしれないのですから。

3位『三姉妹』

2022年の個人的なベスト女性俳優賞をあげるならこの『三姉妹』の3姉妹かな。でも何度も見たい映画では正直言ってありません。家族という概念のエグさが濃密に詰めに詰めきって描かれるので精神的ダメージがキツイのなんのって…。私は毎年この「映画ベスト10」を選出するにあたって、デジタル配信などで見返せる映画はまた再鑑賞しているのですけど、本作はまた視聴することになって辛かった…。この映画のせいでメンタルがだだ下がりするものだから、それを回復させるのにまた時間がかかるし、本当に健康に悪い…。だからキツイ映画は「映画ベスト10」には何作も入れられないんだよなぁ…。偶然ですが、2022年の私の「映画ベスト10」には食事がキーワードになる作品が多数ランクインしたのですが、本作は2022年のベスト(ワースト?)最悪食事シーンの堂々の1位でした。やっぱり家族で一緒に食事するってそんなに楽しいもんじゃないなって思いました。

2位『セイント・フランシス』

「題材に対してとても丁寧にリサーチして真面目に取り組んでいるけど、いかんせん真面目過ぎて重いな…」と思うこともしばしばだったのですが、『セイント・フランシス』は心の憂いをスッキリさせてくれる味わいがありました。育児(しかも親はレズビアン・カップル)、生理、さらには中絶といった、主に女性に降りかかりがちなテーマを扱っているのですが、これが驚くほどに軽妙に扱われていて、かといってテキトーというわけでもない。30代半ばの女性が「自分は人生で何も成し遂げられていない…」と焦りながら人間関係にも悩みつつ日々を過ごす物語でもあり、とくにそういう境遇に共感できる人にとっては、ズキューン!と心に突き刺さること間違いなしです。私は「映画ベスト10」に毎回「子ども」を主題にした作品をひとつは含めているのですけど、この本作は2022年に鑑賞した子ども映画のベストですね。大人も子どもも頑張っている。それでじゅうぶんですよ。

1位『NOPE ノープ』

この『NOPE ノープ』は何て言えばいいのだろうか。完全に私の映画でした。いや、勝手に私物化して申し訳ないですけど、最高に私の趣味に全部が刺さった奇跡の一作です。私はたぶんジョーダン・ピール監督のオタク趣味と気が合うんだろうな…。なんだろう、私が好きなジャンルに寄せてきてくれたんじゃないかと、気持ち悪い勘違い人間思考になってしまうくらいに、私の趣味にドンピシャな映画だったし…。思いっきりネタバレになるのでどこが魅力に感じたのかは個別の感想記事を読んで欲しいのですけど、私にとっては、『トップガン マーヴェリック』よりも空を飛ぶカッコよさを描けており、『すずめの戸締り』よりも過去の災いに対する悼みを成し遂げており、『シン・ウルトラマン』よりもSFへの愛に満ち溢れている…。そう心の底から感じ取れた至福の体験でした。アイツに地球人は全員飲み込まれてもいいんじゃないかな…。

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総評&ベスト10に惜しくもリストできなかった映画

あらためて私の2022年映画BEST10は以下のとおりです。

1位『NOPE ノープ』
2位『セイント・フランシス』
3位『三姉妹』
4位『アテナ』
5位『バーバリアン』
6位『プレデター ザ・プレイ』
7位『TITANE チタン』
8位『ボイリング・ポイント 沸騰』
9位『ザ・メニュー』
10位『グリーン・ナイト』

2022年映画ベスト10

あれこれ考え抜いた結果のベスト10。当然、惜しくも入れられなかった映画も2022年もいっぱいあります。

大作としてやはり『トップガン マーヴェリック』は確かに熱い映画でしたし、『RRR』も捨てがたいエモい映画でした。お祭りっぽさで言えば、『犬王』も忘れがたいです。『ナイブズ・アウト グラス・オニオン』のゴージャスさも最高でしたね。劇場公開作としては『シラノ』『あのこと』『MEMORIA メモリア』『カモン カモン』『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』も入れたかったですし、劇場未公開作でのイチオシは、『友情にSOS』『ファイアー・アイランド』『フレッシュ』『ロザライン』『西部戦線異状なし』あたりかな…。

邦画は1本もベスト10に入れられなかったのですが、個人的に気に入った日本映画もいくつかあって、『PLAN 75』『マイスモールランド』『メタモルフォーゼの縁側』を加えようと考え悩みました(10作しか選べないの、つらい…)。やっぱり「日本映画ベスト3」くらいを別個で独自に選出してもいいかもしれないな…。

ドラマシリーズ ベスト10

ドラマシリーズのベスト10です。10位から1位の順で発表しています。

10位『イエロージャケッツ』

女子版『蠅の王』のような壮絶な内容で話題騒然となったドラマ『イエロージャケッツ』。謎が謎を呼ぶミステリアスでスリリングなストーリー展開も良かったですが、「アンチ青春」とも言える冷たさがまた個人的にはハマりました。「青春というのは辛いことがあっても時間が経てば良い思い出として振り返られるものさ」…なんていう楽観論を容赦なく吹き飛ばす、凶悪なヤバい切れ味。まだ観ていない人は羨ましい。このドラマで青春神話を食らい尽くしましょう。

9位『パム&トミー』

お騒がせカップルを下品に描くドラマなのかと思ったら全然違った『パム&トミー』。自分のペニスと会話するというぶっとんだシーンもあるからその側面もあるけど、このドラマはまさしく2022年も論争になったテーマを題材にしていました。「自分が主体的になって性を売りだす」ということと「勝手に自分が性的に消費されてしまう」ということは全く別物なんだということ。それを区別できない世間の奴らを炙り出し、搾取された女性の尊厳を取り戻す。とても誠実なドラマでした。

8位『プリティ・リーグ』

クィアなドラマは2022年も数あれど、私としてはこの『プリティ・リーグ』がクリティカルヒットしたかな。何よりも良いのはそのインターセクショナリティな包括性。女性…だけではない。レズビアンやバイセクシュアルな女性、人種的なマイノリティの女性、ジェンダー・ノンコンフォーミングな女性…。そうした女性たちは連帯できるということを、まさに野球のチームアップで表現する。勝ち負けではない人生の大切さを見い出すスポーツ・ドラマとしても現代らしい立ち位置で成功している一作でした。

7位『思うままの世界』

障がい者を創作物で描くことはまだまだ問題点が多いです。どうして当事者を起用しないのか、同情と哀れみによる扱いに終始していないか、結局は見下しているだけではないのか…。自閉症スペクトラムを描いたこの『思うままの世界』はそんな世の中を気持ちよく看破しました。矮小化されて過小評価されるなんてもうこりごり。当事者じゃない人がディザビリティを難役として演じて鑑賞者が「学んだ」気分になる…そういうグロテスクな構図は辞めにしよう。私たちは私たちで私たちの物語を生み出していこう。そんな宣言がそこにはありました。

6位『サムバディ・サムウェア』

ある辛い出来事を経験してその悲しみを引きずっているひとりの主人公が、その傷ついた心を一歩一歩ゆっくりとしたペースで回復させていくまでを、静かに丁寧に描く物語。私にはこういう『サムバディ・サムウェア』みたいなドラマが2022年には必要だったのだと思います。セーフティーネットのようなセカンドケアの場所になってくれるドラマがあってもいいじゃないですか。心を乱されるショッキングな事件もたくさん起きた2022年だからこそ、このドラマに出会えて本当に良かったです。

5位『キャシアン・アンドー』

2022年は「ルーカスフィルム」の汚名返上の年だったかもしれません。並みいる強豪の大作ドラマが連発した時期。『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』や『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』に混じりつつ、批評家から2022年のダークホースなベスト・ドラマという評価を勝ち取った意外な伏兵、それがこの『キャシアン・アンドー』でした。同じく同年配信のドラマ『ウィロー』も含めて「ルーカスフィルム」がレズビアン表象に対して真摯な姿勢をみせて改心してくれたのも嬉しいです。「泳げないんだ」は私の2022年のベスト名台詞です。

4位『メディア王 ~華麗なる一族~(S3)』

シーズン1の出だしからめちゃくちゃ面白いドラマでしたけど、ついに化け物として異次元さを見せつけてきたなと感じた『メディア王 ~華麗なる一族~』、またの名を「キング・オブ・メディア」、本名は「サクセッション」。シーズン3もあのキャラクターたちの人間模様に悶えました。家父長制や大企業体質というものがそれこそ「カルト」と同じ構造を持っていることも伝わるシーズンでした。不健全で破壊的な家族から抜け出せない。今のところ、私にとっての、続きが楽しみで仕方がないドラマのひとつですね。

3位『海賊になった貴族』

全「shipper」が感激して拍手喝采となったドラマ『海賊になった貴族』。このキャラとあのキャラが同性愛っぽく匂わしているけど、それだけで終わってしまうんだろうな、どうせ…。そんな期待してもガッカリするだけだという染みついてしまった私たちの荒んだ感情に、ドドーンと最高の船で乗りつけ、お祭り騒ぎにしてくれる。こういうドラマを待っていたのです。みんなで作った思い思いの旗。それぞれのフラッグ。そんな誇りを掲げて、このドラマは次はどんな海に漕ぎ出すのかな?

2位『Pachinko パチンコ』

日本が作るべき、でも今の日本では作れない、それがただただ悔しく、情けなく、申し訳ない…。ドラマ『Pachinko パチンコ』は2022年の必見ドラマとして絶対に紹介したい一本です。在日コリアンたちの壮大で葛藤を刻む人生の歴史に何度心を震わされてしまったか。朝鮮・日本・アメリカの3国間を交差しながら、その力の不均衡を巧みに把握しつつ、巧みな演出に落とし込む。これほどの完成度を見せられたら言うことなし。ベスト・オープニング賞もこのドラマにあげたいですね。

1位『セヴェランス』

「映画ベスト10」の方でも「やっぱり仕事とか労働ってクソじゃないか?」という気持ちを代弁する仕事ディストピア作品をピックアップしたのですが、「ドラマベスト10」ではもっとエグすぎる、労働システムとはおぞましいものであることを突きつけるこの『セヴェランス』が私の1位です。設定もいいですし、そのストーリーの見せ方が抜群に上手かったですね。何度でも宣言する意味があるので、またここでも書いておきますね。「仕事なんて有害だ!」…うん、2022年の私のキャッチフレーズだな…。

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総評&ベスト10に惜しくもリストできなかったドラマシリーズ

あらためて私の2022年ドラマシリーズBEST10は以下のとおりです。

1位『セヴェランス』
2位『Pachinko パチンコ』
3位『海賊になった貴族』
4位『メディア王 ~華麗なる一族~(S3)』
5位『キャシアン・アンドー』
6位『サムバディ・サムウェア』
7位『思うままの世界』
8位『プリティ・リーグ』
9位『パム&トミー』
10位『イエロージャケッツ』

2022年ドラマベスト10

惜しくもベスト10に入れられなかったドラマシリーズとしては、『Mo モー』『フォー・オール・マンカインド』(S3)、『POSE ポーズ』(S3)、『ベター・コール・ソウル』(S6)かな。

アニメシリーズ ベスト1

アニメーション・シリーズはあまり多くを観ていないのでベスト1だけを選出します。日本・海外どちらも含む作品が対象です。あくまでシリーズものだけを対象とし、単発の映画は対象にしていません。

1位『平家物語』

2022年の私のベスト・アニメシリーズは日本の作品。山田尚子監督の『平家物語』です。なんか、私の中で『犬王』といい、時代劇モノがヒットしやすかったかもしれない。単に昔の出来事を描くだけにとどまらない。しっかり現代との接続を描いているのがポイントです。物語が現実を救うと言いますか、物語と現実は常に隣り合わせで、物語で何を描くのかということは、現実で何を大切にしたいのかを表しているよね…というか…。次は権力者に蹂躙されるだけでない、祈るだけではない時代を築きたいところです。

独自部門の個別賞

ベストランキングの次は、俳優や監督のベスト…と言いたいところですが、そんなものはやり尽くされていて面白くない。そこで以下の独自な部門を勝手に設置して、自己満足で作品を選びました。作品の対象は映画・ドラマシリーズ・アニメなど全てを範囲として含みます。

ベスト・ドキュメンタリー賞
…通常の作品とは評価基準が異なってくるドキュメンタリー作品から年間ベストをひとつ。
ベスト・エンターテインメント賞
…自分の中でその年を象徴するエンタメ満載な作品をひとつ。
ベスト・ミュージック賞
…音楽や楽曲が優れていて作品自体にマッチしていた作品をひとつ。
ベスト・アニマル賞
…個人的に「動物」が好きなので、作品に登場した動物の中からピックアップ。
メモリアル賞
…ベストに入れられなかったけど、ベスト以上に心に強く残った作品に贈ります。
忘れてない?賞
…日本でビデオスルーもしくは公開規模わずかになってしまった良作映画に贈る、個人的イチオシ。
ベスト・Ace/Aro賞
…私がアセクシュアル&アロマンティックということで、その好みに合う作品orキャラに。
ベスト・ノンバイナリー賞
…私がノンバイナリーということで、その好みに合う作品orキャラに。
ベスト・アライ賞
…いろいろなマイノリティを支えてくれる献身的な作品orキャラに。

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ベスト・ドキュメンタリー賞

『ライト&マジック』

映画好きなのでこの『ライト&マジック』も私は気に入るだろうなと思ったのですが、ベスト・ドキュメンタリーに選ぶほどになるとは…。なんでだろうと考えこんでみると、私の中でとくに響いたのが、業界の負の側面もしっかり隠さず露呈させていたからなのかな、と。仲間割れしてしまうこともある、対立が激化することもある。捨てられる仲間もいれば、自ら去っていく仲間もいる。多忙で精神的に追い詰められることもあるし、業界の変化も残酷に降りかかってくる。それがこの世界なんだということが映画史として素直に語られていて良かったです。

次点は『ニューヨーク 第1波』『ペプシよ、戦闘機はどこに? 景品キャンペーンと法廷バトル』かな。

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ベスト・エンターテインメント賞

『私ときどきレッサーパンダ』

『私ときどきレッサーパンダ』は本当だったら2022年の「映画ベスト10」の1位でもいいくらいです。今回のベスト・エンターテインメント賞はこの映画のために差し出します。そうしようと観た瞬間から心に決めていました。ピクサーの転換点となる新たな傑作、いや、アメリカのアニメーション映画においてもこれは非常に大きなパラダイムシフトなんじゃないだろうか。アジア系の女の子を中心に、オタク全開なガールズ・シスターフッド。新しい時代が来ていると実感。二次創作ファンダムでクリエイティブを培ったアジア系女性たちがハリウッドをどんどん変えているんだなぁ…。

次点は『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』です。

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ベスト・ミュージック賞

『絶叫パンクス レディパーツ!』

かなりいろいろ悩んだのですけど、それこそ『ぼっち・ざ・ろっく!』にしようかとも思ったのですが、2022年は『絶叫パンクス レディパーツ!』にしました。イギリスのロンドンが舞台で、そこで暮らしている等身大の若いムスリム女性がパンクバンドを組んで世の中に自分たちの声をぶつけていく。その姿はまさしくステレオタイプをぶち壊すパワーがあり、「ムスリム女性をナメんなよ!」という叫びが爆発。でも日常アニメみたいな緩さもあり、とても痛快で気持ちのいい作品でした。

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ベスト・アニマル賞

『ピースメイカー』のワッシー

2022年も動物が出てくる作品はいっぱいありました。『RRR』は動物はたくさん出てきたけどあの男2人に全てを持っていかれたし、『ウェアウルフ・バイ・ナイト』のマンシングは好きだけどあれは動物か?と思うけど…。でもひとめ惚れしたのはドラマ『ピースメイカー』の鷲、ワッシー(Eagly)です。ワッシーがとにかく可愛い。オープニングの決めポーズから、作中でのエグイほどの攻撃アシスト、ときどき全くの無能っぷりを披露しつつ、それでも仕草がキュートだから許したくなる。ジェームズ・ガン監督、動物好きすぎる…愛が溢れてる…最高です。私もハグされたい…。

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メモリアル賞

『ONI 神々山のおなり』

「周りがどう思おうと自分だけが愛せていればそれでいい」という映画に出会える瞬間。2022年はこのアニメシリーズでした。キャラクターとそのキャラたちが生き生きと過ごす世界観が魅力たっぷりで、この世界をずっと眺めていたくなります。愛おしい。さまざまなテーマを内包しながら、一気に祭りのムードに持っていくこの荒業。躍動感満載、『ONI 神々山のおなり』は2022年の祭り作品の最高の一本。どんつこつこつこ、わっしょいわっしょい!

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忘れてない?賞

『マイスモールランド』

2022年はたくさんの良作な邦画があってどれが一番かなと考えているうちに決められずに終わったのですけど、忘れてほしくないという想いで選ぶならこの『マイスモールランド』をセレクトしておきたいです。日本で暮らすクルド人の家族、そのうちのひとりである女子高校生を主人公に描いた本作は、日本という社会がいかに人種問題に興味なく、無味乾燥な「おもてなし」の精神で成り立っているのかを静かに浮き彫りにさせていました。2020年東京オリンピック後の日本はこんなにもまだ冷たいということは記憶しておきたいです。

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ベスト・Ace/Aro賞

『インパーフェクト』

いつもはアセクシュアル・アロマンティックの作品がないので1作でもあればそれを選ぶしかない部門でしたが、2022年は違いました。選択候補が多い! それに嬉しさを感じつつ、では何をあえて選ぶべきか今度は悩まないといけないことに。結局、『そばかす』など日本の作品を贔屓するのでも良かったのですが、レプリゼンテーションとしてオリジナリティがある作品を選ぶことにしました。ドラマ『インパーフェクト』は「できない」ことを基点にするのではなく、それをパワーなのだと解釈を逆転させていくアセクシュアル表象で新鮮でしたね。

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ベスト・ノンバイナリー賞

『ナイブズ・アウト グラス・オニオン』

ノンバイナリーのキャラクターを明確に描いているわけではないですが、『ナイブズ・アウト グラス・オニオン』の影の主人公を魅力たっぷりに演じ切って映画を支配してみせたノンバイナリー俳優のジャネール・モネイに称賛の拍手を送りたいので、この部門に選出しました。ノンバイナリー俳優の多彩な活躍がもっと増えて欲しいですし、映画賞の男優・女優のバイナリーなカテゴライズも廃止されるといいなと願いながら、2023年もノンバイナリー俳優を応援していきたいです。

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ベスト・アライ賞

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』

LGBTQドラマとして2022年の最もファンダムを盛り上げた作品はやはり『HEARTSTOPPER ハートストッパー』でしょう。本作は互いが互いのアライになることの大切さを丁寧に描いていました。だからこそ作品外であんな事件が起きてしまうのは悲しいのですが、あらためて強調するためにもこの作品をベスト・アライ賞に選びたいと思います。消費してばかりではない、その人を「人」として尊敬しましょう。それはLGBTQの連帯に限らず、あらゆる人類にとって欠かせないことです。


 

以上です。

2023年もたくさんの心震わす映画&ドラマに出会えますように。